紙の本
根なし草のような人たち
2020/06/08 20:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
真っ当な暮らしを送ることができない、3人の男女の束の間の共同生活が心地よいです。稲光のように消えていった直子と智に、ただひとり確かなものを手に入れた泰子の姿も忘れられません。
電子書籍
ごく普通の生活って?
2017/10/07 01:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ごく普通の生活とは?と主人公は常に意識しているのだけれど、確かに皆、自分はごく普通なのか?と考えたことはないのかもしれない。そして、普通の生活という時の普通は各自違うのは当たり前なのだけど、そのことをあらためて考えたことはないかもしれない。普通とそうでないこと、それは、すぐそこにある奈落であり、紙一重のこと、というのは、角田さんの紙の月でも感じた独特の世界観だと思う。
電子書籍
表紙が
2021/08/01 04:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
やさしい感じだったのに、内容はなんか……重いというか、……結婚という幸せを間近にした泰子の前にふたたび、智母子が現れる。でも、その母は常に誰かに頼っているような女で……というストーリー。平凡が幸せだと思いました
投稿元:
レビューを見る
「ふつう」って何だろね。
お父さんがいてお母さんがいて兄弟がいて自分がいて、お父さんが働いてお母さんが家事をして?うちはこういう家庭だったかもしれないけど、「ふつう」の家庭だと思ったことはないな。それなりに波乱万丈。だから、答えがないのに「ふつう」を追い求めて生きていくのかも。ないものねだり。
共感はできなかったけど泰子の想いは胸が痛む。でも智よりは地に足がついている。「ふつう」じゃないかもしれないけど、何とか生きていけそう。
投稿元:
レビューを見る
智と泰子はふつうの生活を知らない。家族が向き合わない、家族という形になっていない生活。人にも物事にも向き合えず逃げてしまう、そのせいで世間一般的なしあわせを掴めない。
直子も智もなんだか憎めず面白いキャラクターだけど、身近には絶対いてほしくないタイプだなーと…。社会にうまく組み込めていない感じがやるせなかった。
投稿元:
レビューを見る
物心つく前から母の直子について日本中を転々としていた智。恋人に、ふつうの生活ができない人、と指摘され、改めて自分の過去を振り返ったとき、ある一人
少女の記憶が甦った。
その少女泰子もまた結婚を目前にし、ふつうの生活を始めようとすることに躊躇していた。
二人が再会するところから物語は始まる。ふつうの生活を求めているようで、それを積極的に目指そうとするわけではない。自分たちがこうなったそのルーツである直子の内面を解き明かそうとするが、結局はあるがままの自分の位置で暮らしていくしかないのだと、最後は諦めでも悟りでもなく、なんとなく収束していく。一見特殊な人々を描きながら、人生を納得させられる。
投稿元:
レビューを見る
彼らの様に生きることが出来る人を私は知らない。でも、誰もがほんのわずかな部分は、そんな生き方をしたいと思っていたりそんな生き方をしているんじゃあないかと思える。普通じゃない、真面目じゃない、きちんとしていない、流れている、流されている生き方を。ホームレスさん達のような生活になっても案外平気で生きて行けるかもしれないと、陽炎のような思いが浮かんだ時があったのを思い出した。
投稿元:
レビューを見る
文庫版のカバーイラストと帯とあらすじを見て、一目ぼれしました。想像とちょっと違った話でした。
一般的に言われる普通の生活ではなくて、それより少し下の生活を送ってきた智と母直子、そして、泰子。関わったことにより生活がふつうではなくなってしまったのか、それともふつうとはいったい何なのか、そんなお話でした。
始まってしまえば、なんとかなって乗り切っていくものなんだよっていう直子の言葉が印象的でした。
普通の生活がわからなくて、逃げ出してしまう智、普通の生活がわからなくて、結婚から逃げてしまう泰子だけれど、泰子の方が地に足がついている感じがした。
投稿元:
レビューを見る
赤城くんが読んでそうだと思い、購入(なんでだよ)
想像していたのはつらつらと考えを語る系だったけど、展開展開また展開と意外にもさくさく引き込まれていく感じ。主人公は乙女ゲーの中にいそうだなあと思った。「始まってしまえば、もう元には戻れない。ただ終わりに向かうのだ」(だっけ?)は私の教訓。
投稿元:
レビューを見る
なんかビミョーかなあ。
人並みの幸せっていうのはなんだろうね。
形のない理想は、絵に描いた餅と一緒なんだな。
投稿元:
レビューを見る
子供時代の出来事にどうやって折り合いをつけるか、とても悩みます。
客観的に物事を観れるようになっても、心と頭はまるで別だから。
ストンと何かが気持ちよく収まる日を皆どこかで待っているのだと思います。
H27.8.29~9.3読了。
投稿元:
レビューを見る
智の母親の直子は、捨て猫のようにいろいろな男のところを転々とする暮らし。一時一緒に暮らした泰子と再会し。。。
投稿元:
レビューを見る
私には絶対に無縁の話だろうけど、なぜか自分のことのように恐ろしくなってしまう。
そこが、角田光代さんの作品らしい。
私はどこへ向かっているのか、あてもない場所へ向かっている。でもきっとそこへ行く運命なのだろう。何気なく過ぎていく毎日は、そうなるようにできているのだ、と思わされ、今自分が進んでいる方向が、自分の意志でなくても、そうなるようにできているのだ、と不思議に納得させられてしまう。
山信太郎と泰子が子連れで再会するシーン。
太郎が泰子と別れていなければ、実は生まれていない。泰子が智に再会して、明日花が生まれたから、実が生まれた。もっともっと遡ればキリがないけど、1人の人間が生まれてくるのはいろんな人のつながりや縁がもたらすものなんだって、当たり前なんだけど、ものすごいことだなって思ったら、涙が止まらなかった。
私は私の人生を辿るようにできている。
見えない縁に結ばれて、私はたくさんの人に出会っている。
改めて、たくさんの偶然に感謝して、前を向いて生きていこう。
投稿元:
レビューを見る
角田さんの家族ものが好きなのは、自分の記憶を辿らせる力があるからかな。私も根無し草が安心するという奇妙なたちを少なからず持ち合わせているので、転勤族だった影響とか、なんかいろいろ考えてしまった。
これからどうなるかなんてわかんないけど、どうにかなる、どうにかするものだというくだりがすとんと落ちた。
投稿元:
レビューを見る
皆が放っておけないものを持っているせいでそれに甘えてしまい、他人の普通の生活を次々と壊してしまうアル中の直子と、昔から女に不自由しないものの関係を持続させることができない息子の智。かつてこの二人と一緒に生活し、「普通の幸せ」を掴もうとしていた泰子の前に智が再び現れることで物語が動き出す。
他人の思いなど全く気にせず、面倒くさいことに目を背けることを何とも思わない自分勝手な智と直子に中盤までは胸くそ悪くなる一方なのだけれど、いつの間にか二人の持つ自由さにある種の羨望を抱いてしまうところが面白かった。著者の熟練の筆致だからこそなせる技でしょう。
ストーリー自体は割とあっさりしているというか、例えば傑作『八日目の蝉』『森に眠る魚』のような凄みはないけれど、これはこれで十分楽しめました。