サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

新規会員70%OFFクーポン

アプリで立ち読み

hontoアプリの確認

立ち読みには最新の「honto」アプリ(無料)が必要です。

バージョンの確認はアプリの「設定/情報」から確認できます。

最新の「honto」アプリをご利用の方

立ち読みする

最新の「honto」アプリをダウンロードされる方

hontoビューアアプリ

ブラウザで立ち読み

  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5 1,201件
  • あなたの評価 評価して"My本棚"に追加 評価ありがとうございます。×
  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日: 2014/11/07
  • 出版社: みすず書房
  • ISBN:978-4-622-03970-9

読割 50

読割50とは?

読割50とは?

hontoネットストアおよび、丸善・ジュンク堂・文教堂の提携書店にて対象の紙書籍を購入すると、同一の電子書籍が紙書籍の購入から5年間、50%OFFで購入できるサービスです。
購入時点で電子書籍が未発売でも、紙書籍の購入時期にかかわらず、電子書籍の発売後5年間、50%OFFで購入できます。

または読割50のアイコンがついている商品が対象です。

一部、対象外の出版社・商品があります。商品ページでアイコンの有無をご確認ください。

  • ※ご利用には、honto会員登録が必要です。
  • ※書店店頭でのお買い物の際は、会計時にレジにてhontoカードをご提示ください。
  • ※hontoが提供するサービスで、販売価格の50%OFFを負担しています。

読割50について詳しく見る

一般書

電子書籍

夜と霧 新版

著者 ヴィクトール・E・フランクル(著) , 池田香代子(訳)

〈わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガ...

もっと見る

夜と霧 新版

税込 1,320 12pt

ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは

ほしい本に追加(値下がりすると通知がきます)

ご利用中のデバイスが対応しているかご確認ください

  • ブラウザ
  • iOS
  • Android
  • Win
  • Mac

対応デバイスごとのコンテンツタイプやファイルサイズヘルプ

対応デバイス毎のコンテンツタイプやファイルサイズ

対応デバイス コンテンツタイプ ファイルサイズ
ブラウザ EPUB
iOS EPUB 4.4MB
Android EPUB 4.4MB
Win EPUB 4.4MB
Mac EPUB 4.4MB

夜と霧 新版

税込 1,650 15pt

予約購入とは

まだ販売されていない電子書籍の予約ができます。予約すると、販売開始日に自動的に決済されて本が読めます。

  • 商品は販売開始日にダウンロード可能となります。
  • 価格と販売開始日は変更となる可能性があります。
  • ポイント・クーポンはご利用いただけません。
  • 間違えて予約購入しても、予約一覧から簡単にキャンセルができます。
  • honto会員とクレジットカードの登録が必要です。未登録でも、ボタンを押せばスムーズにご案内します。

予約購入について詳しく見る

ワンステップ購入とは

ワンステップ購入とは、ボタンを1回押すだけでカートを通らずに電子書籍を購入できる機能です。

こんな方にオススメ

  • とにかくすぐ読みたい
  • 購入までの手間を省きたい
  • ポイント・クーポンはご利用いただけません。
  • 間違えて購入しても、完了ページもしくは購入履歴詳細から簡単にキャンセルができます。
  • 初めてのご利用でボタンを押すと会員登録(無料)をご案内します。購入する場合はクレジットカード登録までご案内します。

キャンセルについて詳しく見る

商品説明

〈わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ〉

「言語を絶する感動」と評され、人間の偉大と悲惨をあますところなく描いた本書は、日本をはじめ世界的なロングセラーとして600万を超える読者に読みつがれ、現在にいたっている。原著の初版は1947年、日本語版の初版は1956年。その後著者は、1977年に新たに手を加えた改訂版を出版した。
世代を超えて読みつがれたいとの願いから生まれたこの新版は、原著1977年版にもとづき、新しく翻訳したものである。
私とは、私たちの住む社会とは、歴史とは、そして人間とは何か。20世紀を代表する作品を、ここに新たにお送りする。

