紙の本
筆が載りまくっている饒舌な作品
2001/03/24 22:43
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投稿者:日下夏海 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすがに構成からして良く出来ています。明治期の宮廷に尽くし、伊藤博文らを手玉に取り、当時の女性では最高給を取るまでに登りつめた下田歌子。反政府組織の新聞での連載記事を中心に読み解かれていく彼女と周囲の人々。
かなりの量の文章を旧字体で読まされることになりますが前後の文章がきれいにまとまっているので苦になりません。
欲を言えば淡白に収まりすぎているきらいあり。この薄い文庫本でもぐっと惹きつける挿話に溢れているわけで、もっと広げられますよね。女性誌的好奇心を徹底的に追求した林真理子による下田歌子一代記を切望します。
紙の本
おんなの生き辛さ
2017/07/15 16:59
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時 異例の出世を果たした下田歌子に関する新聞報道を見ると進歩したように見えて 今も昔も大して変わらないのだとしみじみ思った。程度の差はあれ出世する女はクリーチャー扱い。読んでいて嫌な気分に。
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学習院女学部長下田歌子について、林真理子風に料理をした小説。明治と言う特殊な時代の天皇の周りの人々の様子も興味深かった。丁度幕末の話を読んでいたので、その先の時代(=明治)という繋がりもあり。
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皇后のおぼえもめでたく、学習院女学部長として才気をふるい、明治の人々の尊敬をあつめるまでに昇りつめた川田歌子。
しかし、「平民新聞」に真に迫る誹謗中傷が連載されて、彼女を取り巻く人々は・・・
歴史上の人物がほいほい登場します。明治天皇に始まって、伊藤博文、幸徳秋水、津田梅子・・・
今、ちょうど近代史を調べてるので、タイムリーな本でした。
明治の人々の風俗がリアルに描かれていて、それだけでも面白かった。毒舌「平民新聞」も雰囲気あるし。当時は赤の思想なんて、こんな風に本当に下劣に扱われていたんですね。教科書で習ったイメージとはだいぶずれてる。
だんだん私も噂好きな明治の人々になりきってちょっとおそるおそる、でも好奇心いっぱいの気持ちで読めるようになりました(笑)
また、女性蔑視がひしひし伝わる話でもありますね。小説としても、男と女、がテーマになってる部分もあると思う。
ていうか、男と女。この頃は本当にまったく異なる生き物!その役割も、性質も、考え方も、背負っているものも。
たくさんの男女が登場するけれど、男からみた女。女からみた男。それぞれ言い分があり、個の意見がある。
今でこそ、同じように育ち、同じように働き、男性が育児まで担うようになっているけど、女性の社会進出ってすごいことだったんだなぁって実感します。
まぁ、置いといて。
ラストがいまいち呑み込めてない。だって、明治文化むんむんで来たのに、急に現代小説っぽくざくっと心理描写がすすむんだもん。
もうちょっと、考えてみます;
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明治時代に、末席の女官から正四位まで異例の出世をした下田歌子。
皇后にかわいがられた歌の才の持ち主で、美人でもあったが…
学習院女子部長として生徒にも人気があったが、辞めさせた人物らの反感を買い、明治40年、平民新聞のあくどいスキャンダル報道で追い込まれます。
伊藤博文はじめ、男性との関係はある程度事実らしいが、反政府活動の一環として利用されたんですね。
乃木希典が学習院長だったとは。
意外な題材で〜当時の皇室内の状況をはじめ、歌子を取り巻く歴史上の人物の知らないエピソードが面白い。
平成5年、文庫版発行。
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下田歌子。明治時代、一介の士族の娘から宮中の女官に登用される。一度は結婚で宮中から離れるが、重病の夫を看ながら塾を開設。
皇后から寵愛を受けていた歌子は、夫の死後、宮内省の辞令で「華族女学校(後の学習院女子部)」を開校する。
歌詠みの才にたけていて、熱弁家。
女傑と呼ばれ、伊藤博文・井上馨・土方久元・山縣有朋・・・・など蒼々たる人たちと浮名を流したと騒がれる。
できる女は叩かれる。ましてや男社会の明治時代、世に名を残すほどの女は相当強くないと生き抜いていけない。
幸徳秋水の「平民新聞」が、下田歌子の醜聞を流しまくったことで、この時代の大物たちがあたふたする様を克明に綴った作品。
タブーとされる宮廷スキャンダルに踏み込んだ、林真理子の才能を感じる。
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いつの時代にもこういう女性はいるものです…。現代のキャリアウーマンなんて大したことないじゃん!と思ってしまいます。
