人生が交錯する3.11
2016/05/25 22:14
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
若い妊婦を見守るマタニティスイミング指導員の晶子。
腕一本で勝負してきた人気料理研究家の真希。
真希を憎しみ一人で生きてきたカメラマンの真菜。
本作では3人の人生が震災を機に交錯するところから始まります。晶子と真菜の人生を綴った文章を手繰っていくと、女性の生き方や仕事への価値観以前に、「一人の人間としてどう生きるか」「次の世代に何を残せるのか」という命題がつきつけられたような気がしました。だからといって重苦しい作品ではありません。働き、稼ぎ、食べることの尊さや希望を見出して読み終えることができました。小島慶子さんの解説も良い文章です。
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重くて読むのに時間がかかってしまった。
気楽な本ばっかりじゃなくて、過去を知る本をもっと読んだ方がいいんだろうな。私。
辛いけど未来は見える話。
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自分が思っているほどには、この世界は脆くなくて多少のことではビクともしない。地震が来ても戦争をしても、明日はなんてことない顔をしてやってくる。苦しくても、つらくてもそんな世界で折り合いをつけていくしかない。
そうすればおせっかいな人に出会うこともあるかもしれない。
また、人生捨てたもんじゃねぇな、って思える作品に出会ってしまった…
だから小説はやめられない。
窪美澄さん好きだわ~
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やっぱり窪美澄さんは上手い。
読んだ後、今回も号泣でした。
物語の主人公は75歳にしてマタニティースイミングのインストラクターを務める晶子と、彼女のクラスに少しだけ通っていたワケあり妊婦の真菜。物語の前半では戦争を生き延びてきた晶子と、家族との不和を抱えて生きてきた真菜のそれぞれの半生が語られ、後半からは東日本大震災を機に深く交わってい2人の人生が描かれています。
「パパは、いつも、家族だから、って言うけど、血がつながっていたって、人間だもの。相性があるよ。パパと、ママと、私の、家族としての相性は最悪だと思う。」(p369)
物語の後半、シングルマザーとなった真菜は晶子の勧めで絶縁していた父と話し合う機会を持ちます。そこで出てきたのがこのセリフです。この「家族だから」という言葉は私も言われるのが嫌いなので、すごく真菜の気持ちが分かって印象に残りました。
でもそのあと晶子の友人の千代子が真菜に言った「だけどね、あなたが正しいと思ってしてあげたことだって、この子は嫌がるかもしれないよ。いくら親が愛情だと思って、子どもに差し出したって、子どもは毒に感じることだってあるんだから。その子もいつか、母親を憎むかもしれない。・・・あなたみたいに」、「でも、それでいいのよ。そうやって続いていくんだから」(p390)も同じぐらい印象に残りました。
あと晶子の旦那さんが要所要所ですごく良い。仕事人間でほとんど家のことは晶子に任せきりだったけど、ちゃんと晶子を見ていてくれる優しい人で。次男を病気で亡くした時とか、「ここぞ」って時にはしっかり支えてくれるのです。こういう風に辛い時に助け合えるのなら、結婚も悪くないのかも。
子育てや家族に悩んでいる人、生きづらさを感じている人にぜひ勧めたい一冊です。
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窪さんの文章はとても読みやすいですね。時間が取れたこともあり、一気読みでした。
子を持つ親としては、耳が痛い部分も所々ありました。
地震があった時は子供は1歳だったので、書かれていたようなことを思い、ひどく神経質になっていたことを思い出しました。
泣けるところもあり、飽きずに読めるのですが、リアルな部分とそうでない部分のバランスが気になったかな。
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学童疎開を経験した女性、もう一人は豊かな家庭に育ちながら満たされずにいる女性、それぞれの喪失と再生の物語が交わり新たな希望が芽生える。人を愛し、子を慈しみ、そして利害に囚われず他人を慮る主人公が美しい。決してハッピーエンドでなく将来の苦難を予想させる終盤は見事なバランス感覚にも魅せられる。
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最初はちょっと窪さんっぽくない?って思ったのですが、読み進めて行ったら、やっぱり窪さんだー!って思いました!
やはり窪さんは女性を描くのが抜群に上手い!
それぞれの世代の女性の生き方がすごく上手に描かれていて、共感を覚えました。
3.11の東日本大震災が題材になっている為、とてもリアルに感じました。
読後感も良かったです!