目次

  • 心理学者、強制収容所を体験する
  • 知られざる強制収容所/上からの選抜と下からの選抜/被収容者119104の報告――心理学的試み
  • 第一段階 収容
  • アウシュヴィッツ駅/最初の選別/消毒/人に残されたもの――裸の存在/最初の反応/「鉄条網に走る」?
  • 第二段階 収容所生活
  • 感動の消滅(アパシー)/苦痛/愚弄という伴奏/被収容者の夢/飢え/性的なことがら/非情ということ/政治と宗教/降霊術/内面への逃避/もはやなにも残されていなくても/壕のなかの瞑想/灰色の朝のモノローグ/収容所の芸術/収容所のユーモア/刑務所の囚人への羨望/なにかを回避するという幸運/発疹チフス収容所に行く?/孤独への渇望/運命のたわむれ/遺言の暗記/脱走計画/いらだち/精神の自由/運命――賜物/暫定的存在を分析する/教育者スピノザ/生きる意味を問う/苦しむことはなにかをなしとげること/なにかが待つ/時機にかなった言葉/医師、魂を教導する/収容所監視者の心理
  • 第三段階 収容所から解放されて

あわせて読みたい本

この商品に興味のある人は、こんな商品にも興味があります。

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

この著者・アーティストの他の商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

小分け商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

この商品の他ラインナップ

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

みんなのレビュー1,201件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

後世に残したい、人間の崇高さと尊厳を記録した名著。強く、心が揺さぶられました。

2009/04/03 21:57

31人中、29人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アウシュヴィッツほかのナチス強制収容所で、被収容者の生活を体験した著者が、心理学者の観点から、その悲惨な状況を観察し、描写した一冊。極限の苦しみの日々を送る人間たちを、自分を含めてひたと見据えながら、人間の生きる意味とは何か、人間の尊厳とはどういうものかを問いかけ、考察していくのですね。150頁あまりの記述の哲学的な色合いを帯びた深みがもの凄く、あちこちで慄然とさせられました。人間らしい心が麻痺してしまう想像を絶した収容所生活の光景に打ちのめされ、その中でも、生きる意味を見出そうとする人間の勇気、人間の覚悟に接して、心が震えました。

 収容所から工事現場に向かって、何キロもの雪道を歩く途中、愛する妻の面影、その微笑みを思い出すことで、ひととき、至福の境地へと至る著者。収容所の現場監督が取り置きしておいてくれた小さなパンが、自分に向けてそっと差し出されたとき、彼の人間らしい言葉、人間らしいまなざしにたまらず、ぼろぼろと涙をこぼす著者。このふたつのシーンは、とりわけ、胸がいっぱいになってしまった記述です。読みながら、こちらもたまらない気持ちになりました。

 あるいはまた、次の記述などに。
<カポー(被収容者監視員 ※筆者註)は劣悪な者から選ばれた。この任務に耐えるのは、ありがたいことにもちろん例外はいたものの、もっとも残酷な人間だけだった。(中略)そういう者だけが命をつなぐことができたのだ。何千もの幸運な偶然によって、あるいはお望みなら神の奇跡によってと言ってもいいが、とにかく生きて帰ったわたしたちは、みなそのことを知っている。わたしたちはためらわずに言うことができる。いい人は帰ってこなかった、と。>(p.5)

 強制収容所の衝撃的な写真が掲載されていた旧版(1947年刊 霜山徳爾 訳)も読みごたえありましたが、こちら、シンプルなたたずまいの新版(1977年刊 池田香代子 訳)も素晴らしい。平明な言葉と文章。すっと頭の中に入ってきて、分かりやすかったことでは、本書のほうが上でしょうか。

 いずれにせよ、後世にきっと残したい、人間の崇高さと尊厳を記録した名著です。本作品は、小川洋子『心と響き合う読書案内』(PHP新書)でも取り上げられ、見事な紹介がされています。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

