価値のないもの盗みます
2017/05/16 22:29
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
価値のないもの、誰も盗みそうにないものを専門で盗むニック。プールの水、プロ野球チーム、果ては湖に住む伝説の怪物までどうやってそんなもの盗むんだと言いたくなります。ニックがどうやって盗むか、そして依頼人がなぜそんなものを欲しがるか考えさせられて、一話で二度美味しい話がてんこ盛りでです!
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投稿者:アオジ - この投稿者のレビュー一覧を見る
怪盗ニックものの作品はこれまでいくつか読んだことがあるけれど、年代順に全作品を網羅する作品集の刊行がスタートするとは。
最終巻まで揃えたい。。。
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投稿者:今井 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宝石などの価値あるものを盗まない怪盗というのは、珍しいのでは。ニックが盗むのはカレンダーやゴミの封筒、動物園の虎など奇妙で価値のない物ばかり。どうやって盗むのか、なぜ依頼人は盗みの依頼をしたのか。この2つを軸にストーリーは進む。ちょっと分かりにくかったり、ご都合主義が多いのは否めないが、謎解き要素もあって面白い。短編ばかりなのもあって読みやすい。
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投稿者:ぽんぽこ仮面 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユニークな泥棒の活躍、とても面白いです。でもユニークな依頼の裏には・・・というのがややワンパターン気味かも。でも次もまた読んでしまいそう。
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人から依頼されて動くプロの泥棒、怪盗ニックが盗むのは「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」だけ。
そんな奇妙な条件にもかかわらず、彼のもとには依頼が次々舞い込んでくる。ターゲットはプールの水、プロ野球チーム、恐竜の尾……それらをいったいどうやって盗む?
短編の名手ホックが創造したユニークな怪盗の全仕事を発表順に収録した文庫版全集第1弾。
解説=木村仁良
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『斑の虎を盗め』
ハリー・スミス、コーミック、ジニーの3人から動物園の斑の虎を盗むように依頼された怪盗ニック・ヴェルベット。ジニーと動物園で行動中に起きた銃撃戦。
『プールの水を盗め』
叔父であるサミュエル・フィッツ・パトリックの屋敷 からプールの水をすべて盗むように依頼されたニッ ク。全部盗む意味は?依頼人リディアの伯母の行方不 明事件との関係。
『おもちゃのネズミを盗め』
パリで撮影されている映画の小道具であるおもちゃの ネズミの盗難。盗み出したネズミ。撮影の為にアメリ カから届けられたおもちゃのネズミに隠された秘密。 女優キャロル・ヤングの危機。
『真鍮の文字を盗め』
ある企業SATOMEX社のビルにかかる真鍮の文字の内S・E・Xを盗むように依頼された怪盗ニック。旧知の警察官チャーリー・ウェストンのいる街での仕事。ニックに近づく女性記者シンディーの謎。
『邪悪な劇場切符を盗め』
依頼人ロスコー・フェイン。上演の終了したミュージ カル「ウィッキッド」のチケットを盗み出す仕事。上 演終了にも関わらずチケットを販売するショップ。殺 害されたショップの店主ソーン。チケットに隠された 秘密。
『聖なる音楽を盗め』
大聖堂のオルガンを盗む仕事。電話での依頼キャロ ル・アランダーと名乗る依頼人。大聖堂の街に住むオ ランダー夫人とは別人。オルガンを弾き予定のエルキ ン医師。医療ミスで訴えられるエルキン医師。原告は オランダー夫人。
『弱小野球チームを盗め』
ハバリ共和国の大統領の作ったチームと対戦させるために大リーグのチーム盗むように依頼された怪盗ニック。誘拐された大リーグチーム。セレモニーで放たれる空砲に隠された秘密。
『シルヴァー湖の怪獣を盗め』
シルヴァー湖に現れた大海蛇。大海蛇の出現でライバルホテルに客をとられたクラウダーからの依頼。湖で大海蛇をとらえようとするシーリー老人の遺体発見。大海蛇の正体は?
