0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
同時期に、癌で余命数ヶ月と宣告された、榊信一と刑事の蒼井。榊は自分の殺人願望を解放し、連続殺人事件を起こしていく。蒼井は命を懸けてその犯人を追う。
体力が弱っていく蒼井が、執念で捜査を続け、榊に迫っていく。その鬼気せまる様子に圧倒された。また、榊の殺人願望もリアルに描かれ、ゾッとした。
蒼井とコンビを組んだ「使えない奴」だった矢部が、蒼井の事件に対する姿勢を見て、どんどん成長していく。それが救いだった。
動機が受け入れられず
2015/12/26 14:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おたま - この投稿者のレビュー一覧を見る
薬丸さんは大好きな作家ですし、かなりの大作を一気に読ませる筆力とページターナーぶりには相変わらず感服ですが、本作は私にとっては期待以上のモノとはいえませんでした。期待値が高すぎることもありますが。主人公の一である榊の殺人の理由が到底受け入れることができないものだったというのが最大の理由。もう一つは純粋キャラの澄乃があまりにも鈍感すぎてちょっとイライラしてしまったこと。次作に期待します。
投稿元:
レビューを見る
帯に、「死を恐れない罪人を人は裁けるのか?」後世に残すべき傑作、的なコピーがあり、めくったら読みやすそうで読んでみた。
私の中の薬丸作品は、テーマが重たくその割にかなり読みやすいというものだが、今回もその通り。
物語は2人の男性を中心に進む。癌で残り僅かな命と知った男性が、自分の中の殺人衝動を解放すると決め、次々に殺人を犯してゆく。
独身で係累の少ない彼を引き止めていたものは、学生時代から関わるボランティア活動で知り合った子供たちと昔の彼女。一方でそれを追う警察官もまた癌で、こちらは亡くなった妻への想いから、執念で犯人を追う。
犯人側には未練と複雑な想いを持って寄り添おうとする昔の彼女が、警察官側には反発する娘が配置される。
ここまでお膳立てが揃ったらどれだけ複雑な展開が、と思うが、ここまでなのである。娘はダンサーを目指している、とかクラブに通っている、などの追加情報はあり、いくらかは進行にかかわるけれど、深入りはしない。
彼女も、彼の病を知って最後には彼を追い詰めるかと思われるも、ここでも踏み込むことはない。というかこちらはできないのだが。
なんなのかな、この消化の悪さ。
で、考えたのだがこれは、配置される登場人物がそれぞれ点で途切れてしまっているからではと。
サブキャラはそれぞれちゃんと割り振られてるのに、感情や行動でメインキャラクターに影響をほとんど及ぼさない。メイン2人もほとんどぶれないし向き合わない。メインの道のりが、非常に一辺倒に見えるのだ。
薬丸作品の良さは最初に述べたとおりの、テーマの重たさに比較して軽やかな読み口なんだけど、軽やかさが深掘りの足りなさになってしまうこともあるのかも。
今回の作品はやや、後者にもみえた。
むー。
投稿元:
レビューを見る
【死へのカウントダウンは彼らの運命を――】余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。
投稿元:
レビューを見る
胃がんにより余命わずかと知った榊信一は、残りの人生を自身の殺人衝動に正直に生きることを決意し女性たちを絞殺していく。
その事件の捜査を担当することになる蒼井だが、彼も胃がんの再発が発見され、余命わずかの二人が事件を通して交差する。
単に連続殺人を捜査するというだけの話ではなく、余命わずかの中、娘と息子を持つ蒼井はどう生きるか、殺人を犯しながらも自分を大切に思ってくれる女性のいる榊はどう生きるか、
というそれぞれの生き方と選択という点に迫ってる点が単なるサスペンス小説とこの小説が違っている点だと思います。
自分自身はまだ親も元気で死に対する実感はなかなかわかないのですが、この小説に出てくる蒼井親子の話は読んでいて非常に切なくなりました。
個人的な読みどころは蒼井と榊の最後の対決の場面でしょうか。余命わずかなため罰を恐れず罪の意識を見せない榊を蒼井はどう罰するのか。
薬丸さんは現代の社会における犯罪の罪と罰というものを真摯に描き切っている作家さんだと思います。今回の作品も描きたかったのは、死を間近にした人の生き方だけでなく、
罰を恐れない者を罰することはできるのか、という問いだったと個人的には思うのです。
最後の二人の対話の場面の蒼井の言葉、榊の叫びはこれまでの話の流れからするととても自然というか、そうすることでしか罰は与えられないよな、と納得のいくものだったのですが、
それだけにその場面のページ数が少なかったのがちょっと物足りなく思いました。
