紙の本
滅亡する地球を脱出した人類を描いた、壮大な年代記
2016/12/17 10:14
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
梶尾真治さんの作品を初めて読みました。
表紙とあらすじに惹かれて、手に取ったという感じです。
内容については満足しています。
本小説の特徴は、太陽フレアの膨張により滅亡間近の地球を脱出した後の人類を描いていることだと思います。
SF映画でこういった題材を扱う場合、太陽フレアの膨張を食い止めようとする人類や、
滅亡していく地球が描かれると思います。
しかし、本作品では地球が滅亡するときの描写はほとんどありません。
あくまで、人類の姿を描いています。
本作品に登場する人類は大きく3つに分類できます。
まずは、ノアズ・アークという宇宙船で地球を脱出し、遠く離れた約束の地へ3万人の人々。
閉塞環境の中でのストレスに耐えながら、生きていく人類の苦悩などが描かれています。
次に、転送装置で約束の地へジャンプ(転送)した多くの人類。
未知の星で、ノアズ・アークで脱出した人々に復讐することを誓い、危険に見舞われながらも懸命に生きています。
最後に、ノアズ・アークにも乗り込まず、約束の地にもジャンプしなかった人類。
彼らは地球が滅亡間近であることをわかったうえで、残された時間を有意義に過ごそうとする姿が描かれます。
このような人類を描いた作品はあまりないと思うので、かなり面白いと思います。
紙の本
優しすぎるよ
2016/03/06 19:42
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投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
梶尾さん。あなたは優しすぎます。
人類の最後に対して、こんなに優しい本はないです。
最期はもっと、ドロドロした血なまぐさい世の中になります。今までの歴史が証明しています。
でも、そんな優しい貴方の視線が好きです。阿蘇の草千里の情景はそんな静かな優しさと悲しさにぴったりです。
あそこでは、馬糞、牛糞の匂いがホントに良い香りに感じるんですよね。
阿蘇の静かなたたずまいを再認識させていただいて有り難うございます
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これは面白い。かなり長い話ですが、テンポの良さです。未開の惑星における開拓史、恒星間宇宙船による惑星間移民、滅び行く地球の終末、1粒で3度おいしい本です。
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とりあえず、この巻の最終章だけは「ファッ!?」となった。それまでとはちょっと趣き違いやしませんかね……?? いや、まあ、そういう設定はありだとは思うが、少々苦手であります。そんな感じ。
そこだけ抜かせば、かなり好みで面白い。
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太陽がフレア化し地球を飲み込むことが確実となった世界で人類は生き残るためにある選択をします。
1つ目は恒星間宇宙船で他の星(約束の地)に行くこと
2つ目は地球から成功率の低い”ジャンプ”を行い同じく約束の地へ移動すること。
3つ目は滅びることが確実といわれる地球に残ること。
それぞれの選択をした人類が直面する問題、葛藤などを
描いたSF作品。
特に地球に残った人たちの話は涙なしには読めませんでした。滅びることがわかっていてもなお人間として生活を営んでいくその考えは高齢化が進む現代社会を風刺しているのではないでしょうか?
あと最後のゴキ○リの話。衝撃的でした・・・色んな意味で背筋が凍りました。前半せっかくいい話なのに最後で台無しですよw 続編も期待です。
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未開の惑星でのサバイバル、
権力にもてあそばれる若い恋人、
「渚にて」の世界で育む愛、
誕生と滅亡を利用する政治とリーダーの苦悩、
次世代と人間社会の再構築、
そして、先入観を取り除かれた嫌われ者の愛らしさ!?
世代を超えていくことがわかっているので、
その後のその人たちがどうなったか
気になるところもあるが、エピソードの積み重ねが
どのように一つの物語に連なっていくか、楽しみ。
そして、あまり表に現れず静かに受け継がれる
捨てられた者の怨みと、騙し逃げた者の疾しさが
どのような結末を迎えるのか。
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少し読み進めるつもりで読み始めたら、一気に読了。
年代記的なオムニバス形式なので、ひとつの話の登場人物が次の話に出てくるとは限らない。また、出てきたら何十年もたっていたりする。
出てこなくなった登場人物のその後や、登場と登場の間に何があったのか、考えてみるのも楽しい。
まだ第1巻目、これからが楽しみ。
ただ、ほかの方のレビューには、最後は泣いてしまった。と、あったので、読む場所を考えなければならないかも(笑)
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三冊セットで購入。とりあえず一巻読了です。
世界の滅亡と地球からの脱出というテーマは色々な形で描かれているように思いますがとても梶尾氏らしい切り口の地球の滅亡と新天地への移動だなあと思いました。特に取り残された人たちの交流とか心の触れ合いが良いなあ、とじんわり思いました。
そして地球を捨てて旅立った船の方は…大丈夫かいな、という感じ。でもさらに移転装置で新惑星にたどり着いた面々は不安要素しかない。もう少し前もってこう、なんていうのか色々な資材とか送り込めなかったんだろうか。さらに言えば転送機械の組み立てキットみたいなものを送り込んで現地に人を送り込んで相互行き来が出来るようにすれば…とか色々考えちゃいましたがまあこのお話の核の部分はそういう所ではないんだろうな、きっと。大体地球人類全員送り出す方が先、って感じなんだろうし。
今二巻を読み始めましたが宇宙船でたどり着く一派と現地でそれなりに暮らし始めている彼らとの摩擦がどうなるのか。楽しみに読もうと思います。
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印象に残ったセリフは、『どぎゃんかなる!』
地球から遥か遠い惑星で、負けてはならじと口にする熊本弁が映える! 感動するが、なぜか、笑えるのがいい。
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天冥の標のようなものを期待していたら、
ライトノベルくらい薄っぺらかった。
ハードSFが好みだと、全く合わない本でした。
面白いと思うところもなくはないが、全体を通してチープ感が否めない。
タイトルから想像するような重い展開や、状況は表現されず。
そのような状況は語られることがないわけではないが、
古臭いハリウッドSF程度の表現力なので、盛り上がらない。
作家は結構な歳のようだから仕方ないのか?
