あとがきと解説を読んでから読み始めたい。
2016/11/03 10:28
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきと解説を読むと、もう一度読み返したくなる。
戦後に生まれた世代にとって戦争について人から語られることしか知らない。
なんとなく分かっているように思っていて、
戦争はいけないと考えている。
主人公は「全部そうしろと言われたからにすぎない・・・ぼくは何も考えていない」
そして主人公が瓦礫しか残っていない広島の街並みを歩く。
読者は戦後の歴史を知っているが、
主人公はその時何を思って歩いていたのだろうか。
震災を経験した私達は、主人公と同じように破壊され尽くした街並を歩きながら「ぼくは・・・何も考えていなかった」と気づかされる。
過去を知る意味に気づかされ、
今を考えることに気づかされ、
過去を捨て去ることが出来ないことに気づかされる。
戦争について考える
2015/08/17 19:22
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投稿者:T.s - この投稿者のレビュー一覧を見る
何だったのだろう。あの夏は。70年前の夏。空は今と同じだろう。
ただ1つ分かることは、「戦争は駄目」ということだ。
広島へ向かう中”ぼく”が思ったこと。
流されるまま戦争へ
2020/05/06 08:42
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦時中の混乱の最中に19歳の少年が、淡々と上官の命令を受け入れていく様子がリアルです。同調圧力の前に個人が考えることをやめるのは、今の時代も同じなのかもしれません。
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作者の伯父の体験をもとにした小説。
通信兵を務めた主人公は他の人よりも早く敗戦を知ってしまった。東京5時25分発の列車に乗って広島へ向かう話。
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叔父の体験談をもとに書かれたということで、リアルな描写が入っていた。陸軍の特殊情報部というのはとても貴重な体験であまり聞いたことがなかった。無駄な部分をそぎ落として余計な脚色をせず、変に感動させようとしない全く欲のない文体に好感が持てた。
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非常に短い物語で淡々としている。
戦争を描いた小説…というくことで、なにかしら激しいモノに触れることになるのかと思ったけれど、決してそうではなかった。
あの時代のひとは兵隊もそうでないひとも、ただ時代に翻弄されたのだなぁと感じた。そして、そうやって人生の一時期を終えてしまうのはやはり、悲しいことだと思う。
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終戦の日(になった日)、東京駅から故郷の広島へと帰る少年兵のロードムービー。
「あの戦争」を語るには穏やかすぎるくらいの文章で、そこには怒号も慟哭もない。
主人公は「終戦」という未来を知るには早すぎて、すでに焦土と化した故郷に辿り着くには遅すぎた。あるのは、そうした宙ぶらりんの虚無感と喪失感。「中空」と言い換えれば、何とも現代的ではないか。
故郷を目指す主人公の旅は、彼の過去の回想をさしはさんで進んでいく。過去と今、絡み合う二つの時間軸の先に浮かび上がるのは、もう一つの「その日」である。
過去を見つめなければ現在は見えない。
現在を見つめなければ過去は見えない。
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西川美和が“聞いた”戦争の話。
戦争を知らない世代にとって戦争は遠い話だけれども、当時を生きた人であっても戦争をいくらか遠くに、それでもやはり近くに感じていた。そんな戦争との距離を考えさせられる話。最前線ではなく無線部隊にいた作者のの叔父から聞いた話を元にしている。
少年の目線で描かれているが、自分自身もいざ戦争になってしまったらその程度の目線しか持ち得ないのだろうと考えた。戦後70年の節目になるタイミングで読めてよかったのだと思う。
新宿紀伊国屋で購入。なんか急いでいて決め打ちで買った。
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戦時中、通信兵として広島から東京へ任務についた「ぼく」。
その後、故郷の広島では新型爆弾が落とされた。
それでも言われるままに任務を続けなければならない。
短い物語だけれど、当時の人達の思いは良く描かれていると思う。
この話は、作者の叔父が戦後に親戚に向けて配った手記を基に書かれたという。
終戦をいち早く知ったという部隊があったこと。
戦争には、知られていない部分がまだあるんだと感じた。
2017.6.4
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戦争文学の新境地だと思った作品。
作者の叔父の実体験が元になっているそうです。
主人公は戦争末期に徴兵され、通信兵となる(敵の暗号を解読したりする仕事)。理不尽な上官にいじめられることも、敵の弾が飛んでくることもなく淡々と日々は過ぎていく。
そして迎えたあの日。
主人公は仕事の性質上、一般国民より一足早く終戦を知る。隊は解散となり、主人公は故郷の広島へと帰っていく。
これまでの戦争文学って、最近流行った百田尚樹の「永遠の0」もそうだったけど、戦時下のドラマチックで悲劇的な面を描くことが多かったと思うのです。でもこの作品にはそんな側面が一切なくて。ある書評が「静謐」という言葉を使って論じておられましたが、まさにこの言葉がピッタリ。ひたすら静かに静かに物語は進んでいき、終わっていきます。でも読み終わった後に「確かに、これも戦争だったんだな」と不思議な納得感を得られました。
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脳みそがぐちゃぐちゃになってしまった。
正直戸惑っている。
この本はすごく淡々としていた。
召集されたということ自体が、もう絶望的なことなんじゃないの?と思ってたし…でも、銃も扱ってみたいし、ともすれば大砲も撃ってみたい という描写は妙にリアルなんだよな(実話をベースにしてるからというのを差し引いても)。実際吉井くんと同じ立場にあったら、案外そんなものなのかも。その目で悲劇を見ない限り、危機なんて感じないものなのかもしれない。人間てほんとにおめでたくできている。
もちろん、淡々とは書いてあるが、吉井くんたちが大変でなかったわけではないだろう。あの時代に、中空を生きる ということ、それもまた苦悩があったのではないだろうか。
益岡との別れがしんみり悲しかったな。
大阪よいとこ一度はおいで。
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"戦争で死ぬことと、滅びた後を生き抜くこと。いったいどちらが苦しいことなのか。"
戦争って、みんなが、苦しくて辛くて悲しくて、劇的な体験をしてるのだと思った。
読んだ印象としては、淡々とし過ぎて。「本当に戦争の話?」と思ってしまった。
実際は、全部が全部淡々としてたわけじゃないんだろうけど、読んでても、戦争の実感がなかった。そうか、こうやって、時代の流れにそのまま流されるだけの人もいたのかな。
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広島出身の著者が、伯父の体験を基に執筆した「日本のいちばん長い日」。
親友とともに終戦の日の朝、東京から西へ向かう列車に乗り込む19歳の青年。通信兵という立場から、いち早く無条件降伏の敗戦を知った彼らの見たその日の日本。今までにない視点が、とても斬新で切り口が鮮やかだ。列車内の子供と、故郷で偶然出会った姉妹の「生きてやろう」感がとてもたくましい。
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このような話は初めて読んだし、初めて聞いた。
テレビや平和学習なんかで見聞きした悲惨な出来事は当たり前だけど真実で、この著者の叔父のような話もまた真実なのだなと。
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悲壮感のない戦争小説。とてもよかったです。
青年の無垢な視点から語られる様子は、阿川弘之の「雲の墓標」を彷彿とさせました。
淡々としているがゆえにリアリティを感じさせられます。