『笑うライオン像を盗め』
海からあらわれた女性ラン・ブルースターからの依頼。キャピタル・クラブにある笑うライオン像の盗難。クラブのオーナー・ラムスンとの関係。ライオン像に隠されたラムスンを破滅させる秘密とランとラムスンの関係の謎。
『囚人のカレンダーを盗め』
刑務所に服役中のオドンネルという男のカレンダーを盗む仕事。オドンエネルがおこした海賊事件、盗まれたダイヤモンド。オドンネルの妻の協力。
『恐竜の尻尾を盗め』
博物館に展示されているティラノサウルスの骨格標本を盗むようにキンケイドから依頼されるニック。博物館で起きたプリニウスのダイヤの盗難事件。骨格標本作成のために博物館に出入りしているキンケイド。
『陪審団を盗め』
屋敷の庭に作った迷路の中で夫グレゴリーの愛人ローラを決闘の末射殺したヘレンの裁判。陪審団を盗むように依頼され陪審団をグレゴリーの屋敷に連れてきたニック。ニックが掴んだ決闘の真相。
『革張りの棺を盗め』
死亡したチェイス・ダルトンの棺桶を盗むように共同経営者の男��ら依頼されたニック。葬式の最中にメキシコ人に盗まれた棺桶。ダルトンの姪リマの協力。飛行機事故で死亡したダルトンの息子。大麻の畑に隠された秘密と共同経営者たちが欲しがる土地の謎
『七羽の大鴉を盗め』
ロンドンを訪れたゴラの大統領の土産大鴉七羽を守る依頼をゴラ大使館員ハスキンズから受けたニック。同時にアイルランド人のテロリスト・スターヴァンガーから鴉を盗み出すように依頼されたニック。2つの依頼に隠された秘密。ハスキンスの狙いとスターヴァンカーの正体。
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価値のないものを専門に盗む怪盗ニックの短編集。作中で主人公も言っているけど、どうやって盗むかは運など場当たり的な要素が強い。しかし、どの作品も盗んで欲しいとくる依頼物が突拍子もなく導入として魅力的。どうしてそんなものが欲しいのか、またそれをどうやって盗むのかを短編ならではのコンパクトに納めているので、全体としてサクサク読みやすい!とりあえず、全6巻なのかな??三巻が来月発売なのでそれまでに続きを読もう…
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依頼を受けてプールの水全部とか、プロ野球一チームとか、価値の無いものばかりを盗む泥棒ニックの話。盗みの部分に加えて依頼人はなぜ、そういうものを盗んでもらいたいのかという謎解き部分もあり二度楽しめる。
一話20ページほどでテンポもよい
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怪盗という言葉にはやはり浪漫がある。
但し、ニックは、ルパンは怪人二十面相式の、いつのまにか密室に忍び入って秘宝を盗み、どろんする、というタイプの怪盗ではない。
誰もほしがらないようなつまらないものに限定して、依頼を受けて盗みを働く。その盗みはかなり当意即妙でああり、ニックが逮捕されないのは、あくまでも盗んだ代物が価値のないものであること、そして目こぼししてもらうために事件の真相をその場で解き明かしてみせるという技を使う事が理由。
そう、つまらないものを盗みのには、依頼人に当然なにやら事情があるわけで、それは時に、別の犯罪を隠すため、ミスディレクションを狙ってニックに依頼してくるわけだ。
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価値のないものを専門に盗む怪盗ニック。そんな彼のもとには、さまざまな依頼がやってくる。斑の虎やプールの水、プロの野球チームなどなど。それらをどうやって盗むのか。
短編でなかなか面白かった。確かに、ニックが盗むものは価値がないもので、誰もそれを盗んでまで欲しいとは思わない。だけど、なぜ依頼者はそれを盗めというのか。それが解き明かされたときが面白かったなぁ。
なかなか読みやすい短編集だった。
