紙の本
データで見ることの大事さ
2022/02/21 16:13
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投稿者:いて座O型 - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらず快筆の著者による、社会の常識をデータで疑う連載をまとめた一冊。
世間でいろんなことを論評して、それなりの社会的地位のある人たちが、実際に正しいデータに基づかないで、なんとなく読みかじったり聞きかじったりしたことをベースに語ってる例って、すごく多い。
でも、データに基づかないと、結局は進歩なく同じことを繰り返してるだけだよと、この本は教えてくれる。
歴史修正主義の本なんかでも、きちんと史料に基づいたものを見たことがないので、この著者の本を一冊読んで、正しい本の書き方を知ってから、書いてほしいと思ってしまう。
紙の本
ノスタルジーはノスタルジーで
2015/10/10 00:11
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投稿者:タナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は的確なデータで「昔は良かった」と言う幻想を打ち壊してくれる。
「昔は良かった」と言う。美化されたノスタルジーは、思い出として語るのは結構だが。
今を生きる若者に、そのノスタルジーを押し付けるのは傲慢なエゴであると言える。
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幻影だった昭和ノスタルジー
2015/08/08 09:36
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
庶民史を紐解いてみると、真実は意外なもので、皆が憧れる昭和ノスタルジーは幻影でした。
内容は、火の用心、治安、クレーマー、長者、コーラとウーロン茶、自警団、美人、安心・安全、ハイテンション、熱中症、敬老、絆、商店街といったキーワードで庶民史を検証します。すると「昔は良かった病」が、明らかにされていきます。
例えば第2章では、最近治安は悪化しているという嘘を暴きます。確かに、40年前の自分の子供時代を思い出すと、空き巣が横行し(我が家も社宅のベランダから2度侵入されそうになりました)、川辺にはホームレスが掘立小屋を作って住んでいました。そして、夜間に子供が出歩くのは、極めて危ない空気が漂っていましたので、今みたいに深夜に普通の家庭の中学生がウロウロするなんてことは、滅多にありませんでした。
私自身は、著者が言うほど「昔は良かった」と思ったことはありませんが、それでも「昭和」という響きには、どこか懐かしさや郷愁を誘いますし、あの頃は、夕焼けが綺麗だった気がします。これも、きっと「昔は良かった」病ですね。
とにかく、独特のテンポの語り口で、期待以上に面白かったです。
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「昔はよかった」病(新潮新書)
2015/10/17 23:51
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投稿者:ねこすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者の本は複数冊読んだことがある。共通していることは、著書全て、資料や統計に基づいて、実証的に論じていくことである。そのため、世間一般に流布している言説がインチキであるが次々に論じていくところは大変小気味よい。
ただ、豊富な資料に基づいているところはいつもどおりで、大変敬服するのであるが、今回はただ単純に題材が面白くなかった。私には同じ著者の『反社会学講座』のほうがずっと面白く感じた。
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言葉は荒いように見えて正確な日本語。
言説は昔の新聞投書欄を主なツールとして、現在の「昔」に対するイメージとのギャップをえぐり出す。
そのギャップが、これまで抱いていた違和感を綺麗に説明してくれるから、非常に痛快であり、またこれからの反論の武器にも使っていける気がする。
このテーマで書き下ろしの本を書いてほしい。
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おもしろかった!今まで感じていたいろいろなものに対するもやもやや違和感を、明確に言語化してもらい、痛快に斬ってもらえた感じがした。「安全安心」「絆」「元気をもらえた」に対する違和感、「老人は善で若者は悪」「体感治安の悪化」のうそ・・・等、おっしゃるとおり!と思いながら、一気に読んでしまった。
各章それぞれに、大きくうなずくところばかりで、ひとつひとつあげて書いていくと、結局この本のマルパクリになってしまいそうなので厳選してひとつ、でも各章を貫いている筆者の視点だと思われる箇所を引用したい。
「正義はたやすく暴走する。正義を暴走させるのは、偏見と暴力」
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よく言われる、「昔はよかった」論について、例えば、犯罪、安全、地域の絆、子供や老人のイメージ、勤勉さ、商店街、クレーマーなどについて、これらは皆昔のイメージの方がよいとされているものの例示だが、それぞれについて、きちんと資料に基づいて反証を加えている。
