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にんげんのおへそ
著者 高峰秀子
風のように爽やかな幸田文、魅力の英雄・周恩来、ぼけた妻に悩まされる谷川徹三、超変人の木下恵介、黒澤明……そして無名の素晴らしい人たち。何気ない日常にキラリと光る、人間模様...
にんげんのおへそ
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にんげんのおへそ (文春文庫)
商品説明
風のように爽やかな幸田文、魅力の英雄・周恩来、ぼけた妻に悩まされる谷川徹三、超変人の木下恵介、黒澤明……そして無名の素晴らしい人たち。何気ない日常にキラリと光る、人間模様の数々を柔かなユーモアで生き生きと描いた、心温まるエッセイ集。
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紙の本
清涼水
2016/04/16 16:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に読んだエッセイ
するするとあっという間に読了
心にしみる清涼水
紙の本
店じまいにはサム・マネーが必要らしい
2004/09/05 12:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
インターネットをチェックしていたら、東京国立近代美術館フィルムセンターで、「高峰秀子展」が開かれるとの記事があった。あの「二十四の瞳」(昭和29=1954年、初公開)を映画館でリアルタイムに見た世代には、忘れられない女優だ。かつて、東大の入試問題で、彼女のエッセイが取り上げられたはずだ。
「おへそ」と題するエッセイでは、撮影所に集う人々を取り上げている。木下恵介や黒澤明のエピソードはもちろん楽しい。優れた監督には、抜きん出た才能と鋭い感性、勇気、自信、決断力と責任感。それより、なにより、大勢のスタッフを魅了、眩惑する「豊かな人間性」がなくてはならないと。
しかし、彼女の筆は撮影所のスタッフを描写するとき一段と冴える。「用心棒」で照明技師が、黒澤監督のライティングにヘソをまげて、家に帰ってしまったエピソードとか。その後のライバルのなりゆき、いつくしむような筆致である。「おへそ」とは人間の「矜持」と、とらえた方がよいようである。
彼女は、大正13=1924年の生まれとあるから、もう80歳ちかいはず。老いのテーマも必然的に増えてくる。人間の成功には「チャンスと努力とサム・マネー」とはチャップリンのことば。人生、店じまいの支度をするにもやはり「サム・マネー」が必要らしい。
家中に骨董とかがいろいろひしめいていたが、身辺整理にメドをつけ、老後の生き方について話し合う。「生活を簡略にして、年相応に謙虚に生きよう」。それが二人の結論だったそうだ。このときは、60歳かな。
そして、半分やけくそで前の家をブッ壊して、「終の住処」を、あり金をはたいて建てる。サム・マネーがあったからこそ。そのマネーは、結婚以来三十余年、夫婦がわき目もふらずシコシコと働き続けて得たお宝だ。そのお宝のすべては「死ぬための生き方」のために費やされた。「なんのこっちゃい」と言いたくなるが、それが人生というものだろうと。