紙の本
ヒトラー
2014/03/27 20:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Maki - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白い!
2012年にドイツで発表され、「我が闘争」は発禁、ナチスの礼賛は禁止されている国で、またたく間にベストセラーになり、映画化まで決定した事が納得できる内容だった。
主人公はヒトラーであるが、ドイツ人がドイツ人の目線で書いた風刺小説であるから、受け入れられたのであろう。
原書については、早くから、インターネット等で取り上げられていたから、大体のあらすじはご存じの方も多いかと思うが・・・。
2011年8月30日、ヒトラーが突然ベルリンで目覚める。
彼には、敗戦直前に自殺した記憶がない。
人々は、彼を”ヒトラー”そっくりの芸人と思い込み、彼の発言を、強烈なブラックジョークだと解釈する。
勘違いが、勘違いを呼び、彼はTVのコメディー番組に出演し、人気を博し、ついには、YouTubeでアクセス数70万回を超える・・・・。
というところまでが上巻であるが。
ヒトラーや、ナチスの戦略、ナチス内の人間関係を知っていれば、周囲とのことばのやり取りや、ヒトラーのひとり言をより面白く感じると思うが、例え知らなくても、彼がTV番組や、街の様子を、現代人を、敗戦前の状況と比較し、斬っていくさまは痛快に感じるとともに、現代生活の便利さが果たして本当に必要なものなのか・・・・と考えるきっかけになるのでは・・・と感じた。
いや、”Wikipedia” をエンサイクロペディア(百科事典)とヴァイキングをかけ合わせた造語と考えたり・・・等々、彼の”勘違い”を読んでいるだけでも、充分、楽しめる。
ただ、これは、著者がドイツ人だからこそ、書けた小説だ・・・と思う。
ヒトラー政権を体感した人々にとっては、ドイツでも論争があったように、「Er ist wieder da」は、未だ受け入れがたいことなのだろうと感じた。
紙の本
狂気を笑えるか
2015/11/22 03:57
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代に突如と現れたヒトラーは、変わり果てたドイツに唖然とする。2011年の人々は彼の言動に失笑する。しかし第2次世界大戦頃の盲目的な熱狂を、今の混沌とした世界を生きている我々が笑えるだろうかと考えさせられる。
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アドルフヒットラーが現代のドイツによみがえって
いろいろな経緯の中で芸人になっていく話。
下巻もあるので内容はまだよくわかりませんが
期待はできるような感じ。
ただ、ドイツの歴史や現在の風俗や世俗が
わかっていればもっと面白いのだろうと思います。
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現代のベルリンに突如蘇ったアドルフ・ヒトラー。接する人たちは彼の振る舞いをブラックジョークだと勘違いして、コメディアンとしてデビューする……。
「もし現代に○○が生きていたら」という“if”の物語は決して珍しくありません。むしろ、陳腐化しているきらいがあるぐらいかも。ただ、人間味溢れるヒトラーの描き方にドイツでは社会問題化したそうです。その上で、同国で130万部のベストセラーになり、38カ国で翻訳が出版。映画化まで決まっているのだとか。書評を見て社会風刺小説としても面白そうだと思い、手に取った次第です。
今日読み終わったのは、上下巻のうちの上巻。ヒトラーと現代の人のやり取りの面白さに加え、今のドイツ社会の雰囲気も行間から伝わってきて、なかなか楽しくページが進みました。引き続き下巻も読んで、まとまった感想はその後に書こうと思います。
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きっと歴史を知ってる人には、
ユーモアもセンスも皮肉も面白く感じられる作品だと思います。
無知な私には、面白い部分はあるものの、退屈に感じられる部分も多い。
ただ徐々にヒトラーが魅力的な人間になってきている…下巻が見逃せない。
ドイツで130万部突破の大ベストセラーなのは、やはり自国の歴史を描いているから。
でもヒトラーを描く新鮮さはもんの凄い。
結局みんな、ヒトラーに惹かれていくのだろうか…
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この手の話は漫画でも結構あるので既視感はあった。しかし、ヒトラー本人が実際に話しているという設定と話し方を完全に再現している文章、そして現代社会の意外なところに興味を示すところ、アンジャッシュのネタを彷彿とさせるすれ違いが非常に面白い。