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なんとなく書店でカバーが目に止まり購入。
東日本大震災を扱った内容で、自分も当時都内にいたのであの都内の混乱や情報の錯綜を経験していて、想像がつきやすい内容だった。あの頃、確かに真菜のように身籠っていた人、それもシングルマザー、という人も、いたのだなぁと思うと、その苦労、心労を思わずにはいられなかった。この物語は、そんなシングルマザーの真菜と、真菜を気遣うマタニティスイミング講師の晶子、という女性2人の生き方、2人の関わりについて描かれている。真菜は、バリバリ働く女性を母親にもち、家に母親がいない環境で育ってきた。その背景に加え、更に結婚はできない男性の子どもができてしまう。一方晶子は70代になっても現役で妊娠にスイミング講師をする、世話焼きなおばあちゃんというキャラクター。戦争も経験していて、戦後の日本において、仕事中心の夫を食事で支えながら、2人の子どもを育てた経験をもつ。晶子と真菜の交わりや、晶子とその夫の関係が温かい気持ちにさせてくれる。晶子のような世話焼きさんが沢山あふれていたら、虐待なんかも減るのかなぁ、などと考える。また、登場人物ひとりひとりが、とても存在感があって、ストーリーの濃さを出しているのも良い。
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戦争を経験した晶子は、マタニティスイミングの指導員や食で妊婦たちと関わっていた。
そんな中の一人に、料理研究家の有名な母を持つ真菜がいた。
真菜は母の愛情に餓え、自分の体を傷付けることで学生時代を送っていた。
時代は移り変わり、女性が働くことが当たり前となった世の中。
子育て、母と娘の確執。
小島慶子さんの解説も心に沁みる。
2016.11.15
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20150916 現代に生きる女のかたちを肯定してもらった。解説含め、なんだか心が軽くなる。
幸か不幸か、なにが女の幸せか(なにを自分の幸せとするか)を自分で見つける時代です。まだ母親でもなんでもないけど、もやもやするね。
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一気に読んだ。
母親との確執、女性の生き方、葛藤、そして震災。どれも生々しく、どれも少なからず共感できる。それゆえに、少々鬱陶しい。これらのテーマは、あまり一変に並べられると主張訴えが多すぎるので苦手だ。そして、子を持つ親としては、小説で東日本大震災を書かれたものを読むのはまだ辛い。あのときのどうしようもない不安や戸惑いがフラッシュバックする。
とても上手な作家さんだけに尚更なのかもしれない。
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マタニティスイミングの講師晶子は、地震の日、気になる生徒を訪ねる。カメラマンの真菜は一人で子どもを産もうとしていた。
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さくさく読んだ。
内容は決して軽いものではなく、家族、女性の仕事、震災、命、いろいろ考えた。
真菜の生き方は痛々しくて、辛かった。
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マタニティスイミング講師の女性と料理研究家の娘の話。
それなりの年齢になったら
普通に結婚して 子供を産むんだと思ってた。
そうなってないことが辛くもあるけど
何の疑いもなく そう望めていた事は
幸せなことだったんだろうな。
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とても重く、そしてとても温かい物語だった。窪美澄さんの小説はいつもそう。
娘として育ち、そして自分もまた母親になった人ならば、さらに思うことが多いかもしれない。
母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠し、たった一人で出産を迎えようとしている30歳の真菜。妊娠中友人に連れられて行ったマタニティスイミングの指導員である75歳の晶子との出逢いが、出産後の真菜の人生を変えて行く。
3.11の震災直後、放射能を避けるように自分が住んでいた土地を離れた人々がいた。今や遠い記憶になりかけているけれど、この小説を読んで、あの時の不安な状況を思い出した。
売れっ子料理研究家として忙しく働く母親を持った真菜は、母親の愛情を感じることが出来ずに育った。投げやりな学生だった1999年に世界は終わると思っていたのに、終わることなく世界は続いた。
そして時は流れ、出産を迎えようとしている2011年に震災は起こった。
終わりかけている世界でも、命は待ってくれることなく否応なしに産み落とされる。
母性って何だろう、と思った。
母親にしてみたら自分なりのやり方で愛情をかけているつもりでも、それを受ける側の子供からすれば、それを愛情だと感じられないかもしれない。親子という一番近く血の濃い間柄であっても、思いがすれ違うことは多々ある。
大人になって自分も親になった時に、その業を深く感じるものなのかもしれない。そして親の気持ちを、理解出来るのかもしれない。その上で、分かっていてもやはり自分の子どもとはすれ違うのかもしれない。
戦時中の飢えを知っているからこそ向上心を持った晶子の世代と、何でも与えられてきたからこその飢えを感じる真菜の世代では、どうしたって大きな隔たりがある。
私は真菜と同世代だから、やはり戦時中の飢えを想像することは出来ない。
でもその世代差を超えて全てを受け入れようもする晶子の懐の深さは、真菜だけじゃなくて、きっとこれを読む読者さえも救うだろうと思った。
重いけれど爽やかさも感じる、独特の読後感だった。