紙の本
熱い、読ませる
2015/10/19 00:30
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投稿者:読むはマイニチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元新聞記者、そして販売局経験者の小説のスタイルをとったノンフィクションに限りなく近い内容です。今、新聞社が直面するみてみぬふりをしてきた難題を分かりやすく指摘しています。業界人じゃなくても面白い。読ませます
紙の本
事実は小説よりも奇なり
2015/10/21 16:03
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投稿者:つよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞社に「押し紙」なる悪習があることは、これまで何度も週刊誌などで書かれておりカビの生えたテーマだ。本書の魅力はむしろ、元記者で販売局に配属された主人公が押し紙を初めとした新聞社の闇を暴いていく謎解きと、嫌味な上司をやりこめる半沢直樹的な逆転劇にある。小説の体をとっているが、多くは著者が見聞きした実話だろう。表現に稚拙な点が多いのは残念だが、元記者である著者が次回作で何をターゲットにするのか、期待したい。
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もっと大胆に内幕を暴くものかと思ったが、だんだんと小説っぽくなった。
最後の方はドタバタ過ぎて落ち着いて読めなかった。
テレビドラマならお笑いからのタレントが主人公を務めそうな内容。
池井戸さんの作風のような最後は勧善懲悪の世界でした。
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販促宣伝部元デスクが書いた本。
新聞社のビジネスモデルをあまりに赤裸々に暴露した問題の一冊。
読みながら「あの人っぽいな」とか、「あのことか」と、実際のことに当てはめてしまう。
本当にそのまんま販売局のことを書いてあるので驚いた。
販売局に「左遷」された記者が最初は販売をボロクソに言っていたが(特に内勤)、ストーリー自体は面白く、一気に読んでしまった。
世間に広がると困る本だが、救いなのは新聞社以外の人が読んでもあまり理解できそうなことか。
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本書は、ノンフィクションではなく、「小説」である。
大手新聞の元社会部記者が、敢えてノンフィクションではなく小説という形式、フィクションという形式を選択して書きたかった真実とは....
マスコミ、特に新聞は「権力の番人」として機能することを目的として発展してきたはずだ。
国民の知る権利を守り、時には権力者と反対する意見を展開することにより、社会変革すら引き起こすことがある。
その高邁な理想をもっている新聞社が、販売戦略となると少し怪しくなる。
バイクに景品を山積みし、新聞社主催のイベントチケット、野球の招待券をもち、いま契約している新聞の契約期間がきれたらでいいからうちで契約してくれと、時には懇願し、時には強引に取引を強要する。
公称発行部数は実際の配達部数をカウントするわけではなく、新聞社から販売店に送付された新聞の部数。
そして、実際に配達される新聞の中には、実際に顧客がお金を支払って配達されている部数と、配達されてもお金にならない部数、新聞契約の際に「いま契約してくれるなら3か月は無料で配るから」と契約時に持ちかけられたり、ホテルでご自由にお持ちくださいと山積みされる部数なども含まれる。
もちろん、新聞業界には実際に家庭等に配達される部数と、強制的に販売店に配達される部数の差額、いわゆる「押し紙」または「残紙」は存在しない。
しかし、なぜかオークションサイトには、配達された形跡のない、配送されたそのままの新聞紙が梱包用として売り出されている。
その新聞業界の抱える真実。新聞社の表面にでてこない販売部門の真実を、元社会部の記者が明らかにする。
実在する人物であるから、ノンフィクションという形では表に出すことができなかった、真実の闇であると私は思った。
新聞販売店は、配送された部数の新聞代を新聞社に納入する。しかし、その費用には押し紙の費用も含まれる。当然、売り上げに入っていない新聞の原価も含まれる。そのため、すべての販売店が必ず全額を納入できるわけではなく、入金が滞る場合もありうる。しかし、新聞社には公式には押し紙は存在しない。
そのため、中には販売店が支払うべき費用を、販売店を担当する営業員が.....
全体を小説仕立てにするために、いくつかの他のエピソードも織り込まれ、また、強引かつ不公正な加入事例などにも言及され、また展開が早くとても読んでいて面白い。
いま、まさに、いままで全く議論されなかった、「一部宅配新聞」への軽減税率の適用が、唐突に税調の報告に織り込まれたばかり。新聞は決して権力の番人などではなく、権力にすり寄る番犬であり、その飼い主は国民ではなく権力者であるということが白日に下に晒されている。
そもそも、どれだけの新聞が実際に読者に届き、お金を支払って読まれているか。その事実を当の新聞社でも把握できていない現実。そこに税の優遇を与えるなどという話は、本来議論にすらなり得ない、荒唐無稽な話であるということが良くわかる。
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著者は元某大手新聞社の記者職。
ノンフィクションでなく敢えて小説の形態にしたせいか、設定は少々荒唐無稽ながらも要所要所で逆にリアリティと著者の本音が感じられる。
”ジャーナリズム”の本音と建前。
高邁な理想と相反し、会社として利益を上げなければいけない構図。
どんな家庭でも新聞を購読していた時代には確かに成立していたこの図が、公称部数をキープするための押し紙、残紙というトリックを使い砂の城と化している現在。
現実から目をそむける”ジャーナリズム”の未来は果たして。
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新聞社の販売局を舞台にした物語。実社会を知る作者が書いているらしくリアリティが感じられるが、巻き込まれていく事件は展開が浅く、偶然の出会いによって解決されるので納得感は薄い。
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昔、親に「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」と聞かされたり、実際に解約したのに新聞がしばらく投函され続けたりと、あまりよいイメージがない新聞業界。
昨今の新聞購読率が7割以上という調査結果や(60歳以上の高齢者がメインの調査だった)、なんで新聞だけが軽減税率の対象になるとか、不透明な新聞業界をめぐる内部事情を「あくまで小説の立場ながら」垣間見せてくれる小説です。
例えば、新聞の発行部数(よく聞く言葉です)と、実際に顧客に届く部数の間には大きな開きがあり、さらにちゃんと正規の価格を払われている部数はもっと小さいとか。広告なんかは発行部数を元に打たれるので、広告主が実際の数字を見たら、訴求効果があまりにも小さいので卒倒しちゃうかも。
このギャップである「残紙」をめぐる、新聞社の本音と建前、販売店との制度疲労がありすぎるビジネスモデル、他社との縄張り争い、全てがリアリティーがあり、面白くて一気に読んでしまいました。
とにかく非常に面白い、次の日が休みの夜に開くべき本です。
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世間では押し紙と言われているが、業界では残紙と言う。
諸悪の根源はコレ。
倫理感・経営内容をダメにする原因になっている。
追記:2016年4月11日
3月に朝日新聞が公正取引委員会から押し紙について「注意」を受けた模様。
この押し紙問題が一般大衆の前に浮かび上がる日は近いのだろうか?
