スパイの世界とは身内ですら疑い、場合によっては騙さなければならない世界であることを良く表現しています。
2016/12/13 10:32
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
スパイの世界とは身内ですら疑い、場合によっては騙さなければならない世界であることを良く表現しています。但し、007のそれは無関係な人間の命を失わせないためであり、基本的には平和主義者であるという点では全シリーズ共通してますね。本作でも、ほぼテロリストの正体を特定したにも拘らず、確実性を重視して泳がせようとする007と、上部や他機関との騙し合いなどに、スパイ組織の複雑さ、組織と個人との矛盾などが良く表現されています。本作でも、結局テロリスト達を泳がせておき、より多くの情報を蓄積した結果、裏に隠れていたより大きな陰謀に辿り着くという構成になっていました。このジェフリー・ディーヴァーという作家ですが、情景描写などが実に巧みですが、私のような理系的頭の人にはちょっと苦手かも。もっと直球勝負でズバズバと活劇調での展開の方が嬉しいです。
冒頭からテロ防止のために出動した007は、そのまま重大テロ捜査に投入される。上司や周囲を巧みに翻弄しながらテロリストの懐に忍び込みその計画全貌を探っていく。数千人規模のテロが計画されていることまでは掴むが、何時・何処で・どういう方法でが分からないまま下巻へと。
下巻も中盤でやっとその内容が判明。恐るべき爆弾テロを防ぐことは出来なかったが、数千人と想定された人的被害は回避できて一件落着と思ったところで、突然ピースが余ってることに気付くとは。(下P-266)余ったピースは“ノア”だけで、何処で何が計画されているのかが全く不明のまま、残された時間は12時間を切っている。この急展開には驚かされました。しかも、真の黒幕は最も怪しくない人間“フェリシティ・ウィリング”であり、仕掛けたのはテロではなく中部アフリカでの“戦争”だったとは。要は、真の目的である“戦争”を隠すため、他の人間セヴェラン・ハイトが計画していたイギリスでの巨大爆弾テロを12時間前に設定して隠れ蓑にしたという何とも恐るべき緻密な作戦だったのである。ただ残念ながら、緻密な作戦だった割には007の活躍の前にあっさりと(40ページほどで)瓦解してしまったのは拍子抜けでした。なお、各所に007の両親の死に関する情報収集の話が織り込まれている。その要点は、冷戦終了期に複数のスパイがその痕跡を消す目的で殺されており、その一環として007の両親も殺されたのではという謎の解明である。007の生い立ちに関しては他の作家の「007」でも取り上げられているが、ジェフリー・ディーヴァーもその辺に焦点を当てた続編を構想しているのだろうか。
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【あのディーヴァーが放つ、まったく新たな007の冒険!】世界最高のヒーローに世界最高のサスペンス作家が挑む。9・11後の世界でジェームズ・ボンドが殺戮を阻止すべく世界を駆ける。
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ジェフリー・ディーヴァーらしく、どんでん返しの連続で、読者を楽しませてくれる。
007にふさわしく、美女も多数出てくる。スマホのアプリで情報を得たりするところは、まさしく現代版007である。映画化の予定はないということだが、読者としては期待したいところ。
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ディーヴァー作の現代的なボンドストーリー。ダニエル・クレイグボンドのイメージで読めて、ディーヴァーらしいどんでん返しが楽しめる良作。敵のキャラクターも007的気持ち悪さがあって、違和感はない。007という決まったフォーマットであっても、圧巻のクオリティで素晴らしい。
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007がディーヴァーのストーリーに登場。
普通におもしろくて一気に読破ですが、007の読みがあたりすぎな感はありますね。
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ディーヴァーの新作として充分堪能できる一作。
映画だとひたすら退屈な銃撃戦も、小説なら一発一発に意味を込めてくれるから面白い。格闘シーンもそう。
キザったらしいワインやカクテルの講釈も007なら許せる。
どんでん返しもこれくらいがちょうどいいです。
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あちこち移動する度に登場人物が増えて、その人となりを紹介してるうちに終わってしまった感じ。まずはシリーズ取っ掛かりって感じかしら。男性より女性キャラクターの方がより魅力的なのは、ボンドを巡る人々だからなのかしら。もててるようで、浅見光彦並みにふられまくるボンドに好感は持てました。
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リンカーン・ライムシリーズが好きで、作者&訳者コンビにハマった延長で読みました。
当たり前のことですが、シリーズ作品と比べるとかなり物語の構成が違うな、と感じました。
ボンド視点で物語が展開していくため、映画のように読める作りになっています。その中で作者の持ち味であるどんでん返しを持ちこんだのは、流石と言わざるを得ないです。
それが007という世界的に有名なキャラクターや設定などの世界観にマッチしているかどうかは別として、この作者が書くならこうなるだろうな、という点ではとても納得できました。
007は本家や映画を含め、これまでにたくさんの作家が受け継いできたブランドなので、読む人の最初の窓口によってかなり印象と評価が分かれるのではないかと思います。
どんでん返しはひかえめです。
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リンカーン・ライムシリーズのディーヴァーによる、007
いやあ、想像以上に面白かった。
でもって、流石ディーヴァー。どんでん返しをこうもってきたかと、感嘆しました。
ある意味、007はテンプレートであり、ステレオであり、一つのベクトルなのだと思う。
それらから、逸脱することなくディーヴァーらしさを出しながら面白くする、ってどれだけの難題なんだと思うけれど、端々から楽しく書いてる感じがうかがわれて、それも面白くしている要因のように感じた。
うん。ある種の束縛というかくくりは、面白くする要因なのか?
