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投稿者:ナウシカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これが、新人さんとはの作家さんとは、驚きです。それぞれの話の風景が、はっきりと見えてきます。この才能に脱帽です。
この雰囲気はいいですね。
2016/06/19 20:33
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
5編の短編をまとめたこの作品はどれもがえも言われぬ独特の雰囲気があって、作品の世界観にどっぷりと浸かることができて頭の中でその世界が広がっていきました。
ミステリーという形をとっていますが、謎解きの部分がなかったとしても物語として十分な魅力に溢れるものばかりでした。
中でも「大雨とトマト」はなんとも言えないユーモアと、いい年をした男のバカさ加減というか、愚かさがとても上手く表現されていて男としては苦笑してしまいますが一番好きな作品でした。
巧みに構成されたミステリーを背景に、女の愛憎、したたかさを描いた5短編集。
2023/02/22 22:12
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
巧みに構成されたミステリーを背景に、女の愛憎、したたかさを描いた5短編集。私的は[2]「仮面」、[5]「氷の帝国」が面白かった。[4]「片想い」は、日本を舞台にした、悲惨さやおぞましさのない珍しい作品。『戦場のコックたち』と本書の2冊しか読んでないが、海外を舞台に、著名な作品や出来事をアレンジした作品が多い。例えば、[5]「氷の帝国」は戯曲「サロメ」を連想させるし、『戦場のコックたち』は「史上最大の作戦」に物語を接木した感じ。徐々にオリジナリティの作品も書き初めてらしいのでそちらを早く読んでみたいものだ。
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投稿者:森羅万象 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オーブランの少女,氷の皇国>大雨とトマト>片想い>仮面
こんな感じで楽しめました。
大雨とトマト。
演劇で見たいと思った。
舞台向きのお話でした。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の筋立てに特別なものは感じないけど、
独特の空気感がある作家さんのような気がします。
梓崎優さんに似た感じかなあ。
たぶん初読み作家さん
2023/08/01 04:03
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
設定や内容は面白かったけど、世界観に慣れるまで少々読みづらく感じてしまい、時間のかかる読書となってしまった。
映像にすると映えるだろうなという作品が多かった気がします。派手だったり壮絶だったり。
大雨とトマトが結構お気に入り。
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深緑野分のデビュー作。
5編収録だが、舞台がそれぞれ異なっていて、作風の幅を感じた。
表題作にもなっている『オーブランの少女』と『仮面』が好みだった。
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舞台となる国、時代は様々ですが、どれも見事な筆致で描かれています。キャラクタの設定も良くできています。少しブラックなところがあるストーリーも魅力的です。
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強か。少女といえども女性ということなのだろうか。ほんのり怖く、逞しく生き抜く少女たちの物語。
あらすじ(背表紙より)
美しい庭園オーブランの管理人姉妹が相次いで死んだ。姉は謎の老婆に殺され、妹は首を吊ってその後を追った。妹の遺した日記に綴られていたのは、オーブランが秘める恐るべき過去だった―楽園崩壊にまつわる驚愕の真相を描いた第七回ミステリーズ!新人賞佳作入選作ほか、異なる時代、異なる場所を舞台に生きる少女を巡る五つの謎を収めた、全読書人を驚嘆させるデビュー短編集。
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「オーブランの少女」ナチスドイツ。
「仮面」霧深きロンドン。
「大雨とトマト」現代日本。
「片想い」エスの文化の日本。
「氷の皇国」架空の北欧の王国。
舞台も文体もフレイバーも全然異なる、幅の広い短編集。
表題作の陰惨さ、「片想い」のゆりゆりしさ、「氷の皇国」の魔性。
豊潤な翻訳小説のよう。まさに。
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表題作の『オーブランの少女』の他、『仮面』、『大雨とトマト』、『片想い』、『氷の皇国』が収められています。
どれも、とても丁寧なミステリなのですが、それ以外に、一貫して「少女」がテーマになっているのも、読んでいてとても面白いです。
少し、夢野久作の『少女地獄』のような雰囲気も。
国も時代も違う、5作品のどれもが、情景がするすると浮かんでくるのは、本当に凄い。
『オーブランの少女』は、シャーリィ・ジャクスン好きの人なら、きっと大好きな作品。
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5編の作品を収録した短編集。
各短編に共通しているキーワードは”少女”
元気な少女、儚げな少女、したたかな少女、と単に少女といっても、色々なイメージが浮かんでくるのですが、この短編に出てくる少女たちは、そうしたいずれのイメージのどれかには当てはまる、そんな気がします。
表題作の「オーブランの少女」は儚げで美しい、しかし残酷な短編。
老婦人の姉妹の殺人事件。その真相は二人の子ども時代にある、という話です。
箱庭のような美しい土地”オーブラン”で共同生活を過ごす少女たち。安心、安全な生活を過ごしながらも、彼女たちを監督する先生たちの言動や、集められた少女たちの境遇など、その生活はどこか不穏で、危うげな雰囲気が漂っています。そうした美しさと危うさのバランスが絶妙!