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新聞社の闇に切り込む。業界的にはなかなかインパクトがあったのではなかろうか。小説としてはいささか底が浅いけど、そこはそれでw
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世の中の人もなんとなくは知っているだろうが、インサイダーが改めて詳らかに語る、新聞販売における"負"の世界の描写は実に読み応えがある。
インターネットの普及により、紙媒体が急速に衰退しつつある今という世相を、無慈悲なぐらいに切り取っている。
充分面白く読めるが、小説としてはちょっと早いテンポでエピソードを積み過ぎかな、という印象も受けた。
おそらく在職中に著者が見聞したであろう、リアルな例をすべて表現する、という目的を優先した結果かと思うが、連作にするか、あるいは続編なども視野に入れた構成にした方が、ひょっとしたらよりスムーズに読み易くなったかも。
エピソードを消化するために、主人公の言動が時にご都合主義にハマり、いかにも作り物っぽくなってしまっている、という箇所をいくつか感じたのがやや残念。
こうした性格の作品を、独立系の小出版社がノンフィクションとして出すのではなく、こんな大企業が小説として出版した、という事実にはいささか感銘を受けた。
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小説としての中身はともかく、当然のように語られる押し紙や残紙の実態がすごい、というかひどい。
まさに「インテリが作ってヤクザが売っ」ているとしか言いようがない。
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全国紙に1989年から25年間、勤めたという元記者による小説。新聞社が販売店に押し付けている「押し紙」「残紙」を巡って販売局の担当員と店主との間に人間ドラマが展開される。実部数が6割という報告書を見る場面や、署長の官舎に夜回りに行く場面など、迫真性に富んだ描写も特長。ついついフィクションであることを忘れさせられる。それにしても、販売店が入金拒否したら、担当社員が立て替えなければならないなんて、ブラック企業も真っ青の話。本当に行われているのなら自殺者が出るのではと心配になってしまう。
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補助金と押し紙と折り込み広告
三位一体の販売店の収益構造が崩れた
入金率維持するための自腹とか。
結構ダークな世界。
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仕事関係で、新聞業界の仕組みを知りたいと思い読んでみた本。
前半は、新聞販売(宅配)システムの説明。
後半は、記者職で入社した主人公が、不条理な扱いで販売職に左遷されるが、恨みを晴らし記者職に復帰するという、勧善懲悪型のきれいな型にはまった物語。十分小説としても読める。
「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」
あるいは、特定の新聞社に対しては「新聞は、アカが書き、やくざが売って、バカが読む」とまで言われる。
利益を得る、という事業の一番大切な部分が、なんだか怪しい新聞事業。
お仕事上の役にちょっとは立つかもしれない。
以下、blogsでの筆者インタビュー記事の抜粋
「小説の形態をとっているが、新聞社が販売店に必要以上の新聞購入を強制する、いわゆる「押し紙」をめぐる販売店主と新聞社社員の攻防や公称部数の水増しの実態などを生々しく描写している。」
私は元々ある新聞社の記者だったのですが、退社する直前の2年間は販売局にいました。いわゆる「押し紙」 の問題に代表されるように販売現場が苦境に陥っていることは、元々ある程度わかっていたのですが、実際の現場は想像以上だったのです。
これまでもジャーナリストや販売店の関係者が、「押し紙」問題についての本を出版したことがあったのですが、それらは言わば「新聞社が下請けをイジメているという構図の中で描かれたノンフィクションでした。
しかし、一方で「押し紙」をしている分、新聞社は販売補助金を出して販売店を支えているのです。そのため「押し紙」が増えれば、補助金もドンドン膨らみ、新聞社の経営に跳ね返ってくる。新聞社が自分で自分の首を絞めることになっているにも関わらず、なぜこの「押し紙」政策をやめられないのか。こうした構造から抜け出せないから、業界が右肩下がりになっているのではないか。
しかも、新聞社は「押し紙」の存在を絶対に認めません。社内では会話の中でも「押し紙」という言葉すら使わず、残紙や予備紙という言葉に置き換えています。こんな暗部を抱えて、新聞の将来が本当にどうなっていくのか、という販売の現場で感じた疑問を世の中に問うてみたかったのです。
http://blogos.com/article/152549/