紙の本
天下を取る人、家康
2017/04/08 08:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎さんの徳川家康を描いた長編小説は、新潮文庫版で上下2冊の長さである。
その下巻にあたるこの巻では、本能寺の変からのち、秀吉の時代への潮目が変わる頃から描かれている。
年表のように記すと本能寺の変が起こったのは1582年。この時から再び戦国時代の様相になるのだが、関ケ原の戦いが1600年だということを重ね合わせると、秀吉の天下はわずか20年に足らない。
その後の徳川家の長期政権を考えると、あまりにも獏としている。
つまり、信長の亡きあと、家康にとってはじっと耐えたとしてもわずかな歳月でしかない。これより以前の困難な期間を思えば、何程のことかと思っていたのではないか。
この下巻はそんな時期の戦さ、小牧・長久手の戦い(1584年)がメインに描かれている。
戦さを描きながら人をも描くというのは司馬さんが得意とするところで、ここでも安藤直次や石川数正など章タイトルにもつけられて描かれている。
この戦いは秀吉が家康に敗れた戦いとして有名であるが、実際には秀吉が主戦場にいたわけではないから勝敗という点ではどうだろう。
もちろん軍として秀吉軍は敗れたのであるが、もしそのまま戦いが続いていれば最終的にはどうなったであろう。
司馬さんはこの戦いが「無形ながら家康のその後の生涯にとって最大の資産」になったとみている。
その戦いを描いたあと、司馬さんが興味をなくしたかのように、家康の最後の場面を描いているが、作品的には『関ケ原』『城塞』をはさむとちょうどいい。
そういう読み方をおすすめする。
紙の本
のぶなが
2017/09/03 09:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あくあ9いっぱい - この投稿者のレビュー一覧を見る
信長がついて、秀吉がこねたる天下餅。徳川家康はそれを食べただけだと言われているがところがどうして、そこに至るまでには準備や工作、経験、屈辱、不義理、断腸の数々の果てに偶然訪れたチャンスを逃さず自分のすべてを賭けて打って出た結果だった。
投稿元:
レビューを見る
司馬遼太郎がまとめた、徳川家康の生き方をまとめた本。
上では、小牧・長久手の戦いから休戦の顛末までと、家康の最期の話まで。
自分の才能を疑い、歴史から再現性が高いことを重視して大名として君臨していたことがうかがえる。下手なビジネス書よりも学びがある。
投稿元:
レビューを見る
家康と彼を中心にした三河武士たち、彼等の戦いや確執を司馬遼がぐいぐい探りを入れて考察していく、小説というよりはやっぱり研究書のようなエッセイのような不思議な本、の下巻。
小牧・長久手の戦いでの勝利がいかに家康の生涯通しての財産だったかというのをかなり綿密に点描していきます。関ヶ原も大坂の陣もまったく描かれない。これ、家康本というより小牧・長久手本なカンジ。関ヶ原のあまりのスルーっぷりに私が泣いた精神的に。「関ヶ原」読んでね!ってことですかそうですか。
三河の、っていうか家康の性格がそのまま江戸幕府になって、それが二百年も続いたというのは、果たしていい面もあったし悪い面もあった、ということを最終的には司馬遼は言いたかったのかなーって感じがした。三河って、身内には甘くて、すごく忠義に厚い、鎌倉時代の武士みたいな感じなんだけど、外側に対してはものすごく陰険だ、というのがこの本で得た私の三河武士に対する印象なのですが、ひぐらしの雛見沢を彷彿としたのはいいとして、確かにそう言えなくもないな、って感じ。
個人的に文化の面で江戸時代はすごく好きな時代であんまり悪く言ってほしくはないけれど、文化が成熟した分他国には遅れをとっていて、「それから」や「現代日本の開化」で漱石が指摘するまでもなくどうしても無理してしまう結果になるんだよな…
そういうことを考えるにつけやはり家康ってあんまり爽快なところはないってのは同意だし三河の陰険さもわかる。
それでもやっぱり三河が好きだなと思うのは、功利的な戦国期において貴重過ぎるその武士の忠誠心(というと語弊がある?)なんだろうな、現代的に。それは、幕末の新選組好きにも繋がるんじゃないかと、フト思った。
次からはちょっと時代小説お休みして久しぶりに現代小説に行ってきます。
投稿元:
レビューを見る
戦国時代の混沌の中から「覇王の家」を築き上げた家康の、勝者の条件とはいったい何だったのか…。小牧・長久手の戦いで、時の覇者秀吉を事実上破った徳川家康。その原動力は、三河武士団という忠誠心の異常に強い集団の存在にあった。信長や秀吉とは異なる家康の捕らえがたい性格を、三河の風土の中に探り、徳川三百年の精神的支柱を明かしつつ、日本人の民族性の謎にまで迫る。
投稿元:
レビューを見る
まだ読んでません…。
買って相当経つのに…。
家康嫌いにも程があるぜ…。
でも絶対名作だと思います!
