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良心の危機「エホバの証人」組織中枢での葛藤 せせらぎ出版刊
著者 レイモンド・フランズ , 樋口久
宗教組織の権威は、他の人のために奉仕するものであるはずなのに、人の上に立って支配することに熱心になってしまう。一方、支配される側は、自分の良心に照らして納得できない時、抵...
良心の危機「エホバの証人」組織中枢での葛藤 せせらぎ出版刊
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良心の危機 「エホバの証人」組織中枢での葛藤
商品説明
宗教組織の権威は、他の人のために奉仕するものであるはずなのに、人の上に立って支配することに熱心になってしまう。一方、支配される側は、自分の良心に照らして納得できない時、抵抗を試みる。これを極めて率直に、具体的に語っているのが本書である。「エホバの証人」として知られている宗教団体内部での記録であるが、問題の本質は、世界のいかなる宗教団体においても当てはまるだろう。
著者は二代続いた信者の家に生まれたエホバの証人三世である。世界各国を巡りながら、この宗教組織のあらゆるレベルで60年間活動を続けた。最後の9年間は中枢機構「統治体」のメンバーとして活動した。権力中枢の内部で経験したこの9年の月日が、「良心の危機」をもたらしたのである。これは、他に類を見ない記録である。
この宗教団体内部でいかに物事が決定され、それがいかに全エホバの証人の生活に影響するかが、生々しく、ありのままに語られる。
著者の態度は冷静であり、観察の目は鋭いと同時に暖かさに満ちている。読者は、胸が痛むと同時に、自分自身の良心が語りかけられていると実感するだろう。
本書がはじめに書かれたのは1983年であるが、この第3版では新しい資料なども追加されており、今も同じパターンが繰り返されていることが明らかになる。初版発行以来、問題の本質はまったく変わっていないのである。~まえがきより~
目次
- 第1章 良心の代償
- 第2章 私が本書を書く理由
- 第3章 統治体
- 第4章 内部動乱、そして改革
- 第5章 しきたりと律法主義
- 第6章 二重基準と御都合主義
- 第7章 予言と独断
- 第8章 正当化と脅迫
- 第9章 一九七五年「神が行動されるのに適切な時」
- 第10章 一九一四年と「この世代」
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電子書籍
暴露本ではなく経験談
2018/07/02 20:57
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫草 - この投稿者のレビュー一覧を見る
家から家の伝道活動、輸血を拒否し、世の中を避けるための戒律をいろいろと守ることで知られるエホバの証人。
ただあの教義がどう決まるかは一般的にはほとんど知られていません。
印刷物も記事も、何がよくて何がだめという細かい決定も、誰がどういう理由で排斥になるかも、全てが決まるのがこの最高機関。
どういう人たちがいるのか、ベテルの図書室はどんな様子でどんな記事が書かれているのか、どうやってその会議が行われるのか、過去どうやって排斥に至った人々がいるのか、あの数々の教義はどうやって決まっていったのか、すべてが「統治体」の元メンバーにして、四代目会長の甥でもあるレイモンド・フランズによって細かく綴られてあります。
ただ、この本はいわゆる暴露本ではありません。
「深く傷ついている人、たとえ自分が不遇でも、良心を持ち、他人を気遣っている人の助けになればと思って書いた」と文中にありますが、まさしくそれで、排斥された後、感心できない行動に出る人については彼も胸を痛めています。
私自身エホバの証人の母をもち、子どもの頃もっと普通に遊びたかった等思うことはあります。
でも、エホバの証人になって世の中を批判するのが嫌でやめた人が、世の人になってエホバの証人を批判するのでは、本人は何も変わっていないと思います。
主には統治体や一般の人々の不安や間違った期待から、数々の誤りが生まれていく姿がリアルに書かれている本という感じで、正しい理解の助けになればよいのではないかと。
何より他人を思いやり、冷静に客観的に事実を述べていく著者レイモンドの人格の品性と美しさを的確に言い表しているのが、カバー袖の「ダゲン」誌のコメントです。
「この手の本によくある欠点は、自分が離れざるを得なくなった団体の持つ誤りを暴露してやろうと思うあまり、恨み辛みの気持ちが出ることである。ところがこの「良心の危機」にはそれがほとんど見られない。それどころか、穏やかで客観的にな書き方には尊敬と驚嘆を感じる」
紙の本
自分の意思で考える事
2022/09/30 21:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
おじさんがラザフォードの「ばかげた」予言で離れたとはいえ、統治体の成員にまでなっていた人による、ものみの塔聖書冊子協会を淡々とした筆致で書いた本。ラザフォード在世中から色々と疑問に感じる事はあったらしいが、世界本部に加わり、統治体の成員になってから疑問に感じてきた事々に焦点が合い、「良心の危機」となったようだ。
ものみの塔の出版物を読めば分かるように、自分達の主張を裏付ける為に色々な「世」の出版物を使っているが、「洞察」と違って日本語訳がない「聖書理解の助け」を書く際に、ユダヤ教やキリスト教といった「大いなるバビロン」の出版物を使い、感銘を受けた事を書いている。
もっとも、「1975年ハルマゲドン説」を唱えた時には統治体の成員なのだから、内心、おかしいと思いながらも「ふれ告げる」役割を果たした事は弁明調になっているのは減点になるが。
Watchtower Libraryには昭和45年以降の書籍などを収録しているので「ヤコブの手紙の注解」が収録されてきたのに、今は古いバージョンではアップデートすると削除されてしまう。読んでみてもごく普通の注解書(元々壁紙職人だった人が書いているから、専門家が見ると素人臭いのかもしれないけれど)だが、終末論満載で、ある程度経つと使えなくなる本を量産してきた組織では「異端」の書なのかもしれない。青から赤、茶色から黄色、黒から現行の白と半世紀あまりの間で入門書が何回も変わっているのだから、今の教義でも「新しい光」によって書き換えられる可能性が高い。
ものみの塔の原点は19世紀前半のミラーの「終末予言」なので、セブンスデー・アドヴェンティストと同根になるが、福音派にもつながる点がある。最高裁判例で「保護説得」という名の「拉致監禁」改宗ビジネスが大っぴらに出来なくなるまで、福音派が「ものみの塔異端説」の出版物を出していたが、近親憎悪もあるのだろう。結局、ユダヤ教やキリスト教の歴史は外れた「世界終末の予言の山」とも言い得るので、この組織もいつかは終末論を捨てて、その辺の教会みたいな教義にしないと存立し得ないのではないか。
この本は版を重ねる度に新しい情報を加えているので、初刷と最終版では相当、内容が変わっているはずだ。最終話を元にした改訳が出ないだろうか。