新訳の翻訳者、池田香代子先生は今のところ翻訳のミスの訂正に応じてくれてはいません。

2011/03/07 16:44

34人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みどりのひかり - この投稿者のレビュー一覧を見る

 旧訳の霜山徳爾先生の「夜と霧」にも、新訳の池田香代子先生の「夜と霧」にも、同じところで翻訳のミスがありました。
 霜山先生はそのミスを訂正して下さいました。これについては旧訳への私の書評で詳しく書いていますので、まずそれをお読みになって下さい。

旧訳への私の書評

 新訳の翻訳者、池田香代子先生は今のところ訂正に応じてくれてはいません。
私が新訳の存在を知ったのは初版のだいぶ後になってからのことでしたので翻訳のミスを指摘し訂正のお願いの申し出をしたのは2007年8月でした。みすず書房の編集担当者は新しい人に代わっていましたが会ってお話しましたところ訂正する意思はお有りになりました。あとは、池田先生の意思次第です。

 文章間の矛盾が明確だったからこそ、また重要な事柄だったからこそ、霜山先生と当時の編集担当者、吉田欣子さんは訂正して下さいました。

 訂正の内容は旧訳への私“みどりのひかり”の書評に書いていますが、ここにも主な文を載せておきましょう。

それは霜山先生訳の「夜と霧」の196ページに書かれています。引用します。これを《2》の文章とします。

《2》
『これらすべてのことから、われわれはこの地上には二つの人間の種族だけが存するのを学ぶのである。すなわち品位ある善意の人間とそうでない人間との「種族」である。』

で、この部分は正しい文章であり間違いはありません。問題は、このページの一つ前のページ、195ページの文章です。これを《1》の文章とします。

《1》
『人間の善意を人はあらゆる人間において発見しうるのである。』

この文章は、《2》の『われわれはこの地上には二つの人間の種族だけが存するのを学ぶのである。すなわち品位ある善意の人間とそうでない人間との「種族」である。』という文章と矛盾します。

《2》の文章では、フランクルは決して、あらゆる人間が善意の人間だとは言っていません。二つの人間の種族だけがいると言っています。つまり、善意の人間とそうでない人間の二つの「種族」がいると言っています。

 だから、《1》の『人間の善意を人はあらゆる人間において発見しうるのである』というような、みんな善意の人とは言っていません。

で、結論としては、《1》の文章の

『人間の善意を人はあらゆる人間において発見しうるのである』

の、「あらゆる」と「人間」の間に「グループの」という言葉が入るはずです、ということです。つまり、ユダヤ人のグループにも、看視兵のグループにも善意の人を発見しうる、と言っているのであり、あらゆる人間が善意の人である、とは言っていません。

で、この私の考えを霜山先生も当時の編集担当者も認めて下さり、1986年の刊行のものから現在に至るまで、この部分は「グループの」という言葉が入れられ、

『人間の善意を人はあらゆるグループの人間において発見しうるのである』と改められています。

この、『二つの「種族」だけがいて、一方は善意の人、すなわち「残虐行為を嫌悪する種族」であり、他方はそうでない「残虐行為を好む種族」である。』という考え方はキリスト教文明圏では持ってはならない考え方であり、普通ならごうごうたる非難に見舞われるような内容です。ですが、これは、フランクルが何百万人もの命と引き換えに学んだことなのです。この学んだ内容は、事実は事実として認めて社会の制度に役立てなければ、またあの忌まわしいアウシュビッツが繰り返されることになります。

池田先生の新訳では、その《1》の部分は143から144ページに、《2》の部分は144ページから145ページにかけて載っています。

その部分をここに引用しておきましょう。
《1》
人間らしい善意はだれにでもあり、全体として断罪される可能性の高い集団にも、善意の人はいる。


《2》
こうしたことから、わたしたちは学ぶのだ。この世にはふたつの人間の種族がいる、いや、ふたつの種族しかいない、まともな人間とまともではない人間と、ということを。