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書き直し。
ミステリ初読者に薦める面白い短編として真っ先にあげたい作品。
主人公、怪盗ニックはプロの泥棒。どんな場所にだって入ってみせる。しかし彼には一つ流儀がある。
彼は価値のないものしか盗まないのだ。
なぜそんなものを盗む依頼がきたのか、どうやって盗んでいくのか、その二つであっと言わせる名短編集。
この前6巻まで出たからこれを機に是非是非。
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ネットで見かけて。
ニックは泥棒。
依頼により盗むが、
金も価値あるものも盗まない。
特殊なもの、斑の虎とか、プールの水とか、おもちゃのねずみとか。
盗んでほしいものの様々だが、
盗んでほしい理由も様々。
他の犯罪のためとか、
他の金めのもののためとか。
どの「泥棒」も楽しめたけど、
革でできた棺を盗む話は面白かった。
メキシコまでひとっ飛びしたからか、
小気味よい詐欺の片棒を担がされたからか。
クロークへのチップが25セントなのも、
野球チームを盗む時に、
ペナントレースに関係ない下位のチームを選ぶのに
心を砕いていたのも面白かった。
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アメリカのミステリ作家「エドワード・D・ホック」の短篇集『怪盗ニック全仕事〈1〉(原題:The Complete Stories of Nick Velvet: Vol.1)』を読みました。
久しぶりに短篇が読みたい気分だったんですよね。
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人から依頼されて動くプロの泥棒「怪盗ニック」が盗むのは「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」だけ。
そんな奇妙な条件にもかかわらず、彼のもとには依頼が次々舞い込んでくる。
ターゲットはプールの水、プロ野球チーム、恐竜の尾……それらをいったいどうやって盗む?
短編の名手「ホック」が創造したユニークな怪盗の全仕事を発表順に収録した文庫版全集第1弾。
解説=「木村仁良」
*第8位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」読者部門
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「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」だけを依頼されて盗む異色の「怪盗ニック・ヴェルヴェット」… その全短篇(87篇)を発表順に集成する日本オリジナル短編集第1弾で、1966年(昭和41年)から1972年(昭和47年)に発表された以下の15篇が収録されています。
■斑(まだら)の虎を盗め(原題:The Theft of the Clouded Tiger)
■プールの水を盗め(原題:The Theft from the Onyx Pool)
■おもちゃのネズミを盗め(原題:The Theft of the Toy Mouse)
■真鍮(しんちゅう)の文字を盗め(原題:The Theft of the Brazen Letters)
■邪悪な劇場切符を盗め(原題:The Theft of the Wicked Tickets)
■聖なる音楽を盗め(原題:The Theft of the Sacred Music)
■弱小野球チームを盗め(原題:The Theft of the Meager Beavers)
■シルヴァー湖の怪獣を盗め(原題:The Theft of the Silver Lake Serpent)
■笑うライオン像を盗め(原題:The Theft of the Laughing Lions)
■囚人のカレンダーを盗め(原題:The Theft of the Coco-Loot)