投稿元:
レビューを見る
三河武士団の異常に強い忠誠心。その忠誠心を慎重にコントロールする家康の超越した人間性がもはや恐怖。こわ!司馬先生の書く家康に震えました。土くさい安藤直次が男前でうっかり萌えました。
投稿元:
レビューを見る
司馬遼太郎を好きな理由は、お芝居のような脚色豊かな英雄として人物を描かないけれど、読んでいると等身大の人物像が浮かび上がってきて、その人物像にそこはかとない魅力がある点なんですが、その「そこはかとない魅力」はやはり司馬遼太郎さん自身がその人物を好きかどうかとか、共感する部分があるかどうかによるのかな、本書を読んで思った。
興味はあるけど変なやつと思ってたんだねー、徳川家康。
投稿元:
レビューを見る
家康公の生涯をかけ足で辿る。
これ1冊ではいささか情報不足で、しばらく
同作者の戦国時代ものを読みあさることになりそう。
2008年10月読了。
投稿元:
レビューを見る
徳川家の地租・三河国(現愛知県東半部)は、素朴で情義を重んじる「三河かたぎ」の国人が住むところであったようで、家康の性格の一端を物語っている。忠義心の強い三河武士団の評定をよく傾聴し、秀吉軍との小牧・長久手の戦いに臨んだ家康の姿勢は、臣下あっての覇権者であったと印象付けられた。徳川300年の天下は、三河の風土の中で鍛え上げられた忍び難きを忍びぬく精神的基盤によって、脈々と築きあげられていったのかも知れない。
投稿元:
レビューを見る
自己を守るために自己を無私にする。
安堵感を与える。
模倣する。
そんな家康の生き方が、江戸時代を作り、今の日本を作ったのだと感じさせてくれる本。
投稿元:
レビューを見る
斉藤道三→織田信長→豊臣秀吉と続いて、
ついに戦国時代を終わらせた「徳川家康」の物語。
激動のなかで、冷静に、自分を律し、生き抜いたリーダーの姿。
室町から戦国、そして、300年太平の時代へ。
家康から300年後、新たな激動の時代を迎えることになります。
そして、今、維新の時代「龍馬がゆく」を読みすすめています。
今、本当に本当に、大きな変わり目を迎えていると感じます。
その今を経営者として、如何に進んでいくかを深めたいと思っています。
投稿元:
レビューを見る
王道を貫いた家康記。
組織のトップとしての生き方は、現在の日本人の価値観に引き継がれている気がする。
危機察知、未来想像からくる現実主義が軸にあるだけに、時折見せる激情、冒険が一際将としての彼の魅力を膨らませる。
投稿元:
レビューを見る
近代日本人の性質を決定づけてしまった江戸時代。以前はおおらかな国民であった日本人を、300年で覆した徳川幕府。その祖は流浪の出自であった?
奥三河の松平家は、流浪の男が立ち寄った家の女を見初め、定住したことから成立したという推理を示している。大胆な司馬史観だ。家康については、今川氏との合戦である三方原の戦いが、その素養をよく示し印象的だ。甲斐武田の攻略も読み応え有り。
投稿元:
レビューを見る
上巻と同じ気持ちで読んだ。
正直、模擬授業の日が近づき、あせりながら後半を読んでしまった・・・・
そのためか、上巻より楽しめず・・・
さあ、次は何を読んでやろうか!!!笑