ということで、フランクルは決して「人間らしい善意はだれにでもある」とは言っていないということ。
そして、「この世にはふたつの人間の種族がいる、いや、ふたつの種族しかいない、まともな人間とまともではない人間と」ということを言っているわけです。

残虐行為を好む人間のことについては、脳のfMRIスキャンによって判ってきました。旧訳への私の書評の中にリンク先がありますので見て下さい。

ただ、残虐行為をして楽しむ人間とは別に、粗暴で直に怒りをあらわにする人がいますが、この人たちは本質的に残虐人間とは異なります。この人たちと残虐行為を好む人間を混同して、悪い子を愛と教育で良くしたと思い込むインテリ人がいますが、これは明確に異なります。フランクルも「夜と霧」(旧訳)の201ページ、202ページにその人のことを書いていました。引用します。


一人の仲間と私とは、われわれが少し前に解放された収容所に向かって、野原を横切って行った。すると突然われわれの前に麦の芽の出たばかりの畑があった。無意識的に私はそれを避けた。しかし彼は私の腕を捉え、自分と一緒にその真中を突切った。私は口ごもりながら若い芽を踏みにじるべきではないと彼に言った。(中略)「何を言うのだ!われわれの奪われたものは僅かなものだったか?他人はともかく・・・・・・俺の妻も子供もガスで殺されたのだ!それなのにお前は俺がほんの少し麦藁を踏みつけるのを禁ずるのか!・・・・・・」何人も不正をする権利はないということ、(中略)この真理の取り違えは、ある未知の百姓が幾粒かの穀物を失うのよりは遥かに悪い結果になりかねないからである。なぜならば私はシャツの袖をまくり上げ、私の鼻先にむきだしの右手をつき出して「もし俺が家に帰ったその日に、この手が血で染まらないならば俺の手を切り落としてもいいぞ。」と叫んだ収容所の一人の囚人を思い出すのである。そして私はこう言った男は元来少しも悪い男でなくて、収容所でもその後においても常に最もよい仲間であったことを強調したいと思う。


この人たちが残虐性を好む人間とは異なるのだということは、いっしょに暮らしていれば判ることなのです。インテリは彼らのそばで暮らしてないからそのことはわかりません。私はわかります。粗暴だけど本質的には良い人か、残虐性を好む人間かは身近に一緒に暮らしていれば判ります。
フランクルは、このことは重要と思ったからこそ文章を入れたのでしょう。

私”みどりのひかり”の著書はこれらの問題を考える参考になります。

般若心経物語
不落樽号の旅

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

“静かな書”

2008/04/12 18:41

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

1977年刊の原書新版にもとづき新訳されたものである。日本版は2002年11月刊、手許のものは2007年5月第10刷となっている。旧訳以来、書名とその内容の断片はよく見聞きしていたが、私は今回が初読である。こうした名著を思い立ったときに容易に入手して読めるのが通販書店のありがたい点である。「心理学者、強制収容所を体験する」という飾りのない原題がつけられた本書は「人間とは何か」を科学者の目から描いた“静かな書”である。この我々には現実のものとしては想像もできないような壮絶な体験が淡々と記述されている。 160頁程度のものであり、私は、手に取ったまま一気に読みきった。