ただサスペンスとしてはオーソドックスな話でも、こうして「罪と罰」という薬丸さんが他の作品でも問い続けているテーマをしっかりと結び付けられていて、
薬丸ファンである自分としては「やっぱり薬丸さんの作品なんだな」と感銘を受けました。
これからも薬丸さんが問い続けるテーマを読者である自分自身も一緒に考えていけたらな、と改めて思いました。
投稿元:
レビューを見る
殺人衝動に苛まれ、連続殺人鬼と化した榊信一とそれに対峙する刑事・蒼井。奇しくも、二人ともに余命幾ばくかの病に襲われる。
幾つかの有り得ない設定があるものの、最後の最後まで目が離せないサスペンス小説。全編に重くのしかかるように描かれるテーマは生命の限りと死であろう。自分の生命の終わりを知った時、望まぬ突然の死を迎える時、人は何を思うのか…
薬丸岳の作品は救われない系と救われる系の二つに大別されると思うが、この作品は救われない系である。
投稿元:
レビューを見る
201411/偶然と勘が多々続くし、榊のトラウマ原因も意外性はないので、謎解き派には物足りないと思うけど、テーマであろう「罪と罰」「人が人を救う/裁くということ」は、さすがの薬丸岳。頼りなさげだった矢部の成長ぶり等エンタメ性が高まった描写も、作品の幅が拡がったカンジ。傑作が多くて、読む前から期待値ハードルあがってしまう作家の一人だし、薬丸ファンの中でも評価別れそうだけど、本作もページターナーであることは間違いない。
投稿元:
レビューを見る
14.11.28読了。一気に読まされた500頁の長さを感じさせない作品。暗く重いが期待どおりだった。
投稿元:
レビューを見る
おぞましい殺人衝動を題材に扱い、主人公ともいうべき3人がそれぞれに死を免れなくなるにもかかわらず、「イヤミス」とならずに済んでいるのは、作者のページターナーとしての力量か。
解説で書かれているように、犯罪小説、警察小説、恋愛小説、推理小説と4つの味を贅沢に楽しめる作品。
投稿元:
レビューを見る
犯人、その恋人、それを追う刑事
三人の視点から話は進んでいく
しかもその三人、皆死へ向かってる
何ともすさまじい設定
何となく、その心情にはよくわからない所もあるけれど、それでどうなるの?って一気に読んじゃいました
人間命の限りがわかると、どうするんでしょうか?
どうせ死んじゃうんだからやっちまえ的な考えはう~~~~~~~~~~~ん
投稿元:
レビューを見る
奇しくも共に末期ガンで、余命いくばくもないという状態の連続殺人鬼と、それを追う刑事の話。
ドラマチックな設定がてんこ盛りだけれど、出来過ぎ&ありえなさ過ぎな展開に却って白けてしまった。薬丸岳の本はテーマが重くても真実味があり、考えさせられるものであるのが魅力だと思っていたので、ここ最近は肩透かしをくらうことが多いように感じる。
投稿元:
レビューを見る
面白かったっすわー!重いテーマが重なってるにもかかわらずなぜか爽快に進んでく、って感じで。著者も埼玉のウチの近くの地名も出てくるのがさらにいい!タイトルや始めのうちのヘヴィな感じに逆らうことなく読めれば!
投稿元:
レビューを見る
またも夜更かしをして、残り3分の1を一気に読了。
薬丸岳『死命』(文春文庫)
一言でいってヤバイ。ヤバイという言葉がピッタリでこれ以外の表現が見付からない。
以前、島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』(新潮社、2007年)を読んだときに読みながら嫌なにおいを感じたが、においの元は違っても、『死命』でもいつも不快なにおいを感じてしまった。
どろどろした人間模様、歪んだ性、生と死、職業意識、家族…。
もうこれ以上のシチュエーションはないと思われる設定。よくも思いつくもんだなあ。
これを読んだら、そんじょそこらのミステリーは読めない。少なくてもトリックものより面白い。やっぱりミステリーではなく社会派推理小説という表現が似合う。
この手の小説を読んでばかりいると性格が歪んでしまいそうなので、次は軽いのを読もう…と思ったら、もう一冊あった、薬丸岳『逃走』。
投稿元:
レビューを見る
一気読み。面白かった。末期癌の刑事と殺人鬼。
自分の最期が近いことを知ったら、自分は残りの人生をどう生きるだろうか。
投稿元:
レビューを見る
評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
死へのカウントダウンは彼らの運命を――
余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。
若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。
死を恐れぬ罪人に報いを与えられるのか! もっとも注目される乱歩賞作家がおくる渾身の傑作ミステリー