紙の本
寸鉄人を刺す
2015/09/30 20:27
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:furesaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
偶々、この文庫本の表紙のニーチェの横顔が目に入ったので、手に取ってみたらツァラトストラだったので、驚き半分懐かしさ半分で購入してしまった。 学生時分、背伸びして読んで(これがニーチェが)などと勝手に分かったような気持になっていた。改めて読んでみると、翻訳の良さもあると思うが、とても生き生きと、異端の哲学者の言葉が刻み込まれている。まさに、寸鉄人を刺す、という表現がびったりくるような熱い言葉で、強く生きよと語りかけ、われわれを鼓舞する。曰く、「・・わたしは血で書かれたものだけを愛する。血で書け。ならばわかるだろう、血が精神であることを。」
紙の本
もう一つの聖書
2016/03/18 06:09
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ツァラトゥストラの全訳がこの一冊で読めます。(岩波文庫、新潮文庫、ちくま学芸文庫では二分冊になります。中公文庫の手塚富雄訳は一冊にまとまってますが字が小さいです)それでいて分厚すぎず、手軽に読みやすいです。解説は一切ないのですが、それは哲学書の価値を左右するものではないでしょう。聖書に対抗して書かれたこの詩的な哲学書を聖書を読むようなつもりで読むならこの文庫が適していると思います。グロイター版ニーチェ全集原典からの初の文庫完全新訳とありますが、専門外で違いはよく分かりません。あまり神経質にならなくてよいと思います。
紙の本
『生命』の学問書
2022/11/25 23:12
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けいと - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人の人間が産み出した人格・個性は、もはや見るよりも鮮やかに心像を描いており、一般論というバイアスさえも間主観と客観の境目を限りなく曖昧にしている。その為、読んでいてマインドに迷いが生まれない。
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あかるく澄み切った日本語による正確無比な翻訳で、いま、ツァラトゥストラが蘇る。もっとも信頼に足る原典からの文庫完全新訳。読みやすく、しかもこれ以上なく哲学的に厳密な、ツァラトゥストラ。
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難しくてほとんど理解できなかったが、「人間は乗り越えられるべきなにかである」など、ぽつりぽつりと納得のいく哲学はあった。頭に体操になった。
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今まで読んだ中でもトップレベルに難解な本。
でもところどころ、なるほどとわかって納得する箇所もありました。また、ところどころ、映画を見たいな場面もあって(綱渡り舞踊家のシーンや、貴人たちと次々で会う場面とかなどなど)、そういう光景を想像しつつなんとか読み終わることができました。
一体どうして不平を言う豚になったのか。誰も思うように媚びてくれなかったからだ。―だから汚物の中に座り込んだ。豚のように不平を言う理由に事欠かないために。
この一節がとっても印象的でした、自分たちに言われているような気がします。
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最近は見る目が変わってきてる。
何物をもが、意味があるとは言えないけど
意味があるかどうかを決めるのは
意味があるものにするのかは当人しだいだって。
生きてるうちに出会わない
もしくは、すでに出会っているのに
あったことすら忘れているものがあまたあること。
それらに対して意味付けをするかどうかの
想念も浮かばないことがあること。
他の誰かにとっては
当人の生のうちで最上の意味と価値を持っているものであったとしても、他者にとっては認知すらされていないことは事実でしかない。
それをとやかく言うのは、ガキか、社会から隔たった人間の口から出る虚言でしかないこと。。
そう意味なんてものは
人間の間でのみ交わされる会話のようなものだ。
その空間で、認識している間でこそ成り立っているのであり、その他に関しては何とも言えないのが正直なところ、
それゆえに、だれかが
ある何物かに価値や意味を与えたら
それに意味が生まれ、
そこから人間は対象の像を形成し始める。
あくまで観念の間での話だが。
この像は、どのような幾何形体をもつか?
それは御想像にお任せしよう。
わかりやすく対象が人間であれば、
どこか一部分が殊に膨れ上がっているはず
基準が球であれば、正面から見た左上だけ
膨れ上がって下部が異様にへこんでいたり、
右上がとがっていtり、もしくは単に
全体が平均的に球,,,
フランクルがいっていた生の意味云々は
彼の言うとおり、銘々が己自身に与えるもの
作り出すものなきする。
生とは、純に創造的な営みであり
自ら作り上げていくもの。
媒介がなんであっても結局はいいのだ。
それは職業の貴賎を問うようものであり愚行以外の何物でもない。ただ己の可能性を探るうちは、必要であろうが、大の大人はそんな細かいことにとやかく言うようでは子供のままだ。
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読みやすいのに、読めている気がしない。
三回読んで、やっと少しわかってきた。
自分の頭の悪さを思い知らされた。
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まずはざっくりと西洋思想の歴史について勉強してから読みました。結果良かったです、大正解でした。
そうじゃないと、"神は死んだ"→→→「は??」って感じだったと思います。
簡単に説明をすると、、※完全な自己解釈です!
