紙の本
アメリカについて考えるうえで重要な一冊
2023/09/28 12:49
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
反知性主義というとホフスタッターのそれが思い浮かぶが、森本の本書での評価はホフスタッターと必ずしも一致するのではない。アメリカの反知性主義をどう評価するにしても、アメリカ社会を作っている要素の一つであることに間違いなく、アメリカについて考えるうえで重要な一冊である。
紙の本
反知性主義
2019/12/31 22:44
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書では、メディアなどでよく使われるような使い方ではなく、権威主義的ではない伝道を行うキリスト教という本来の意味で「反知性主義」を使っている。アメリカのキリスト教の歴史に通じている著者が、アメリカで時折起こる熱病のような宗教的情熱について記している。
特に、アメリカ各地で起こるリバイバリズムは、面白いと思う反面、恐いとも感じた。
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反知性主義を正確に知る最適な書籍
2018/05/21 12:03
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投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「反知性主義」と聞くと、勉強や学問することに反対する思想という誤解を抱く人が多いが、反知性主義とは本来はキリスト教に端を発している。中世のキリスト教のような厳格で格式張って難しい聖書を難しく語る聖職者に対する姿勢として、反知性主義は生まれた。従来の中世キリスト教の典型的な方法だと、一部のインテリのみがキリスト教を理解することができない。そのために、民衆にもわかりやすくエンターテイメント性を取り入れようとしたのが反知性主義者の方法である。ある意味的を得た考え方であり、共感できる部分はある。しかし、果たして反知性主義者によって広まったキリスト教の解釈は本当に正しいのか?その辺も考えながら読むとより面白くなる。本書は、反知性主義を正確に知るための最適な書籍である。わかりやすくかつあっという間に読めてしまう。
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ふたつのアメリカ
2017/07/18 18:47
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投稿者:きみどり - この投稿者のレビュー一覧を見る
権力と結びついてきれいごとを言っているだけのように見える知識層の人たちと、
ただただひたすらに地に足つけて地道に汗を流して働く人たち。
トランプさんやサンダースさんが支持された理由もわかるし、
進化論や地球温暖化をかたくなに否定する人たちがいる理由もわかる。
日本では、自称「知識人」のコメンテイターが、
意見の多様性を認めることができずに、
レッテル張りのために使うことが多い「反知性主義」という言葉だけど、
もっと深い意味があるんだな、と。
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キリスト教史の視点以外にも読める
2016/03/11 18:33
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投稿者:ぐどん - この投稿者のレビュー一覧を見る
反知性主義について、キリスト教史およびリバイバリズムの流れから追った本書だが、単にそれだけで読み終えるにはもったいない本。結果的にではあるがアメリカの大学史の外殻もなぞっており、もし高等教育史に興味があるのなら強い補助線を引く意味でも読む価値があると思う。
反知性主義とは「バカ」という言葉を学術的に表現したものではない。むしろ正当な存在意義がある事を本書は示している。では反知性主義とは何であるのかは、自身で読んで確かめてほしい。
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今年のベスト候補②
「反知性主義」というのは分かりやすいようで、分かりにくい。
単に、漠然と知性が無い、知性レベルが低下している状況を指す言葉かと思っていたら、結構、奥が深いらしい。
高度に知性主義が進んだアメリカ社会において、知識ではなく、もっと生身の直観、体験、心情から、信仰、哲学、生き方といった人生の根本的なものを捉え直そうというムーブメントとでも表現するものという。
確かに、アメリカは分かりやすそうで分かりにくい不思議な社会。高度に学歴社会でありながら、偉大なるアマチュアリズムが共存している。会社でも、日本に比べてはるかに学歴主義が浸透しているにも関わらず、やっていることは「試してみよう」のアマチュアリズム。
そんなアメリカ社会、またアメリカ人を理解する上での必読書。
特に、魂の救いと、この世の成功とを重ね合わせる信仰観は、なかなか腑に落ちないものだったが、この本を読んで、あぁなるほどと思わされた。
面白かったのは、自由競争を通して教会が鍛えられたから、今に至るまで教会が元気なのではないかという見方。
早くから政教分離原則を打ち立てたアメリカ。そのため、政府の支援がなくなった各教会は自分で食っていかなければならない状況になった。つまり、教会は、信徒を集め、献金を集めなければならなくなった訳ですが、この競争相手は、別の教会だけではなく、休日に盛んな「娯楽・リクリエーション」にもなる。
「娯楽・リクリエーション」との競争に打ち勝つために、教会は工夫に工夫を重ね、ふんだんにエンターテイメント的要素も取り入れつつ、信徒獲得に努力していった。その結果、今に至るまで、先進諸国に稀にみる教会の盛況がある。市場至上主義の教科書のような説明だが、説得力がある。
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帯を見る限り,社会的に危険な思想がどう形成されるのかという物騒な話をセンセーショナルに描いた本のように見えるが,実のところ,アメリカ的なキリスト教の受容について,伝道者の歴史を中心に描いた著である。