そういや、パスティーシュって面白いものが多いし、音楽でも変奏曲は多い。
にしても、最後の最後にとんでもなく今日的な事をもってきて、それのリアリティに恐怖したのである。
実際、世界は燃え上がろうとしているのかもしれない。
少なくとも、たとえ虚構の世界の話だとしても、燃え上がる要因はすでにできあがっているのだと知ること、気づくことが炎上を阻止するささやかな力なのかもしれない。
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好きな作家の一人による007モノとなれば読む前から期待が膨らみます。
本作のボンド役はショーン・コネリーが適役かななどと最初は映画のキャスティングを考えながら感情移入していましたが、内容は期待外れでした。
以下、若干のネタバレあり。
今回はディーヴァーお得意のドンデン返しに無理がありすぎ、最初から犯人二人がつるんでいたのなら早い段階でボンドに対する情報共有をしていればこんなラストにはならなかったはず・・などと読者(俺)に心配されるようでは困ります。
タイトルの白紙委任状にもそれほど深い意味はないようだし・・逆に、もっとスパイ活劇っぽく、ガジェット(最新電子機器)を駆使したはじける展開にした方が今風でよかったのかも。
とはいえ感心した着想点も1つ、書類裁断機内に複写メモリーを忍ばせて、機密情報を抜き取るという発想は素晴らしい。まあ、現実的にそんな大事な書類を裁断するのかはよくわかりませんが・・
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映画同様、世界中の一流品(たぶん)が登場。ワインの銘柄やら、時計のメーカーやらはぜんぜんわからないけど、ボンドが乗った日本車だけはイメージできてちょっとうれしかったな。
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007ファンかジェフリー・ディーヴァーファンが読むであろう本。私は後者。
「ジェームズ・ボンド」については、映画をチラホラ見て、役者が代わっていくも「ショーン・コネリー」のイメージが強いです。
近年のスパイ像からすると、やや現実離れした派手なスタイルのスパイという印象
(近年の007は観てない)
あとは「ニンテンドー64」のゲーム版で武器を持たず「チョップ」のみで相手を仕留める闘いを友人と狂った様にやっていた思い出があるくらい。
ジェフリー・ディーヴァーといえば安楽椅子探偵「リンカーン・ライム」シリーズ
私はマーク・グリーニーの「暗殺者グレイマン」シリーズも好きで
「探偵モノ」「冒険モノ」の2大鉄板シリーズとして楽しんでいます。
そんなJDの「スパイ冒険モノ」
と言ういいとこ取りを期待して読む。
(ミリタリー知識を詰め込むあたりをJD先生なら商品名を実名で使うことが多いのでそこらへんも気にしつつ)
先にも書いた通りスパイでは致命的な「派手さ」も小説だと伝わりづらいかな?って思ってましたが、やはり高級車での追跡とか「いや、尾行はバレるやろ」って疑問に「こうすれば成立する」という答えを出してるのはさすが
他のスパイモノでは「ジェームズ・ボンドみたいなマネ」という神話の様な扱いを受けるボンドよりも、相手の裏を読み行動して、ピンチとなればリカバリーするプロフェッショナルっぷりが気持ち良い。
また「ボンドガール」と呼ばれ毎回ヒロインが変わる印象だったので
ボンド自体プレイボーイなのかと勘違いしてましたが、女性に対する気遣いについても細かく紳士的なのが
他のやつらとは違う。
「貴族の探偵」や「富豪の刑事」がいるのだから、一人くらい
「紳士のスパイ」がいても良いよなって思ってしまった。
事件については一切触れてませんが、
やはり「007」と「JD作品(クセの強い悪役、どんでん返し)」のいいとこ取りの様な内容でした。
普通、別の作家の作品を引き継いだらやらないような事なんかも混ぜ込んでくるのが
話をより面白くしてる。
気軽に読むにはおすすめ!!
