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やはり
2019/03/12 07:18
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名は「泣いた赤鬼」からきているのだろうけど、これは人間の心の中にいる鬼のことを言っているのだろうか?謎解きしながら、色々考えさせられるところが良い。
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なんという、、
2017/08/06 03:53
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは本当にもう、とてもとてもずるい小説だ。最後の最後に自分の醜さを実感させられる。人間て、なんて弱いの。ある一面で全て分かった気になって。自分勝手に善と悪と区別して。よく書いてあったもんね、「何も見えていないあなたに、見せてあげるって」それってもうまんま読者のことだったのね。つらいつらい。こんな辛い小説初めて。でも読んでよかった。本当に大切なことに少しだけ近づけた気がする。これから手に取る方、冊子背面のあらすじだけで絶対に判断しないでね。あれは触りですらない。何も考えず無の境地で読むが吉。そして衝撃を。
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疎外されることがどんなに辛いか、「鬼女」(個人情報を調べあげてネット掲示板に晒す集団)がどれだけ怖いかを知っている、元いじめられっ子の主婦。
理不尽な格差社会のなか、底辺一歩手前の人生がいかに惨めかを知っている、若いフリーター。
わが子に虐待される老人の増加を案じ、自分も将来息子に虐待されるのではないかと憂う定年前の男。
弱者の痛みや虐げられる苦しみを知る、社会的弱者である彼らの心のなかに、するりと「鬼」は入りこむのだ。痛みや苦しみを知る彼らのなかに。
ジャンルはミステリーではあるが、どちらかというと「ミステリー風の集団劇」か。ラスト近くで「えっ?」という驚きがあるが、狙いはミステリー好きに膝を打たせることではなく、「自己本位で身勝手で不寛容な時代」に一石を投じることだと思われる。
現代に流れる、自己本位で身勝手で不寛容な空気は、年々濃くなっている。
他者への憶測力が膨張する一方で、他者への想像力は貧弱になっている。
「社会は私をこんなに苦しめている!」「周囲の人々は私をこんなに苦しめている!」と声高に訴える一方で、他者の苦しみには鈍感。他者が苦しみを叫べば「うざい」と眉をひそめるか、無視。
自分の価値基準でのみ照らし合わせ、合わない者は排除もしくは潰す。
そんな現代への皮肉をこめた話なのかもしれない。
貫井徳郎「乱反射」や奥田英朗「最悪」のような、複数のドラマが同時進行して思わぬ帰着を迎えるというテイストが好きな人にはお勧め。ただ、本のボリュームはこれらほどは大きくない。
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あらゆる感想を拒絶するかのような小説。「面白かった」とコメントすれば、弱者の実情を「娯楽の道具」として楽しんだのかと責められるかのようで。「つまらなかった」であれば、弱者の実情は「面白くない」ことなのかと責められるかのよう。いずれの感想を抱いても罪悪感。
ただ、妙な物悲しさが薄く後を引く。
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福祉と治安に力を入れるA市に住む、ネット依存の主婦、依子、フリーターの亘、会社員の賢太郎。K町エリアにある福祉団地から、良からぬ噂が流れてくる。問題を抱えた住人もいるらしい。
ラスト、全てが明らかになっても、どこか淋しくて切ない気持ちになる。
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ミステリーという帯を付けないほうがよかったのに……と惜しまれます。
出版社側が「ミステリー」を謳う帯をつけてしまうと、ミステリーファンしか手に取らなくなり、「小説として面白いか」ではなく「謎解きが優れているか」の基準で評価されるのです。
手練のミステリー読みが本作を「謎解きもの」として評価する場合、ちょっと厳しめの評価が出るように感じました。
では「小説」としてどうかと言うと、考えさせられるテーマ性もあり、ページをめくる手が止まりませんでした。
ただ、出版社側にとっては「一般小説」枠に入れるより「ミステリー」枠に押しこんだほうが、売上が見込めるということなのでしょう(ミステリー市場は大きいです)。
そうなると読者層のミスマッチが起きてしまう(届くべき読者には届かずに終わってしまう)わけで。
この本は、敢えてカテゴライズするなら「ミステリー」よりも「サスペンス」ではないかと思います。
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なんというか、ちょっと怖い話だったなと思った。人の思い込みとかそういうのって、勘違いした正義を振りかざすのかなとか。
専業主婦の依子は、小学2年生の娘と関係がうまくいっていない。夫は、何かと自分の母親と比べるし、ママ友もいない。
フリーターの亘は、蕎麦屋でバイトをしている。大学も中退をし、父親はうるさく帰れたものではない。税金を払うだけで精一杯な生活なのに、年寄りたちは若い世代が納めた年金で生活をしているのが気に入らない。
一度早期退職を迫られたが、敗者復活戦で勝ち残った賢太郎には、頭を悩ませる問題があった。娘は教師を辞め、外国へ行ってしまうし、息子はブラック企業を退職したあと引き籠もったままになった。
