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投稿者:RN205 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アルカイーダ以降の歴史的変遷を簡潔かつ要点を捉えた形で総括されている点が非常に秀逸。
テレビを中心としたマスメディアでは、その極端に狂信的な姿勢が強調され過ぎているイスラーム国について、解釈に極端な面は見られるものの、根本にある思想自体はイスラームの標準的教えを逸脱するものではないとの著者の指摘は衝撃。
イスラームに関心を持つ読者にとって必読の一冊。
自分の知らないことに出会う。
2015/08/31 17:36
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投稿者:くろねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニュースでイスラーム国のことが流れているけれど、ぼんやりとしていて実態がつかめずにいました。一度で全部は理解できませんので、何度か読んでみます。
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今世紀急速に拡大してきたグローバル・ジハード運動。それが生み出したISILの組織や活動について,思想的/地勢学的という二面の背景を軸に歴史を繙いて明らかにしていく。専門の先生の著作だけあって非常にしっかりした内容でとても勉強になった。
それにしても,西洋諸国にとって喜ばしい変化のはずだったアラブの春が,地域に混乱と無秩序をもたらし,ISILやそれに共鳴する過激派組織に拡大し,根を張る場所を提供してしまったことは痛恨の事態。彼らはイスラムの教えを利用して国際的な犯罪行為を繰り返しているが,これをコーランの記述に真っ向から反する行為ということもできないのが難しいところ。イスラム教が宗教改革という洗礼を未だ受けていない宗教であることが一因で,この問題をどう扱っていけばいいのか本当に悩ましい。力による解決しかないというのはいかにも残念なのだが。
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邦人人質事件で騒がれたころに一度ちゃんとまとまった本を読まないとと思っていて、やっと借りて読んでみた本。
なぜ今こんなことになっているのか、とてもわかりやすく書かれていました。
ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4862537.html
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日本人人質事件のニュースに推されて読了。イスラーム国とはどのように台頭したのか、グローバルジハードとは…ある程度の中東情勢への知識は必要だが、イスラーム国の理解を深める事ができた良書。今回の事件も「日本よ、対岸の火事では無いのだよ」という挑発に見える。
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著者の池内恵氏はイスラームの政治思想史、そして国際政治を専門とする研究者であり、本書も政治思想史的なアプローチと国際比較政治学的アプローチの両面から「イスラーム国」(ISIS)誕生の衝撃について、一般向けに解説したものとなっている。
なぜ、かの組織が「イスラーム国」を名乗っているのか、従前の国際的なテロ組織とどう違うのか、グローバル・ジハードはどのような教義や組織によっておこなわれているのか、などについて非常に丁寧にわかりやすく書かれていると感じた。また中東情勢の歴史についても第8章に非常に簡潔にまとめられており、バラバラに認識していた点が線になって繋がっていくように感じた(こちらの不勉強でそれがさらに面となり、立体化されるまでには時間がかかりそうだが……)。
本書を読んでいる最中に後藤健二さん殺害の報が入った。大変、残念なことであるが、彼らがなぜあのような残酷な処刑動画を流すのかについても第7章「思想とシンボルーメディア戦略」において詳述されている。
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著者の池内さんは、長年、中東地域の政治や、
イスラームの政治思想を研究をされていて、、
なんて風に書くと、一見とっつきにくい感じですが、
非常にわかりやすく、丁寧にまとめられています。
当初、池袋のジュンク堂で探していたのですが、
新書にしては珍しく売り切れていて、地元で発見しました。
そういった意味では、ちょうど時節に合致しているのかなと。
その内容は、第1次大戦後の秩序形成からイラン革命、
湾岸戦争、9.11テロ、そして「アラブの春」。
この辺りをざっと俯瞰しながら、
イスラーム社会の質の変容をまとめられています。
キーワードは“グローバル・ジハード”、
明確な指導者を持たない拡がり、とはなるほどと。
興味深かったのは、こちらと前後して読んでいた、
『新・戦争論』や『賢者の戦略』とシンクロしている点。
アンダーソンの言う“遠隔地ナショナリズム”とも関連する、
“新しい国家”のカタチなのか、どうか。
ん、個人的には“イスラーム法学”が、
次のキーワードとして、気になっています。
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複雑でわかりにくイスラム過激派の思想や行動について、基本的部分から分かりやすく説いてくれている好著。
2日ほどまえに二人の日本人がイスラム国により身代金を要求されるという事件が発生し、1月20日発売のこの本の価値がより高まった。
モールス陥落の意味、カリフ制宣言の意味、タリバン政権とアル=カーイダ勢力についてとそれらとイスラム国の関係性、数年まえに各地で発生した「アラブの春」の意味、スンナ派とシーア派、(グリーバル)ジハードの意味、アッラーとムハンマドに関しての宗教的な内容とその教え、イラク、シリア、トルコ、ヨルダンなどなどの絡まり、イスラム国が行う西洋人への蛮行(我々にはそのように映る)の背景など内容は盛りだくさん。
付記:イスラム国のカリフ制宣言をしたアブ・バクル・アル・バクダディについても詳しく解説がなされている。イスラム国理解にはこの部分が根源となる。
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この薄い新書の中に、現在中東で、世界で起こりつつあるイスラーム社会の台頭の構造が、素人にもわかりやすく解説されていて、大変良い本とおもいます。この後、さらに詳述した二冊の専門書を発刊予定とのことですので、さらに進んで学ぶこともできます。大変勉強になりました。
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「イスラーム国」が世界を驚かせたのは,2014年6月にイラクで広範な地域を制圧した時である.(冒頭の一文)
自分用の要点
ISISの原点は,アルカイダの一派.アフガン戦争後,地下に潜ったアルカイダは,テロ組織のフランチャイズ化を図る.
