3.11後を生きるきみたちへ-福島からのメッセージ
著者 たくきよしみつ著
地震列島・原発列島に住む私たちは,これからどんな生き方をしていけばいいのか? どんな社会をつくっていけばいいのか? 福島第一原発南西の川内村で,3.11の大地震とつづく原...
3.11後を生きるきみたちへ-福島からのメッセージ
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地震列島・原発列島に住む私たちは,これからどんな生き方をしていけばいいのか? どんな社会をつくっていけばいいのか? 福島第一原発南西の川内村で,3.11の大地震とつづく原発事故を体験した著者は,東電・政府・自治体や住民の動きを目を凝らして見てきた.その目で見たもの・考えたことを若い世代に伝える.
目次
- 目 次
- はじめに
- 第1章 あの日、何がおきたのか
- 第2章 日本は放射能汚染国家になった
- 第3章 壊されたコミュニティ
- 第4章 原子力の正体
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3.11から何を読み取るか。それでも福島に住み続ける著者からのメッセージ。
2012/05/29 08:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジュニア新書には一般書としても充分読み応えのあるものが結構多いが、本書もその一冊。若者向けに少しわかりやすくは書かれているが、内容は充分に重たいし、コンパクトにまとめられていて読みやすい。重たい内容に意気消沈しないように、との著者の心配りがいたるところに感じられる。
かつて神奈川で仕事をしていた著者は、中越に移住して中越地震に会った。再建を期してさらに福島に居を移したのだがそこは原発から25kmという地点。3.11の地震では被害はそれほどでもなく、しかしよく状況がわからないままに原発の不安の中に置かれて「避難か残るか」の選択を迫られた、そういう人たちの一人である。
直後の混乱、一ヶ月もたってからの避難勧告、散り散りになっていく住民。3.11以後も多くの辛い事象は少なくない。著者自身の周辺だけでもこれなのだから、津波の被害なども加えたらもっと多くの問題があるだろう。損害補償に頼るほうが収入が多いという現実に勤労意欲が失われているケースなどはいったいどう考えたらいいのだろうか。自分ならどうするか、どんな生き方をしたいのか、考えさせられるところである。
原発から20km圏内は警戒区域指定。といってもぴんとこないかもしれないが、東京の品川(火力発電所がある)から20kmなら松戸・船橋・三鷹あたり、という地図を使った説明などはよくわかる。自分の近くの発電所から測って見るといいだろう。「ジャムパン政策」という「国策」の問題点の説明はなかなか面白かった。
原発、ひいてはエネルギー問題として著者がまとめた問題点も明解である。文系の著者が物理学の一般書を読んでこれだけ理解できるのだから、われわれも理解する努力をしなくてはいけないだろう。そこからでてくる「再生可能エネルギーという言葉は根本的に間違っている」という著者の言葉は「わが意を得た」発言であった。
著者の考えは極端だ、と思われる部分もあるかもしれない。それでよいのだと思う。どれが正しいのか、誰にでも正しいと思われる選択肢がまだあるわけではないものを前にしたときどうするか、のこころがまえを著者は示したかったのだと思う。
誰でもが自分の良いと思った生活を選ぶこと。そのために多様な価値観を認めること。著者は「古いカメラしかもっていなくても、撮りたいと思う被写体が沢山あるほうが幸せ、と私は思う。 P214」と書く。どちらかと言えば私もその意見に賛成だが、新しいカメラを持つことが幸せ、と思う人もいていいだろう、迷惑を及ぼさない限り。
自分の問題として3.11に現れた現実をこれからの人生にいかすこと。それでも福島に住み続ける著者からのメッセージである。