「うちあけ話」妹篇。
2008/07/13 12:07
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投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずは、雑学。
「町子姉は、翌昭和21年4月から夕刊フクニチに連載を始めた。愛読していた志賀直哉氏の『赤西蠣太(あかにしかきた)』に登場する御殿女中が、〈小江(さざえ)〉という名前であったことと、私達の住まいが海岸の側にあったことから、姉は主人公の名前を『サザエさん』と決め、家族の名前も、すべて海にちなんだものから選んだ。毎日、海岸に散歩に出ては砂浜に座って、思いつく限りの名をいくつも砂の上に書いたり消したりしていた。後に朝日新聞の全国版で読まれるようになるとは夢にも思わず、ごく気楽に執筆を始めたのだった。」(p62)
え~と、雑念。
本棚を整理するのは、数年に一回あるかないか。そんな私です。
本棚の整理する時は、決して読まないだろう本を、取り出して、段ボール箱へと収めます。そんな整理の隙間をぬって、毎回私の本棚に残る一冊に、姉妹社の長谷川町子著「サザエさん うちあけ話」があるのでした。ちょいと、身近において置きたくなる本。何というか、私にとって本棚の整理のたびに思い出すような本なのであります。表紙カバー(そんなのあったけ)はとれ、だいぶ黄ばみも出てきております。まあ、そんなふうな本とのつきあいをしていると。面白いことに、ここに出てくる登場人物はいまどうしているのだろう。などと思うことがあります。たとえば、こんな箇所。
「母の病がおこりました。妹の作文を、ひそかにひろい集め、菊地寛先生におめにかけてみてくれと申します。病人には逆らえないから姉が持参しました(姉はケッコンしても、仕事のつごう上、一緒に暮らしていました)。『いま、どこにいってるの?』『ハ。東京女子大でございます』『やめさせなさい、ボクが育ててあげる』妹はすぐ退学届を出して、ご近所の先生宅にかよいだしました。名もない女学生のために、西鶴『諸国はなし』の講義をして下さるのです。・・・」
こういう絵文字を眺めてボンヤリとしている。すると、この妹さんは、いまどうしているのだろうなあ。などと、思うでもなく、浮かぶ雑念としてあるのでした。大学をやめて菊地寛の講義を聞いた人っていうのは、何よりもどんな文章をかかれるのだろう。というのも興味があります。けれども、それもこれもピントが合わないボンヤリした写真のような、何とも見当がつかない雑念だった。ってわけです。
なんとも、その妹さんが書いた本が出たのでした。うん。読めたのでした。
ハハハハハ。
ここまでにします。長谷川洋子著「サザエさんの東京物語」の内容を書かず、私の雑念を書いて終り。つまりですね。私はこういう期待感を持って、この本を読みました。ありがたいことに、その期待感は裏切られずにすみました。さらに、思わぬ内容展開をこの長谷川洋子氏の本で読むことが出来たことを、ここに、ご報告しておきます。
ということで、私の本棚に「サザエさん うちあけ話」と「サザエさんの東京物語」とが、これからは、いっしょに並ぶことになります。
自分はサザエさんのアニメ世代
2022/05/12 21:10
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し上は、朝日新聞のサザエさんの漫画をご覧になっているようですけど……。自分たちは、アニメーションしか知りませんでした。その漫画原作者の姉妹と母親の、女性ばかりが織り成す人間ドラマを読むようでした
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
長谷川町子さん一家の実像が、生き生きと描かれていて、楽しく読むことができました。マー姉ちゃんの世界でした。
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これ読んでよかったのかどうなのか。
憧れだったあの人の、人間臭さというか、
あたりまえに「ああ、あの人もヒトなんだよなあ」って、
それを思い知らされた。
その結末は、よくあること。
いいか悪いかは別として。
だとすれば、これを読んだこともよくも悪くもあるんだな、
きっと。
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サザエさんの作者長谷川町子さんの妹、洋子さんが
描くサザエさん作成の裏話。
町子さんがどんな人だったのか、姉妹の母がどれほどの
行動力のある人だったかなど丁寧に書かれている。
サザエさんの裏話としても、戦中戦後の人間模様
としても面白く読めた。
とても上品で優しい文章で読みやすかった。
天才とかかわる人は自分をすり減らしてしまう
大変さが常にあるんだなって思った。
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特にサザエさんのファンというわけでもなく、ましてや長谷川町子という人も全然知らない。なのにどうしてこの本を手に取ったのかな。つい先達て、「サザエさん症候群」についてのコラムを新聞で読んで、その内容がおもしろいというか、頭に残っていたからだと思う。そんなすごい漫画を生み出した人のお話だけれど、それほど特別な人でもなかった。
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サザエさんの原作者、長谷川町子さんの妹の洋子さんの作品。彼処は一般的に三姉妹と思われているが、実は、長女まり子、次女町子の間にもう一人美恵子さんという人がいたが七歳という短期間で、夭逝されたそうな。その後すぐに、この洋子さんが産まれたのだそうだ。この家族の話は「よりぬきサザエさん」とか、朝ドラ「マー姉ちゃん」で詳しいので省くが、波乱万丈の中、助けあい、時にはいがみあい、それでも楽しくやっていた結果の様だ。
