紙の本
高度成長期時代に、社宅で暮らす妻たちの人間ドラマが面白い
2013/06/15 19:25
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投稿者:ポムポム - この投稿者のレビュー一覧を見る
高度成長期時代のある一流企業の社宅を舞台にした物語です。
主人公の時枝音子は、T大卒のエリートを夫にもつ主婦。
夫の転勤と共に近代的な設計の社宅に引っ越しが決まり、
濃密な「社宅での生活」がスタートします。
行動が筒抜けの環境で、主婦ならではの悪気のない若干軽率な憶測と噂話。
きっとひとりひとりは悪い人ではないのだろうけれど、見栄の張り合い、
陰口の叩き合いで、サイコスリラーの様なぞくぞくする怖い面もあれば、
コメディのようにほっと笑える部分もあって、さすが「有吉佐和子!」と、
感心しました。
昭和40年代くらいの時代背景を感じる「モーレツ社員」という単語や
お歳暮を使いまわす話など、時代背景も中々興味深く取り入れられていますが、
人の心というのは、昔も今もさほど変わりはないのかもしれません。
ちょっと感情的でイタイ所のある主人公の音子が、自業自得な部分もありながら
途中で精神が壊れかけていく様子は心配になりましたが、
決して救いのない、不快な終わり方にはならないので、ご安心を。
厚みのある本ですが、最後までグイグイ読ませる文章はさすがです。
電子書籍
現代と同じ
2017/05/31 14:37
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投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代は高度成長期ですが、社宅住まいがエリートの象徴だったんですね。
しかも棟で順列も決まるという怖さw
社宅、ママ友関係は今と全く同じですね。
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社宅に住む奥さんたちの日常
旦那の出世、子供の進学等を巡って奥さんたちが対立
あっちの人達が喧嘩してたと思ったら、今度はこっちの人達…
延々と続くんですが、なんだか引き込まれてしまいます。どちらかというと、私は女ですが、旦那さんのスタンスに近いかなぁと思います。奥さんの中なら森夫人が一番働く女性の感覚に近いかもしれませんね。
程度の低いいざこざですが、そのせいか他の作品よりも身近に感じます。
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女性の怖さは喋りまくる割りに、突如の沈黙が怖いのだが。またそれも魅力のうちだったりする。(私の女性観でね)
すこし、この小説に登場する女性たちは、語りすぎだったかも。わては、橋田おばはんより向田ねえさん好きなんやて。残念。
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ん~、やっぱりいいですね、有吉佐和子の描写は。
この当時でも日本語の砕けかたは、ちょっと違和感あるけれど、現代のに比べたらマシ。
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さすが有吉佐和子作品と思います
単純な社宅のおしゃべりだけではない
人間の描写が描かれていると思います
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有吉佐和子の名作復刊第二弾ということで平積みになっていた。ぺらぺらめくるとおもしろそうだったので読んでみました。
一流会社の社宅に繰り広げられる、奥様方と息子とついでに夫の生態を描く。読んでいると、作者佐和子氏はどこか覗き窓か望遠鏡で各部屋を観察しているような雰囲気がして、読んでる者も一緒に覗いているような感じになる。主人公の主婦・音子に一体化はしない。
解説が無いので、全共闘、教育ママという言葉と、カラーテレビがある、などの言葉から時代設定は70年前後かな、と思ったが時代設定にかかわりなく、自分の息子の成績と夫の出世に一喜一憂する主婦・音子の言動・言葉は現在でもあてはまる部分があると感じる。これは専業主婦でなくとも勤めてる妻・母でも多かれ少なかれ持つ感情ではある。ただ専業主婦だと勢い昼間の8時間を目いっぱい息子と夫の事に投入できるので、この小説のようなことになるのだろう。しかしここでは妻は息子の成績と夫の出世によって評価される。評価というより、自分が気持ちよくなれる、ということか。妻自身は仕事をしていないので成果は息子と夫でしか現れないのだ。
オスはメスを選ぶのに子孫を残せそうなメスを選び、メスは木の実や動物を倒せそうなオスを選ぶ、ということが竹内久美子の本だったかに書いてあったような気がするのだが、”木の実をたくさんとってくる一流会社勤めのオスをめでたくGETした妻たち”という図を思い浮かべてしまった。しかし社宅に住まざるを得ないところがミソである。
調べてみると、1970年4月~12月に毎日新聞に連載され、71年に新潮社から単行本。71年10月~3月までTBS日曜9時からドラマ放送されたようだ。子供が6年で、夫は戦争に行っており、妻は女学校を出た設定だ。とすると夫は大正10年代生まれで妻は同じか昭和ヒトケタの生まれの設定になる。・・自分の家族と同じような感じだ。ドラマでは音子・八千草薫、夫・山内明でまさしく予想設定通りの生年の人だ。
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社宅地域内で起こる軋轢や確執の日々。読んでいて辟易する。男目線だと、暇な専業主婦はこんなものと見下してしまいがちだが、サラリーマン社会もレベルは一緒である。
どんなコミュニティーでも、自己の位置を高める為に、他人をあの手この手で貶めるのは生き物の性かもしれない。
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主人公の女性には嫌な感情しか持てず、読んでいてもイライラしてしまったのだけど
それでもフト振り返ると、程度の差はあれ
自分も同じようなことをしているのでは?!・・・なんて思ってしまったりして。
きっとこの小説の主人公は形を変えながらも
全ての女性の中にいるのではないかな?