長らく、ずーっと昔から、数多くの思想家たちは、"真理の追求"について思い巡らせ、様々な持論を唱えていました。
そして「プラトン・アリストテレス・キリスト教の大帝国」が、プラトンの「イデア論」をキリスト教が上手に利用する形で長期的に支配していました。
カントやガリレオなど自然科学の発見・発展によって、
またその後のデカルトの座標軸の発見などによって少し風穴が空く形になりましたが、『神』という存在は根強く染み付いていました。
=本当は神の存在証明からする必要があるのでは…?ということを誰も思いませんでした。
*人間は生れながらにして原罪を背負っている。
*真理は常に神の側にあり、人間の手の届くところにはない。
そんな中、牧師の父を持つニーチェは、幼少期から熱心にキリスト教の信者として育ちましたが、
だんだんと圧倒的な支配に息苦しさを感じていきます。
そして、
神は死んだ、我々は精神の奴隷になどなってはならないと言います。
それまでの価値観に挑戦状を叩きつけて、"「超人」になれ"と言いました。
もともと、
古典においてもキリスト教においても、一番大切な真理は
常に神の側にありました。
でも、もしかしたら我々はありもしない真理というもので自分たちを縛っているのではないか。何しろ背後世界を実際に見た人はいないし。。
原罪(人間はアダムとイブが犯した罪を生まれながらに背負っている。けれど、イエスキリストという人物が1人でこの罪を背負ってくれた。だから感謝し生きていかなければならない。)についても、人間が本当に罪を負った存在なのかということも、キリストが私たちの罪を肩代わりしてくれたということも、どちらにもはっきりした証拠はありません。
人間にはもともと、ある種の神秘性に憧れを抱くという性質があり、それを利用して、人間の手の届かない所に真理という大切なものがあると言えば、それを伝えられる人、キリスト教で言えば神の言葉を媒介する教会が力を持つことになる…そして大衆は永遠に受動的な存在から抜け出すことができなくなる…。
なぜ、一人ひとりの人間が、能動的に大切なものをつかみ取ってはいけないのか、
これではまるで「精神の奴隷」ではないのか?
教会に対して、「ありもしない荒唐無稽なことを言って人間を抑圧するな」と挑戦状を叩きつけるとともに、大衆に対して、「ビビるな!奴隷の立場に甘んじるな」というメッセージを伝えたかったのです。
自分以下のところにある権威に安易に跪くのではなく、
まず自分自身が拠点となり、自身に目を向けようよ、と。
またこの本は、ツァラトゥストラという人物がニーチェに代わり、ニーチェの思想を説いていきます。
なぜそういう形を取ったので���ょうか…?
あくまで個人的な勝手な想像ですが、
ニーチェは超人になれと言いますが、ニーチェ自身は自分は超人ではない、まだその域ではない、という自覚があったからではないのかなと思います。
カントなどは自らの理論をコペルニクス的転回と自画自賛していましたが、ニーチェは違ったのではないかなと思いました。
(あ、でもカントの超越論的主観性の発見も面白いと思いました。)
そんなニーチェの言う超人とは、
*勇気を持って現在の迷いの中にある自分自身を乗り越えていく、そんなポジティブで、積極的で、肯定的な強い精神力を持った人間。
*自分で目的地とそこへ至る道を探して、単独者として進んでいく強さを持ち、戦いを挑み、敗れてもまた立ち上がり、倒れてはまた立ち上がる人間。
*自分の決断というものに責任を持って、自分自身の人生を作っていく人間。
*3ステップ(ラクダ→獅子→幼子)を実行し超人になれと言いました。
ずっと読んでいると、
ニーチェはただ、外的なものすべてに対して、これでもかというくらいひたすら否定しているように感じてしまいますが…
そうではなくて、
彼が言いたかったことは、内的なもの=自分自身に対する肯定の大切さを伝えたかったのだと思います。
そして「永劫回帰」。
彼のいう超人には並大抵の努力ではなれません。
何度失敗しても、決して諦めないこと、そうやって人は強くなれる。
自分なりの解釈ができたとき、とても感銘を受けました。
またニーチェの言葉がわかりやすいのは、彼が「アフォリズム」という短い言葉で本質をつかまえることを目指していたからです。
短い言葉で本質を伝えようとすると、ごまかしがききません。
そういう真っ正面からのメッセージはとても強くてカッコいいです。
また、最近あるアメリカの学者の動画を見たのですが、
"頑張れば/成功したら、幸せになれる"という考え方は間違いで、
私たちは一般的に言われている、幸福と成功の法則を反転させる必要があります。
現状へのポジティブの度合いを引き上げることで、その人の脳は「幸福優位性」を発揮し始めます。
つまりポジティブな脳は、ネガティブな脳やストレス下の脳よりもずっとよく機能し、知能が上がり、創造性が高まり、活力が増大することが研究結果でわかりました。
現状に対してポジティブになることさえできれば、脳はより熱心に速く知的に働き、その結果としてより成功するようになるとのことです。
長期的な幸福について予測できるのは10%くらいで、
あとの90%は周囲の環境ではなく、
脳が周囲の環境をどう処理するかにかかっているとのことです。
ストレスを脅威ではなく挑戦と受け取る能力に掛かっています。
個人的には、ニーチェの考え方に対する科学的な証明かなと思いました。
人により解釈は違うと思いますが、個人的には色々と学べた本です。
そして、
Let's 自己責任での覚悟を持ち自由であれ!
