誰にとっての「最後の殺人」か?
2017/01/30 02:21
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
<『さよなら、シリアルキラー』三部作>の完結編。
これもまた前作『殺人者たちの王』からの直接の続き。
ジャズ対ビリー・デントの最後の戦いが待ちうけているのであろう予測された展開は、前2作にあった青春小説色を薄くし、シリアス度を高めてしまいました。 しかしそれが「大人になる」ということなのかもなぁ・・・せつないわ。 なのでコニーやハウイーの出番も些か少なめ。 その分、ジャズの人生にフォーカスしてしまったから。
私はてっきり、○○○○さんと△△さんが同一人物だと思ってしまっていたので、その二人が違う人物だとわかったときの驚きといったら! むしろそっちの方がジャズにとって救いがないじゃないか!、と憤ったりもするものの、どっちにしろ彼にとって負担というかトラウマであることは変わりないので・・・なんだかもうほんとうに痛々しいです。
更に残酷描写もヒートアップ。
「これ、ほんとにYA小説か?!」と言いたくなるほどグロ展開(たとえるならば・・・小説の方の『羊たちの沈黙』のあとに『ハンニバル』に辿り着いてしまったかのような。 内容は違いますけど、ダークさの流れ加減が)。
これが課せられた宿命だというのなら、なんでジャズはこんな重みを背負わなければならない羽目になったのか。 そう思うと「神なんていないよな」という結論に達してしまいそうです(そもそもシリアルキラー:人を殺すことが快感、それ故に理由もなく誰でもよく人を殺す存在がい続けることがまた問題なわけですが)。
とはいえ、ジャズはまだ若い。 コニーのお父さんが差し伸べてくれた手は大人として果たすべき義務とはいえかっこよいものだし、保安官G・ウィリアムスの存在も心強い。 この先、彼がこの宿命をどう受け入れ、どう乗り越えていくのか、いい方向に進むことを願うしかないのですが。
そう考えればやはり、これは青春小説だったのかもしれず。
ただ、エピローグ。 これはあった方がいいのかなかった方がよかったのか・・・。
ハッピーエンドとも取れるしバッドエンドとも取れるし、なによりこの先が気になってしまう!
やはりこれはサイコホラーだったのかもしれない。
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三部作完結。
一見、ハッピーエンドに見えて、しっかり『毒』を持っているところが良かった。この著者の新作は是非読んでみたい。
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待ち遠しかった。寸暇を惜しんで、まさに貪るようにと言えるくらいな勢いで読んだ。
予想をはるかに上回る展開……。ジャズの境遇の悲惨さに絶句。
でも最後まで踏みとどまった彼の強さに心を打たれた。どんな終わり方か心配したけど読後感悪くなかったので読み終わったあと気持ちよく眠りにつけた。
そして……あぁ、面白かった本を読み終えた後の独特の寂しさを今は感じている。
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3部作の完結。さぁどうなる!というところで終わった前作の続きなので、最初からクライマックス状態。そして前2作と比べるとヘヴィー…途中気持ち悪くて投げ出しそうになった。
とはいえジャズがどうなるのか気になってページを繰る手は止まらず。最後の一行は文面通りにうけとっていいのか…?
ハウイーが好き。今回は流石の彼もシリアスにならざるを得ない展開だったけど、やっぱり止められない軽口がいい。
あとタイトルは原題のほうが良かったんじゃないかなあ。
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ジャスパーは撃たれて閉じ込められ、コニーはビリーに捕まり、ハウイーは入院してしまう。三者三様でピンチに陥る状況からどのように脱出するのか、ビリーとの決着はどうなるのか、ジャスパーの母親は助けられるのか。
色々と冒険要素が強くサスペンスのように展開が早く面白かった。オチも少し意表を突かれた。なんとなくグーニーズを思い出した。
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青春シリアルキラー小説の完結編。
おぞましい青春。
主人公の友人ハウイーを結構気に入ってます。
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「えっ、ここで終わるの?」と思った前作から半年。
「お待ちしてましたよ、さぁ、続き!」とばかりに頁を捲るも意外に覚えてなかったので少し前作の終わりを読んでから読んだ。
前作2作のビリーはジャズの頭の中で語ったり、過去のセリフだったり面接室のプレートを1枚隔てた所で時間制限で話すという「直に」がなかった。しかし今回ジャズばかりでなくコニーも「直に」ビリーと話す。
ビリーとの会話はまるでホラー(爆)捲る頁は止まらないけど終始ドキドキしていた。読んでる時にもし背中を叩かれようものなら声を挙げてたと思う。
ジャズの周りには人がいる。友人・恋人だけでなく見てくれてる人がいる。
ジャズの姿を見ていると人の「生まれ」や「育ち」って何だろう?と思ってしまった。