ナチスや現代ドイツ事情に精通していなくても面白く読めると思います。
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誰もが持ってるヒトラーのイメージと違う、一人の人間としての魅力…まあ、魅力かな?こんな人だったから皆挙って取り巻いて信奉してついて行ったんじゃないの?という凄い風刺の効いた小説。
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現代に蘇ったヒトラーが、そっくりさんのコメディアンとして人気となる。
ドイツでのベストセラーレビューを見てから、翻訳を心待ちにしていた。ヒトラー視点というのも驚き。
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現代のベルリンに突如よみがえったアドルフ…ヒトラー。奇想天外な設定のこの小説は、ユーモアの中に深い恐怖と警鐘を潜ませている…はずである。下巻へ。
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1945年に自殺したアドルフ・ヒトラーが2011年に甦るというなんとも不思議な作品ではあるがブラックジョークを交えながら現代の生活や国民との交流などに奮闘するヒトラーというのは読んでいて面白い。ヒトラーの側近の名前もちらほら出るので事前にヒトラーとナチスの事を勉強しておくと面白さ倍増。
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上巻読了。もしヒトラーが現代に生き返ってしまったら・・・という話。当然、まわりからはものまね芸人だと思われ、往時のまんまの発言がウケちゃったりする。人種差別とか現政権批判とか言いたい放題なんだけど、ヒトラーの口を借りてドイツ人の本音が語られてるような。
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第二次世界大戦当時だったら悲劇でしかないヒトラーの一人称が現代をテーマにすると喜劇になるというトリッキーな設定にヒヤヒヤします。ドイツ本国では賛否両論も当然かな…と。だって日本で言えばあの教祖が未来に蘇ってコメディアンになるみたいな感じでしょ?ただ上巻は巧みに構成されていてTV局のプロデュサーに初めて演説する場面ではこちらもコーヒー吹き出しました。そのくだりのオチ、秀逸。下巻へ。
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人生に失敗し、すべてを失ってしまった主人公が、死んだと思ったら見慣れない土地で目を覚まし、その地で徒手空拳から再び仲間を集めて再起を図る……というライトノベルの異世界転生ものみたいなストーリーだけれど、主人公がヒトラーで転生したのが現代のベルリンというところがちょっと違います。ヒトラーがもう一度チャンスを与えられたらどう行動するのかという思考実験的な部分と、ヒトラーの目を通して現代ドイツの政治や文化を皮肉るという風刺小説の二面が楽しめます。でも現代ドイツに詳しくないので、そういう意味でピンとこない箇所はいろいろあります。
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知れば知るほど面白い本のいい例として、この本を挙げたい。実際、読んでいて理解に3分以上かかったり、意味ありげな行の意味を結局読みとれなかったりして、ネタのうち半分以上は教養不足で理解できていないと思う。知らないから、ネタかどうかもわからないので、理解できなかった割合自体わからない。しかしわかると面白い。
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新聞の書評を読んで、面白そうだったので本書を手に取ってみた。
現代のドイツに「ヒトラー」がよみがえり、活躍するというなんという馬鹿馬鹿しさだろうか。
しかも、それがドイツで発売されるとたちまち100万部以上のベストセラーになったという。
「ヒトラー」の思想や言葉遣いなどのキャラをよく知らない日本で本書を出すには、ちょっと無理があったのではないだろうか。
本書には、いたるところにしゃれや風刺がきいているらしいが、よく理解できない。
それにしても気になるのは「現代のドイツ人」である。このような本がヒットする社会文化的背景にはどのようなものがあるのだろうか。
現代の日本で、「東条英機がよみがえりテレビのバラエティ番組で人気を得る小説」がヒットすることはとても考えられない。
現代のドイツ人はなにを考えているのか? いまさら「ヒトラー」に何かを求めているのだろうかとも考えてしまった。