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「007」登場!
途端にオープニングシーンとテーマメロディが脳内に流れ出す。
それほど映画「007」が既に世界的な映像作品であることは、ご承知の通り。
すでに「リンカーン・ライム」シリーズで名声を得ているジェフリー・ディーヴァーが、いったいどのようなジェームズ・ポンドを生み出すのか興味津々で読み出す。
M、Q、マニーペニーと、お馴染みの登場人物に、セルビア、イギリス、南アフリカと世界を駆け巡るスケール。
オープニングの貨物列車の脱線事故(事件)から、派手なカーチェイス、廃墟の崩落、敵地への潜入捜査、派手な銃撃戦などなど、スピード感満載でアクションの臨場感たっぷり。
“ボンドガール”にディナーにワイン、カクテル……007ならではの演出を盛り込み、ディーヴァー得意の「猟奇的」な犯罪の予感、敵との頭脳戦に加え、最後はどんでん返しが待っている。
ディーヴァーが楽しみながら描いているのが目に浮かぶ。
「007」や「リンカーン・ライム」もいったん「白紙」に戻して、素直に読んでみることが重要な物語……面白かったです。
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アメリカの作家「ジェフリー・ディーヴァー」の冒険スパイ小説『007 白紙委任状(原題:Carte Blanche)』を読みました。
『007/カジノ・ロワイヤル』、『007/赤い刺青の男―ジェイムズ・ボンド・シリーズ』、『007/ハイタイム・トゥ・キル』に続き「007」シリーズ作品です。
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あの「ディーヴァー」が放つ、まったく新たな「007」の冒険!
世界最高のヒーローに世界最高のサスペンス作家が挑む。9・11後の世界で「ジェームズ・ボンド」が殺戮を阻止すべく世界を駆ける。
〈上〉
“金曜夜の計画を確認。当日の死傷者は数千に上る見込み”。
イギリスへの大規模テロ計画の存在が察知された。
金曜までの6日で計画を阻止せよ―指令を受けた男の名は「ジェームズ・ボンド」、暗号名「007」。
攻撃計画の鍵を握る謎の男を追って彼はセルビアへ飛ぶ。
世界最高のヒーローを世界最高のサスペンス作家が描く話題の大作。
〈下〉
イギリスへのテロ攻撃の鍵を握るのは、“アイリッシュマン”と呼ばれる謎の男。
精緻な計画と臨機応変の才で知られるその男は、「ボンド」の手を逃れ続ける。
ロンドン、ドバイ、南アフリカ―ボンドが決死の追撃を続ける一方、テロ実行の金曜日は着々と迫る。
巧妙に擬装されたテロ計画の全貌を「ボンド」は暴けるのか?
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2011年(平成23年)発表の冒険スパイ小説「007」シリーズ作品… 「ジェフリー・ディーヴァー」による「007」シリーズ唯一の作品です。
■まえがき
■日曜日 美しく紅きドナウ
■月曜日 世界で一番リッチなくず屋
■火曜日 砂漠の死
■水曜日 キリング・フィールド
■木曜日 失踪通り
■金曜日 ゲヘナに下るとき
■用語解説
■謝辞
■解説 吉野仁
本書の「ジェームズ・ボンド」は、年齢は三十代で、身長は183cm、体重は78kgの恵まれた体格… と、年齢や姿は1960年代に活躍した設定のままで、舞台を半世紀後の2010年代に置き換えた物語となっています、、、
東西冷戦や宇宙開発競争ではなく、テロが国家の脅威となっていたり、国外での活躍の場がセルビアやアラブ首長国連邦、南アフリカという国々になっていたり、廃棄物処理やリサイクルを専門とする怪しげな会社が出てきたり、パソコンやスマホを使いこなしたりするところ等に、時代が変わったことを感じさせますが… 美食やクルマや銃に拘るところや、最新型の秘密兵器、ラヴロマンス、美女の裏切り等、「007」シリーズのアイデンティティをしっかりと引き継いでいる部分が物語の軸になっているので、意外と違和感なく読めましたね。
物語は、まずセルビア共和国から始まります… ある日曜日、首都ベオグラードからセルビア第二の都市ノヴィサドへ向かう鉄道列車がドナウ川を渡ろうとしており、丘の頂から身を伏せつつ、その光景を見つめていたのが「ジェームズ・ボンド」だった、、、
