幕末
著者 司馬遼太郎
「歴史はときに、血を欲した。このましくないが、暗殺者も、その兇手に斃れた死骸も、ともにわれわれの歴史的遺産である。そういう眼で、幕末におこった暗殺事件を見なおしてみた」(...
幕末
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商品説明
「歴史はときに、血を欲した。このましくないが、暗殺者も、その兇手に斃れた死骸も、ともにわれわれの歴史的遺産である。そういう眼で、幕末におこった暗殺事件を見なおしてみた」(「あとがき」より)。春の雪を血で染めた大老・井伊直弼襲撃から始まった幕末狂瀾の時代を、清河八郎、吉田東洋など十二の暗殺事件で描く連作小説。
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暗殺が嫌いな作者が書いた暗殺連作集
2017/08/30 06:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の「あとがき」の冒頭、司馬遼太郎は「暗殺だけは、きらいだ」と記しつつ、この作品は幕末期に起こった12の暗殺事件を描いた連作短編集である。
司馬が「きらい」と言っても、実際にはそのエネルギーが新しい時代をもたらしたといえる。
特に連作集の巻頭におかれた「桜田門外の変」に描かれる、有名な井伊直弼暗殺事件の中で司馬はこんな風に綴っている。
「暗殺という政治行為は、史上前進的な結局を生んだことは絶無といっていいが、この変だけは、例外といえる。明治維新を肯定するとすれば、それはこの桜田門外からはじまる」と。
しかし、皮肉なものだ。
井伊直弼は尊王攘夷の思想のもと桜田門外で暗殺されたが、徳川幕府を終焉せしめた新政府は攘夷というもので外国と戦うことは無理だといつしか大きな転換を行っていく。
そうして新しい波に棄て去られる志士の姿を描いたのが。巻末の「最後の攘夷志士」というのも、連作集のうまい構成である。
その他の作品を記しておくと坂本竜馬の仇討ちを描いた「花屋町の襲撃」、坂本がうまれた土佐の吉田東洋の暗殺は「土佐の夜雨」という作品で、長州藩の井上聞多が襲撃を受けながらも一命をとりとめた「死んでも死なぬ」など。
そして、幕末期に「人斬り」として名を馳せた岡田以蔵と河上彦斎はこの連作集では描かれていないが、唯一薩摩藩の田中新兵衛だけはその壮絶な死として「猿ケ辻の決闘」で描かれている。
こんな短編を読むと、司馬遼太郎の巧さがきらりと光ってみえる。
修学旅行、社員旅行にも、使える
2022/10/15 00:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奇兵隊員 - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎の短編集「幕末」の「花屋町の襲撃」「猿が辻の血闘」「逃げの小五郎」などに登場した場所や建物が今も残っている。
本屋でいくつかの京都の観光雑誌を読んだが、幕末関係の名所については少ししか記載されていなかった。
「幕末」を読めば、事件となった場所や建物が残っているので京都観光が楽しくなる。
京都観光のテーマが「幕末の京都」なら、これを参考にしてモデルコースを作ることができる。
暗殺の嫌いな作者の
2021/06/08 16:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
暗殺ものの短編集です。さすが、司馬遼太郎、というべき筆運びで、すんなり読めました……が、司馬遼太郎は、あとがきにも、暗殺だけは嫌いだ、と書いている通りに……何か……あまり暗殺の成功に対しては、称賛は無いような……しかも皮肉すら感じられます。
十二のエピソード
2024/06/23 08:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:蒙古卵麺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末の暗殺事件を十二のエピソードで綴る連作短編集。どの作品も血生臭く、著者の他の幕末作品と比較してもその濃厚さは格別のように思えます。なかでも、強烈だった一編は「死んでも死なぬ」だったでしょうか。読むのに覚悟のいる一冊です。