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すごい展開です。ジャズにはとてもつらいことだけど、その気持ちはわかるけど、いよいよ真打ち登場、という流れにはしびれました。しかし、たいへんな境遇ですね。殺人者にならないでいられることに、むしろ驚嘆します。やはり、周りにいる人の暖かさですね。育ちとその環境が、人に大きな影響を与えるのだ、ということに改めて気づかされました。映画のようなラストシーン、背筋がゾクゾクしました。
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前作「殺人者たちの王」のラストで、三者三様の危機に陥ったジャズ、コニー、ハウイーの3人。
当然ながら、その危機が続いたままの状況から幕を開け、どうなるのか固唾を飲みつつページをめくる手が最後まで止まることはありませんでした。
本作では、ビリーを倒すために、ジャズが吹っ切れたかのように自分の持てるあらゆるスキル(彼が忌み嫌っていたシリアルキラーとしてのものも多分に含まれます)を駆使して、ビリーの行方を追います。
その変貌と逃走(あるいは追跡というべきか)の手口は、彼女のコニーや親友のハウイーを悲しませ戸惑わせるばかりでなく、読者である僕たちにも時には真剣に嫌悪感を抱かせるほどのものです。
三部作の中で、最もタフで残虐で、あらゆる面において残酷な様相を呈する本作、ジャスパーは何者になってしまうのか常にハラハラしっぱなし。
読み出したら止まらない覚悟を固めてお読みください。
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100件以上の殺人を犯したシリアルキラーを父に持ち、その英才教育を受けて育った主人公が、自分の中に流れる呪われた血に苦しみ、自らダークサイドに落ちてしまうことに恐れを抱きつつ、窮地に追い込まれ、傷つきながらも、21世紀最悪の連続殺人犯といわれる父親を追い詰めていきます。
正気と狂気の狭間で揺れ動く心の葛藤と、一歩ずつ暗黒面に踏み込んでいき、徐々に崩壊していく精神の様子が、父と子、母と子という関係性を通じて、スリル満点に描かれています。
シリーズの中では、完結編であるこの3作目が一番面白かったように思います。それは1作目、2作目とは異なり、主人公の孤独な戦いにスポットがあてられ、物語の雰囲気がガラリと変わっているからでしょう。一見、ハッピーエンドのようですが、実はまったく救いのない物語です。でも、この救いのなさが成功の鍵になっているのかも・・・。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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近年稀に見る素晴らしい作品でした。
主人公の自分を保ち続ける強い精神力には驚きを隠せない。ユーモアに隠された男の子の友情。いいね!ジャズお前はほんとに強い子だぜ!最高でした。
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さよならシリアルキラー三部作、完結。
犯罪が関わる話なのに、何故か爽やか。青春小説という触れ込みがしっくりきます。
三冊一気に読みきりました。
最後の最後まで飽きさせない決着が面白かったです。
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途中からこんなことではないかと思っていたらやはりそうで,ジャズが本当にかわいそうだ.後半はジャズの頑張りと三人組のそれぞれの強い思いからの活躍で,警察にもできなかったことを成し遂げる.かなり悲惨な殺人場面がなんども登場する割に,爽やかな印象を与えるのは,気のきいた会話とハウィーのとぼけた味わいのおかげなのだろう.
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いやー面白かった!全三部作、途中でダレることもなく(主人公のガールフレンドと親友が自分勝手に動いてアレコレしちゃってたときはバカ!!と思ってたけど) きちんと、ほぼ全てに落とし前をつけてくれたところも良かった。
YA向けとは思えない濃密でかなり凄惨な描写もある作品だけど、その陰にはいつでも他者への思いやりや気配りが張り巡らされている。
主人公の親友の、ハウイーっぽく言うなら「一生かけても分かり合えない人間と、分かり合う必要はないよ、でも共存もできるし、もちろん殺さないことも出来るし、愛し合うことも出来る」てことなんだろうな。
良作です。
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33:うわーめちゃんこ良かった……。シリアルキラーの父、行方不明の(もしかしたら父が、あるいは自分が殺したかもしれない)母、認知症が進んだ祖母、と福祉案件まっしぐらな主人公ジャスパーが親友と恋人、よき相談相手でもある保安官らのバックアップを得て真実に辿り着き、その先を望む三部作。
めっちゃめちゃ人死ぬし(けっこう残酷なやりかたで)、ジャスパーが幼少期に受けた洗脳と自らに流れる殺人者の血に怯えて揺らぐところはハラハラするし、死なないとわかってても死なないでって思うし、読み終えるまで読むのを止められない系のサスペンス。
ジャスパーのチート感と、けど自分を過信しすぎて失敗するところが十七歳の少年ぽくて好き。状況は悲惨でもどこか明るさがある、不思議な読み心地。たぶん訳がすごくいいんだと思う。
……ネタバレ避けると何も言えないね??