 よく引かれる「いい人は帰ってこなかった」という記述は冒頭部にある(P. 5)。 その他、静かな記述のなかに多くの鋭い指摘がみられる。 心に残った部分を挙げてみると、「人間はなにごとにも慣れることができるというが、それはほんとうか、・・・・わたしは、ほんとうだ、どこまでも可能だ、と答えるだろう。」(p.27)、「ほとんどの被収容者は、風前の灯火のような命を長らえさせるという一点に神経を集中せざるをえなかった。原始的な本能は、この至上の関心事に役立たないすべてのことをどうでもよくしてしまった。」(p.53)、「自分はただ運命に弄ばれる存在であり、みずから運命の主役を演じるのではなく、運命のなすがままになっているという圧倒的な感情、加えて収容所の人間を支配する深刻な感情消滅」(p.94)、「人間はどこにいても運命と対峙させられ、ただもう苦しいという状況から精神的になにかをなしとげるかどうか、という決断を迫られるのだ。」(p.114)、「人は未来を見すえてはじめて、いうなれば永遠の相のもとにのみ存在しうる。これは人間ならではのことだ。」(p.123)、「未来を、自分の未来をもはや信じることができなかった者は、収容所内で破綻した。そういう人は未来とともに精神的なよりどころを失い、精神的に自分を見捨て、身体的に自分を見捨て、身体的にも精神的にも破綻していったのだ。」(p.125)、「生きるとはつまり、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を充たす義務を引き受けることにほかならない。 この要請と存在することの意味は、人により、また瞬間ごとに変化する。」(p.130)、「ひとりひとりの人間を特徴づけ、ひとつひとつの存在に意味をあたえる一回性と唯一性は、仕事や創造だけでなく、他の人やその愛にも言えるのだ。」(p.134)・・・・・・

 もちろん、平和呆けと日常性の中に暮らす自分達がこのような心理を真に理解することは困難であろう。 類似の状況があるとすれば、不治の病と寿命の終期を宣告された時ぐらいであろうか。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

高校生や大学生にぜひ読んでほしい

2003/01/09 19:41

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:pipi姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ナチスの強制収容所でなにが起こったか、今や多くの人が知っている。
 映画で、TV番組で、TVの戦争特集で、小説で、漫画で……。

 今更もう新しい知見などない? そうだろうか。強制収容所に暮らし、そこから奇跡的に生還した心理学者が極限の状態の中で何を見、何を感じ、何をしたか、つぶさに知ることは、単に古くおぞましい記憶を手繰り寄せ反芻すること以上の意味をもっている。

 第二次大戦後、「アンネの日記」とともにロングセラーとなって読みつがれてきたという本書を、恥ずかしながらわたしは読んだことがなかった。このたび、新版に基づく新訳が出版されたのを知って初めて目にしたわけだが、訳は平明で読みやすく、やはり評判どおりの深い示唆に富むすぐれたドキュメントだった。

 
 ユダヤ人でかつ高名な心理学者である著者が、自分をも分析対象にして、強制収容所での人々の心理状態をつぶさに著していく。いわば、「参与観察」の結果が本書の内容なのだ。ここでは、絶望の中で人はどのように生き延びるのか、あるいはその絶望ゆえにどのように命を落とすのか、心理学者の克明な描写が胸をえぐる。

 平和な時代、「極限の状況」などに陥るはずのないわたしたちですら、ここに書かれた内容が、人はいかに生きるべきかという普遍的なテーマにつながることをひしひしと感じる。ある意味で人はいつだって極限状況に陥りながら生きているのだ。希望と絶望は常にわたしたちのまわりをゆらめき、大きな重圧に、あるいはさまざまな些細なことにすら心が押しつぶされそうになる。

 心が疲れているときに読めば、きっと励ましになることが書いてある。いわば説教臭い教訓が書いてあるともいえるのだが、その言葉が空疎に響かない。ホロコーストを生き延びた人の魂の奥底から出た言葉には普遍的な力がある。

 収容所で人間の尊厳を生きのびさせる力が<知性>であったことを心に刻もう。人のよすがとなる最後の品格を支えるものは知性だ。そして知性は豊かな感性に裏打ちされる。

 わたしが教師なら、夏休みの課題図書に選定したい。若人よ、ぜひ読んでほしい!

