モナドの領域

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今年読んだ本の中で一番面白かった。全てを抱合し、時間的にも空間的にも遍在する超越者の話。この小説のメタ構造にも当然関わっていて、小説内で言及される。ミステリー、ホラー、哲学書、宗教書、SFとしても読め、再読、再々読しても楽しめる。

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女性の片腕が発見。その後。片足が発見。
近所のベーカリーの美大生バイトがその片腕そっくりのパンを焼いて店が話題になる。刑事が捜査にくるとバイトは失踪
神がベーカリーのバイトに憑依していた。教授に憑依。
公園で神であることを次々と証明。人が集まる。騒動に巻き込まれ逮捕。裁判。検事と神であるかなかの論争。執行猶予がとれて釈放。刑事が時空の歪みを修正しにきたことに気がつく。女性の腕と足はベーカリーのバイト。店主と浮気をしていた。脅されて殺してバラバラにしていた。時空のほつれを修正し、神が全ての記憶を抹消して去る。
時をかける少女と同じ終わり方。
黒い本を販売した出版社は復活。
公園ではスマフォを聞きながら歩く男が転倒。
神は全てを知っている。
予想はしない、モナドを変えてしまうから。
モナドはプログラムのようなもの。
未来を教えると、それに対して対応してしまう

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絶対的な存在のGOD。存在の理由は?
モナドの領域とは何なのか?
アートベーカリーで作られた腕の形のバゲットと事件の関連性は?
無限大である宇宙のすべてが見えており、そのすべてのものに愛を注ぐ。
モナドによって定められたことは誰にも変えることはできない。
神のようなGODでもである。
哲学や宗教も入り混じった規模の大きな話だった。

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★小説を超えた何かなのかメタ小説なのか★著者の思いと博覧強記を詰め込んだものなのだろうが、物語として読むにはやや厳しい。導入部は引き込まれても、途中から演説になってしまう。さらにその中身も分かるようで分からない。世界はすでに決まっている、だから？　それをコントロールするのは小説の書き手？　

２次元の存在が３次元を描けないように、被造物の言葉では創造主を描けないというのは、何となく納得して今う。パンで作る手の肉感は素晴らしい。

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読んでる間だけなんとなく頭が良くなったような気がして。読後なーんにも理解していない爽快さ。神の領域。

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唯野教授は文学を講義。今回は神学講義。エンターテインメントと合わせているが、どうしても神学部分が重くて、そこまでの物語的盛り上がりはないがこれは実験上やむをえまい。メタフィクションは得意分野としてやっている。

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筒井さんが集大成的に書いた、みたいなことを書いたり言ったりされていましたが、まんまと騙されました（笑）。

これは、「定年退職してちょっと哲学や神学の本を読んでみたおっさん」レベルの者が、全宗教を超えるＧＯＤだという、筒井さんお得意のブラックユーモアに満ちた作品です。

ほんま、やられたわ（笑）

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大法廷におけるGODと検事管の論争のあたりから、GODがこの世界に現れた理由、目的はなにか、ということに意識は集中してしまった。それは明らかになるけど、理由はいまいちかな。だけど面白い。

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GODが主人公である小説。
小説でありながら、哲学書を読みたくなった。トマス・アクィナス、ライプニッツ、アリストテレス……
本作をプリズムのようだと思った。
一つの視点だけでは十分に読めない。いろいろな色の間を飛び移りながら読むことで、どうにか暗示される全体像を感じることができる。
後半のあの論理式はなんだろう。さっぱり理解できないが、見た目、すごく美しかった。