「ボンド」がセルビアにやってきたのは、ある大規模なテロ計画を阻止するためだった… 英国政府通信本部が手に入れた情��によると、二十日の金曜夜、数千人の死傷者が見込まれるテロ計画が進んでいるという。
それを英国諜報部はインシデント20と名付けた… 詳細は不明ながら、敵は〈ノア〉という名で、その打ち合わせがノヴィサド郊外のレストランで行われるらしい、、、
こうした情報をもとに「ボンド」がセルビアまで派遣されたのだが、レストランに現れた謎の男「アイリッシュマン」を捕まえることはできなかった… イギリスに戻った「ボンド」は、国内での調査を進めたのち、ドバイ、ケープタウンと移動、謎の敵の正体をつきとめようと奮闘する。
果たしてテロ計画は阻止できるのか… 序盤から「ボンド」と「アイリッシュマン」の闘いを中心に派手な活劇が展開されます、、、
ロンドンに戻ってからの、長官「M」や秘書の「マニーペニー」、上司の「ビル・タナー」、CIAの「フェリックス・ライター」といったお馴染みの「ボンド」ファミリー登場は、なんだか嬉しくて、安心できる展開… ケープタウンでの南アフリカ警察犯罪対策捜査課の女性警部「ベッカ・ジョルダーン」や国際飢餓対策機構代表「フェリシティ・ウィリング」との出会いとロマンス等も「007」シリーズらしい展開でしたね。
そして、グリーンウェイ・インターナショナル社長「セヴェラン・ハイト」と、殺し屋「アイリッシュマン(本名:ナイアル・ダン)」のコンビとの騙し合いと派手なアクション、そして、事件は解決か… と思われたあと、忘れかけていた〈ノア〉と呼ばれるテロ首謀者の正体が判明、、、
アクションだけでなく、意外性のある展開が隠されていて、終盤は興奮しつつ一気に物語世界へと引きこまれました… そして、事件の解決とは別に、「ボンド」自身にまつわる意外な真実に迫るエピソードも愉しめる展開になっていました。
彼が十一歳のときにシャモニーの上のルージュ峰の登山事故で死亡したとされていたスコットランド人の父「アンドリュー・ボンド」とスイス人の母「モニク・ドラクロワ」の知られざる秘密が明かされるんですよね… 色んなアイデアが織り込んであり愉しめましたね、、、
でも、ちょっと難を言えば、上下巻で700ページ近いボリュームがあり、中だるみ感があったことかな… もう少しテンポ良く、スピード感のある展開だったら、もっと面白かったんじゃないかな。
以下、主な登場人物です。
「ジェームズ・ボンド」
英国秘密機関《海外開発グループ(ODG)》のエージェント
O課00セクション所属 暗号名007
「M」
ODG長官 提督
「ビル・タナー」
ODG幕僚主任 対インシデント20作戦を指揮
「マネーペニー」
Mの副官 退役海軍大尉
「フェリー・メイデンストーン」
MI6の情報アナリスト ODGとの連絡調整係官
「サヌ・ヒラーニ」
ODGのQ課課長
「パーシー・オズボーン=スミス」
秘密期間《D3》作戦実行部上級副部長
「セヴェラン・ハイト」
グリーンウェイ・インターナショナル社長
「ジェシカ・バーンズ」
グリーンウェイ・インターナショナルの宣伝顧問
「ナイアル・ダン」
殺し屋 暗号名「アイリッシュマン」
「フェリックス・ライター」
CIA上級エージェント
「ベッカ・ジョルダーン」
南アフリカ警察犯罪対策捜査課警部
「クワレニ・ンコシ」
南アフリカ警察犯罪対策捜査課巡査長
「グレゴリー・ラム」
MI6南アフリカ潜入工作員
「フェリシティ・ウィリング」
国際飢餓対策機構代表
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ディーヴァー版007も佳境へ。南アフリカ、ケープタウンが最後の舞台に。謎の男“アイリッシュマン”も好敵手として活躍。ディーヴァーお得意の程よいミスデレクションとどんでん返しが散りばめられるのはお約束だが、やはり実に面白い。すぐにピンチになり過ぎだよ、007。結局強過ぎるから、クリアしちゃうのはわかってるんだけど。
ライムシリーズと少し違う、完璧なスパイアクションを非常に楽しめました。もっと評価されてもいいと思う。
でも、やっぱりリンカーン・ライムの方が、自分には合ってるなと再認識しました。