 そして本書を読んだら、次は「カフカの恋人ミレナ」(平凡社ライブラリー)を読もう。ナチスの収容所で最後まで誇りと明るさを失わなかった知性溢れる女性の生涯が描かれている。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

夜と霧

2017/11/24 18:12

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みかん - この投稿者のレビュー一覧を見る

一度は読んでおくべき本だと思います。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

あのとき、なにが起こっていたのか

2017/04/22 09:57

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さびねことほんだな - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画を見ているかのように、フランクル博士が見た情景を再生できる一冊です。
難しい本なのだとばかり思っていましたが、新訳のおかげか、ただ読む分には全くストレスは感じません。ただ、描き出される情景があまりにも克明なのでページをめくる手が何度か止まりました。
歴史を繰り返してはいけない。なぜ?
その答えがここにあると思います。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

強制収容所から見て

2007/09/09 21:27

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サイン - この投稿者のレビュー一覧を見る

強制収容所内での観察に基づいた書。
まさに生と死が隣り合わせの状態で、
「人間とは何か」
「人間の自由と何か」
ということを根底で考えている。
かといって、声高になる感じではなく、
静かに淡々と語っている感じである。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

いい人は帰ってこなかった

2004/04/17 08:41

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 池田香代子の新訳が出版された。読もう読もうと思いながらいまになってしまった。
 アウシュヴィッツ収容所の名や話を聞いたことは、多くの人があると思う。本書はその支所に収容された心理学者の率直な体験記ともいえる。

 一番印象に残った言葉は、「いい人は帰ってこなかった」

 こんな印象的な言葉はない、と思う。生きるために「利巧」に立ち回わることのできない人は、生命を奪われたということである。

 旧訳者は、治安維持法の思い出を語っている。言いたいことを正直に言ったものは、治安維持法のもとで生きていくこともできなかった暗黒の時代を経験した人としての重みがある。

 ヒットラーによるユダヤ迫害、虐殺は有名である。しかし、その収容所に送られた人の心理面を描いたものは少ない。貴重な本である。
 生きるために、人としての尊厳や感覚を忘れてしまう精神状態の描写。リアルな描写になぜかそうかもしれないと思ってしまう。
 賞賛できる生き方ではない、と思うが、精神的にそうなってしまうのかも知れないと…。

 ヒトラー・ドイツが破れ、自由を得た被収容者。「自由」の実感がわかない、という。
 「自由」を実感するまでに、いくたの現実を経験し、なおかつ時間がいるという。それまでに夢見ていた自由、現実の自由が訪れた時にすぐには実感が伴わないという。
 これが真実かもしれない、その心理状態には説得力がある。

 今日の政治的発言や国民の行動にも、そんな現実離れした心理状態があるのではないか。不安定な社会の中では、人の心も不安定になる。
 現象だけに惑わされてはいけない。その中に隠れた本質を見極める考え方が必要なのだと切実に思った。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

夜と霧 新版

2015/08/30 23:00

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジークムント・フロイトに精神医学を学び、ウィーン大学医学部精神科教授を務め、学者としても「実存分析」を唱えるなど、世界の精神医学・脳外科医学に多大なる貢献をしたヴィクトール・エミール・フランクルは、ユダヤ人の血をひくが故に、ヒトラー率いるナチス政権から様々な迫害を受けた。職を解かれ、ドイツ人に対する治療を禁止された。それのみならず、結婚9ヶ月語には強制収容所に送られた。両親と妻はその後別の収容所に送られ、再会することはなかった。彼は悪名高きアウシュビッツ収容所に送られが、幸運にも3日後には別の収容所に送られ、無事に生き延びた。
この本は、収容所生活を淡々と綴ったものである。収容所での生活は「生きているの不思議」といわれるほど過酷なものであるが、これだけ酷い目に遭ったにもかかわらず、彼は政権に対する恨み辛みを一言も言わず、淡々と日々の出来事を綴っている。その姿勢に、胸を打たれる人は多いだろう。本書は1956年の初版以来、長らく霜山徳爾の翻訳で発行されていたが、12年前に池田香代子の新訳が出たが、ここで紹介しているのはそちらの方である。かように過酷な体験をしたのに、なぜ彼はユーモアを絶やさないことが出来たのか?それが不思議である。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

