- 販売開始日: 2015/06/05
- 出版社: 駒草出版
- ISBN:978-4-905447-47-4
いないときに来る列車
著者 粟岳高弘
謎の斥力体が飛び、宇宙人が潜む不思議な町で暮らす昭和の中高生たちを描いた連作から、ひとりの女子高生に人類殲滅の運命が託された壮大な物語まで、鬼才が描く美少女SFの数々を収...
いないときに来る列車
商品説明
謎の斥力体が飛び、宇宙人が潜む不思議な町で暮らす昭和の中高生たちを描いた連作から、ひとりの女子高生に人類殲滅の運命が託された壮大な物語まで、鬼才が描く美少女SFの数々を収録!!
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隣人の性癖
2015/09/30 23:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世紀末、核戦争、人類滅亡の恐怖を肌で感じた東西冷戦時の記憶を少しでも持つ読者は、肩透しを食わされる、張りつめない緊張感の中での妙な居心地の良さが味わえる、あっさりとした短編が、連作も含めて、多数、収められている。
何故、宇宙人は女子中学生の生態に興味を抱き、大規模な仕掛けを施して、その裸体を覗き見ようとするのか、と、疑問を抱いてはいけない。宇宙人の嗜好は人類とは異なり、人類でさえ、少女の水着姿やヌードに、美を見出してきた歴史を知る者にとっては、無粋な、自明の理である。
昭和の後半を舞台にする事で、一昔前の機械や風俗に対する知識を実体験として保持する者の意表を突く、腑に落ちながらも微かな違和感を残す、その違和感が不快感や否定的な感情を催さない、郷愁とは異なる親近感に似た感情が、きっと、湧き上がるであろう。平成以降に生まれた読者の興味も必ず引く趣向に満ちた、少しずつニュアンスの違う物語の中を、一度でも覗いた途端、何かが心に引っ掛かり、また、その世界に浸りたくなる中毒性が宿っており、注意が必要だ。
名立たる出版社の発行する夥しい漫画の中で、似たり寄ったりの作風が氾濫し、現状に飽き飽きしている読者こそ、新たな読者になる資格を備えていると言える、堅苦しくない、芯の通った、SF作品集の体を装っていると誤解されるかもしれない、紛れもなく、女の子と謎の生き物が活躍するSF漫画である。