紙の本
すべての人に読んでほしい
2015/10/11 10:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人は善良で真面目だとされながら、職場で悩んでいる人がたくさんいます。仕事自体ならともかく、人間関係に困っている人が多いのです。
この本を読めば、それがなぜかわかります。仕事がきちんとでき、コミュニケーションもとれるのに、日本で就職が見つからない、職場でうまくいかない、という人はその理由がわかると思います。もちろん、理由がわかっただけですぐ解決できるのではないのですが、少なくとも無駄に悩まずに済むのではないでしょうか。
紙の本
日本雇用慣行を考える上で必読の書
2015/02/03 21:58
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投稿者:しいたけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
従前の著書『新しい労働社会』にて、著者は日本の雇用慣行を「メンバーシップ型』労働社会という的確な分析を行っていたが、本書でも日経連の『新時代の「日本的経営」』の3つに分かれた雇用ポートフォリオの「高度専門能力活用型」について、「長期蓄積能力活用型を縮小して雇用柔軟型を増やすというだけでは批判を浴びると考えたため、その間に実体の不明確な高度専門能力活用型というカテゴリーをこしらえてみただけだった」(149ページ)と切り捨てているような点が読んでいて痛快である。
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p95-99で教育訓練に関する指摘がありますが、新たな政策を考える際には、こういう極めて当たり前の現実を踏まえつつ細部を詰めていかないと大変なことになるんだろうなあと改めて思った次第。
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日本は「人」に対して「職業」を充てるのに対し、欧米は「職業」に対し「人」を充てる、という日本の労働の特殊性を知ることができ大変参考になった。
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日本における若年層の雇用・労働と、そこへ辿り着くまでの教育について、欧米と比較しながら戦後から現在にかけて労働法的な側面と政策を辿っていく。
まず指摘されるのは、若年者の失業問題は国際的には以前からずっと存在し、むしろ日本でバブル期以前に若年失業問題がほとんど存在しなかったことのほうが特殊であるということ。その要因として、日本特有の「ゼロからの企業内育成」を前提としたメンバーシップ型の雇用を挙げ、それが「誰もがどこかへは入社できる新卒一括採用」を生み出して若者の雇用安定をもたらした一方で、家庭を含んだ社会全体での職業教育の必要性の希薄化を生み出したと指摘されている。
ところがバブル崩壊以降、新卒採用の縮小により、「誰もが新卒(=実務スキルゼロ)でどこかへ入社できる」とは限らなくなったことにより、日本でも若年失業の問題が顕在化した。しかし当初は「自主的なフリーター」「就労意欲の低下」といった若者自身の問題と認識されていたため、日本が本格的に若年失業対策に乗り出したのは2000年以降になってからで、いまだに試行錯誤中であることが書かれている。
本書では新卒にメリットのあるメンバーシップ型を維持しながら、そこで抱えきれない部分に対しては欧米に近い「ジョブ型正社員」の導入が提唱されているが、これは中小企業の中途採用ではかなり近い状態にある気がする。なのでネックなのは中小企業経営にあるのではないか、という気がする。
また、政策の観点が詳しい一方で、民間企業による職業斡旋がどのような影響を与えてきたかについて書かれていないので、そこが少し物足りない感じ。
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日本の雇用形態を歴史・法律を紐解いたり、欧米を中心にした諸外国などと比較しつつ、「入社」の仕組みから、どう働いてきたかについてまとめる。
(1章~2章)
そのうえで、どういう教育システムが構築され、「入社」に結び付けようとしてきたか、その弊害、ひずみを追う
(3章~4章)
そして若者向けの雇用政策の変遷や、正社員の現在を追いつつ(5~6章)、どういった「働き方」が望まれるかを考える(7章)。
若者労働問題入門書、とでもいうべきか、置かれている現状を、
それがどういう道筋をたどってきたかも含めて、丁寧に解きほぐした一冊。
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http://lovesloth.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html
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全ての会社員、とくに就活中の学生や転職を考えている人には必読。組合活動に携わっている人にもおすすめ。
批判したいのは、「ジョブ」とは何かということの定義が曖昧なまま議論が進むこと。そこが曖昧だと、最終的に著者が提示する「ジョブ型正社員」にしても、それが何を目的とした提言なのかがわからない。
世の中にはいろんな種類のジョブがある。医師や弁護士のようにわかりやすいものもあれば、必ずしも目に見えないものもある。また、極論と思われるかもしれないが、世の中には知的に障害がある等の理由で、いわゆる「ジョブ」を習得できない人もたくさんいる。そこに目を向けていないことを批判するつもりはないが、ではどこに目を向けているのかを示してくれないと、いいも悪いも言いようがない。
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≪目次≫
序章 若者雇用問題がなかった日本
第1章 「就職」型社会と「入社」型社会
第2章 「社員」の仕組み
第3章 「入社」のための教育システム
第4章 「入社」システムの縮小と排除された若者
第5章 若者雇用問題の「政策」化
第6章 正社員は幸せか?