■青い回転木馬を盗め(原題:The Theft of the Blue Horse)
■恐竜の尻尾(しっぽ)を盗め(原題:The Theft of the Dinosaur's Tail)
■陪審団を盗め(原題:The Theft of the Satin Jury)
■革張りの柩(ひつぎ)を盗め(原題:The Theft of the Leather Coffin )
■七羽の大鴉を盗め(原題:The Theft of the Seven Ravens)
■解説 怪盗ニック全仕事の始まり始まり 木村仁良(ミステリー研究家)
価値のない様々なもの(虎や大鴉の生き物から、プールの水、カレンダー、果ては野球チームや陪審団等の人間まで)をどうやって盗むのか、というテクニックの部分だけでなく、依頼人はなぜ価値のないと思われるのに2万ドル(場合によっては3万ドル等の場合あり)もの高額の報酬を支払うのか、という謎解きが愉しめる作品群ですね… 一話で二度おいしい感じです、、、、
「ニック・ヴェルヴェット」の魅力も相まって、お洒落で愉しめるシリーズです… 以下、簡単に概要を記録しておきます。
『1.斑の虎を盗め』
その男は、動物園から“斑の虎”を盗んでほしいと依頼してきた… 変わった斑模様を持つその貴重な虎は、金持ちの中東の王子などに高く売りつけられるだろうというのだ、、、
「���ック」は苦心の末に見事に“斑の虎”を盗み出したのだが… 依頼人の目的は別なところに
。
『2.プールの水を盗め』
依頼人は、ミステリ作家の自宅にあるプールの水を盗んできてほしいという… 単純にプールの栓を抜いて水を捨てるのではだめだというのだ、、、
持ち主に知られずに大量の水を盗み出すのは不可能だったが、一計を案じた「ニック」は… プールから大量の水を盗むという風変わりで難度の高い仕事、それを成功させる「ニック」の大胆な作戦、そして依頼人が秘めた真の狙いと、どれをとっても実に面白く、本作品の中でイチバン気に入りました。
『3.おもちゃのネズミを盗め』
2万ドルの小切手とともに郵送されてきた依頼書… そこには、撮影中の映画で小道具として使われているゼンマイ仕掛けのネズミを盗んでほしいと書かれていた、、、
見事に盗みに成功した「ニック」だったが、なぜか依頼人は現れない… 郵便による依頼、そして盗みを終えても現れない依頼人と、何とも不可解な状況が目を引く作品でした。
『4.真鍮の文字を盗め』
あまりにも奇妙な依頼だった… ビルの壁に“SATOMEX”という企業名が真鍮の文字板で飾られているのだが、そのうち一部の文字を盗んでくれというのだ、、、
顔なじみの「ウェストン警部補」が警戒する中、「ニック」は仕事に取りかかるが… 文字板を盗む理由が見どころで、ユニークな真相が愉しめました。
『5.邪悪な劇場切符を盗め』
ブロードウェイの芝居《ウィキッド》の切符を、切符売り場からすべて盗み出してほしいという依頼… しかしその芝居は、2ヶ月も前に公演を終えていたのだ。首をひねりながらも切符売り場へと向かったニックだったが、その目の前で、、、
すでに終わった芝居の切符を盗むという奇妙な依頼がまず魅力的ですが、そこからさらにおかしな事態になっていくのが面白かったですね。
『6.聖なる音楽を盗め』
今回の標的は教会のパイプオルガンだった… オルガン奏者としても知られる近所の医師の演奏を、レコード会社が録音しにくる日までに盗み出し、その後はまた元通りにしてほしいというのだ、、、
しかしパイプオルガンはあまりにも巨大だった… 巨大なパイプオルガンを盗み出すのは、「ニック」をもってしても至難の業に違いありませんが、その解決策はお見事でしたね。
『7.弱小野球チームを盗め』
カリブ海に浮かぶ島国・ハバリ共和国の要人から、野球ファンの大統領に代表チームとの試合を見せるため、大リーグのチームを盗み出してきてほしいという依頼を受けた「ニック」は、リーグ最下位の「ビーヴァーズ」に白羽の矢を立てて… 「ニック」は見事に野球チームを盗み出し、チームの方も国賓待遇に満足するなど、一旦は万事丸く収まりそうな様子をみせるものの、もちろんそれで終わるはずはなく、、、
