電子書籍
冷たい世界
2019/09/06 16:09
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投稿者:カツセウョシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな家族になりたくないな、と思うような人間関係。
じわじわと引き込まれました。
紙の本
大好きな作品
2019/05/08 13:40
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投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤野さんの世界観が大好きです。他の作品も好きですが、この作品は藤野さんを初めて知るきっかけになった本です。何度も読み返しています。不思議で不気味で美しい描写が大好きです。
紙の本
2013年度芥川賞受賞作品
2018/05/01 05:32
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
大人びた3歳児の視点から、父親と再婚相手の関係が映し出されていくのが面白かったです。血の繋がりのない母親への嫌悪感と共に、亡き実母への痛切な思いも伝わってきました。
紙の本
つかみどころのない怖さ
2016/02/04 12:27
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作には芥川賞受賞作「爪と目」の他に、「しょう子さんが忘れていること」と「ちびっこ広場」が収録されています。どの作品も、生活の中に当たり前のように存在するうっすらとした気持ち悪さが表現されていますが、一番インパクトがあって個性的だったのはやはり「爪と目」でした。
個性的な文体で常に子供の視点から語られる点と結末のシーンの異様さが印象的でした。人によっては読みづらさが気になる作品だと思いますが、個人的にはあまり気になりませんでした。
電子書籍
滑り落ちるような怖さ
2018/10/29 11:20
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投稿者:鯖 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みながらところどころ向田邦子がホラー書いたらこんなんかなーて思った。出てくる女たちに向けられた視線の潔癖な意地悪さ(ほめている)がよかった。
紙の本
女性は怖い・・・。
2016/01/17 10:05
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投稿者:アーチャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
なるほど、こういう書き方をすれば芥川賞も問題なく受賞できるのかと納得。内容はかなりいびつでしたが、女性の方がこういった陰湿な怖さを書けるということでしょうね。
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文字でしか味わえないスリリングな体験。
肝心なことは何も教えてくれないのに、過不足なくすべて書かれている感じ。
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芥川賞を受賞した時から、「2人称」の小説ということで話題になっていた。私もその点に惹かれ、文庫落ちした機会に購入。
父の不倫相手で後に父と再婚する「あなた」について、当時三歳だった「わたし」が語る、という構成をとっている。
一般的に三人称でつづられている物語は神の視点に立って書かれているため、記述されている内容は物語の中の「事実」であり、疑う必要はない。これを逆手にとって仕掛けを凝らし記述内容への信頼性を揺らがせるものもありはするが、それも前述した三人称への信頼性が前提にあるから成り立つものだ。
一方で「読者」に対する「語り手」がいる場合、作中の出来事も「語り手」のフィルタを通じて読者に渡されている。素直な作品では「語り手」の内容を疑う必要はなく、そのためこういった語り手の(ひいては作者の)恣意性に注意を払うこともない。ただ「読者」の世界と作品世界を橋渡ししてくれる存在というだけだ。だが、私の好きな「信頼できない語り手」と呼ばれるジャンルでは、その名の通り「語り手」がこちらに手渡してくれた物語は果たして事実なのか、という大きな疑いを持たせる。
この作品は「わたし」は存在しているものの内容はひたすら「あなた」について語ったもので、時に「あなた」の内心まで勝手に語っている。正直物語としては「あなた」を「わたし」という言葉に置き換えて一人称で綴っても内容はそれほど差はなく思える。では何故二人称を選んだのだろう。
読者に当事者意識を持たせて作品世界に巻き込むとか複数の目的があったのことだと思うが、私は理由のひとつはこの「あなた」の人物造形にあるように思う。
「書く」ということは一度自己の内部を見つめ直し、再構成することだ。私は子供の頃、映像作品がノベライズされた場合、一人称で語られているものは苦手だった。語られている筋が原作通りであっても違和感を覚えて落ち着かなかったが、多分それは映像作品では見られない、作中人物の内面に触れたような気がしたからだと思う。
