これは、山田詠美の傑作かもしれない
2022/11/15 22:14
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、山田詠美の傑作かもしれない。いつもの山田詠美とは、ちょっと色合いが違う。四章からなる家族の物語である。それぞれの章で語り手が変わる。最後にびっくりさせられる仕掛けがある。とても読後感が良い小説である。山田詠美恐るべし。
ふたつの家族はひとつになれるか
2020/07/22 23:57
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
晴天の霹靂からアルコール依存性になる、母親が痛ましいです。死者のバースデーを祝う手作りのケーキに、僅かな希望がありました。
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久しぶりの山田詠美さんの本。
最後の章の「皆」というタイトルが気になったが、最後の最後でそういうことか!!!とわかる。私は真澄が好きだな。
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父と母が再婚して作られた新しい家庭。
そこから作り出される幸せと不幸。
長男の死をきっかけに、その不幸の色が濃くなってゆく。
しかし、そこには血の繋がりを感じさせない結び付きも生み出した。
本来、強いイメージを持つ母親という存在の脆さが際立つ作品に、心に寂しさを誘う。
2016.10.30
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かなり久しぶりの山田詠美さんの本。
ステップファミリーのはなし。
血のつながり、親子、兄弟、恋愛、命、
4人兄妹のそれぞれの視点でかかれている。
母は弱い人で、ときどき腹立たしかったけど、ある意味一番リアルかも。
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今、まさに読み終えた直後。
まだ感想はまとまらないけど、読後感いい。
力付けられる感じ。
↓の言葉、いいな。
「あたしは泣かない。泣く代わりに怒る人間になるのだ。」
「人を賢くするのって、絶対に人生経験の数なんかじゃないと思う。それは、他人ごとをいかに自分ごととして置き替えられるかどうかの能力にかかっているのではないか、」
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相変わらず、山田詠美が紡ぎ出す、一文一文にハッとさせられる。言葉を決して選び間違わない、しなやかな強さのある文章(と、書いている私の文章はとてもチープ)は、線を引いて読み返したいくらい。家族の一人が突然いなくなったことで、家族が重く背負わされたものの年月。やがて癒やされると約束されるわけでもない。死は残された者に対して、平等でもない。そう感じた一冊だった。
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それぞれが違う形で前のパートナーをなくした男女が再婚し、お互いの連れ子合わせて三人と、新しく出来た一人の子どもで、合計六人の家族が出来上がった。
素敵な家に移り住み、家族仲も良好で、素晴らしいスタートを切る。それは幸せな人生づくりの完璧な再出発かと思われた。
しかし落雷が原因の長男の死をきっかけに、長男を溺愛していた母がアルコール依存症となり、一家の姿は激変する。
家族だからと言って何でも遠慮なしに振る舞って良いわけではなくて、むしろ家族だからこそお互いが少しずつ我慢をしたり役割を演じたりしてどうにか家族というものは形成されていく。
この本を読む以前から思っていたことが、この本を読んでますます深まったように思う。
突然不在になってしまった長男の存在が、長きに渡って家族たちに影響を与え続ける。
見える形で壊れてしまった母親はある意味では一番幸せで、あまりにも出来過ぎたヒーローのような存在だった長男の夭逝は、兄弟たちを様々な形で苦しめる。家族内でも、そして学校でも。
人間は必ずいつか死ぬのだから、死というものは全く特別なものではない。だけど幼い頃に兄をなくしてそれぞれに苦しんだ兄弟たちは、死に対して偏った思いを抱くようになっていく。
大切な人の死を、時間をかけて昇華して、自分を取り戻していくということ。
それを放棄してしまった母親に振り回され続けた家族が、長い時間の後にした選択は、けして前向きではなく切なく見えたけれど、それが長い時間をかけて流れ着いた場所なのだと思った。出来うる限りの、最良の選択。
そして最後のページで驚きが。
長女、次男、次女、そしてみんな。という視点で綴られた四章の短編連作。
長男の死や家族に対するそれぞれの思いと苦しみ。人間の黒い面や綺麗事では済まされない部分もたくさん描かれていて、山田詠美さんの小説の中に垣間見える哲学は今回も健在。
「かわいそうという言葉は、言われる側に言ってもらいたい人を選ぶ権利がある。決して自分のプライドを傷付けない、と信じている人にだけ言われたい」という次男の言葉が印象的だった。
上から目線ではなく心から人を「かわいそう」と思える人は、果たしてどれくらいいるのだろう。
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ポートランド旅行中に読んでいた。旅先という非日常で読んでいたせいもあるかもしれないけど、わりと現実にありそうな小説を書く(と思っている)山田詠美のなかでは珍しく、現実っぽいんだけどどこか別世界の物語のようでもあり。
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家族の話。家族って、血がつながってることじゃないって思う。一緒に暮らしてると家族になるよ、きっと。でも努力は必要なんだろうな。
久しぶりに山田詠美の最近の作品を読んで、こんなに文章の上手い人だったっけ?と驚く。説得力というか、心にすーっと言葉が入っていく。
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久々のエイミー作品。
いつものエロティックさやカッコよさとは
違う類の内容だったが、相変わらずの筆力。
素敵なセンテンスがあちこちに散りばめられていて、
共感したり反発したりしながらも引き込まれた。
長男の死をきっかけに、家族それぞれの立ち位置が崩れかかったり保っていたり。
物語は、兄を失った3人の兄弟たちのそれぞれ1人称で
進む連作。
家族と一緒に居るとき以外の個人的サイドストーリーもあって、
なかなか興味深かった。
壊れゆく母親への3人3様の気の遣い方は、
愛故なのかな?それとも・・・?
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血の繋がりとか、幸せとか不幸とか絆とか、家族ってなに?ということを考えた。
子連れ同士で再婚し、新たに子供も生まれ、男女男女の四人兄弟になったのに、長男が雷に打たれて亡くなってから家族が壊れ始める。もともと『義理の』という枕詞がつくからか、気を使って必死に幸せに、家族になろうとしてたのに、お互いを思うが故に崩れていくのが、もどかしいし、愛おしかった。
かわいそうというのは、言われる側に、言う側を選ぶ権利がある、っていうの、分かるなぁ!
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数年ぶりに読み返したらあらすじボヤッとしか覚えてなく新鮮に読めて、すごく良かった
うまいの一言に尽きる。小説って技術が要るけど、これ見よがしだったり、奇をてらいすぎるものが技術と評価されるのでは無い。無駄のない適切な言葉のチョイス、感情の機微に敏感な描写こそがそうなのだ、と再認識させられる
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面白かった。長男が亡くなって、その喪失を埋めることが出来ない母や、それをフォローする家族たち。
面白くて最後は一気読みをしてしまった。1人の死を他人事とみるか他人事と見るかで、受け取り方が違うんだけれど、絶妙に文章が書かれていて、引き込まれた。
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家族は血が繋がった他人だということ。
血が繋がっているから感じる温かさと
血が繋がっているから感じる残酷さ。
血が繋がっていないから努力する儚さ。
夫婦は他人が家族になること。
他人というは、変わらない事実。
同居する2つの家族。
壊れたものを直そうとする様、温かく苦しい。