大盗禅師
著者 司馬遼太郎
大坂落城から三十年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興...
大盗禅師
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商品説明
大坂落城から三十年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興を策して闇に暗躍する。これは夢か現か―全集未収録の幻想歴史小説が、三十年ぶりに文庫で復活。
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作者が全集に収録するのを拒んだという本作。いい作品だと思うんだけどなぁ。
2006/09/12 22:50
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
摂津の国は住吉の浦で漁師の手伝いをして暮らしていた浪人剣客浦安仙八。幕府の浪人の取り締まりが厳しくなりはじめたころ、幻術を使う不思議の僧、大濤禅師に誑かされて由比正雪、丸橋忠弥らと、浪人のいない住みよい国を目指して幕府転覆の陰謀に突き進んでいくことになる。滅亡の危機に瀕している隣国・明を手助けして恩を売り、明の復興後、その兵力を借りて幕府を倒す計画を立て、海を渡り、国姓爺鄭成功と共に清軍へと突き進んでいく・・・。波瀾万丈の伝奇時代小説です。
物語の展開は先が読めず(なにせ明まで行ってしまいますから)、とてもおもしろい。また、二人の主人公、由比正雪と浦安仙八の人物像がすばらしい。言動は大胆で自信家、なのに小心で臆病者、すばらしく切れる頭を持っているくせに山師の雰囲気を漂わせ、門弟三千人を謳っていた由比正雪、本当にこんな性格だったんだろうと思えてきます。
かたやもう一人の主人公、浦安仙八は、剣の腕は一流ながら出会う人出会う人に影響を受け、ふらふらふらふら流され流されて、正雪に師事していたかと思えば明に渡って鄭成功に心酔し将軍の位まで授かってしまう。それでも「自分」を見つけられずに、さらに流される。
強い「自分」を持った男と、「自分」を見つけられずに流される男。二人が出会ったことで繰り広げられる壮大な物語。楽しめます。
大盗禅師
2016/02/13 21:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:masa - この投稿者のレビュー一覧を見る
全集未収録作品だそうです。
司馬遼太郎さんの初めの方の作品だと思います。
なかなか、面白い作品でした。
全集未収録の作品があれば出版して欲しいです。
宜しくお願い致します。
迷いと予見
2006/11/24 23:04
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大坂落城から30年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八は、豊臣浪人を父に持つ。丸橋忠弥という浪人に会い、自分の小屋に10日ほど泊めたため、浪人を泊めてはならないという法律に触れ、役人から呼び出される。亡父の境涯を継いで浪人になるなら、即座に所払いと言われてしまう。
司馬作品には、強烈な個性を持つ主人公がぐいぐいと周りを変えてゆくものが多い。
その場合、「歴史的なあの事件には、実はこの人が関わっていたんですよ。」と意外な真実が明かされれば、者は主人公にどんどん引き込まれてゆくが、今回は、主人公である仙八が丸橋忠弥、鄭成功、由井正雪などの歴史上の人物と出逢い、影響を受ける形になっている。そうすると、今度は仙八の目を通じた登場人物達に対し、読者が反発または共感を覚えていく形となる。
けれど、仙八が一貫した考えに基づく行動を取っているように見えず、かといって異なる考え方に遭遇する度に、葛藤して考えを修正しているようにも見えない。
そのため、彼の批判する対象、或いは傾倒する対象に対しても、読む側は、全面的に彼の意見を受け入れられない。
「この日本は人間が細かすぎる。細工が多すぎる。」
と、偉そうな事を言っているが、
「そういうあなたは、ただ流されているだけでは
ないのか?そのあなたの言葉に、どれほどの誠実があるのか?」
とこちらが言いたくなる。
思想論としての読み方はできそうもない。
大盗禅師、仙八の前に現れる男か女か判然としない蘇一官の放つ妖しさ全開の、独特の雰囲気。
倒幕を目論む由井正雪と明朝復興を掲げて戦う鄭成功の計画のリンクという斬新な発想。それでは、 東アジアを舞台にした一人の男の冒険譚として、娯楽作としてこの作品を楽しもうか。そう思ったが、今度は仙八の言葉に出てくる国家論、人物論が煩い。
思想論、エンターテインメント、どちらにも寄れず、両方をブレンドさせる事もできなかったのが、全集未収録の理由か。
ただ、ある一つの事には、はっとした。
過去を見ている歴史作家は、未来を予見できる慧眼を持っているのか。
5000人の公儀に虐げられる浪人集団の頭領で、幻術で人を惑わす大盗禅師という存在、浪人集団には厳粛なる尊卑の順序があり、高名をたてればその中で位階の昇進が可能となる組織上の決め事が、20世紀末日本で起こった事件と密接な関係を持つ団体のそれと、一致していたのは、単なる偶然だろうか。この作品を発表していた時には、まだ、あの事件は起きていなかったのに。
幻想小説
2017/06/14 09:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:井沢ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代初めに浪人を集めて討幕を目指した由比正雪と、中国の明の再興を果たそうとして日本に援軍を求めながら抗清活動をしている鄭成功、この二人の実時の人物に、大盗禅師と浦安仙八という架空の人物をかませた幻想小説だが、比較的面白く読めた。妖術を使ってのストーリーなので現実性は乏しいが、割り切って読めば興味をそそられる内容だった。
幻想
2020/05/17 05:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎作品にしては珍しいと言っていいくらいの歴史幻想もの。亡くなられた後発掘したこともあってちょっと異色だ。