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トルコ≠オスマン帝国
2020/07/17 20:17
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在、トルコ共和国の与党はイスラム色を強めてオスマン帝国の栄光を強調しているがオスマン帝国はトルコ人だけのものでなく(トルコ遊牧民も被支配民族)さまざまな民族、(イスラムが中心だが)さまざまな宗教の人たちによる国家であることがわかった。このさまざまな民族によって構成されてて中心となる民族がなかったのが逆に国民国家の時代になって分裂してしまったんだなと感じた
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多民族・多文化共存の帝国として発展したオスマン帝国の繁栄を見事に描いた一冊です!
2020/03/03 11:28
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、14世紀に小アジアで起こり、やがてアラブや北アフリカまで勢力を広げたオスマン帝国について詳細に書かれた歴史書です。同書では、オスマン帝国におけるメフメト2世、スレイマン1世といった強力なスルタンによって統治されていた時代から大宰相と官人たちによって支配され、長く安定した平和な時代、さらにはイスタンブールに花開いたオスマン文化などについても詳細に触れられています。様々な民族が入り混じり、あたかも多民族・多文化共存の帝国として発展したオスマン帝国の繁栄を見事に描いた一冊です!
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詳しく知ることができる
2016/08/18 22:52
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投稿者:栞ちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界史の教科書だと、簡単に触れられるだけのオスマン帝国。その成立から衰退までの歴史を教務深く知ることができる。
衰退から滅亡そして現在にいたる繋がりが、もっと知りたいと感じた。
トルコ情勢が気になる今だからこそ、読んでおきたい一冊です。
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通史よりも文化史が面白かった。
2016/11/14 15:52
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投稿者:わびすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすいが、通史については新機軸はなく、いたって普通。女性の生活や都市生活については馴染みがなく、刺激的でした。「平和」とタイトルにあるのなら、そちら中心で執筆して欲しかった。
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500年の平和、とはオスマン帝国の歴史のうち14世紀から18世紀までのことを指す、と筆者は言っている。その5世紀の中では外征も内乱も起こっているから完全なる平和ではなく、このタイトルに疑問を呈する向きもあるが、パクスロマーナもパクスアメリカーナも、戦争のない状態ではなく民族を超えた覇権によりその勢力内で争う必要がなくなった状態を指している。オスマン帝国は多民族を支配するためにイスラム法の枠組みを活用し、軍事の点では欧州先進国の技術を採り入れ火力の集中使用などではむしろリードした。レコンキスタのような宗教的不寛容から逃れたユダヤ人を受け入れて商業と金融の発達を促した点も含めて、オスマン帝国はパクス呼ぶべき一時代を画したと言うことができる。
そして、ローマの覇権がゲルマン人に突き崩されたように、オスマン帝国にも欧州列強の帝国主義のチャレンジを受ける時代がやってくる。ここに至り、オスマン帝国には2つの選択肢があった、と筆者は言う。当時の支配地域全体を統合的に近代国家へ脱皮させる方法と、諸民族を「植民地」と見做してイスタンブルがこれを支配する方法。スルタンとその官僚達は前者を志向してまるで明治維新の先行例のような改革を続けるが、欧州列強はオスマン帝国の現状を後者と見做し、バルカンやアラブの諸民族の「解放」を掲げて介入し、オスマン帝国のユニバーサリズムを崩壊させていく。
その結果として今日の国境線があり、民族問題がある。ヘゲモニーの中で民族や国境を意識する必要のなかった時代と、民族毎に国家を形成することが当然とされる時代。後者を当然視するのは現代の視点に過ぎないのだが、そこから見れば宗教や民族が入り組んだ状態で過ごすことを許容してきたオスマン帝国時代はむしろ問題の元凶ということになってしまう。現代でも何となく蔓延るオスマン帝国悪玉論は、ある意味帝国主義の所産とも言え、その時代を正しく知ることから始めないと、問題の根源を考えることはできないのだと思う。
もう少し言えば、トルコという国民国家も昔はなかった。セルビアやギリシャだけでなくトルコも含めて「民族」が形成される歴史として読むこともできる。
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世界史も地理も詳しくないのですが、大変興味深く読みました。
学術文庫というのも初めて読みましたが、文庫にコンパクトにまとまっており、面白いです。
コンパクトにするためにある程度端折ってはありますが、わかりやすく読みやすく、歴史や文化などに触れ絵や図なども豊富です。
日本とは異なる価値観、考え方、それでも同じ人類として似通った判断をする部分もあり、それらのことに思いを馳せて読むのも面白かったです。
周りの意見を聞く。美徳であり弱点でもあるという言葉が個人的には頷かされました。
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最初は何人(なにじん)の国でもなかったオスマン帝国。トルコ人支配の国ではなかったし、最初の領土確立地域はアナトリアではなく、バルカンだった。
アナトリアの遊牧民の国という誤解と「オスマン=トルコ」という見方がこのー冊で大きくひっくり返された。(その誤ったイメージの出所は現在のヨーロッパ界隈の政治によるらしい。)
本書は主に、14世紀から18世紀を対象に書かれている。多くの民族が入り乱れて暮らしていた帝国が変容していき、ー九世紀初頭、民族主義の到来によって解体するまでの過程が鮮明になった。
読ませてもらってありがとうと言いたい本でした。
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第1章 アナトリア―一〇五〇~一三五〇
第2章 バルカン―一三五〇~一四五〇
第3章 戦うスルタンの旗のもとで―一四五〇~一五二〇
第4章 スレイマン一世の時代―一五二〇~六〇
第5章 オスマン官人たちの時代―一五六〇~一六八〇
第6章 近世オスマン社会を生きる
第7章 繁栄のなかの不安―一六八〇~一七七〇
第8章 オスマン体制の終焉―一七七〇~一八三〇
おわりに―「民族の時代」のなかで
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最初に大事なことを。「表題にあるような500年の平和なんて無かった」<代替わり毎に兄弟皆殺し、反乱、外征の繰り返し(代替わり毎の兄弟皆殺しは初期だけとはいえ)
そして、オスマン帝国のコンセプトである『イスラム法を用いて、イスラム教徒と非イスラム教徒を平等に支配する』結局これが完成する前に国が滅んだ。ビジネスモデルに問題があったと思われる。ただし、形を変えながらも五百年継続した事は評価されるべきか。
とはいえ、中央集権を指向していたにもかかわらず、徴税権を売却する、戦争には地方領主の軍勢を頼るなど、帝国維持の為の手法が中央集権を弱める方向というのは、緩やかに崩壊したとは言え、やはり崩壊する宿命だったのかも知れない。
そして、オスマン帝国の領土が、そのまま現在の紛争地帯であると言うことも哀しい現実である。これは、オスマン帝国の責任のみならず、オスマン帝国末期に民族主義を煽る手法で切り刻んだ列強(英仏露)の責任が大きいのだろう。
だが、未だにその始末はついていない。オスマン帝国の数百年という共通の経験は、その解決策の一助にならないのだろうか?
