電子書籍
愛逢い月
著者 篠田節子
甘く切ない恋の至福のときは短くて、頂点を極めたあとには、ただ、執着と妄想に満ちた永い時間が続くだけ……。かつての恋人と共に、死者の世界を永遠にさまよう甘美な地獄を幻想的な...
愛逢い月
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愛逢い月 (集英社文庫)
商品説明
甘く切ない恋の至福のときは短くて、頂点を極めたあとには、ただ、執着と妄想に満ちた永い時間が続くだけ……。かつての恋人と共に、死者の世界を永遠にさまよう甘美な地獄を幻想的な筆致で描く「38階の黄泉の国」。出ていった男を待ち暮らす寂しい女の危うい心理を追う「ピジョン・ブラッド」など、恋と、恋の残滓の中にひそむ、恐怖とサスペンスとミステリーを描く愛の終わりの物語全6編。
目次
- 秋草/38階の黄泉の国/コンセプション/柔らかい手/ピジョン・ブラッド/内助/文庫版あとがき
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紙の本
狂気と恋。
2010/09/20 05:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めての篠田節子さんの書籍です。まず、ジャンルを問われた時には答えに窮すると思った。恋愛とも言えそうで、それだけに収まらないような感覚。ホラーとも違うんだけど、グロテスクな表現も含んでいるし、恐怖心だって芽生える一冊。
狂気、という言葉が浮かんで離れない。今住んでいるニューヨークも登場するので、ありありと想像して読めた一編もあった。死を間近に控えた、非常に前向きな妻を前に限界を感じた元編集者、妄想の世界での情事、危険を犯してダイビングに励み、家庭、妻を蔑ろにしてきた夫が事故に遭い、一室に閉じ込めてかいがいしく世話をする女。そのどれもに狂気という言葉が合うように思えて仕方が無い。
今まで読んだことがないようなタイプの書籍なので、何をどう表現したら良いのか分からずにいるんだけれども、生身の人間が抱く感情や恋をしている時に見失うもの、またはそういう時だからこそ見えるもの、日常なんかが巧妙に描かれているのは確かだと思う。そういう立場の人も、ひょっとしたらいるかもしれないと思えるような設定。特に、ダイバーの夫を持つ裕福な女性の話では冷やりとしたものを感じた。見ようによっては、身体が不自由になってしまった夫を介抱し、一生懸命な妻なんだけれどもある視点からだと復讐のよう。
色んな見地から、違った風景や心情が見える多彩な一冊とも言えるかもしれない。飽きずに読み終えることができたので、また別の書籍も読んでみようと思えました。
紙の本
執心、妄想をはらむ恋
2001/12/11 09:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アクエリアス - この投稿者のレビュー一覧を見る
全6編の短編集。
遠い過去の不倫の恋人と二人きり、思い出のホテルの一室に永遠に閉じこめられる「38階黄泉の国」。
ダイビング中の事故で動けなくなった夫を、蔑ろにされていた妻が外界と遮断された一室に閉じこめて、熱心に看病する「柔らかい手」など、ややホラー調の話が多い。
個人的には一番最後に収録されている「内助」が一番好き。優秀な頭脳を持ち、スポーツ、気迫など、すべてにおいて際だった存在だった花岡俊一と結婚し、彼が司法試験に合格するまでの2〜3年の辛抱のつもりで生活を支えてきた佳菜子。俊一の成功こそ佳菜子の人生の目的だったのに、合格せぬまま10年目、いつの間にかふやけた体になった俊一は司法試験をあきらめ、料理に凝りだす。そしてある日。
『女たちのジハード』に繋がっていく一編なのだと思う。