人間の本質を真実から記述した哲学書

2012/09/24 23:55

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:pappy - この投稿者のレビュー一覧を見る

ユダヤ人強制収容所での生活体験から過酷な環境に生きる入所者の心理を心理学者の立場で綴ったもの。限りなく死と隣り合わせに生活する中でも徐々に「慣れる」ことができたことから、「人間はなにごとにも慣れる存在だ」とするドストエフスキーの言葉を裏付けた。
文字通り必死に生きようとする中で、人間の感動は消滅するが、一方ではささやかな出来事にも感動するようになる。もはやなにも残されていなくとも愛する妻に思いをはせることは、心の支えとしての伴侶がいかに貴重かを思い知らされる。人間はひとりひとり、どのような状況にあっても、自分がどのような精神的存在になるかについて、何らかの決断を下せるのだ、とは、つい境遇に甘えて不平を口にしてしまう我が身に重く反省を強いる。
強制収容所で亡くなった女性の「運命に感謝しています。だって、わたしをこんなにひどい目にあわせてくれたんですもの」という言葉には、つまらないことをくよくよと悩んでいる我が身を思わず羞恥心で満たした。
生きる意味を考えるのではなく、生きることが私たちからなにを期待しているかが問題なのだ、との命題には今後も考えていく必要があるだろう。苦しむとはなにかをなしとげること。つまり苦しむことでさえ課題だったのだ。
極限状況で詳細に自分と他人との心理を観察して分析した記述には真実があふれており、机上の論理を積み重ねただけの多くの哲学書が色あせて感じられた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

収容所体験を超えて勇気を与えてくれます

2003/03/08 23:15

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:矢野まひる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 旧版は確か中学生の頃読んだ憶えがある。当時は子供だった&アホだったので(今もだが)、よくわからなかった。同じ頃読んだ「アンネの日記」のほうが、書き手との年頃が近いこともあって、こんなに隠れなくちゃいけなくても、それでもやっぱりいろんなこと思ったり感じたりするよねえ、とごくシンプルな共感の仕方をしてたような気がする。

 で、「夜と霧」。強制収容所に収容された精神科医の先生の手記です。半世紀もの間、美しい本として読み次がれてきた古典なのですが、その意味があらためてわかりました。収容所での人を人とも思わないすさまじい体験が描かれるのですが、言いたいのはそういうことじゃない。

 この先生、「こんな状態でも、それでも人間は人間としての尊厳を失わないものなのか」とただただ驚愕しているのです。そういう本です。

 後書きも素晴らしい。旧版訳者霜山徳爾氏と新版訳者池田香代子氏がおふたりとも書いている。霜山氏の著者との思い出や、新訳に対する暖かい理解と思いやり、池田氏の著者と霜山氏に捧げられる敬意の言葉に、じんと来てしまいました。旧版もあらためて読んでみたくなりました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

