紙の本
人間の本性を見た
2004/03/07 07:38
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投稿者:無風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心は傷つきやすい。それなのに、心の生みだす欲望は、とてつもなく大きい。欲望が行動を支える。そして、行動は他人との衝突をひきおこす。
心と心がぶつかり、突き放される。それでも、人間は、何かを手にいれずにはいられない。企む。願いが叶う。突き放される。傷つく。また企む。そのくりかえし。
この小説には、嘘がない。どの時代にも普遍の、ありのままの人間が描かれている。微細な動作、瞬間の反応、心理描写に関するどこを採っても、現実に起こりうるものであろう。現実に打ちのめされ、流す涙は、心の穢れを示している。心の穢れをさらす姿は、あたかも本物の人間が息づくかの如くである。穢れのない心など存在しない。心が穢れるのは、欲望が現実を美化するからだ。
行動を駆りたてるのは、社会背景ではない。欲望なのだ。欲望が人を現実から遠ざける。だからくりかえす。これが人間の姿だ。
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赤と黒上巻
2001/10/07 15:39
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投稿者:あんぱん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス生まれのスタンダールの傑作。ジュリアンソレルはレナール夫人と激しく恋に落ちる。しかし、ジュリアンは神学校へとゆき、さらにド・ラ・モール氏の秘書になることになりレナール夫人と離れ離れになってしまう。
紙の本
この男も逆玉狙い
2019/01/28 10:30
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説もフランス文学でおなじみのバルザックの「ゴリオ爺さん」、フローベールの「感情教育」と同様、貧しい家庭に育った青年が恵まれた容姿を武器に貴族階級の女性を落として自分も上流階級に上り詰めようと目論むという展開だ。面白いことに、いずれの作品の若者もその野望は潰えてしまうことになるのだが、このジュリヤンはあまりに哀れだ
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フランス文学
2020/12/08 14:19
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭のくどい数頁で心が折れそうになるがそこを乗り切れば海外文学特有の読み難さ少ない。主人公ジュリヤンの慰めや悦に浸り己を鼓舞する様な空想の耽り方、着地点が痛々しかった
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製材小屋のせがれのジュリアン(美少年)は出世をしようとレナール家の家庭教師となり、夫人をたぶらかす。その後、ジュリアンはラ・モール嬢(たぶんレナール家)もたぶらかすが、レナール夫人を愛していることに気がつく。そしてジュリアンは大きな決断をする・・・みたいな話。
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上下巻
野心家の貧しい美青年のこういう伝統があるから、「太陽がいっぱい」というような映画が出来るのかな。
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細身で小柄、貧乏な家に生まれたジュリアンはずば抜けた記憶力と、大きなコンプレックス、身に余る野心を持って運命に翻弄されていきます。時に純粋で、時に情熱的、そしてねじれた暗い一面・・。この作品の根底には常に大きな感情の濁流が存在しています。
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タイトルの赤は軍服を、黒は僧服を差しており、それらは当時の権力を象徴するものなのだそうである。
平民階層の出身ながら、野心に燃える美少年ジュリヤン・ソレルは、その学才と美しさを武器に神学の世界で出世の階段を駆け上がる。また同時に、美しいレーナル夫人との密会も(人妻との秘密の恋愛というのが中世以来のフランス上流社会のスタンダードな恋愛らしい。)小説に華を添える。
ただ、感激屋のジュリヤンがドストエフスキー式にしょうっちゅう卒倒しているのは海外文学に慣れていない身としてはあまり頂けない物がある。
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上下。19世紀中期フランスの作家、スタンダールが実際に起きた事件などに題材をとった長編小説。 題名の『赤と黒』は、主人公のジュリアンが出世の手段にしようとした軍人(赤)と聖職者(黒) をあらわす。
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私には感情についていけないことがよくあります。私にはまだ早いみたいですね。
ストーリーの展開はとてもおもしろいです。
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王政復古のフランス。ジュリアン・ソレルの恋と野望に凝縮された人生を描く。
“若い女性が徹夜をしてよんでしまう”ほどの勢いをもつ一大ロマン。
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主人公某君の出世欲と愛が天秤にかけられるような物語。
最後の最後で愛に傾くも、今まで出世欲に大きく傾いていた反動が大きい。
オレも気をつけなくっちゃ。世界はラブアンドピース。
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初めてこの作品を読んだ時は、高校生。
作品のボリュームや作品に描かれている歴史的背景に
圧倒される、というか苦戦しながらも、内容が面白くて
なんとか最後まで読んでしまった。
この時自分が主人公ジュリヤン・ソレルに対して抱いた感想は
「自分の野心達成のためには手段を選ばない、
女の心を弄んだり、その愛を己の出世のために
利用するひどいやつ」であり、野望ぎらぎらな彼に対し
「最低男」のレッテルを心の中で貼っていた。
不倫相手のレーナル夫人に対しては
「利用されちゃったかわいそうな女性」
といった同情すら覚えた。
ところが2回目、20代の時に読んだ時は、
そんな身勝手なジュリヤンの個性が魅力に変わった。
「大いなる野心を持った、その心の冷たささえも
魅力的なハンサムな青年」、
そんな彼と恋に落ちるレーナル夫人の気持ちも
わからなくはないような気がして・・・。
彼が成功への階段を駆け上り、そしてそこから
あっという間に転がり落ちた「華麗なる出世物語」に
大いにわくわくしながら読んだ。
そして3回目の今回。読み手の私は33歳。
悲しいかな、自分が年を取ってしまったのか。
貧しい百姓の子せがれ、ジュリヤンが英雄ナポレオンに憧れ、
「いつか自分も!」と野心を持ち、色々と奮闘しながらも、
身分の壁に苦しめられたり、いつの間にか誘惑した
女性を本当に好きになってしまったり、
野心と良心の板ばさみになり苦しみ悩む姿に
彼の若さや人間づきあいの下手さというか不器用さを
見てしまった気がする。
読む年齢によって違った感想を抱き、長編であるにも関わらず、
最後まで大いに楽しみながら読むことの出来る本作品は、
それだけ内容の濃い名作と言えよう。
19世紀に書かれた恋愛小説なのに、内容は今の日本の
昼時のドラマの原作に取り上げられても
おかしくないくらい濃厚な恋愛劇、そして登場人物に対する
繊細な心理描写、訳者のわかりやすく、読みやすい訳が、
現代にも十分楽しめる名作と通用する理由だろう。
上巻のラストは、読み終えた後に
「この後どうなるんだろう!」と
すぐ後巻を手に取って読み始めたくなる位、勢いがある。
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打算、打算、打算、、、正直読んでてチト疲れたけど、最期の方一気に面白くなった。
ジュリアンが教会で事件を起こす、そのあたりから。
あとよかったのは、宗教絡んでるんだけど、作品全体がその思想に覆われてはいないとこ。
主人公自体が神、宗教を利用しようとしてるし。
宗教的な事で色々解決されたりする作品内容だと萎える・・・。
結構メモっちゃいたくなるような描写や箴言もチラホラあった。
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ジュリヤン・ソレル
平和な、現代の日本
そして、自由や平等を好きなように叫ぶことが出来る今だからこそ、
「素敵な話」
として、読むことが出来る。
物語のストーリーに流れが出るまで投げ出さずに読めれば、後は自然に惹きこまれる。