働かない黒い豚で良い
2015/09/07 22:20
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投稿者:猫目太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすい、優しいアナーキスト入門。書かれている事は滅茶苦茶で、自滅気味だが面白い。読後「身をすり減らし、疲弊する白い豚より、怠け者で非生産的な黒い豚で結構だ」という気持ちになれる。
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なんだこりゃ。ハチャメチャだけど、面白い!
「大杉栄伝」、「学生に賃金を」の著作で頭角を現すアナキズム研究者、栗原康の最新刊。
私の魂の叫びかと思うような、ど直球なタイトルに呼ばれて思わず購入。著書を初めて読んだのだけど……この本、この人、すごく面白い!
ゴールデンウィークの最後に読むのにもってこい。もう死んでしまいたいと思っている人が「完全自殺マニュアル」を手元に置くことで癒されたように、明日からまたあのギチギチの奴隷貨物列車に詰め込まれて会社に行き、フルタイムの非正規労働を正社員の半分以下の賃金でシコシコやって命すり減らしていくのかと発狂しそうな人はこの本を手元に置くことを強くおすすめする。
ゴールデンウィーク中に読んでいるのがこの本と「ファイトクラブ」って、完全に会社辞める気満々だわ。五月病になるくらいなら、爪を研ごうぜ。合言葉は「はたらかないでたらふく食べたい」!
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現代社会に生きていることを問い直す、というと安易に聞こえるかもしれないけれど、アナーキズムに基づいた社会分析、とかいうにはいい意味でざっくばらん過ぎる。
ちょっと待ってこういう見え方もあるんだけど、という感じで、身近なところから、言われてみれば確かに!という問いというか、視線をくれる本。
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ニートのphaさんの本とか坂口恭平の本とか好きで読んでるけどそれとはちょっと毛色が違って、書いてるのがアナキズム研究者の人なのでやさしいアナキズム入門みたいなところもある。ただ根っこのところは「べつに金稼げる奴が偉いわけじゃないだろ、働かない奴も飯を食える社会のほうがいいだろ」ということで共通している。
基本はエッセイ調、著者の日常をコミカルながらも切実に描いている。結婚するために「ちゃんとした人」に頑張ってなろうとして、なれなくて婚約者に振られるところなどあっけらかんと描写しているが切ない。
よく読むとん?と思うところとか物騒なこともちょこちょこ言ってるけど(アナキズムの人に物騒なことを言うなというほうが無理だろう)、全体的にゆるいノリでひらがなが多いのでさくさく読める。
読んでると不思議と前読んだ消費社会論の本(著者とは対極の、資本主義のど真ん中みたいな元マーケターの人の本)とも意外な共通点があったりして面白かった。いいかげん消費するために働くみたいなノリじゃなくなってきてるというのもそうだし、そもそも消費って何だ、労働とかもそんなにいいもんなのかってのもみんな考えてる。
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2019.09.26読了。
良い意味で全身の力が抜ける文体と読み心地です。
アナーキズムを特に意識したことはありませんでしたが、自分に通じる主張を見つけて、ああこの考えはそうラベリングされるのだなあという気づきがありました。
頭がカチコチになったらまた読むかもしれません。
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大杉栄研究者でご本人もアナキスト系? 直接民主主義に基づいた共同体主義を訴えて資本主義を解体しようとする行動的アナキストもいるけど、どちらかというと「働きたくない系?」みたいな気もします。ご自分がフラれた経験もエピソードとして紹介されていますが、婚約を解消したくなる気持ちもわからないではない? 格差社会の中で正規採用で働いている運のいい人たちもサービス残業など過剰労働を強いられているこの世の中、発想の転換という意味では読む価値あるかな。いろんな意味で負債を抱え込まされているこの世の中、「世間の常識」とかに背を向けてみるのも悪くはないか・・
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自分の考え方が少し変わったような。
1つの道しか考えられなかったけれど、いろんな選択肢が増えたような、そんな本だった。
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大杉栄を尊敬する日本のアナキスト研究家である著者の願いは「はたらかないで、たらふく食べたい」ということ。やりたいことしかやりたくない。満員電車に乗ると吐いてしまう。その結果、30代独身、年収80万円。両親の家と年金をあてにすることで生きている。
そんな著者が古典文学や歴史にふれながら、自分の願いや境遇を納得させようと試みたのが本書。
いい年をして、はたらかない理屈をこねまくる著者だが、それが本心なのか、笑いのためなのか、他の野望があるのか、イマイチはっきりしない。
なんだかんだ言いながら、大学の非常勤講師とこうした本の印税で収入を確保しつつ、ニートを笑い飛ばす、ゆるい社会派エッセイとして、読むべきなのか。
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自分が知らない世界はどれだけあるのだろう。
いろいろな人に出会って話をしてみたい、そんな気持ちになる一冊。
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今の自分の考えが正しいのか、間違っているのかについて、頭を悩ませるのがアホくさくなる本です。
今後の人生への悩みに対して一つの答えがあるのではなかろうか?