良質な本に低質な解説。

2009/10/11 18:57

5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本の価値は今更言う事はないが、旧版の翻訳者のことばと新版のあとがきには同意しかねる。だから星一つを減らした。
 確かに当時の日本がサンフランシスコ講和条約以降のような形での自由は存在しないにしても、(ナチスに負けない)超国家主義の悲劇、というと事実の誤認を導いてしまう。もっとも、当時を生きた人の回想だから、あれこれと言う事ではないだろうが。特攻について「彼」-昭和天皇の事を旧版の翻訳者は、こう書いている-が黙認した、とあるが、それを言い出したら、満洲事変から終戦までの歴史では、「彼」をはじめ、「彼」を輔弼する元老西園寺公望公や政府・軍の高官等が現地軍の暴走を「追認」してしまった事は、どうなるのだろう?(159~164頁)。
 独りよがりな屁理屈で「満洲帝国」を生み出した石原莞爾中将のような昭和の軍の歴史で最悪の軍人が盧溝橋事件の後に参謀本部作戦部長として、不拡大路線を現地軍どころか、参謀本部の部下にさえ徹底出来ないのに。
 そんな国家が大日本帝国というものだ。
 ところで同じ版元から最近刊行された北御門二郎氏の著書には叔父が海軍中佐にしても、進んで兵役拒否をしても、おとがめなしなのは、どういう事だろうか?第三帝国だったら死刑なのに。
 あとがきの「第四次中東戦争でアラブ側が初めて勝利した」(167~168頁)という緒戦のみに当てはまる事を拡大解釈したり、「1948年の『イスラエル建国』」(168頁)とイスラエル国家に括弧書きをおつけになる訳者は、この本の改訂版が出た1977年は、確か親の世代がヒトラーに同調した事に対する反発から生まれたはずのドイツ赤軍が「反イスラエル闘争」の一環としてエールフランス機をハイジャックして、ユダヤ人の乗客を「選別」したエンテベ事件を起こした年だという事をお忘れのようだ。
 「受難の民が度を超して攻撃的になることがあるという。それを地に行くのが、二十一世紀初頭のイスラエルであるような気がしてならない。」(169頁)と訳者は語る。イスラエルが諸悪の根源だとお思いなのだろう。
 1977年当時のイスラエルの首相はディール・ヤシン事件の首謀者で後にレバノン侵攻(ガリラヤの平和作戦)を行い、ファランジスト党民兵によるパレスチナ人虐殺を止められなかったメナヘム・ベギンという両親をはじめ親しい人々を殺したドイツへの憎悪を前面に出した政治家だし。
 こんな反イスラエル的な事を語るより、ヴィーゼンタール氏の「ひまわり」を読んだ方がいい。
 それにしても、「以徳報怨」を唱えた蒋介石総統はすごいと思う。何しろ国府軍は(中共軍も)ドイツ人への報復をして、ついでに日本兵達をシベリアに連行した労農赤軍と違って、日本軍の捕虜や在留邦人への大量虐殺をしなかったから、自称「新自由主義者」達は苦し紛れに昭和12年の通州事件で「野蛮な支那人」と言っているのだから。
 岩波書店から出た「論語」の著者は蒋介石総統を批判しているところを見ると、報復してほしかったらしいが。(「論語 心の鏡」186頁参照)。
 旧版と違って「収容所群島」でソルジェニーツィン氏に同伴者として再三批判されているバートランド・ラッセル卿の偽善的な解説が無くなり、活字が大きくなっているので読み易い。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

名作

2016/02/02 11:11

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:onew - この投稿者のレビュー一覧を見る

高校の教科書で読んだ以来、6年ぶりに手に取った本。精神分析学者がナチス強制収容所にいた時の体験をつづった名作。今回読んだ池田訳は高校生向けに書かれたとのこと。読みやすい。昔、高校の教科書に載ってた「夜と霧」は霜山訳かな?

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

極限の人間

2016/01/31 22:49

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちくわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

先日読んだ『エンデュアランス漂流記』にも通じるが、極限状態でどのように目的意識を持つことが重要なのか考えさせられる。
ただ、南極で沈没した船と違うのは、相手が同じ人間だということ。また、家族や仲間が待っていてくれているかどうか分からないということ。
同じ人間に人間以下に扱われても、人間の尊厳を守ることの出来る人とすぐ諦めてしまう人。ほとんどの人が先も見えない状況で生きることを諦めてしまう。
加えて、家族や大切な仲間も同じ境遇にあるかもしれないという状況で、心理学者である著者がどのように考えていたのか。
最後に記載されている文章。
「人間とはなにものなのか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とはガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。」

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

人間の魔性の狂気

2014/06/11 18:31

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:笑顔さん - この投稿者のレビュー一覧を見る

同じ人間がこうも同じ人間に卑劣な残虐な行為をするのは間違っているし、する方もされる方も、取り返しがつかない傷がつく。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。