紙の本
村上春樹は、おもしろい
2018/05/31 21:51
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹の本は好んで読みますが、村上春樹のことを書いた本は読みません。
と、言いながら、このたび初めて読みました。
加藤典洋『村上春樹は、むずかしい』。
いつも村上春樹はあんまり考えないで読むので、ほお、そういう読み方があるのかあ、などと感心しながら読みました。
けど、「むずかしい」って、題名にあるけど、どこがむずかしいのか、納得できないまま。えーっと、私なら『村上春樹は、おもしろい』でいいんですけど。
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村上春樹は、わかりやすい
2016/06/16 11:02
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投稿者:kawao - この投稿者のレビュー一覧を見る
加藤氏の村上評論は、わかりやすい。「村上春樹は、むずかしい」と読者を引かせて、本題とはかかわりなく愛情を込めた村上評はハルキストの心をくすぐってくれる。
少し残念なことは、以前からの評論の焼き直し的な部分が散見されるところか。
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中国への視点
2016/03/04 23:35
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投稿者:つよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう一度村上春樹の小説を読み直したくなるほど、驚きと納得の評論である。特に、中国行きのスローボートなどの短編集がどのような企みで書かれたのか、という分析が新鮮だった。村上春樹の小説は深読みしなくても面白い。でも深読みすると、もっと面白い。一見、アメリカかぶれのように思われる春樹が中国を、日本の戦争体験を引きずっているという指摘が印象深い。一方で村上龍の小説がなぜつまらないかも腑に落ちた。村上春樹は夏目漱石の正統な継承者なのだという。漱石も再読したいという気になった。
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むずかしい?
2016/01/24 19:49
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投稿者:earthbound - この投稿者のレビュー一覧を見る
評論を書くには、村上文学はとらえどころが無いと思います。
あえていえば「むずかしい」とでも表現しなければ書けないのだと思います。
正直こんなに深読みしないと村上春樹は楽しめないのかというと、全くそんな事はありません。
岩波新書と村上春樹という組み合わせがこんな評論を書かせたのだと思います。
もっと気楽に読めば良いのにと思う次第です。
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仮定することと殺し直すこと
村上春樹の作品を発表時期で区切って論じている。初期は1979〜82年。前期は1982〜87年。作品の特性としては点(個の世界)であり、デタッチメントである。中期は1987〜99年。横軸(対の世界)であり、コミットメントが作品の根幹をなす。後期は1999〜2010年。縦軸(父との対峙)が作品に見られる。2011年以降が現在とされており、3.11以降に書かれる作品についても言及する。
著者の本は「村上春樹イエローページ2」などを読んだこともあるし、有名な文学批評家だと思うが、作家論的な言及はあまり好きになれない。村上自身が文壇から離れていたことと作品世界はあまり関係がないように思われる。
私がいちばん好んでいる「海辺のカフカ」を論じている部分には好感をもてた。もっとも損なわれた存在としての田村カフカの「回復」はどのようにしてなされるのかという点、佐伯さんの役割について言語化しているところに感動した。
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加藤典洋の最新春樹論。村上文学が大衆には世界中でウケているが中国や韓国など隣国の知識層にまったく興味を持たれていないことを知った著者が、もっと論じられるべきだと考え、その材料を提示した一冊。たしかに日本でも好意的に書かれた春樹論は無数に出ているが(売れるからね)あまり批判的な批評の対象にはならない印象。嫌いな人が語りたくないのはハルキスト達がウザったいからですかね。
内容的にはデビューから最新作まで発行時系列順に追っていて、特に短編を取り上げて論じられている個所が多いのも目新しく、全作読み返したくなる面白い一冊でした。もちろん著者の論考を全肯定するわけではないですが、「なるほど」とか「いやいや」とかあれこれ論じたくなります。近隣諸国のインテリもそういう気持ちになれば著者の狙いは当たることになりますが、はたして。
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たまには自分があまり手に取らない分野の本を読んでみようと思って購入。
しかし、ザッと全体を流し読みしても、ゆっくりじっくり丁寧に読んでも、何が言いたいのか理解できない。