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結局のところ、終戦直後の女所帯の母親が
いかにして娘たちを一端にするための奮闘を描いた実話。
そして三姉妹の末っ子の筆者が
世間の憶測を正す事実がつづられていて
すがすがしく描かれた実話。
お母さんが認知症で入院した老人介護施設は扱いが酷く
感情の激しい母親に鎮静剤を与えていた話や、
著者が夫亡き後、迷いながら娘を育てた苦労、
そしてお母さんが亡くなったあと税務署がやって来て
資産を調べそれが意外と少なかったという事実・・・
そんな、うちあけ話、かる~くされていて
そのかる~さが、
事の重大さがひしひしと伝わって、
こういう本の役割って、読んだ人の気持ちを軽くするんだなと
痛感した本です。
朝ドラのカーネーション、あの時代とリンクする
良いお話です。
サザエさんと長谷川町子がお好きな方はかる~く
読まれたらいかがでしょう。
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長谷川町子の妹である著者の回想録。tiwtterでは暴露本的要素を強調した紹介を見かけたが(もちろんそういう部分はある)、著者の筆致は穏やかで優しい。
母親+三姉妹という均質な空間で「妹」を演じ続けた著者が、ついに姉たちと袂をわかって(そのかわり相続放棄を求められた)「自由」を手に入れ、小さな出版社(彩古社)を起こすラスト近くは感動的である。
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子どもの頃からサザエさんフリークの私にとって、長谷川家は親しいご近所さんのよう。
長谷川家の知られざる部分を垣間見ることができて、より親しみを感じた。マリコさんとヨウコさんの現在の関係が気になるところだが、例え関係が途絶えたとしても、一緒に生きてきた過去は消えることはないし、天国で家族みんなで再会すれば、笑顔で手をつなぐことだろう、と思う。
ヨウコさんの長女の方は、フランス在住でブログで近況を知ることもできる。国際結婚をされて、お子さんもいらしてお幸せのよう。
子どもの頃から私を笑顔にしてくれた長谷川家の皆さんの幸せを心から願っています。
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何年もまえに朝ドラになった長谷川町子さんの姉の「まー姉ちゃん」。
国民的アニメ「サザエさん」の作者長谷川町子さん。
そのどちらでもない、三女の洋子さんの戦前から今へと続くおはなしですよね。
この個性豊かな家族に囲まれ一番普通に生きてきた洋子さん。
町子さんたちとの独立に一番書きたかったことが書かれてると思います。
それにしても、サザエさんて強いのね。
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筆者が長谷川洋子さんと聞いて、「あ、あの人だ!」とすぐわかる人は少ないに違いない。
長谷川町子さんの妹さんといえば、「あのサザエさんの……」とすぐわかるだろう。
秋から年末にかけ、「長谷川町子物語~サザエさんが生まれた日~」など、サザエさん関係のドラマを立て続けに見たので、読んでみたくなった次第。
新たな発見がいくつかあった。
1)ドラマなどから、長谷川家は三姉妹と思っていたが、次女町子さんと洋子さんの間に、美恵子さんという三女がいたこと。(7歳で亡くなったという)
2)この三姉妹は肩寄せ合って暮らしていて、あまり「結婚」というイメージがなかったが、町子さん以外は結婚していたこと。
長女の毬子さんは結婚直後にご主人が出征して戦死。
洋子さんは結婚をして、二女に恵まれたが、ご主人が30代の若さでがんで亡くなり、未亡人生活であったこと。
3)洋子さんは60代を過ぎて、2人の姉から「独立」し、そのことで姉妹関係が疎遠になり、母や姉の莫大な遺産も放棄していたこと。
洋子さんは自分のことを「串だんごの末っ子」(別にいてもいなくてもいい存在感なのに、いつも姉2人にひっついている、といったところか?)と表現している。
4)「独立」した洋子さんは、毬子さん・町子さんの「姉妹社」ではなく、「彩古書房」という会社を立ち上げ、子育て経験を活かしすぐれた作品を世に送り出していた。
中でも、千葉敦子さんの「ニューヨークの24時間」は私も読んだことがあり、あれは編集者・長谷川洋子さんの手による本だったのかと初めて知った。
長谷川町子さんが新聞に掲載するサザエさんの1枚を決めかねると、いつも洋子さんに選んでもらっていたというのだから、読者サイドに立ったセンスのある人なのかもしれない。
長谷川姉妹の猛烈お母さん、女4人で肩を寄せ合って生きるバイタリティ、長谷川町子さんの日常生活や素顔などがのぞける随筆集です。
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表紙がカワイイ。タイトルが素直で魅力的。
そんな、担当編集者さんが聞いたら大喜びしそうなコトが衝動買いの大きな理由でした。
あとは、長谷川町子さんの名著「サザエさんうちあけ話」が大好きなこともあって。
とーっても薄い本で読み易く、イッキに読んじゃいました。
軽いけどちょっとしみじみ。良い本でした。
平成の俗世の汗臭さをシュッっと忘れさせてくれる。
歳月と家族、そして昭和の東京という風景を気負いなく、美化もせず、ぽんっとささやかに置いてくれたような一冊。
長谷川町子さんのマンガエッセイ「サザエさんうちあけ話」とご一緒に、おすすめです。
(「サザエさん」よりも100%おすすめです!)