恨みつらみを話の根底に引き出している割には、さして活用されない。
各世代毎に書いているが、正直なんで書いた?
薄っぺらい繋ぎの話なんていらないと思う。
長く重厚な年月を考えさせる本ではない。
やはり、日本人作家のSFはあまり当たらないなと感じました。
2巻までまとめて勝手しまったので、最終巻を買うか非常に迷い中。
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3部作の1
レビューは3巻目に
「ノアズ・アークの連中に裁きと、地獄の苦しみを与えるためです」
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はあ、面白い(溜息)。夢中になって読んだ。
太陽のフレア化が活発になり、数年後に滅ぶことが必至となった地球にて、新天地を目指す世代間宇宙船に乗った人々と、ジャンプにより見知らぬ惑星で新しい生活を始めた人々と、地球に残った人々の、それぞれの年代記。梶尾真治の本領発揮とばかり感情を思いっきり揺さぶられる物語は流石。今はまだ彼らは出会っていないけれど、いつか合流して交流できればいいと思う。
気がつくと我が身に当てはめながら読んでいた。もしこの物語にあるようなことが起こったら、私は絶対知らないところなんて行きたくない。ジャンプした先が岩の中かもしれない、空中かもしれない、原始的な生活の中で見知らぬ生き物に殺される恐怖をひしひしと感じながら生活しなきゃいけないかもしれない。故郷には戻れない。家族もいない。母国語が通じるのは集落の数人だけ。そんなこんな生活はいやだ。
1巻で印象に残ったのは、大統領の娘の恋の話と、鬼の集落の交流の話。きれいにオチすぎているといえばその通りだけど、こんな過酷な環境の物語なんだもの。美しいものを見られなくってどうするの。
人類滅亡もの大好き。買って良かった、読んで良かった。どの話も面白くて捨て話が一つもない。続刊も読む!
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宇宙版「恩讐の彼方に」でしょうか(怨讐違い?)。不幸な経緯でそれぞれ約束の地を目指すこととなった人類の歴史がゆったりと語られます。社会実験的な側面は、まさしくSFの本質のように思われます。楽をしているような方(宇宙船)も、以外に大変だったりするのが、新鮮でした。題名から、「サラマンダー殲滅」(大傑作)のようなエンターテイメントを想像したのですが、良い意味で裏切られました。
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普通に面白かった~!!アニメになれば見たいなと思う。転送装置とか太陽がフレア化して地球が滅びるとか、地球に残った人たちのこととか、ワタシの好きなエンターテイメントがたっぷり味わえた。最後のGが出てくるところでマジでさむいぼたちましたけど(笑) 2巻読むのが楽しみです。
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太陽フレアによる地球滅亡の危機が到来した。人類はどのように対処するのか。対処方法としては2つ。秘密裏に選ばれたごく一部の人々が宇宙船で新しい地球に移住する。テクノロジーの進歩によるテレポーテーション技術による新しい地球への移住(ジャンプ)。
よくある設定だとは思うが、宇宙船に乗船できるのは人類のごくごく一部。裏で脱出計画が遂行されるのも当たり前。一般人に宇宙船のことが漏洩されたことが知られると、当然のことながら残された人々は地球を脱出した人に対して怒りの感情を抱く。面白いのは、宇宙船が新しい地球に到着するのは数世代後の子孫になる一方で、テレポーテーションでジャンプした人々は瞬時に移住できること。しかも人数制限はない。ほとんどの人がテレポーテーションで一足先に移住した。宇宙船で脱出した人々への怒りを胸に抱いて。
星新一のショートショートにあるストーリーだが、こちらはもっとリアリティーを伴う。一瞬で移住できても、道具や資源がないので、原始時代の生活を余儀なくされる。人を襲う異星の生物もいて楽園のようにはならない。一方で宇宙船でも世代交代させる仕組みなどで問題は起こる。真剣に他の惑星に移住するとなると問題になりそうなことがどんどん起こる。宇宙に新天地を!というのは聞こえがいいが、実際にはどのような移動手段でも大変そうだなと思わされる。
地球滅亡を前に、人類はどのような行動がとれるのか、宇宙船で脱出するのか、テレポーテーション(ジャンプ)を使うのか、地球に残るのか。どの選択肢が正解なのか、深く読むといろいろなことを考えさせられる。本書はまだまだ続くので、続篇も読んでいきたい。