アラブの春以降の混乱に乗じて,政治空白地帯を占領.スンニ派の支持も得る(政権がシーア派,クルド人も自治権が与えられていた).
2011年の米軍全面撤退後,マーリキー政権の失策.スンニ派を迫害.フセイン残党も合流.
シリア内戦を機に,イラクとシリアの両国に拠点を持つことで幅が広がった.国境を越えて追えないため.
アラブ諸国は自国内の反体制の過激派を真面目に制圧しなかった.イラクに流れさせておけば,自国は安全.
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イスラム国とアルカイーダ、ターリバーンといったイスラム過激派の関連と変遷からなぜイスラム国が今のように力を付けて来たかを解説する私たち日本人の疑問に答える好著。結局のところ米国によるイラクの強制的民主化や様々なところで明るい兆しと捕らえられているアラブの春によって成立した民主的政府の統治能力のなさやスンナ派(スンニ派と思っていましたが本書の表記に従う)とシーア派の昔ながら対立などが問題のようです。個人的見解では、中世以降のイスラム世界の没落を被害者意識(まぁ、英仏の所業も十分悪辣ですが)でしか感じ取れていないので、最新のテクノロジーを利用しつつも昔のやり方で復讐しているように思える。
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今テレビで話題のイスラム国。ある日不思議な言葉をニュースできいたな、と思っていたら一気に大きなことになっていった。何かはよく知らなかったので、読んでみた。9・11のテロからこれまでのイスラム圏のニュースが俯瞰できてよかった。
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後藤さんが処刑されたというニュースを聞いた朝に読み終わった。昨年末に書かれたようだが、イスラーム国というものの出現の経緯とその行動原理をわかりやすく説明されている。久しぶりに他人に勧めたくなる新書でした。
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中東情勢ももう日本と無関係ではなくなってしまったな~って気がして、イスラム圏のことを知ってみようと思って読んでみた。けど複雑すぎてさっぱりわかりません。ただ、いろんな国やいろんな政権が、いろんな思惑であぁいう過激派組織を野放しにしてきた側面も否めないんだなってことが分かってきた。それぞれの思惑が入り乱れて最終的に(まだ終わってないけど)「イスラム国」の台頭を許してしまった感じがする。そういう意味でも、やっぱり遠く離れた日本にいるからといって無関係ではいられないんだな、という怖さを感じました。
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ISILにもそれなりの理屈があり、やっている行為は
到底私たちには容認出来ないものであるにしろ、
ある一定のイスラム教徒の人や、他宗教の新しい
政治原理やパワーバランスを求める人を惹きつけている
という事実は、今も変わっていない。
その、それなりの理屈とはどんなものなのか。
めまぐるしく変化するニュースの情報は、
センセーショナルな事象だけが残って
何がどんなふうに変化しているのか
誰がどうなっているのか
諸外国がどう噛んでいるのかが整理できないまま
置いて行かれる。
この本は出版されてから時間が経っているが
出版された時点までの、こういう疑問を明確に
してくれる。
イスラム教徒の人たちの国の中で、宗教がどんなふうに
機能しているのか。訳の分からない怖い組織としか
見えないISILにも、いろんな考え方や蓄積があった
事がわかる。
それを踏まえて、この本以降の起きた事象を
新聞などから追って、自分なりに図式にして
みたりすると、ニュースの解説番組以上に
深読みできたり考えたりさせられる。
あそこから抜けたい人が殺されたり
新たな標的としてテロが強行されることが
すっぱりとなくなればいいのに。
紛争や武装の力でこれ以上いろんな事態を
こじらせるより、一旦武器を置き
リセット!と言えればいいのだろうけれど…
人間って意外と拘る生き物なのでそれが出来ない。
世界はどこに行くのだろう。ね。