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あざむかれる知性 ──本や論文はどこまで正しいか
著者 村上宣寛
一般的に信じられている知識の多くはゴミであり、有害だ。一方、星の数ほどある実証科学の研究も、その質はピンからキリまで。本当に頼れる知識は、数百、数千の研究から質の高い研究...
あざむかれる知性 ──本や論文はどこまで正しいか
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あざむかれる知性 本や論文はどこまで正しいか (ちくま新書)
商品説明
一般的に信じられている知識の多くはゴミであり、有害だ。一方、星の数ほどある実証科学の研究も、その質はピンからキリまで。本当に頼れる知識は、数百、数千の研究から質の高い研究のみを抜粋して、メタ分析等の統計的分析を行ったシステマティック・レビューである。さあ、これでもあなたは常識と思い込みにしたがって人生を送りますか?
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ちんちんは結局、大きくならなかった。
2015/12/16 22:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
実証科学の論文はピンキリで、システマティックレビューなら比較的公正な論文に辿り着けるとしています。
「検索キーワードを入れ、システマティックレビューというフィルターを付けると多くの論文が出てくる。そこで、関連する論文をいくつか読めば直ちに最先端の知識に辿り着く。」
おおっ!!マジっすか!?
「ちんちん 大きさ システマティックレビュー(SR)」で早速ネット検索してみました。あれ?ちんちんを大きくする滋養強壮剤か手術かコクラン共同研究(SRのネタ元)しかないんだけど、どういうこと?
システマティック・レビューの別の本で、牧本清子さんの本を読むと、どうやら「お作法」があるみたいです。
コクラン共同計画の日本支部JANCOCは、2007年までで、まだ本家のデータベースの466件しか翻訳できてません。しょんぼり。
ただこうしたエビデンスレベルの高いものからある程度の妥当性のあるものしか採用しないってのは、かなり安定的な態度となります。
本書では「確証バイアス」という言葉が紹介されていて、人は自分が考えている内容に位置する事柄を選択的に採用したり探そうとする恣意性があって、こういう認知のゆがみがそれです。
で、今までのメタ分析などを振り返り、健康習慣を再検討すると野菜と果物を沢山食べる行くは少なめにするとか、6時間半以上8時間未満の睡眠をとるとか、勤勉に多くの仕事をこなし活発に精神活動を行う。
なんてのが健康の秘訣になるんだそうです。中高年のダイエットは身体影響を加味してゆっくり行えとか。
わかっちゃいるけど、リセット願望が私たちにはあるんですよ。SRが積み重なれば蓋然性が高くなる。つまり、エビデンスに沿えば、案外、無味無臭な結論が多く、一発逆転を望む人はある種、宗教的要素を望みます。
「そんなこと言ったって、なんかいい方法あるんでしょ?」
SRでポジティブ心理学は科学と願望が半々であるという結論に辿り着いています。長寿とわかるから楽観的になるのであって楽観的であれば長寿になれるというのは因果関係の誤解、ってのは、なるほどなぁって思いました。
どうやらポジティブ心理学は「幸福感」がテーマでして、多くの人がそれを望み、人々の希望に沿うような主張したので大衆的人気を獲得したようです。しかしエビデンスは乏しく、すべては希望的観測に彩られているとのこと。
人は発言の自由があり、ネットと同じでまさに玉石混交なんだけど、それを交通整理するためにSRという視点はかなり強力な視点であるようです。しかし、統計は強力ゆえに取り扱いを注意しなければなりません。知識の交通整理としては、SRは結構優秀な整理員ってトコなんですね。
医療系には時に「べき分布」で、あるテーマには、ものすごい量の研究があって、それを全部読むのは困難なので、SRはこうした時、大きな指標となりえます。
今の「真実」はとりあえずは「暫定的」なものですから、新しい知見が出たら、それに応じる柔軟性が必要であり、なんとかダイエットで体重大幅減!とか、この投資で絶対確実儲かる!とか読み手の確証バイアスも問題であり、結局わたしたち自身の態度の問題でもあるんですね。