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龍馬伝説の虚実 勝者が書いた維新の歴史
著者 榊原英資
維新以降の日本の「歴史」は、勝者である明治政府によって描かれた。しかし、尊王攘夷思想を肯定する明治中心の歴史観は、国内政治の混乱を招き、後に四度の戦争を引き起こすことにな...
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龍馬伝説の虚実 勝者が書いた維新の歴史
商品説明
維新以降の日本の「歴史」は、勝者である明治政府によって描かれた。しかし、尊王攘夷思想を肯定する明治中心の歴史観は、国内政治の混乱を招き、後に四度の戦争を引き起こすことになった。薩長同盟を仲介し、倒幕・明治維新を実現したヒーローとして描かれる龍馬。日本近代史におけるその真の役割を検証しつつ、江戸、明治、昭和の歴史を問い直す。
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江戸幕府の視点で幕末維新を見る
2011/06/26 10:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂本龍馬は薩長側ではなく、幕府寄りの人間だった?
龍馬は倒幕による薩長独裁の新政府を目指していたのではなく、大政奉還後、公武合体による連合政権を目指していた。徳川慶喜も含めた、諸侯による合議制の政体である。決して徳川幕府を滅ぼそうとしたのではなく、オール・ジャパンの政体を志向していたのである。それゆえ、武力による倒幕を目指した西郷隆盛は龍馬を受け入れることができず、龍馬を暗殺させたのだと説く。龍馬暗殺に関する西郷黒幕説だ(ただし、その物的証拠についてはほとんど言及されていない。憶測と状況証拠だけだ)。
また著者は、開国、尊皇攘夷の混乱を招いた根本の原因は、攘夷に固執した孝明天皇にあるとまで言う。日米修好通商条約の勅許を与えず、幕府に攘夷決行を迫ったことにより、安政の大獄という事態を招き、それに対抗するために攘夷の嵐が吹き荒れ、社会は混乱した。孝明天皇が幕府の開国案に理解を示していれば、多くの尊い血を流さずに済んだのかもしれない、というわけだ。
しかし、通常の歴史観では孝明天皇に同情的だ。勅許もなく条約を結んだ井伊直弼は悪者である。そりゃそうだ。幕末維新の歴史は、勝利した新政府に都合よく解釈されたものばかりなのだから。歴史を語るのは常に勝者の側である。敗者は沈黙する。
それに対し、著者の視点は、敗れた徳川側から幕末~明治維新を見よう、というものだ。勝者である薩長目線の明治史に対する反論である。そういった視点から坂本龍馬を捉えてみると、決して薩長による維新をお膳立てすることが目的ではなく、平和裏に日本を再構築することを目指していたと考えられる。勝海舟や大久保一翁らと通じる思想である。
開国、そして公武合体による新政府。神仏習合を壊すことなく、江戸時代の高度な文化を継承しつつ、海外とも対等に処していく。彼らの理想が成就していれば、そんな日本が作れたのかもしれない。そうなれば、軍国主義に邁進することもなく、第二次世界大戦に突き進むこともなかったかもしれない。
薩長独裁政権が作った明治は、それまでの日本の歴史の中で異質な時代であった。それは天皇を奉じたからではない。聖徳太子が貴ぶべきとした「和」を捨て、侵略と闘争に走ったからだ。秀吉の朝鮮出兵以来の暴挙だったかもしれない。
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龍馬の本質
2017/08/18 23:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さゆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂本龍馬という人は、よく知られている新時代への絵図(船中八策など)を自ら考え出したのではなく、様々な知識人の思想からの影響だという事実は初めて知りました。等身大の評価が書かれているなと好感がもてた。
ただ、この本、このページ数必要でしょうか。同じような内容を繰り返し書いているので、もっと簡略にまとめてもらった方が読み手は疲れない。