第7章 若者雇用問題への「処方箋」
≪内容≫
学校図書館。
就職問題を歴史的に政治的にきちんとまとめた書。やや冗長なところもあるが、内容からいってそれを入れないと分かりにくくなるため、しょうがないか。
欧米の「ジョブ型」社会と日本の(特異な)「メンバーシップ型」社会。1960年代の高度成長が生み出した歪んだ就職を生み出した(「就職」ではなく「就社」)。2000年代に入って、貿易だけでなくこうした就職もグローバル化し歪みが一気に表面化したが、政治はそれに追いついていないし、是正する気もないように見える(それは今の「正社員」のみを優遇するため=それを良しとする一流企業を保護するため)。
第7章で著者は対策を挙げているが、高校教員としてはあとがきにある、「教育現場で『労働法制』をきちんと教えること」をどのように実施できるかが気になった。現在のような「大学入試」のための教育では、なかなかそこまで教えきれない(「現代社会」という授業が唯一の砦か?)ので、自分の持っている「日本史」の現代史の、高度成長期あたりで触れることになるだろう。そうした地道な努力では、なかなか深化しないかもしれないが…
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「メンバーシップ型」の雇用と「ジョブ型」の雇用。後者にシフトしていくのは確かに大事だけど、大学生の教育にまで仕事を見据えさせるのは反対。
本著では批判されているけど、大学はアカデミックであって欲しい。直接仕事に活きないかもしれないが、大学生しか出来ない事をしてから社会に出たい。
仕事に関する訓練を充実させたいのなら、職業訓練校で良いじゃない、と思う。
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ブラック企業や非正規雇用など若者の労働問題について、基本的なところから解き明かしていく1冊です。
教育の仕組みや諸外国との比較もとても興味深いのですが、この本のいいところは、解決策についてしっかりと述べられているところです。
以前から、雇用問題が世代間の対立として感情的に語られることに違和感を覚えていたので、この本を読んで本当によかったです。
労働問題に興味のある方すべてにおすすめの本です。
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2020年5月再読
最初に読んだのは、2014年頃だったと思う。
日本の労働問題について、これほど切れ味鋭く論じた本は、初めて読んだ。発行は2013年なので、発行から7年が経過しているが、分析は全く色褪せない。
日本の労働慣行と、欧米、特にアメリカの労働慣行の違いをきちんと整理したくて再読した。濱口先生のテーマは、言ってみれば、働く人達の幸せであるのに対して、私の興味は、労働慣行の違いが企業の、ひいては一国の産業競争力にどのような影響を与えているかということ。でも、最後は一緒かもと思い始めた。
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日本の雇用問題を歴史的な経緯の縦軸と諸国との比較の横軸で平易に解説した良書。現代の雇用問題を語るにはぜひ読んでおきたい。
かつての日本は学習と労働が切り離されていたが、「入社」のシステムが日本のパフォーマンスを支えていた。その「教育と労働の密接な無関係」が、部分的にせよ機能不全に陥入れば、それに代わって若者の雇用への移行を支える仕組みは、「教育と労働の密接な関係」以外にはあり得ない、と説く。
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こ難しい本って、なかなか一気読みできない質なのですが、興味ある内容かつ、分かりやすい文章だったので、一気に読みました。新卒一括採用が、気色悪いとおもいながらも、シューカツに身を委ねた自分ですが、メンバーシップ型とジョブ型雇用の論調を読んで、はっきりと今の時代に合わないと再認識しました。変わらないと日本は、壊れてしまうなと。。。
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欧米等のジョブ型雇用と日本のメンバーシップ型雇用について、詳細にわかりやすく論じられている。大学生にも現職の社会人にはぜひ一読して頂きたい内容である。