Let's エンドレスチャレンジング!
Let's ポジティブシンキング!
を心掛けたいと思いました。
《2/1追記》
こちらの感想文をニーチェに詳しい方に読んでいただいたところ、「ニーチェの意図を汲み取らないにも程があるけどそこが逆にニーチェ的だ」と言われました(特に永劫回帰のところ)…。
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ニーチェの描く世界にほとんどついていけなかった・・・。
ニーチェ入門(http://amzn.to/2FK6Er0)を読んでから臨んだから、根底の思想は理解できたけど。
読了するのが精一杯で、腹に残らなかった。
というか、消化不良もいいところ。
言わんとしているところをもっと噛み砕かないと味わえないな。
どっかでもう一度ニーチェ入門を読んでから取り組むかな。
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物語調かつ一話が短いので読みやすい。一方で例えなのか詩なのか、結局何が言いたいかまったくよくわからない。超人とか永劫回帰とか事前に知っていた事柄も、え、こんな程度?というくらいにしか出てこない。わかる人だけにわかるということなんだろうか。
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哲学と詩のハイブリッド。思想をここまで美しく叙述できるってことにまず感動しました。
キリスト教なんて奴隷道徳だ! っていうニーチェの主張は初見で衝撃を受けましたね。読んだのは高校生のころだったかな。少なくとも当時の人格形成には大きく影響を与えられました。
今でも、自分のルサンチマンを正当化するために誰かを悪者にでっちあげる風潮にはもの凄い怒りを感じるんですが、そういうのもニーチェの影響かもしれません。
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仕事の行き詰まりと自分の弱さに挫けそうなとき、この本を読んだ。劇薬に臨む覚悟で頁を開いて、ツァラトゥストラの言葉を聴いた。
胸に染み渡るような感触だった。そっと彼が背中を押してくれたような気がした。押す前に大きな手のひらでガシッと背中を鷲掴みにされたが。
後ろを振り返るとツァラトゥストラの怖い顔がこっちを睨めつけたので、私も負けじと睨みつけ、直ぐ前を向いた。
今後、何回も後ろを振り返るだろう。その度に彼は睨みつけてくるのだ。私も睨めつけ返す。
どっちかが根負けなんて想像はありえない。
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この新訳にしか触れたことがないが、非常に読みやすく、面白い内容だった。 対人関係や集団心理、宗教から国家まで、作者の深い洞察力を見てとることができる。
男女の違いや結婚など、身近に感じるテーマの取り扱いも興味深かった。
第1部が最も重要で面白い内容だった風に感じる
それにしてもゲルマン民族について、「忠誠のために悪しきこと危険なことにも、名誉と血を賭けよ、と教育し自らを律した」とは、現在のドイツ人に対するステレオタイプにも通ずるところがあって面白い言い回しだった
超人の思想的には、仏教や儒教に似た内容がある風にも感じたが、解釈は人それぞれということか
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”文庫 560ページ超の大著。そもそもタイトルがなかなか覚えられず…。ツァラトゥストラ(Zarathustra)。ペルシャ語?で「金の星」という意味があるらしい。ページをめくると「万人のための、そして誰のためでもない本」と書かれている。(いったいどっち?)
個人的に一番心にひっかかったのは、「遠人への愛」のくだり。(p.102-)
★わたしが諸君に隣人愛を勧めると思うか。わたしがむしろ勧めるのは、隣人からの逃走であり、遠人への愛だ。
隣人への愛より高いもの、それは遠人への愛、来たるべき人への愛だ。
<キーフレーズ>
・贈りたい=没落?
・超人
・駱駝→獅子→幼子
・愛する
・超人
・われ欲す、汝なすべし
・金の星(ツァラトゥストラ)
・遠人への愛
・同情には警戒を
・力への意志
・大いなる正午
・哄笑(こうしょう)
・歓びは永遠を欲する
<きっかけ>
2017年6月 人間塾 読書会の課題図書。”