例えば、「否定性の崩壊に続くポストモダン社会の到来のもう一つの指標は、情報化社会の展開から現れるリアルな世界とヴァーチャル・リアルな世界の反転である」(P88)という記述に続いて「これを日本社会にトレースすれば・・・」と巨人の星とあしたのジョーを例に挙げて説明するが、巨人の星やあしたのジョーのどこにリアルとヴァーチャル・リアルとの反転があるのか、説明を読んでも分からない。
続いて、アニメ映画「AKIRA」について、金田をリアル、鉄雄をヴァーチャル・リアルにカテゴライズするが、なんでそう分類できるのか私には分からない。
他の人のレビューではちゃんと著者の主張を理解してるみたいなので、自分にこの著者の主張を理解する文学や社会に対する素養が足りないだろう。残念。
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ノーベル賞候補にも名があげられ、日本を代表するといっても過言ではない村上春樹さんについて、あまりに強いそういったフィルターを取り除いた本当の凄さというものについて書かれています。大衆的な人気を得ているからといって、そんなに軽い作家ではないと。村上春樹さんとして、文学に対する壮絶な戦いを闘われているということ。初期から最近に至るまでの、村上春樹さんの著書の分析、周囲の反響などを詳細に分析されています。多数の著作がありますが、それらを読む読み方が変わってしまうと思いました。
読み終わってから、読み直して、「はじめに」の最後に書かれている著者の言葉「見くびってはならぬ。「村上春樹はむずかしい」のである。」という言葉に、著者の並々ならぬ思いが込められていることを感じました。
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「ー」
村上春樹の作品について、それぞれの時代毎に分類分けした本。よくある春樹解説本ではなく、なかなかにレベルが高かった。どこまで村上春樹自身が意識してそう書いていたのかは分からないが、やはり文学の持つ意義はすごいと感じた。
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オウム信者のインタビューで彼らの言うことがわかるんですよ、すごくわかるの。行っちゃうってことがね。
私たちは戦争の中で互いに殺しあう。そしてその後、戦争が終わると、平時の世界に帰還する。戦争が終わるとは、ある意味で正義という魔法が解けることだ。そう考えてみよう。
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村上春樹の文学が、時代と自分にとっていかに切実だったか、痛感した。一貫性のある、また、真っ当な評論である。一気に読んだ。
・どのような近代的な文学も、必ず、社会がゆたかになっていくある時点で、否定性が従来のかたちのままでは文学を生き生きと生かし続けられない転換点が来る。
・現実のもつ現実性が時の経過の中でリアルな意味をすり減らしてしまう。そういう場合、その現実性は、いまやフィクションを通じてしか、リアルな意味を回復できない。
・麻原の物語の力はむしろ稚拙であったからこそもたらされたのではないか。
・戦争が終わるということはないある意味で正義という魔法が解けること。その後、青豆の運命は私たちから遠くない。
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加藤典洋の村上評本。頭の中にあった漠然としていたものに、言葉を与えてくれるので、村上春樹を自分がどう読んでいたかを整理してくれる。「村上春樹の短編を英語で読む1979~2011」ですっきりさせてもらった。
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こういう評論から距離をおいていたのが村上春樹のいいところだと思っている。
けれど批評家の側が対象にしちゃうよね。文学的な評価は海外の方が高いかも。だからこそ日本国内でも村上作品の文学的達成度をちゃんととらえる仕事があってもいいのかもしれない。爆発的に売れる作家だけど、実は読みやすいけど理解はむずかしい。何にせよ『1Q84』のBOOK4が執筆される時を待ちたい。
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ずっと読んできたのに、『1Q84」が読み切れない。なぜか知りたくて、本書に助けを求めました。青豆の造形につまずいていたのでした。初期の作品から、デタッチメント(距離をおくこと)なる主人公の行動にどれだけ影響を受けたでしょう。そして、村上春樹は深化(進化)しつづけているのが、納得できました。そのことについていけず、または、誤解を加えて、違和感を持っていたのでした。今、あらためて、初期から読み直してみたいと思っています。春樹氏は、自分の評論を読まないと発言していますが、読者の道案内に本書はありがたい。
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【読書その62】久しぶりの読書記録。ボチボチ読書はしているものの最近気分が乗らず停滞中。今年に入って62冊目。そんな中で読んだのは加藤典洋氏の村上春樹論。恥ずかしながら、自分自身、村上春樹氏の著書は「ノルウェイの森」や「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」などのメジャーな本しか読んでないが、「村上春樹は、むずかしい」というタイトルとは逆に、色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年村上春樹氏の著書を新たな視点で見つめ直すことができるようになった。