小説っぽいところがかえって面白い戯曲
2011/04/03 20:11
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投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
恩田陸の戯曲。
葬式帰りに高校の同級生たちが集まった。彼らの話は、高校時代の不可思議な事件にいたる。
あとがきにもありましたが、とても<小説的>な戯曲。
まぁ、そこが恩田陸らしくていいと思うんだけど。
でもって、ミステリーとしてきちんとしてる一方で群像劇としての曖昧さが共存してるのがいい。
とてもバランスのいい作品といえると思う。
しかし、制作の過程が「日記」としてはいってるのだが…。
作家の集中力と、舞台人の忍耐力に、なんか感動してしまったのである。
ホント、舞台はすごいなぁ。
小説として楽しめる。
2016/12/23 23:05
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投稿者:雨かんむり - この投稿者のレビュー一覧を見る
劇団で上演されるために戯曲として間違いなく書かれた作品のようですが、ごくごく普通に、セリフだけの小説として十分に楽しめます。
読みながら、合わせて頭の中で上演されるさまをがんばって思い描く、なんて必要なし。
やはり小説家さんが書かれたものだからでしょうか。
(といはいえ、観劇したくもあります(笑))
それなりに面白いけど、印象にはあまり残らなそう
2018/02/15 05:57
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『猫と針』は小説ではなく、戯曲で、メーキング・オブ的なエピソードも収録されています。話のプロットも何もない時点でタイトルだけ決まり、チラシやチケット見本まで出来上がってきてしまうプレッシャーが描かれてましたが、本当にそのプレッシャーかなり怖いですね。
ストーリー展開はいかにも「恩田ミステリー」という感じですが、ほぼセリフのみで構成されているのでやはり小説とは違います。劇の評価は「小説を書く人の劇」なんだそうです。著者もよく分からないと書いてましたが、私もお芝居自体見ないので、その辺はよく分かりません。
お話自体はなかなか面白いと思います。「印象に残る作品か」と聞かれれば、それはちょっと怪しいような気がします。
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あとがきと解説は最初に読んじゃダメな本。
あまり演劇方面は詳しくないのでどうかなーと思ってたのだけど、ドキドキひやっとさせられました。さっすがー!
映像(舞台)でも見てみたい作品。
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劇団キャラメルボックス公演の為に
書き下ろされた恩田さんオリジナルの
戯曲のト書き作品。本当に演劇の台本の
状態で最初は読んでいてかなりの違和感を
持ちつつでしたが、そこは天才作家恩田陸!
流石の展開と内容でスグに引き込まれて
しまいます。
高校時代演劇部だった男女5人が、同級生の
葬式帰りに集まって近況を酌み交わすのだが...。
人はその場にいない人の話しをする...という
テーマ通りに5人は、退出して不在になった
人物の事を次々に話題にしていく。これは
自分達の日常と照らし合わせても、確かに
その通りだなーと。逆に言えば、自分が参加
していない場所では、他人にあれこれ言われてる訳で。
...そう考えると...コワイっすw。
ワンシチュエーションの日常の心理サスペンスに
偽りなしの妙な怖さタップリで面白いです。
舞台自体がこういった投げっぱなし感や、
綺麗に収束しないモヤモヤ感がアリなのかは
分かりませんがピタっと着地せずに全体に
刺のような引っかかりを残したまま終わるのは
小説好きからすると少し残念。
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2014/12/19再読。
喪服を着た5人が登場する戯曲。5人が集まった理由は?15年前の事件との関係は?戯曲の台本だけど、やっぱり恩田陸だなと思わせるところはすごい。でも、一人ひとりの性格が掴みにくくて、本で読むよりは生で舞台を見てみたいかも。
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演劇集団キャラメルボックスの公演の為に書き下ろされた戯曲。高校時代の同窓生の葬儀の帰りの男女5人による密室会話劇。次から次へと新たな事実が語られ、話が二転三転するという展開は好きですね。しかしここではひとつの大きな謎に対して語られている訳でなく、そう言えばと次々に話題が転じられ謎が散りばめられ絡まり翻弄される。この酩酊感こそ恩田作品の魅力でしょう。演劇としても観てみたかったですな。
作者曰く、人はそこにいない人の話をする。うん、なるほど。
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恩田陸が書いた脚本。台詞と少しのト書き。それでも一つの世界がそこにある。舞台で役者が作る世界を見たくなった。
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面白かったけど、あまりに短さにびっくり。
90分のお芝居という設定だから仕方ないけど、やはり恩田陸は
長編小説が良い!
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「人は、その場にいない人の話をする」。
「感謝しつつもあたしはあなたを憎んでいた」。
不穏な話。結末に安堵はない。謎は謎のまま。
恩田陸の「憎む」という言葉の使い方は独特。絶望であり、劣等感であり、嫉妬であり、羨望であり、自己嫌悪でもある。とても身近な感情なのだといつも言われているような気になる。
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小説としてもつまらないし、戯曲としてもつまらない。
現実と虚構の境界を模索し続ける姿勢はわからないでもないが、
成功しているとは思えない。
前後にはさまる前書き、後書きの意図はまったくもって不明。
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これはたぶん、深く考えたり犯人探しをするのは野暮な、雰囲気を楽しむ戯曲。
犯人は誰だ、とも思うし、全員に動機があるように勘ぐれるけど、我慢。
後書日記にもあったけど「鍋が二つあったの」で怖くなって涙が出そうになる。
MVP:なし
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「密室心理サスペンス劇」って書いてあったけど…
先に実際の演劇の脚本だって言っておいてほしかったな。
小説だと思って読むと、「解決篇」が欲しくなる。
これまで意外な展開で楽しませた恩田作品ならなおさら。
なので、雰囲気は良かったけど後に残るものがあまりなく残念。
最中は面白かったから…京極夏彦的な解釈なら良いのでしょうが。
「鍋が二つあったの」はちょっと怖かったかな。
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本作は、戯曲の脚本とその前後の日記で構成されている。
小説として読むと、少し面を喰らうかもしれない。
読後の感想としては、大分あっさり目な恩田陸ワールドだと思う。
全体的に恩田作品としての雰囲気が漂っている。
しかし、何か物足りない印象も。
肝心の戯曲としては、恩田陸ワールド全開。
個人的には、これこそ恩田作品の面白さだと思う。
最後まで明らかにされない部分もあるため、消化不良という言い方も。
しかし、それを含めて恩田作品なのでは、と思う。
価格、ページ数を踏まえて気軽に読める1冊だとは思う。
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過去に思いを馳せる物語。っていうか戯曲の脚本。答えの出にくい世の中だからね。人は兎角答えを求めたがるのかもしれない。でも謎は謎のままでいい。「謎」という答えがあってもいいのではないか。