私は,キリスト教から検討したアメリカ入門として読み進めた。例えば「反知性主義」が知識を学ぶことからの逃亡ではなくて,むしろ積極的な平等主義,あるいは反権威主義的な態度の発露であるという点や,「多くのアメリカ人にとって,教会とは当時も今も,社会的な交流の場なのである」(p. 209)という点は,日本であればどこが該当するのかなどを思い浮かべながら考えるところが多かった。
学術書ではないため,引用・参照は最小限であるが,それでも参考文献が数多く,巻末にあげられているので,これからアメリカに関した何かを学ぼうとするならば,一読しておいて「損はない」と思う。
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なぜ大統領選挙があのようにもりあがるのか、分かったような気がした。「特命全権大使米欧回覧実記 1 普及版 アメリカ編」を読んだ後だったので、タイミングとしても良かった。
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キリスト教から見たアメリカ史、あるいは「キリスト教のアメリカ化」の歴史。
ピューリタンの国として逆に極端な知性主義から始まったアメリカの、民主的平等への熱情の帰結としての「反知性主義」の誕生と、それを担った伝道者の列伝。
アメリカの「反知性主義」は、知性など無用だと切り捨てるような、偉そうにしている「知性」へのルサンチマン的な反発のことではない。知性が権力と固定的に結びつくことへの反感、「知的特権階級」への反感、知性の越権行為への反感であるという。それは民主的で平等な社会を求める気持ちの帰結である。
だから、アメリカでは極端な知性主義と反知性主義が共存できる。アメリカとはそういう社会なのだと考えると、その行動が腑に落ちることがたくさんある。
映画のシーンを参照したりしながら、ひとりひとり実にユニークな伝道者のアクションが活写されていて、実におもしろく読める。誰も、信者の不安につけ込んで騙してやろうとしているのではない。アメリカ的キリスト教においては、信心深いからこそ信仰とビジネスが手を携えて、熱狂していってしまうのだ。
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ICU学長の森本あんり先生が、米国の礎になっているキリスト教感を解説しています。米国がキリスト教とどう関わり、国際社会の中で、なぜ今のように振舞っているかが分かります。反知性は、知性に対するアンチテーゼ、それが米国です。
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「チャーチ」「セクト」などアメリカ(人)の根底にある考え方を知るのに格好の一冊。あんまりオツムが良さそうに見えなかったブッシュJr.が大統領になれたわけもよく分かる。ハーバード大学の建学の経緯や位置付けは、ある種の人たちとの飲み会ネタには使えそう。
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タイトルから、作者の名前の印象からは、一体なんの本なのか分かりにくいだろう。アメリカにおけるピューリタン、キリスト教におけるリバイバル(信仰復興)の歴史。学歴がなくとも話術があれば牧師や説教師となることができ、その人望によって宗教を利用したビジネスも成功させやエピソード満載。教会という必要とされたコミュニティの場の存在。アメリカにおける大学の序列。
著者はICUの学長ではあるが、決してキリスト教を礼賛する目的ではなく、史実をユーモアを交えた語り口にインテレクチュアルを感じる。ヨーロッパとは異なるアメリカでのキリスト教への対峙の仕方を知ることがこれほど興味深いとは。
映画『ペーパームーン』の例が紹介されていて、未亡人の家を訪問して亡きご主人からの依頼だと夫人の名前を金文字でいれた聖書を売る詐欺の話である。これも当時のアメリカにおけるキリスト教の浸透ならではか。
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本書を読んで「反知性主義」という言葉の定義が分からなくなった。
知性にたいする反発だとか、愚民政策だとかを連想していたが、本書を読むと少しニュアンスが違う。
単なる知性への軽蔑と同義ではなく、知性が権威と結びつくことに対する反発「反権威主義」だという。
アメリカ人が如何にして、キリスト教を信仰し、反知性主義になっていったのか、歴史を紐解き非常に分かりやすく書かれている。
それにしても、キリスト教派がたくさんあることに驚いた。
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反知性主義、それの根底にある、アメリカのキリスト教史についてとても興味深く書かれていました。理解が及ばない部分はありましたが、キリスト教史から見える今のアメリカの姿というものが少しわかった気がします。
しかし、根本的にキリスト教への理解が浅いのということがよくわかりました。
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建国から今日まで、一貫してアメリカの土台に横たわる精神的土台についての本だととらえた。アメリカにおけるプロスタンティズムのあり方について、リバイバリズムを話題の中心に据え論じている。
「知性にせよ信仰にせよ、旧来の権威と結びついた形態はすべて批判され打破されねばならない。なぜなら、そうすることでのみ、新しい時代にふさわしい知性や信仰が生まれるからである」とある通り、反知性主義は既存の権威に対する反抗である。懐疑が哲学的態度土台であることからもわかる通り、このような姿勢は(反知性主義という名称とは反対に)非常に知的なものであった。このような精神性の系譜は、こんにちアメリカを特徴づけるプラグマティズムへと接続していった。
本書を読んだあと、アメリカという国に興味がわいた。個人的にはアメリカ史に対する入門書として非常に有用だと感じた。