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電子書籍

愛すべき娘たち

著者 よしながふみ

「女」という不思議な存在のさまざまな愛のカタチを、静かに深く鮮やかに描いた珠玉の連作集。オトコには解らない、故に愛しい女達の人間模様5篇。

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愛すべき娘たち

税込 571 5pt

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みんなのレビュー159件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

作者の抜群の構成力に唸る連作短篇漫画

2010/04/10 13:39

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 血のつながった母親と娘の間に生まれる愛と憎しみ、血がなまじつながっているだけにどうにもならない業(ごう)の深さ。分かっていると思っていた親友の気持ちが、いつかずっと遠い所へと離れてしまっていることを知った悲しみ。五つのエピソードのなかに、女の愛の色々な形、思いの有り様が鮮やかに描き出されていて、引き込まれました。

 なかでも、思いがけない所に話が着地するストーリーの深みに舌を巻き、震撼させられた「第3話」が凄かった。お見合いした男の人柄に惹かれ、「この人となら」と思って付き合っても、結局、その男を誰よりも大切に想うことができずに苦しむ女を描いた話。このエピソードの主人公、莢子(さやこ)と、足の不自由な相手の男がお付き合いしていくその雰囲気がとても素敵でいいものだっただけに、話の成り行きには割り切れないものを感じましたね。と同時に、本人にもどうしようもない生まれついての業のようなものを感じて、ぐいっと心を掴まれ、持っていかれる話でした。名品、と言うしかありません。

 本書の表紙カバーに描かれている如月(きさらぎ)雪子が、それぞれのエピソードをつなぐ橋渡し役として登場し、五つの話が回っていく趣向も気が利いていますね。登場人物同士のつながりによって、それぞれの話もつながり、ひとつの環として紡がれていくというオムニバス・スタイル。話の構成、展開の上手さに拍手。
 雪子の母親が容姿にコンプレックスを抱くに至った幼児期のトラウマが、「最終話」で明らかにされるところも、作者の構成力の抜群の力量を示すもの。脱帽するしかありませんでした。

 よしながふみは、『フラワー・オブ・ライフ』、『西洋骨董洋菓子店』の各四冊シリーズもとても面白かったけれど、この一冊ものもいいですね。2002年から2003年にかけて、「メロディ」に掲載された連作短篇漫画の逸品。

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電子書籍

うまい

2016/05/24 07:45

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たま - この投稿者のレビュー一覧を見る

何かと話題の「母と娘」関係を、独自の視点で切り取った連作。
話が進むにつれ、(あのエピソードが、こことつながるのかー!)とスッキリするポイント多数。

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電子書籍

よしながふみさんは天才だなあ

2015/09/21 07:09

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まぎぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る

と思った。母と子、親と子、男女の関係について、オムニバス形式で描かれている。どれを読んでも最後にじわりとくる、人間の心を描いた作品。漫画という手法で、こんなにも巧みな心理描写が出来るのかと感嘆した。そして、時に視線や表情、仕草だけで、時に長いセリフで、人の心の深いところまでえぐりだす。

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紙の本

「恋愛」には、収められていない「愛」。

2003/12/27 23:39

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kbn1215 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この著者をテレビドラマ化された「西洋骨董洋菓子店」‥ドラマタイトル「アンティーク」で知った方も多いのではないだろうか。
 彼女の作品を長く愛してきた読者達にとっては、やはり著者はボーイズラブの、いわゆる「ホモ漫画」作家として描いてきた多くの作品の印象を強く持つかも知れない。美しい「男たち」の、愛の物語だ。
 それらの作品には、確かに過激な性描写も多いが、反面いつでも物語の中心に置かれてきたのは「心」だった。
 派手な事件や、突拍子もない出来事、現実のどこを探しても見つからないような完璧な人物は、著者の作品では、描かれることはない。
 いつでも、魅力的でありながら、どこか欠陥を持った、どこかで出会ったことがあるような、そんな人物達が描かれてきた。
 激しい共感や感情移入よりも、これまでに出会った人が抱えていたかも知れない、見逃してしまった秘密に出くわしてしまいそうな気がする。わたしにとっての著者の作品は、いつもこんな印象を携えて登場する。
 そして、世間で「正論」として万人に認められるような意見は、必ずしも最善ではないこと。しかし夢みたいな幸せを諦めてでも、「正論」に沿わなければ生きていけない、一層の不幸に陥るのは怖い。そんな小さな悲しみが繰り返し描かれている。

 このシリーズでは、一応それぞれの話が独立した物語としても、読める。関連性を無視してもストーリーは成り立っている。
 様々な立場の「娘」の、もしかすると誰にでも訪れるかも知れない出来事が淡々と語られる。素直に祝福できない母の再婚、結婚は生きる上で「必然」の途中経過だと信じる人、少女の頃に抱いていた希望が現実になる保障など、どこにもないこと。そして、遣り切れない溜息と引き換えの、ささやかな救い。
 すべての女性が「娘」だったことを思い出させる1冊だが、それ以上に、たった今わずかにでも関わりのある誰かに、思いがけない「なにか」が起こっているのでは‥と、人と関わりたくなる物語である。

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紙の本

天才よしながふみの名作

2023/05/08 06:32

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまを - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近注目されてる韓国文学に通じるものがある。きっと誰もが自分と重ね合わせて胸に迫ってくるものがあるんじゃないか。母娘の関係にもやもやしてる人におすすめしたい(たぶん、多かれ少なかれ全員もやもやしてるよね)
私は母にいろんな行動を制限されていた10代〜20代前半に読みたかった。そしたら母は「完全な母」じゃないことが理解できて、もっと母に優しくできたかもしれない。

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電子書籍

母と娘の間は……。

2021/07/18 12:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る

仲の良い母と娘というのは、時に共依存ではないかと感じる。
 ここでも言いたいことを言い、共棲している内に一卵性母娘に近い関係が生まれていたのかも知れない。
 そこへ入ってきた若い男は、波紋を起こして関係を動かす。
 有るようで、ちょっと有り得ないような関係に絡めて描かれる母と娘のストーリーは、濃くてさらりとした親子の「意地」みたいなものを感じさせて、じっくり読んでみたくなる。
 ところで、書かれている時代小説、時代劇は、よしながふみさんの好みでしょうか?
 渋いですね。
 何がと言うほどでもなく、何も無くでもないこの話に添えられた花のようで、いい。

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電子書籍

さすが絵がキレイです。

2020/03/15 17:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よよ - この投稿者のレビュー一覧を見る

さすが絵がキレイで、話のテンポがいいです。
先が読みたくなります。

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電子書籍

よしながワールド

2020/03/15 16:04

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とりのひよこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

八つ当たりで始まったこの作品。
母の印象DV。でも、良くできた?娘は母の扱いを心得ている。
そんな母が、癌に。無事摘出したものの、自分の人生...
とあるあるパターン?
再婚する。が...
続きが気になりますね。

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紙の本

よしながふみ

2015/09/10 06:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る

よしながふみの短編作品集のような感じです。母親と娘だったり親友や恋人というようなさまざまな関係性を描いた作品です。

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紙の本

影に何気なく切り込む

2017/04/13 20:06

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

ごく普通の人間の持つ暗い部分に切り込む連作短編集。ナイフで鋭く切っているのに力みがない不思議な味わい。ただ、2~3回も読めば充分かな。

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