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失礼だけど、
こんなマイナーな人物を取り上げていることに驚いて
思わず買ってしまった本でした。
動機がそれゆえに、感想は、ごめんなさい。
物語として手にとっても、面白いと思います。
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書きかけ
文明開化の徒花。文明開化が徒花。
女子教育者の先覚者、歌人の醜聞の真相を描く異色長編、なんだそうだ。宮廷にも仕えた教育者が、時の権力者と男女の仲だったとの醜聞なのだが、男女同権に近づいたはずの現代でも醜聞なんだろうなきっと。その醜聞を載せたのが、幸徳秋水など社会主義者の平民新聞というところがもの悲しい。そうでもしないと売れなかったのだろうなどと推察。
男女がいれば惹かれ合うのが当然、おひとりさまの推奨や女性専用車両など、何の誰の企みか甚だ怪しいと思ってしまうので、さもありなんと思うし、喧伝するのが野暮ってものだと思う。その野暮はもっと野暮な戦争中しか止まないってのがまた、悲しい。
明治は男女共に背伸びぶりが興味深く、気恥ずかしいのだが、下田歌子は成り上がり度が際立っているため、余計に毀誉褒貶ぶりも興味深い。しかも、天皇さんの色事にまで触れて、この人を描くとは、林真理子、さすがである。背伸びして登った坂の上から、転げ落ちる寸前の世相の、まだまだ自分たちが成り上がり者だと十二分にわかって者達の悲喜劇は、もの悲しく切なく、普遍的ですらある。
喰う寝る眠るをちゃんとしているし、結構、子供まで産み育てるし、昨今の権利ばかりを主張するアワワ
ともかく人は喰う寝る眠るが基本的人権なのだと思うのだが、
なので、赤線復活を切に願う、ってことでまとめにする。
小学生の口上に、「馬鹿って言う方が馬鹿」というアフォリズムがあるが、「ふしだらとか、不潔とか言う奴に限って、そうだ」、というのはあるな。差別されている言う人に限って差別していたり、とかとかとか。
魅力的な人がその魅力で大衆でなく、要人を手懐けるのは面白い。
偉いぞ林真理子
2010/04/26、読了。
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明治の才女・下田歌子を、平民新聞で実際に連載された「妖婦・下田歌子」を通じて様々な人物の下田歌子に対する思いをつづった1冊。
明治時代の実在人物達が出てくるので、とても興味深く読みました。
下田歌子という人物をまったく知らなかったので、また違う本で読んでみたいです。
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明治時代に学習院女学部長となった下田歌子(実在の人物)に関する小説。
明治天皇を含め、その時代の著名人の生活に触れることができる1冊。
明治時代にも「スキャンダル」って、あったんですね…。
(まあ、いつの時代にも、ありますよね。)
この時代の女性は、結構遅咲きデビュー(時代がそうさせたのだと思いますが)でも活躍していることに興味を覚えます。
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以前読み終えた『山田風太郎明治小説全集6』の巻末対談で、森まゆみ氏が挙げていたのが目に留まり気になったので読んでみた。
林真理子さんは同郷の方だが、作品に触れるのは恥ずかしながら、本作が初めてである。
奥に戻って女官長になること、という歌子の究極なる望み。女たちの復讐心に気づいたからこそ訪れた、乃木希典の安堵感。この物語は収斂される。
とにかく、この傑作を今の今まで知らなかった事を恥いるしかない。
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始めの方が、古い言葉が多かったので、ちょっと読む気が失せてしまった…。
飛ばし読みしてしまいました。
後半は読み易そうでした。
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下田歌子と言う女性について、関わりを持った様々な人々が語る不思議な歴史小説でした。
この女性について全くしらず、どんな展開になるのか先の読めなさは、一種のミステリーのよう。明治維新後の宮中当時の模様を様々な角度から知ることが出来たのは面白かった。ただ結局、下田歌子本人については噂話の中の人物像とでしかないのが物足りなさを感じた。結局謎の人物と言う事なのかも・・・
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時代は明治。ミカドとは明治天皇。
歌人・女子教育の先覚者である「下田歌子」について、平民新聞で実際に連載された「妖婦・下田歌子」を通じて伊藤博文、乃木将軍など様々な人物の視点から書かれている話。
下田歌子のことは知らなかったが、宮廷勤めで皇后の寵愛を得て、宮廷を離れてからは学習院女子部長にまでのぼりつめた女性。
平民新聞とは社会主義者の新聞だったというが、一個人について、3ヶ月にもわたり醜聞を掲載、悪質な週刊誌のよう。
明治時代というが、遠い昔の話を読んでいるようで、入れ込めなかった。