この作品の「あなた」はあまり物事を深く考えず、他人に興味が薄い、だからこそ場の空気に流されやすい。作中何度も強調される視力の悪さそのまま、物理的にだけではなく心理的にも「見えない」「見ない」人物だ。そんな彼女を描くにあたり、一人称は最もそぐわない。そんな風に内省する人物ではない。だからといって神の視点である三人称では、客観的にすぎて、この不穏な空気は生み出せなかっただろう。
そしてこの話を「わたし」が語ったと考えると、本来分かるはずのない「あなた」の感情や行動を経験したかのように当たり前のように語るという、静かな異常性も浮かび上がってくる。最後の一行に象徴されるように、「わたし」にとって「わたし」と「あなた」はの境目そのものが曖昧になっているのかもしれない。そう考えると、これも「信頼できない語り手」の1ジャンルだなと思った。
「あなた」とこちらに語りかけているように見せかけて、その実読者の感情移入を最初から拒否している作品なので、共感したとか何度も読み返したいとかいう感想は抱かなかった。ただこの人称の技巧には素直に感心させられた。他の作品ではどんな小説世界を見せてくれるのか楽しみだ。
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「爪と目」「しょう子さんが忘れていること」「ちびっこ広場」の三編。どれも、語られないことによる不安が不気味さを匂わせるお話。それをホラーというのならホラーなのかな…個人的には、ホラーといわれて予想するような恐怖はあまりなく、ちょっと拍子抜け。
好きなのは「ちびっこ広場」。どれも女性らしい視点だけど、これは母親目線で特に共感できた。
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生活系ブロガーの描写がよかった…
p37
失ってもたいした痛手ではないものを残酷に奪われることを想像するのは、なんとなく楽しいものだ。
p75
あなたは、彼女たちの見せるものが、彼女たちの身を守る装備だということにまでは考えが及ばなかった。彼女たちが欲しいのは、傷ひとつない、ぴかぴかの体と心だ。あれらの記録は、彼女たちが懸命に貼り合わせてつくった特注品の体と心だ。
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再読。まず、この著者の文体が好き。そして、視点や意識の移動のさせ方にも同期しやすいので、自分にとってリーダビリティナンバーワンの著者。初読の時にも感じたように、表題作の最後のフレーズが、句読点の打ち方も含め、最高に良い。
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3歳児のわらしが父の再婚予定者をあなたと言い、感情の起伏なく観察している。気味が悪くもあり、時がなかなか進まない感覚も。最後は戦慄もの。2020.10.29
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「爪と目」は文体が奇妙で面白かった。文体の奇妙さを示すには、小説の一文目を引用するだけで十分であるように思われる。
ーーー『はじめてあなたと関係を持った日、帰り際になって父は「きみとは結婚できない」と言った。』ーーー
初めて読んだ瞬間、どんな人が誰に語っているのかが分からず、何度も読み返してしまった。面白い。
文体同様、話の筋も難解であった。挿入される話の一つ一つは面白く、一気に読んでしまったが、全体のストーリーはあまり意味が分からなかった。
「しょう子さんが忘れていること」も表題作同様難解なストーリーであった。
冒頭からストーリーの結末について「こうであるに違いない」とある種の確信を持って読み始めてしまったが、読み進めるうちに、そうである証拠もそうでない証拠も見つかって、結局よく分からないまま終わってしまった。
「爪と目」「しょう子さんが忘れていること」の二編が難解であったのに比べ、「ちびっこ広場」は分かりやすくとても面白かった。
何か特別なことが起きているわけでもないのに冒頭から謎の緊張感があって、夢中になって読んでしまった。ラストには綺麗に伏線も回収され、前二編の後味の悪さも相俟って、単に面白いと感じただけでなく、気持ち良いとさえ感じた。
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う〜む、ちょっと妊娠カレンダーを思い出した。だいぶ違うけど。割と好きな方な作風だとは思うけど、この先どういう作家になっていくのだろう?
爪と目はこの手では珍しく将来に関する記述があるから 続編?が読みたいかも
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「『純文学ホラー』の確立を記念し」たとされる第149回芥川賞を受賞した表題作をはじめとする3作品が編まれた短編集。ホラーというよりか、恐怖を覚える前後に人間に生ずる狂気みたいなのを描いていて、それがとても怖い。人称の表現力にも目を見張る注目の作家だと思った。