事態の裏に隠された真相につながる手がかりに着目した「ニック」の慧眼が印象的… 最後の「ビーヴァーズ監督」の台詞は天晴れです。
『8.シルヴァー湖の怪獣を盗め』
シルヴァー湖に現れた大海蛇目当てに観光客が殺到し、おかげで隣のゴールデン湖のホテルは商売あがったり… 困ったオーナーは「ニック」にその大海蛇を盗んでほしいと依頼してきたが、地元の漁師が大海蛇に殺される事件が起きて、、、
依頼人の目的は最初からはっきりしており、盗みの対象となる“大海蛇”の正体がほぼ唯一の謎になっている異色作で、その真相は奇想というか何というか… ちょっとあり得ない感じでしたけどね。(苦笑)
『9.笑うライオン像を盗め』
全米に広がる〈キャピタル・クラブ〉のシンボル、“笑うライオン像”を盗んでほしい――依頼を受けて像を盗み出した「ニック」だったが、依頼人はもう一つ必要だという… そして二個目を盗もうとしたところで、ニックは取り押さえられてしまい、、、
盗みの手口よりも、捕まった「ニック」がどうやって窮地を脱するかが興味を引く展開… 依頼人がライオン像を必要とした理由はある程度見当がつきますけどね。
『10.囚人のカレンダーを盗め』
海賊行為で捕らえられて刑期をつとめている囚人が、監房の壁にかけているカレンダーを盗むため、連邦刑務所に潜入することになった「ニック」… あまりにも困難な盗みを鮮やかに成功させたものの、依頼人との間にトラブルが発生して、、、
警備が厳重な刑務所からどうやって盗み出すのが最大の見どころでした… 盗みの目的は見当つきますけどね。
『11.「青い回転木馬を盗め』
メリーゴーラウンドの青い回転木馬を盗んでほしいという依頼… しかし「ニック」が現地へ着いてみると、すでに何者かが別の木馬を盗み出していたのだ、、、
誰が、何のために? そして深夜、仕事に取りかかろうとした「ニック」の目の前で… 木馬を狙う別の一味が登場してスリリングな雰囲気となっている作品でした。
『12.恐竜の尻尾を盗め』
恐竜に詳しい男が、古代史博物館にあるティラノサウルスの骨格の、尻尾の部分だけを盗んでほしいと依頼してきた… 警備の様子を確認した「ニック」は、夜まで待って仕事を始めようとしたのだが、そこに予期せぬ闖入者が現れて、、、
何とも風変わりな標的で、依頼人がなぜそれを必要とするのか、という謎がまず目を引きますが、“闖入者”の登場によって盗みそのものも目が離せない状態となっています… ある程度、依頼人の目的は見当つきましたね。
『13.「陪審団を盗め』
夫の愛人を決闘で殺したとして注目を集めている女性の裁判… 何と、その裁判の陪審員全員を盗んでくれという依頼がきたのだ、、、
早速裁判の傍聴に行った「ニック」だったが、そこで顔なじみの「ウェストン警部」と顔を合わせることに… 決闘による殺人事件の裁判が魅力的でしたね。
『14.革張りの柩を盗め』
急死した牧畜業者が生前に作らせていた、外側が革張りの特製の柩を盗み出すよう依頼を受けた「ニック」… だが、葬儀の最中に武装した男たちが乱入し、目の前で柩を奪われてしまった。何とか柩を取り戻そうとするニックだったが、、、
「ニック」の目の前で奪われてしまった柩を追って、争奪戦のような展開をみせる作品ですが、最後には��わぬところから思わぬ真相が飛び出してくるのに驚かされました。
『15.七羽の大鴉を盗め』
新しい独立国の大統領が、英国女王陛下に七羽の大鴉を献上するという… 今回の依頼はその大鴉が盗まれないように警護するというものだった、、、
勝手の違う仕事に戸惑う「ニック」だったが、やがて大鴉を盗んでほしいという一味が… “盗まれるのを防ぐ”というイレギュラーな依頼で始まりますが、すぐに盗みの依頼もくることに というわけでこの作品では、せっかくなので両方の依頼人から報酬を取ろうとする「ニック」が、とんち話のような難題をどうやってクリアするかが見どころとなっています。