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読み終わったのはいつだったかなあ。仕事辞めてすぐあたりなので、一ヶ月くらい前かな。日に日に貯金がなくなっていく中、働かないで(金を稼ぐことなしに)たらふく食べたい(食いっぱぐれることのない生活がしたい)という切実な気持ちになってきてる。
栗原康さんブームが起きている。なぜだっけ?そうだ、ネットで雨宮まみさん(だったかな?)との対談を読んだのだったかなあ。付き合っていた人に、収入の低さを理由にこっぴどくフラれた話。あれはー…衝撃だった。赤裸々だと思った。
本をたくさん読んで、文章を書いていたいと言う栗原さん。それ自体は、何も咎められることでないはずなのに、彼女にしてみたらダメ人間。大人になろうとしていない、と見えるんだな。彼女にとっての幸せは、お金を稼いで、欲しいものを買うこと。…わかるw
物書きになるっていうのは、働きたくないと思った人がまずはじめの方で考える職の一つなんだなあと思った。
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気が付けば、バブルがはじけてからこの方20年以上もずっと不況だ。
ならこれは不況ではなくて、通常なのでは?
いつかこの不況から脱却できると思うから、いろいろ我慢や辛抱をしたけれど、もしかしたらこれを通常とあきらめて、生活のあり方を考え直さなければならないのでは?
なんてことを、何の根拠もなく考えていたけれど、それに根拠を与えてくれる社会学者の著書。
といえば堅苦しいが、非常に軽く、いささか軽薄なほどに軽く、生活に即して考察した本なのだ。
1979年生まれの大学非常勤講師。
両親とともに埼玉の実家で暮らす。
今でこそ年収は80万くらいあるようだが、年収10万くらいの時に、稼ぎのない著者に代わって両親が年金を年17万円も支払わなくてはならないことに憤る。
年収10万円の人から17万円も年金を搾り取ることのどこが福祉だ!相互扶助だ!
