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洞爺丸はなぜ沈んだか
著者 上前淳一郎
昭和二十九年の青函連絡船洞爺丸沈没事故。タイタニックに匹敵する多くの犠牲者を出したこの事故の全貌を、時間の経過を追って克明に再現し、事故の真因にせまる。
洞爺丸はなぜ沈んだか
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洞爺丸はなぜ沈んだか (文春文庫)
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紙の本
荒々しい神
2007/06/30 12:37
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和29年の悲劇だ。青函連絡船だった洞爺丸は台風の為 函館港の中で沈没した。
1155名もの犠牲者の数はタイタニックの1500名に匹敵する。
この本は 沈没した日を時系列にじっくり追って書かれている。読んでいて その臨場感に圧倒される。
結局自然を読み違えた人間の話だ。同じ瞬間に青森港で出港しようか迷っていた羊蹄丸は出港を中止し 難を逃れる。台風を読み違えた洞爺丸は 出港し 沈没する。著者は この2隻の判断の違いをくっきりと描き出している。
著者は羊蹄丸の船長に「所詮 人間は神ではない」と言わせている。台風は 荒々しい神であった。それに人間の才覚なんぞで立ち向かうことは そもそもおこがましかったということだ。
現代は 気象情報は 昭和29年とは比較にならない。台風を読み違えて客船が転覆するなどという惨事も起こらないと思う。
しかし 人間が神ではないという点では 昭和29年も今も同じだ。形を変えた「台風」は今でも僕らに襲い掛かってくる。そうして 僕らはやはり 無力なのだ。