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気候カジノ
著者 ウィリアム・ノードハウス(著) , 藤崎香里(訳)
さらなる経済成長と地球温暖化対策は両立できる地球温暖化が今日大きな注目を集めていることは間違いない。と同時に、それが果たして真実であり重要な問題なのか、人間社会にとってど...
気候カジノ
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気候カジノ 経済学から見た地球温暖化問題の最適解
商品説明
さらなる経済成長と地球温暖化対策は両立できる
地球温暖化が今日大きな注目を集めていることは間違いない。と同時に、それが果たして真実であり重要な問題なのか、人間社会にとってどのような意味をもっているのかについて、人々の意見が分かれていることも、やはり事実だ。
対立する主張のはざまで、温暖化問題に関心を寄せる人々は、一体どのような結論を下せばよいのか。仮に「地球温暖化は真実である」が答えだとしたら、それはどのくらい重大なことなのか。下がることのない失業率、膨らみ続ける公的債務、数々の紛争、核拡散など、世界が抱えるあらゆる問題の中で、地球温暖化は私たちにとってどのくらい重要な地位を占めるのだろうか。 一言で言えば、地球温暖化は人類と自然界にとって大きな脅威だ。本書では、「私たちは気候カジノに足を踏み入れつつある」という比喩を使う。この表現を通じて著者が主張するのは、経済成長が気候システムと地球システムに意図せぬ危険な変化をもたらしているということ、そして経済成長と温暖化問題の対策は両立できるということだ。 私たちは気候のサイコロを投げている。その結果は数々の「サプライズ」を引き起こし、場合によっては深刻な事態を招く恐れもある。だが、気候カジノには足を踏み入れたばかりだ。今なら向きを変え、そこから出ることができる。
本書は、米国経済学の権威、ウィリアム・ノードハウス・イェール大学教授が、地球温暖化問題を取り巻く問題、そして今日までの軌道を修正するために必要な取り組みを、経済学のことなど何も知らない人でも理解できるようにわかりやすく、ロジカルに解説した。
目次
- 第I部 気候変動の起源
- 第1章 気候カジノへの入り口
- 第2章 二つの湖のエピソード
- 第3章 気候変動の経済的起源
- 第4章 将来の気候変動
- 第5章 気候カジノの臨界点
- 第II部 気候変動による人間システムなどへの影響
- 第6章 気候変動から影響まで
- 第7章 農業の行く末
- 第8章 健康への影響
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紙の本
50年後の1億ドルの為に今いくら金をかける?
2015/10/24 23:06
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る
1900年と2000年を比べると、二酸化炭素排出量は20億tから300億t以上に増え、平均気温が0.8℃上昇した。大気中の二酸化炭素濃度は1960年代の310-20ppmから2010年には390ppmに上がってきている。問題はこの調子で二酸化炭素の排出量が増え続けた場合に2100年には平均気温が何度上がり、その結果としてどんな事態が起こりえるかなのだが色々なシナリオによるとさらに1〜3℃ほど上昇するとみられている。この本では世界の気温上昇を2℃に抑えるためには どういう方法が有効かを経済学的な視点から提案している。
気温変化に対する応答には臨界点があり例えばグリーンランドの氷床の融解についてのシミュレーションでは5℃の上昇では20%が融けるだけだが6℃になるといきなり80%以上が融けそれから温度を5℃下げても20%しか氷床は戻ってこない。正しい答えは2℃ではなく4℃なのかもしれないが、どこかに臨界点が存在する。アルベド効果と言って白い氷は光を反射するが氷が融けると黒い大地が光を吸収しより温度が上がりやすくなる正のフィードバックも起こる。
温暖化人移設に対する懐疑論も根強い。曰く、0.8℃の上昇は二酸化炭素が原因とは言えないし直近10年では温度上昇は見られず今後も上昇はしない、地球は寒冷化に向かっている、数℃の上昇は悪いことではないなど様々だ。クライメートスキャンダルについてはこの本では触れられていないが、懐疑論を後押ししたことは間違いない。ただそれでも臨界点を超えないように安全サイドを目標にするというのは納得がいける考えだ。
排出削減の方法は経済成長の抑制、エネルギー消費の削減、炭素集約度の低下(より排出の少ないプロセスに変える)、二酸化炭素の除去などが有るがここは経済学者らしく費用と便益を比較しながら提案している。まず50年後の損害が1億ドルとした際に現在削減策にいくらかけれるかを現在価値に割り引いて計算する。投資の回収では普通の計算だが現在の費用が将来の便益(損失の回避)になるので適切な割引き率が設定できれば良く著者は4%を使い14百万ドルとはじいている。政策がある程度効率的に実施された場合気温上昇を2.5〜3℃に抑えるために必要な費用は割引き率世界総所得の1%以下でこれは楽観的に思えるがアメリカをはじめとする参加率の高さが前提となる。
著者は削減策としてはキャップアンドトレードでも、炭素税でも参加国が導入しやすいもので良く、ただ重要なのは国際的に炭素の最低価格を決めることだと言う。(試算では25ドル/t)ただ燃費規制などはコストの割に効果がなく、例えば小型車よりもSUVに甘い燃費規制を導入すると消費者に大型車に乗るインセンティブを与えてしまいかねない。
費用便益分析の結果では気温上昇の損害額は温度上昇と正比例の関係に近く、費用は上昇幅を小さくしようとすると急激に上昇するため費用と損害額を足した総費用には極小値が生まれる。参加率の高い楽観的シナリオでは割引きなしで計算すると2.3℃上昇で費用は世界総所得の1%となり、消極的な国が削減策に参加しない現実的なシナリオでは3.8℃で4%となった。ただし損失を4%で割り引いて計算すると4℃で2.5%ほどになる。効率の鍵は割引き率ではなく参加率の方となる。
「生態系の価値はお金では表せない」とか「いかなる対価を払ってでも、ホッキョクグマを救わなければならない」と言う人もいるかもしれないが、アメリカ、中国、インドが参加しないプログラムは無力なので、経済的な分析は有用だ。中国でも排出権取引は始まったしそれ以前に中国人自身が温暖化はともかくPM2.5にはうんざりしている。むしろ問題はアメリカの方かも。
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ノーベル賞
2022/04/20 21:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
それも、日本ではまだ一人も受賞していないノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者の書です。地球温暖化をストップさせつつ、経済成長を続けるのは、夢の世界ではないのですね、期待持てそうです