“ニュースでは、いつものように企業閉鎖や労働者の悲惨さがとりあげられ、経済破綻がさわがれている。字面だけみると、新自由主義がふつうに批判されるようになっており、労働者に同情的な声がひろがっているようにもみえるが、その内実をみるとびっくりしてしまう。不況だからクビ切りはいたしかたない、国民一体となって不況をのりきろう、失業者は低賃金でもはたらきたがっている、どんな仕事でもはたらけるだけましだ、と。ひどいものだ。これはどういうことなのか。どう考えても、みんな企業のせいでたいへんなおもいをしているのに、その責任を問うどころか、むしろ企業のために必死ではたらくことが推奨されている。過剰なまでにふくれあがっている労働倫理。”
アリとキリギリスに例えると、遊び暮らしていたキリギリスが、冬になって食べるものがなくなると、夏の間にせっせと働いてエサを蓄えていたアリを食べ、なおかつ貯めこんだエサをもいただいてしまうという、今の世界はこんな感じではないか、と。
“いろんないいかたはあるが、わたしたちをとりまくこの社会は、いちおう認知資本主義とよばれている。世のなかがカネもうけでうごいていることはいまもむかしからかわらないが、その最たる手段が人間の認知能力、ようするに情報になったということだ。大切なのは、なんらかの情報がはいってきたら、期待されたとおりの反応をしめすこと、けっして迷わないこと、躊躇しないこと。(中略)ようするに、上から命令されたら、それにしたがえということだ。”
情報量はあふれんばかりにあるのに、それのしめすところは消費の勧めだ。
“おおくの国が不況になって、とにかく売れるものだけをつくらなくてはならなくなった。消費されるものだけをつくる。消費されるときにだけひとをやとう。これが非正規雇用だ。(中略)おそろしいのは、結果、大多数のひとが貧乏になったのに、それすらショッピングのように自分で好んでえらんだ結果だといわれるようになったことである。フリーターになるのも個性、ニートになるのも個性、ホームレスになるのも個性だ。そして、かれらは仕事をもつことを放棄したといわれ、世間から倫理的な非���にさらされる。なぜなら、それは消費を放棄することにひとしいからだ。仕事をもたない、もてないということは、自分で人間じゃない、市民じゃないといっているにひとしいのであり、反社会的な行為なのである。自己責任だ。とうぜん、国家はカネをださない。”
生活のために働いていたはずが、いつの間にか働くための社会的パーツに成り下がってしまった私たち。
そんなことのために生きているの?
いや、はたらかないでたらふく食べたいのだ。そしてもてたい。
労働力と貨幣の等価交換という名のもとに、お金に隷属させられたくはない。そしてもてたい。
“たいていの場合、借りたものは返せなくなっているし、ひとりでも共同でも、都市部にいても地方に移住してでも、手軽な場所をみつけ、なるたけカネをかけないで生活しようというひとはけっこうおおい。きっともうすこししたら、なるたけテマをかけずに、自給できる方法だってどんどん発明されてくることだろう。はたらかないで、たらふく食べたい。社会が狂うのか、それとも自分が狂うのか。”
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小谷野さんと似た印象を受けたが思想は真逆のような共通点があるような。著者はなかなかイケメンなのでヒモを目指してみてはいかがか。なんか中途半端で癖の強い文章だった。
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働かないで生きていく方法が知りたくて、アナーキズムの研究者が書いた本だから何か参考になるかも、と思って手に取ったのだけど、ただの内容の薄いエッセイでした。社会に対する文句のオンパレードのくせに、その社会に生かされてるけどね?と突っ込みたくなる。親の年金で生きる中年は流石に笑えなかった(笑)
一方で自分の価値観に消費社会の理論が刷り込まれているんだなという気づきもありました。何においても価値に換算して考える。人の価値、従業員としての価値、結婚相手としての価値、時間の価値、命の価値。その考え自体が資本主義社会に毒されていて、もっとフラットにフリーダムに考えたいなって思いました。
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生の負債化ってまさにそうだな。生きることにプレッシャーをかけ過ぎてしまって無気力になってしまうんだけど、それははたらかざるもの食うべからずが日本社会に蔓延っているから。
はたらくのは誰かの役に立つということだから本来は気持ち良いものだと思う。
いろんな昔の人の話が出てくるけど、今はその時代の人たちに比べたら全然恵まれているし、失敗して死ぬこともまず無いから、どんな状況でも自由に生きた人達を参考にして、楽しんで生きたいなと思った。
はたらくことが楽しくなるにはどうするかから考えても良いし。
仕事をして苦しくなってたらまさに負債化。仕事してて嫌だなと思うのは不機嫌な人が多いこと。尊敬するのは笑顔で明るくて元気な時間が長い人。はたを楽にするために自己犠牲してちゃ意味ないし。
プレッシャーをかけ過ぎず、自分にも他人にも思いやりもって生きたい
今、苦しい人は色んな価値観があると知るきっかけになるし、苦しさを我慢しなくても良いと思わせてくれる
一遍上人の本を読んでみよう