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漫画「サザエさん」「いじわるばあさん」で有名な長谷川町子さんの妹さんが書いた、自伝的エッセイ、ということになります。
長谷川洋子さんは大正生まれなので、今もご存命なら(失礼、知りません)90代のはずです。
この本は2008年の本だそう。
長谷川家とマンガ「サザエさん」の一代記、という意味では、内容的にはほぼ「サザエさんうちあけ話」と、多分7割方一緒です。
長谷川家は、まりこ・まちこ・ようこの三姉妹。
父が早世して、経験なクリスチャンでありかつパワフルな母君が君臨して女手ひとつで三姉妹を育てます。
長姉まりこさんの夫君は結婚後出征、戦死。
まちこさんはまんが道で独身を貫いて、末妹のようこさんが戦後に新聞記者さんとご結婚。
でもお嬢さんを二人遺してやはり夫君ががんで早世します。
結果、戦後の「サザエさんブーム」の裏で、母、三姉妹、ようこさんのふたりの娘、という。
女ばかりの三世代一家になった訳です。
無論、サザエさんの大ヒット後は、細かいお金の不自由は無く、当然「お金持ち」の部類には入ります。
そうなんですが、この一家の物語はやはり面白い。
極端に人見知りで社交嫌いでシャイで内弁慶な、漫画家・まちこさん。
三姉妹で結成した出版社「姉妹社」。
品があるけど行動力抜群で、当たって砕けまくるゴッドマザー。
個性豊かな三姉妹。
抱腹絶倒な上に、時代を感じる数々のエピソード。
そしてこの本は後半、末妹・洋子さんの「60近くまで、強烈な母や姉たちの支配下に居過ぎた」という勇気ある反省と独立の回顧録になります。
家族内の批判めいたことはありませんが、そうとうな「女系家族」の確執があったんだろうなあ、という。
そして、それでも家族は家族、という素直な感情。
子育て、そして病気、そして親の最期という、地味ながら万人に共通な事柄への体験談と思い。
ご一家は皆さん、どうやらプロテスタントのクリスチャンなんですね。
そして、育ちが良い(といっても中流勤め人家庭だったはずですが)家庭出身のせいなのか、
いろいろあっても権力や名声という欲望の罠にかすりもせずに過ごした、
あるおんなばかりの一族の昭和時代の長い長い物語。
それを、力まず謙虚に、そして素直に綴る文章がとってもさわやかな。
この��一家、ぜんぜん、「普通の一家」じゃないんですね。
ここから、ある種のぶっとびSFユートピアのような「サザエさん一家」が生まれたのが単純にオモシロイところ。
そして、実は作者の家族の方が、ドラマチックと言えばドラマチック。
35年くらい前に、NHKの朝ドラ「マー姉ちゃん」が作られるのもむべなるかな。
(アレは原作が「サザエさんうちあけ話」。田中裕子さんのデビュー作)
しかし、長谷川洋子さんが、ウン十億という母と姉の遺産を完全相続放棄している、というのもびっくりでした。
逆に国税局に疑われたエピソードが、笑えて、そしてちょっぴり泣ける感じでした。
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三姉妹の三女洋子さんの眼から辿る長谷川家の歴史。
ご家族それぞれの想いが…私なりに読み取れました。そして何だかとても癒されました。
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「サザエさん」の長谷川町子さんの妹の長谷川洋子さん(1925年福岡生まれ)著「サザエさんの東京物語」、2008.4発行です。初めてで最後の本とのことです。長女まり子さん、次女町子さん、三女洋子さん、母親の貞子さんが設立した「姉妹社」での仕事を始め、三姉妹はずっと一緒の仕事を(サザエさん)。三女の洋子さんから眺めた母親、そして姉たちの想い出を綴ったエッセイです。1992年5月、町子さんが逝去の歳、数十億の遺産相続放棄については、三姉妹串団子のしがらみから抜け出したい思いから、財産より自由とのことでした。