そして、その危うさの真実が明らかになる後半も、思わぬ展開でビックリ! ミステリですが、単にミステリの枠に当てはまらない不思議な短編でした。
もう一つ印象的だった短編は、最後に収録されている「氷の皇国」
舞台となるのは、皇帝の独裁によって支配される古代の王国。そこで皇太子殺害の疑いをかけられ、死刑に処せられようとする少女が主人公の短編です。
それまでの短編が仕掛けや構成で魅せるタイプのミステリだったのですが、そこから一転してのロジックを使った本格ミステリが展開されます。
舞台設定も珍しく、また主人公たちが死刑から救われるのか、というハラハラ感も加わり、非常に楽しかった短編です。
各短編本当にバラエティー豊か! 少し先が読めるものもあったものの、手を変え品を変え、様々なタイプのミステリを仕掛けてくる、著者の深緑さんの筆力はかなりのものだと思います。
そして、それぞれの短編に共通する一種の残酷さや、したたかさも物語に、いい刺激を加えてくれているように思います。
デビュー二作目の『戦場のコックたち』でものすごく話題になった深緑さんのデビュー作だけあって、その実力の片鱗を感じさせられる短編集でした。
第7回ミステリーズ!新人賞佳作「オーブランの少女」
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先日読んだ「戦場のコックたち」がなかなかに面白かったので作者のデビュー作も読んでみました。
で・・・まあなんというか「創元」っぽい感じの話だな、と。割と軽めの短編集なんですが「少女」をモチーフにというテーマがあるようで。
それなりに面白く読みましたが、女性作家に多い「なんとなくイヤミスっぽい」感じが多かったように思いました。「少女」で「創元」だもんなあ。まあそうなるかなあ。
とりあえずタイトル作の「オーブランの少女」についての感想なんですが・・・まあデビュー作だから荒削りなんでしょうけどもちょっと無理やり感が。たとえば、実はユダヤ人狩りをのがれさせるために少女たちを・・・ってわざわざ重篤な病魔に侵されてる少女を無理して隔離しておく必要があるのだろうか?家族の心情として。ユダヤ人狩りをのがれても病気で普通に命を落とす可能性も相当高そうな。だったら生き残ることができる可能性の高い健常な姉妹を名前を偽って送り込んだほうがいいんじゃないのかな?そもそもなんで少女だけで少年は入れないのか?とか。。。書いてはあったけど自分が読み逃したのかな。
まあ細かいこと気にしないでこの何とも言えない雰囲気を楽しめってことなのかもしれませんけどね。
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美しき庭園に隠されたもうひとつの庭の物語、醜い姉と美貌の妹を巡るヴィクトリア朝ロンドンの犯罪譚、寂れた食堂の亭主を翻弄する過去の思い出…。
異なる場所、異なる時代を舞台に描く、少女たちをモチーフとしたミステリ短編集。
表題作の「オーブランの少女」に、まず驚かされました。
最初に色とりどりの花が咲く美しい庭園が活写され、その後不穏な殺人劇が繰り広げられるのですが、その対比が鮮烈な印象を残してくれるのです。
情景が目に浮かんでくるような物語世界の構築力・リーダビリティは新人離れしていて、瞠目しました。
割と好きなのは「片想い」。
これは日本の戦前の女学校が舞台になっていて、いわゆる「エス」が出てくるのでわたし好みでした~。
制限の多い時代の女性の細やかな心の動きが活写されていて、頬がゆるみました。
前向きなラストの読後感が良かったです。
どの短編にも現れる、強靭さと脆さが危ういバランスで同居している、そんな季節を過ごしている「少女」たち。
平気で残酷なことをする同じ心で、愛するものに惜しみない愛情を与えることのできる彼女たちは、いつか自身が変容し、大人になった時に初めて通り過ぎた季節を思い返すのでしょう。
彼女たちの息づかいを間近で聞いているかのように、もどかしさや切なさが伝わってきて、素敵な緊張感を味わうことができました。
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ファンになってしまった……『氷の皇国』は手がかりの配置や事件後の途切れることのない緊張感、意外な人物の推理によるクライマックスの盛り上げなど1番好み。ケーキリア皇女がな、本当に良くてな……。