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カラーテレビやらお受験やら、話が少し前のことなんだけど、古臭い感じがしないのが、有吉佐和子のすごいところ。世の中は日々変わるけど、人間の本質は変わらないんだろうなと感じる。狭いコミュニティの中で、自分がいかに上にいくか、心理戦が面白い。ちょっと辟易してくる部分もあるけど。
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一流会社の社宅における人間関係のお話し。お中元の処理の仕方に時代を感じて面白い。
時代背景は少し古いと感じるだろうけれど、人間の心理、人間関係の問題は今に通じる。
人の噂、隣人との比較の中で、正しい価値判断ができなくなっていく主婦。
現代におけるママ友や会社の女性同士の人間関係の悩みと同じだ。現代では、そこにブログやSNSなどネットからの情報も加わり混乱する。
知らないことは知らないままでいいはずなのに。
有吉佐和子が社会に問いかける作品では、ほのぼの感動する、切なく感動する、そういった方法をとらない。
現実の人間の愚かさと醜さを表現しながら、いつの間にか「家族には何が大切なのか」そういうことを感じさせてくれる、そういう作品である。
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これエンタメと言うより恐怖小説だね。多少の時代の古さはあるけど、有吉佐和子の描く人間の愚かさ滑稽さ、今でも本質は変わらないのでは。
LINEでの無視や、裏サイトでの陰湿なイジメを聞くと、この小説で語られている社宅の世界となんら変わらない。
夫婦間のやりとりなども、うちと驚くほど似ている。
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まだ3冊しか読んでないけれど、有吉佐和子は女の黒い部分、どうしてもマウンティングしてしまう生態、嫉妬、妬み…を描くのが上手い。というか、恐ろしい。
ただ、あまり盛り上がりに欠けて、少し消化不良。エンタメ小説としては中途半端。大きな事件が起きるか、主人公(お嬢様育ちで世間知らずの部分あり)が発狂するか、誰かに制裁がくだる、などあって欲しかった。
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評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
一流会社勤務の夫の転勤に伴い、東京で憧れの社宅暮らしをスタートした音子。喜びも束の間、社宅内の人間関係に振り回されてゆく。一人息子・悟の教育問題、見栄と欺瞞に満ちた主婦同士の情報戦に追い詰められ、焦った音子は愚かな行動に出るが―痛烈な人間描写、現代のドラマが大迫力、傑作長編エンターテインメント。
親は、子どもの地位=自分の地位と勘違いしてしまうし、子どもの勉強が出来れば、親の理想通りに進めば親のストレスはすごく減る。でも、本当は健康で元気ならOKなのだが・・そんな暇な母親の日常をつらつらと綴った話だったがやはり大作家!面白かった。
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商社の社宅に住む主婦達の狂想曲。
社宅には住んでいなかったものも、商社員の息子としてなかなか身に包まされる話でした。
世代的にはうちの両親より15-20歳くらい上世代が描かれていて、ある程度実感のある民俗誌を読んでいる気分でした。