城塞(下)(新潮文庫)
著者 司馬遼太郎
外濠も内濠も埋められて裸城となった大坂城に対して、家康は最後の戦いをしかける。夏ノ陣を前にして、大坂方には、もはやいかなる勝機も残されてはいなかった。数十万の東軍を相手に...
城塞(下)(新潮文庫)
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商品説明
外濠も内濠も埋められて裸城となった大坂城に対して、家康は最後の戦いをしかける。夏ノ陣を前にして、大坂方には、もはやいかなる勝機も残されてはいなかった。数十万の東軍を相手に、真田幸村、毛利勝永らは、家康の本営にまで斬り込む働きをするが、後続の部隊がなく、いずれも城を墳墓に討死してゆく。秀頼、淀殿は自尽し、巨城の炎上をフィナーレに戦国時代はその幕を閉じる。
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教訓に満ちた史実
2017/01/31 19:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさきー - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品は、登場人物の息遣いが伝わってくるところが好きである。
本作も、これまで読んだ作品同様である。
各人の思考、対人折衝、合戦模様等々、終末に至るプロセスを、実に巧みに、そして生き生きと描かれている。
中でも、その手練手管を発揮する家康を「奸物」とまで書き記しているのが傑作だ。
小生にはページ数の多い作品であるが、とても面白く、夢中になって読み進めていた。
しかし、結末が分かっていながらも、
「どうにかならなかったのか! 」
と、何度も歴史のIFを自問してしまう。
「豊臣方は、特に豊臣一族達は、本当に勝つ気があったのか!」
近年の研究により、最後まで諦めていなかったことが定説となりつつあるが、この史実から学べることは、事欠かない。
「無限の可能性を夢想させる時代」を生きた人たち
2016/12/27 08:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大坂の陣を描いた司馬遼太郎の長編小説は、文庫本にして上中下の三巻に分かれている。
この下巻では夏の陣と呼ばれる家康勢と豊臣勢との最後の戦いから大坂城落城までが描かれている。
「絶望的な戦いをしようとする五万」の豊臣側と「三十万の東軍とどちらが英雄的行動であるか」、司馬さんは当然それは豊臣側に「同情を寄せるにちがいない」と書いている。
この小説では家康の謀略のひどさが目立つが、それ以上に豊臣秀頼や淀君の愚かさにも司馬さんの筆は容赦がない。
その一方で豊臣側に味方した牢人たちには優しい。
真田信繁といわれた幸村については、特にだ。
彼の人物について「情のこまやかなうまれつきで、しかも性格にあまりひずみがなく、人あたりもよかった」と記している。
そんな幸村をもっと生かせれば、あるいは時代はまた別の様相を見せたかもしれない。いや、司馬さんはそんな「もしも」を描いている訳ではない。
ただ、信繁や後藤又兵衛といった豊臣側の諸将だけでなく、この長編小説の狂言まわし的に描かれている徳川側の謀者である小幡勘兵衛を仲立ちにして、この時代のことを「ひとびとに無限の可能性を夢想させる時代」であったと、司馬さんは書いた。
信繁の心にもそういう灯が点っていたかもしれない。
そういう夢想があればこそ、この時代は面白いといえる。
そして、豊臣頼朝には残念ながら己にそんな「無限の可能性」があるとは思いもしなかったのではないだろうか。
蛇足ながら、この長い物語の最後の文章はなんともいえず、いい。
司馬さんの小説家としても巧さだ。
彼らはいかに戦い、いかに滅んだか。
2015/08/16 14:24
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投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪の陣を描いた完結編。裸城になった大阪城に押し寄せる数十万の徳川軍。その現実が分からず将士を振り回す淀殿。無能な大野治長が権力を握り、大阪方は敗北を繰り返す。敗北が免れないことを知っていた真田幸村・後藤又兵衛ら牢人諸将は最期を飾るべく華々しく戦って散った・・・
「歴史上滅び行く王朝がたどった道を法則通りたどって滅んだ(本文より)」豊臣家。その姿を自由人な野心家で後の軍学者・小幡勘兵衛の目を通して描く。
美しさも愚かさも
2017/04/04 18:17
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代の大波の中を必死で足掻く人々を重厚描く、流石は司馬先生!と唸る一冊。幸村の娘が片倉小十郎の元に預けられた場面が印象的。あの瞬間 大阪の陣で報われる事がなかった幸村の思いと血脈が後の世に繋がったと思うと感慨深い。