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オスマン帝国が大きく2つに分かれること。
17世期までのオスマン帝国が、他民族、他宗教国会であり、現実的な政策をして一つの国にゆるやかに纏っていたのが、ヨーロッパの近代化の波にもまれ、民族自決や宗教をはっきりと主張し出したことにより、内部崩壊が起こった。
しかし、兄弟殺しはインパクト充分。不思議なのは、何故父親は殺されると分かって、何人も子供をつくったのか。今の道徳や社会制度の尺度では測れないのだろうなあ。
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塩野七生さんの「コンスタンティノープルの陥落」を
読んで、オスマン帝国のスルタンや
統治方法に興味が出て、こちらを読みました。
正直中だるみしたんだけど、オスマンの女性や
キリスト教徒など異教徒の扱い方、
商人の台頭や役割、詩人の存在について等、
トピックが非常に広く包括的でした。
塩野さん、その辺書いてくれないかなぁ。
併せて「pen イスラムとは何か」も読むと、
より知識が補完されます。
4つけたいけど、中だるみ分で3.8くらい?
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トルコ、と聞くと皆はどういうイメージがわくのだろうか。
ある人はトルコアイス、ある人はケパブといった肉料理かもしれない。またある人はなんだかわからいけどイスラムの国という反応かもしれない。
実際私はあまり印象がない。高校で世界史を学ばなかったせいもある。
だからか、以前より中東やイスラムについてはいつかは勉強したいという思いがあった。
とはいえ、この本を実際に手に取ることになるきっかけはテレビであった。Huluで放映された「オスマン帝国外伝 愛と欲望のハレム」だ。何気なく見たら面白いのだ。要はトルコ版の大奥といったストーリーであるが、そこにイスラムの影響、ヨーロッパとの文化的人的交流なども描かれていた。出ている女優や素敵なものあるが。話の筋は大河ドラマではあるが、私には目新しく、面白かったのだ。
オスマンのことを知りたいと思い買ったこの本は、当初とは全く異なったオスマン像を私に与えた。500年以上に及ぶオスマン帝国の歴史、ハレムをはじめとした取り巻きの政治・戦争と栄光・内部の腐敗や権力争い等は丁寧に描かれています(イブラヒムやヒュッレムも出てきます)。これは非常に興味深く読みました。しかしより印象的であったのは、オスマン帝国というイスラム教義下に統治された各民族や宗教の共存だ。イスタンブールというヨーロッパにごく近い土地で、エーゲ海沿岸諸国出身の商人、現在の東ヨーロッパ出身の宗教者、はたまたシリアやイラク出身の豪族などが時代時代に生きていたのだ。最終章で筆者がややノスタルジックに述べるこのオスマン帝国の特徴である多様性とイスラム法による包摂は、現在民族主義に彩られた各地での内戦や争いとは実に対照的である。
現在の民族紛争、宗教間の対立など、中東をめぐる問題をより深く理解するためには読んで損はないと思います。特に世界史を勉強しなかった方は必読かと思います。
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とてもおもしろく読めた。
500年の平和という中でも変容していく帝国の内実がわかりやすく描かれている。
それぞれのエピソードを現代に引き戻してくると、中東欧や中等の現状(一部で混乱は続いている)の原因も見えてくる。
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中東諸国の歴史がよくわかっていなかった。オスマン帝国の歴史を学ぶことによって、争いの背景がわかりました。
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西洋史関連の本を読んでいると、必ず出てくるオスマン帝国。
知っているようで、あまり知らないので、読んだ。
とてもわかりやすく、オスマン帝国の興亡について書かれていた。
長きにわたる支配、広大な支配。
なぜそれができたのか?について、少しは頭に入ったかな。
多様な民族・文化・宗教を包摂しながら、その平和を保っていた。
中でも、”異教徒に寛容だった”という点は、改めての認識。
読んでいて思ったのは、バルカン半島や今のアフガニスタン(とその周辺地域)。
昔から紛争が絶えない地域だなぁと。
民族・文化・宗教が複雑に混じりあっているためなのか。