狂気の偽装―精神科医の臨床報告―(新潮文庫)
著者 岩波明
現代日本で急増する「心の病」──。マスコミは、新たな社会現象に合わせて乱造された「病名」を喧伝し、悲惨な事件が起これば被害者を「PTSD」だと安易に決めつけ、「心のケア」...
狂気の偽装―精神科医の臨床報告―(新潮文庫)
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商品説明
現代日本で急増する「心の病」──。マスコミは、新たな社会現象に合わせて乱造された「病名」を喧伝し、悲惨な事件が起これば被害者を「PTSD」だと安易に決めつけ、「心のケア」を気軽に叫ぶ。だが、それは正しい診断なのか? その患者は本当に精神疾患なのか? 精神医療の現場を混乱させる「心の病」ブームの実態を、治療の最前線に身を置く現役の臨床医師が撃つ。渾身の告発リポート。
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世間の誤解を解く良書
2009/02/15 10:44
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
精神疾患に関する本を読むと常に感じるのが、何が正常で、何が正常でないかである。
それは何が病気で、何が病気でないかという問題でもある。
そして、その線引きの難しさが多くの被害者と加害者を生んでいる。
たとえば、それが精神疾患者はすべて危険であるという偏見であれば、おとなしい精神病患者が被害者である。精神疾患(特に自称)のいわれなき原因とされた人も被害者である。実際に被害を受けたにもかかわらず、加害者が精神疾患で無罪になった人も、救われない被害者と言えると思う。再犯性が高いにもかかららず、野放しにされた精神疾患者の被害を受けた場合、誰に責任があるのだろう。そして、マスコミが垂れ流す誤った情報に振り回され、心の病だと思い込んだ人もその周囲の人も被害者であり、時に加害者となる。
かねてより論議をよんでいる心神喪失や心神耗弱条項が、犯罪者の逃げ場所になってはいないだろうか。そして、そのことは犯罪性のない精神疾患者にとってかえって、不利に働いてはいないだろうか。この件に関しても一般には大きな誤解があるようだ。結果責任にするほうが、犯罪も精神疾患者全般に対する偏見や忌避も減るのではないだろうか。
現在の『心の病』ブーム(血液型ブームもその延長線上にある)に警鐘を鳴らし、一般の人が誤解している心の病なるもの(PTSD、アダルトチルドレン、多重人格、ストーキング、ADHD、鬱病などなど)を分かりやすく説明してくれていると同時に実際の患者の状況を教えてくれる良書である。