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TwtterがXになるにあたり、本社ビルの「Twitt」まで外したところで警察に止められて「er」だけが残った、というニュースをみて思い出し。
「真鍮の文字を盗め」
ニックは、とあるビルの社名から3文字だけを盗んでくれと言う依頼を受けます。果たして依頼主にはどういう意図があるのか。
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泡坂妻夫のエッセイで、「価値のないものしか盗まない」という『怪盗ニック』シリーズが紹介されていた。泡坂さんが一九三三生まれの二〇〇九年没、エドワード・D・ホックは一九三〇年生まれの二〇〇八年没と、ほぼ同世代の二人。とはいえ作家としてのデビューはホックの方が二十年ほど早い一九五五年。
ホックはEQMM(エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン)の常連作家だったようだ。泡坂さんは同エッセイで「若い頃はクイーンとカーが特に好きだった」とも書いていたし、それだけでもなんとなく二人の波長が合いそうに思えてしまうが、「価値のないものしか盗まない」という、天邪鬼でちょっと馬鹿げていてユニークなポリシーもまた、アワツマ好みの香りがする。ということで読んでみた。
ニックはプロの泥棒。上述のポリシーに反しない依頼内容であれば、そして最低でも二万ドルという手数料の支払いが可能な人物からの依頼であれば、必ず仕事を引き受ける。私が読んだ限りでは、必ず仕事は成功させる。ロング・アイランドの辺りに恋人のグロリアと共に暮らしていて、年に数回仕事をするとき以外は、彼女とビーチでビール片手に寛いだり、ボートを操縦したりして過ごす。
面白かったポイントを三つ。
一つは、このグロリアの存在感。彼女はニックの仕事を知らないという設定で、ニックがたまに一定期間出かけるのは、色々な会社に頼まれて工場用地を見つける仕事をしているからだと聞かされている。グロリアの出番は意外と少なくないし、登場しない話でもニックがグロリアへのお土産の心配をしたりするなど、仲は良好そうだ。結婚については「いつかできるかしら?」「いつかね」という感じで、二人の本音はよくわからない。長く続くシリーズものだからその辺は曖昧でいいと思うが、この関係が変化するのかしないのか、気になる。一発長編ものだったら、グロリアは本当は全てを知っている黒幕にしたいところだが、この先どうなるのかは私は知らない。
二つめは、ニックが案外“普通”であること。普通といっても、屋根に軽々と登ったりビルの窓から侵入したり警備装置をかいくぐったり依頼主の悪巧みに気付いて裏をかいたり、そういう技術や頭脳は一流であって全然“一般人”とは違う。だが、読者が知らないこと、例えばなぜこの依頼主はこんなものを盗ませたがるのだろうとか、この条件下でこれを盗むなんて一体どうすれば可能だろうか、というようなこの小説シリーズにとって基本そのものといえるような謎や課題に対して、ニックも同じように、はじめは「知らない」。読者が「なぜ?」「それは何?」と思う時、ニックも「なぜ?」「それは何?」と思うし、しかもそのままストレートに聞く。大抵答えはすぐに得られず謎は引き延ばされるのだが、「天才ニックは一を聞いて十を知るのさ」というような読者に対する“出し抜き”が極力抑えられている気がする。三か四くらいを聞くまでは読者と同じレベルにいてくれるのだ。当時の現代社会を舞台にした小説としてのリアリティと、ニックのヒーロー性やファンタジー性とのバランスが絶妙に考えられているなあと思う。
三つめは、内容ではなくこの短編集『〜全仕事』について。これは東京創元社が独自に編んだもので、一九六六年から二〇〇七年までに書かれた全八十七作の短編を、発表順に六冊に分けて収録という素晴らしい仕事!しかも、カバーイラストにはその巻でニックの盗んだものが全て描かれているらしい。見つけられるかな〜。あとで探してみよう。