その際の批判精神が辛辣で、表現の刺々しさも心地よい。
「だから何?」と言ってしまえばそれまでだが、日本論、日本人論としても意味のある一冊。
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昔よりも治安はよくなって、男女同権化が進み、医療の進歩で長生きできるようになった。というだけの話で、法改正や科学技術が進歩しても、人間は昔も今も変わってないのだが、もう経済成長するのは無理だし、超高齢化社会に向けて、世代別格差は進むし、悪くなっている部分もある。
以前見た戦後ドキュメンタリーで、死ぬ間際の老人が「空襲で家も家族も失って戦災孤児になったが、孤児仲間で好き勝手やってたあの頃がイチバン楽しかった」と述懐しているシーンがあった。
余命が少ない老人にとっては「昔はよかった」のは当たり前。自分の人生は主観的なものであり、統計の問題じゃないから。
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久しぶりに著者の本を読んだけど、面白かった。
昔は今よりもよかったと言いたいおっさん・おばさんの気持ちはわからんでもないけど、何でも調べてみることって大事やと思う。
間違えた事実に基づいて結論を出してしまうのは、今や庶民だけじゃなくて、政治(特に自民党)の十八番状態になってるのも悲しい。
昔の政治はよかった、、、わけないよね笑
個人的には戦前の熱中症の資料や、11章の「ありのままの敬老の日」がツボやった。
高齢者の犯罪率が上がってるけど、元々その人らが若い時もやっぱり犯罪率は高かった。ってね笑
言われてみると納得なんやけど、扇動的に言われると、昔はユートピアで今は危険、、みたいな感じで聞こえてしまうけど、きちんと過去を直視すべき。
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自分の若いときはこうじゃなかったのに、今の若いもんはうんぬん、というのは古来から何度も言われていることだけど、果たして本当なのかということの検証。
雑誌に連載していたものだからか、かなり言葉がひどい印象です。個人的に読みにくかったです。
また、私もこんなこと言えたことじゃないですが、言葉遊びに終始している印象も強いです。「安全・安心」の「安心」は心の持ちようであり、危険から目をそらせることでしかないから、何の解決にもなっていないという論調ですが、この辺が飲み込めませんでした。
なにより、強盗などよりも詐欺の方が安全だから詐欺の方に誘導させろって言うのがごめんなさい、賛同しかねます。
もちろん著者の言いたいことはわかります。マスコミなどが不安を扇動しているのだ、というのはわからんでもないですが、陰謀論の入り口に立たされている気もするんですよね。
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過去の新聞記事をさかのぼるだけでも、たくさんの思い込みが覆される。「昔は…」といった枕詞で話し始める人は要注意。ちゃんと裏付けを得てから話しましょう。勝手な理屈で自分だけ気持ち良くなっているの、バレてますよ。
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昔のほうが安全だった、人情があった、って本当なのか…を検証してみた本。調査対象は主に新聞。昔の人も結構めんどくさいというか、間違った方面に熱いっていうか、あんまり現代と違わないんじゃないのか…。とも思う。楽しんだ。
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凶悪犯罪や少年犯罪は増えていないし、現代っ子がひ弱なわけでもない。絆やふれあいがあれば安心安全なわけじゃないし、年寄り軽視も昔からなら、商店街も昔からぱっとしないばかりかブラックだった…
あらゆる場面でとびだす「昔はよかった」「昔は違った」は本当かどうか、古い新聞・雑誌の記事、統計などの史料を徹底的にあたるという得意の手法で、古き良き日本という美談・思い込みを論破していくエッセイ。
時事的な毒が折り込まれていて、いつもよりも浅いところでストレス発散ぽく終わってしまっている気がするのは雑誌(『新潮45』2013年12月号〜2014年12月号)連載だったせいかしら。
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「昔はよかった」と過ぎ去った昔をやたら美化し、現代を批判する輩に、データや過去の文献を使って、いかに現代の方が昔より良いかを論破している本。取り上げられているのは、「火の用心」、「日本の治安」、「クレーマーの歴史」等々。特になるほど、と思ったところは「~振り込め詐欺は、悪質なものだけを見せしめに取り締まって、小物は泳がせておく方がいい。そうすることで、強盗など危険な犯罪をやってる連中が振り込め詐欺に鞍替えするよう誘導できれば、犯罪件数は多少増えても、社会全体の安全はかえって高まるのです。」という主張。著者はどうしたって犯罪の発生件数は0にならないとも主張。そりゃ、そうだよね~。この人、外国人名だけど絶対日本人だと思う。あと、欲を言えば、吉田戦車のイラストが入っててほしかった。
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相変わらず、まっつぁん節が全開で嬉しい、平安時代にまで飛んでってソースを出してくるなんて、どんなイタリア人ですか!w ブログは拝見してますが、著書の方はご無沙汰でしたので本を読んでみるとしましょうかー