同じ町に住む3人は、公営住宅に住むある男と出会う。その公営住宅は、福祉の町と謳う町が作った団地でお年寄りが住むが、中には生活保護者もいる吹き溜まりのようなとこだ。
依子は、その男を連続女児殺人事件の犯人であり、自分の娘が次の犠牲者だと確信し、娘を守るため立ち上がる。
亘は、その男を生活保護の不正受給者だと確信し、ひと泡吹かせてやろうとバイト先の先輩とある計画を立てる。
賢太郎は、その男を年老いた母親を虐待し、年金を搾取する鬼のような息子と確信し、福祉事務所へ通報し、自ら張り込みもする。
それぞれがそれぞれの問題を抱え、その男と仲間に挑む。
嫁姑問題だったり、若者の貧困、ニートを抱えた父親。もうそれぞれが、家族の問題を抱えて、自分の敵となった男と戦う。それは、ネットで個人情報をばらまいたり、詐欺に近いこともやったり。そして、その男が気味が悪くて怖い。
よくある片方の事情や言い分しか聞いてない状態というのは怖いことだ。だって、蓋を開ければ…なんてこと山程あるし。
まぁ、3人がそれぞれの問題が解決して、ハッピーエンド的に終わったから良かったけどね。
2016.4.23 読了
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生活保護や高齢者問題等の社会問題を内包したミステリ。そりゃあ不正受給は許せないと思います。ある意味の「正義」に燃える人たちの思いも、分からないではありません。だけど……。
本当に。なぁんにも見えていませんでした。
当事者でなくては、いや、それどころか当事者であってすら、見えていないことって決して少なくありません。先入観と偏見によって、見えるものはがらりと変わってしまいました。
スリリングな展開のあとで訪れたこのカタルシス。やりきれなさを感じつつも、読後感は穏やかでした。だけどそれが本当なのかな? というのもまた疑ってしまいそうで。いろんな意味で恐ろしい作品でした。
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高齢者福祉に力を注ぐA市が舞台のミステリー。「巧妙な仕掛けと意外な事実に驚愕必至の長編ミステリー」とありますが、終盤の種明かし部分が余りにもあからさますぎて驚愕以前に興ざめです。読者はそこまでバカではありません。
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20160714予約中
専業主婦で小学2年生の朱里を育てるのに悩んでいる依子。
大学中退して、フリーターの亘。
敗者復活戦でうまく職場に舞い戻れた賢太郎。人生設計が後半戦に差し掛かり、何とかクリアできそうと感じていたのに、娘は海外へ、息子はニート、妻は別れて海外でシェアハウス住まいをしたい、 バラバラなことに気づいてしまう。さらに自分の体は余命が。
うまくいかない3人と同じ町に住む赤萩が絡んできて、読み始めから、厭なムード。
噂がすべて悪い方へ、解釈され、本当のことが周りからは見えなくなってる。
よくありそうなことで、ミステリーだとは思わないけど、考えさせられ 一冊だった。
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これは本当にもう、とてもとてもずるい小説だ。最後の最後に自分の醜さを実感させられる。人間て、なんて弱いの。ある一面で全て分かった気になって。自分勝手に善と悪と区別して。よく書いてあったもんね、「何も見えていないあなたに、見せてあげるって」それってもうまんま読者のことだったのね。つらいつらい。こんな辛い小説初めて。でも読んでよかった。本当に大切なことに少しだけ近づけた気がする。これから手に取る方、冊子背面のあらすじだけで絶対に判断しないでね。あれは触りですらない。何も考えず無の境地で読むが吉。そして衝撃を。
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評価は3.
内容(BOOKデーターベース)
福祉団地内の「死」と3人の人物がとった行動の、予想だにしない因果とは―!?視界がぐらりと揺らぐような、衝撃のラスト。やるせなさと一筋の希望が胸に宿る、長編ミステリー!
う~ん。前半は面白くてどんどん読み進められたが、最後はえっ?結局主婦も会社員も思い込みで行動していただけってこと?雑な終わり方で残念。
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年金財政の破綻、生活保護不正受給、医療、介護費用の問題など、社会保障に係る諸問題を背景にしたミステリー。ブログや介護用ロボットなど、最近の流れやアイテムも盛り込み斬新な感じに仕上がっている。福祉団地の住民が引き起こしていると思われる不正、虐待、こどもをターゲットにした事件に対し、自らの境遇と比べ憤懣やる方ない登場人物たちが思いきって取った行動に同情しながら読み進めていたが、最後に、見事にひっくり返される。ただ、途中、主語がわかりにくく、読みづらいと感じたのも事実。
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115こういう作り方なら最後の10ページだけ読んだらいいようね。途中までのさまざまな物語が意味のないものに思えてしまう。ごめんなさい。
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あまり本を読まない私にとっては物語が長かったですが、最後の締めくくりは気持ちいい終わり方でいい本だと思いました。