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電子書籍
偶然のチカラ
著者 植島啓司
人生に起こるさまざまな事柄――それらは、偶然のようにもみえ、一方では運命とも思える。不確実な現世のなかで、身に降りかかる幸不幸を、私たちはどう考えるべきなのだろう。未来が...
偶然のチカラ
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偶然のチカラ (集英社新書)
商品説明
人生に起こるさまざまな事柄――それらは、偶然のようにもみえ、一方では運命とも思える。不確実な現世のなかで、身に降りかかる幸不幸を、私たちはどう考えるべきなのだろう。未来が見えないとき、いったいどうしたらよいのだろうか。ストレスなく、楽しく暮らすためには、何が必要なのだろうか。占い、確率、宗教、スピリチュアルを超え、偶然のしくみを知ることから始める、幸せに生きるための新しい方法論。【目次】はじめに 偶然とは何か/1 自分で選択するべからず/2 世の中にはどうにもならないこともある/3 自分の身に起こったことはすべて必然と考える/4 たかが確率、されど確率/5 思いは全部どこかでつながっている/6 いい流れには黙って従う/7 すべてはなるようになる/注/あとがき
目次
- はじめに 偶然とは何か/1 自分で選択するべからず/2 世の中にはどうにもならないこともある/3 自分の身に起こったことはすべて必然と考える/4 たかが確率、されど確率/5 思いは全部どこかでつながっている/6 いい流れには黙って従う/7 すべてはなるようになる/注/あとがき
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紙の本
頭がいいってこういうこと
2009/01/27 11:46
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野棘かな - この投稿者のレビュー一覧を見る
「目の前に立ちはだかる偶然にどう対処すればよいのか、さまざまなエピソードをもとに42の断章の形式で論じたものです。多くの引用から成り立っていますが、あえてそういうスタイルをとったわけで、引用以外にも多くの参考文献の助けを借りています・・・。」
という著者の記述通り、様々なテーマを投げかけながら、運や偶然の仕組みをひも解きながら、彼の引出しから自然な流れで繰り出される上記の引用や様々なエピソード、体験からくるわかりやすい表現などさらりと読めるがこんな風に何でも教えてくれる本はめったにない。
42「おわりに」のおさらいを読むと、さらに簡潔に的をつかんだひも解きが書かれている。なるほどとまた思う。
「頭がいいってこういうことなんだ」
柔軟で決して重厚な態度はとらないフットワークの軽い筆者の眉間にしわを寄せた顔を思い出した。
紙の本
偶然があなたに微笑むとき
2009/07/29 19:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あえていうと「宗教書」なんだと思う。たとえば、《幸運ばかり願う心にこそ災いは忍び込むものである。》というテーゼは論理的にはどうか。人の「願い」は、艱難ではなく幸運を祈念するのが普通のことだと思う。「なぜ、幸運ばかり願っていると災いが忍び込むのか」、これを論証するのはむずかしい。
だけど、付随する著者の説明を聞いて、なんか「ああ、そうかもね」と肯定的に受け容れたくなる自分もいる。全42題、不信心者で不心得者の私でも、さほど抵抗感なく読めるものが多かった。
《われわれの社会では、起こることは起こるし、起こらないことは決して起こらない。》
これなんかも、ここだけ切りとるとモゾモゾしてくるのだ。「この地球上では、ペンギンは常にペンギンであるし、ペンギンでないものは決してペンギンでない」と一緒じゃないのさ?!と。
しかし、前後の文脈にこの文を位置づけてみると、納得してしまうのである。
《人は果たして選択が正しかったかどうかをけっして自分で確かめることはできない。》
広くとらえると、例外はあると思う。「右の道を選んでいたら土砂崩れに巻きこまれていたが、左の道を行ったので助かった」がそれ。ただ、たいがいのばあい、「選択の正しさ」はそれほど自明のことではない。確かめるためには、ある時点で複数の選択をしてから、選択の数だけパラレル・ワールドを発生させ経過を観察しなければならない。現実には、一回性かぎりの歴史的事象においてそんな自然科学的手法が使えるわけはないから、その意味で著者の指摘は正しいと思う。
そうはいっても、選択の結果はこれすべて偶然と断ずるのも極論で、類似の事例を斟酌しながら因果関係を推定していくのが通常のやり方になる。このときに、注意深く謙虚にものごとを見つめるためにも、《人は...》のフレーズを頭の片隅においておきたいものだと思う。
さて、「偶然のチカラ」、これを味方につけたいと願う人は多いだろう。困難にぶち当たっているときはなおさらだ。巷には、「そのためには、待っているだけではダメです。自分から積極的に動かなければ幸運は呼びこめません」と説く本がある。
本書はちょいと手が込んでいる。冒頭で「未来が見えないとき、いったいどうしたらいいのか」という問題提起をする。そんなときは、なるべく「自分で選択しないですます」ようにすることが大事なのだそうだ。
《つまり、不幸は選択ミスから起こる。では、選択しなければいいのでは? そう、そのとおり。選択するから不幸が生じる。(中略)うまく生きる秘訣はなるべく選択しないですますことである。「あれかこれか」ではなく「あれもこれも」ということである。そういう状況に自分をおくように心がけなければならない。》
これとて容易なことではないと著者は認めているのだけれど、魅力的な発想だ。近代は「選択肢の拡大=自由の拡大」だ。この近代社会で人々は、自我の確立を要求される。それは、常に自己にとって(あるいは国や社会や会社にとって)なにが最善なのか選択し続けることを「強いられる」ことであるのだ。「主体性の強迫」に耐えられ、選択肢の拡大を幸福以外のなにものでもないと考えられる人ならば、この本は不要だろう。
しかし世の中、強い人ばかりではない。選択の軛から完全に解放されることはありえないが、著者のいうようなオルタナティブはもっと模索されてもよいと思う。
話はまだまだ続く。ネタバレのしすぎを控えるためこれ以上書かないが、心にしみる名文句・箴言の彼方から、偶然があなたに微笑みかけてくれるかもしれない。