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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初版が2009年ということもあり、第17刷とはいえ、内容は改定されていないので、国際情勢の現状は反映していませんが、戦後スキームの中での安全保障の大きな流れを理解するにはよい教本だと思います。
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投稿者:のんびり屋のカユ - この投稿者のレビュー一覧を見る
米国の事情から、日米同盟の正体を暴く。
記述内容はほぼ米国に関する事柄。
それにしても、本書は非常に内容が濃い。
単に一読しただけではわかりにくい箇所もあるが
よくよく読みこめば、米国において
非常に複雑に絡み合った事象があったことがわかる。
また孫子を引き、
「故に上兵は謀を伐つ。
その次は交わり(同盟)を伐つ。
その次は兵を伐つ。
その下は城を攻める」
と述べた上で、相手の策略(陰謀)を如何にして読み解き
これを上回ること、打ち崩すことが如何に大事かを繰り返し繰り返し伝える。
とかく「陰謀」というと日本人は、その語感(単語)だけで避けてしまいがちだが
これは、企業のビジネスにおけるリスクヘッジとも言える。
本書片手にニュースを見ながら
相手の陰謀を読み解く訓練なども良いかも知れない。
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面白いです。
北方領土のことで日本とロシア(旧ソ連)が今でももめているのは、アメリカの思惑通りという、著者の説明に驚いた。戦後ポツダム宣言を受託した日本。その日本の領土は宣言に書かれている範囲となった。このとき、千島列島も領土に含まれていたが、千島列島の定義は明確にされていなかった。その後、ヤルタ協定が結ばれた。このとき、千島列島に対するソ連の主張に米国が意義を唱えることで、日本とソ連の対立を図ったとのこと。少し考えてみればわかりそうなことであったが、今まで全然気付かなかった。米国としては、日本とソ連が手を結ぶことだけは避けたい。そのために、ポツダム宣言のときから、北方領土でもめるように策略を練っていたということである。
米国は決定を国連に委ねることなく、単独主義を志向した。最強の軍隊を維持する、そのためには新たな敵が必要となる、これが危険であると説明する必要がある、かつ、この論理は国際的に支持されるとは限らない、したがって単独主義を追求する、これが冷戦後の米国戦略の基本である。とのこと。わかりやすい。米国は冷戦後、軍事力で他国に追随を許さない。そのために最強の軍隊を維持する必要がある。軍隊を担うのは、派遣の労働者であるのにも関わらず、この論理がまかり通ってしまう。この国の単独主義をどこまで許容すべきなのか。考えなければならないと感じる。
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前半の陰謀論的なところがなければ、もっと良い本だったのに。
とりあえず日米同盟マンセーの人もアンチ日米同盟の人も読むべき一冊。
理屈はあとから貨車いっぱいについてくる。
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日米同盟の正体を見たという人との会話弾む【赤松正雄の読書録ブログ】
著者を囲んでその本をめぐる感想や意見を交換することは双方にとり、楽しいものである。一対一ではそれなりに経験があるが、複数でというのはあまりしたことはない。孫崎享『日米同盟の正体 迷走する安全保障』をめぐって、公明党の関係議員数人とでそれを行ったのは得難い機会だった。太田代表からの指示でもあり、僅か三日間ほどで読んだのだが、大いに知的刺激を受けた。孫崎さんの主張は、「アメリカ一辺倒では国益を損なう」ということに尽きよう。この人は、外務省勤務を経て防衛大学校教授を約7年。このほど退官されたばかり。
外務省出身で、保守層に根強い支持を得ている評論家といえば、岡崎久彦氏。外務省ではこの両氏だけが、分析課長と国際情報局長を経験した。いわば、孫崎さんにとっては師匠筋にあたるが、「二人の主張点は両極にある」と言われるように、かなりリベラルなスタンスである。とりわけイラクへの米国の軍事介入をめぐって、岡崎さんはかつて、イラク戦争の米勝利は中東地域にとって、「自由と民主主義の勝利への一里塚となるはず」との見解を表明するなど、かなりの楽観的見方を提示していた。孫崎さんにこの辺りについて感想を求めると、先日某総合雑誌誌上で二人が対談されたことを明かされた。そのうえで、様々なことがあっても日本はアングロサクソン(米英)との関係を強化し、協調する選択しかないとの持論を岡崎さんが述べておられたことを指摘された。私的には、岡崎さんには「反省がないな」との印象を受けたのだが、イラク戦争反対の態度をかねて鮮明にしてきた孫崎さん的には、「我が意を得たり」との受け止め方だと見た。
こう述べてくるとお分かりのように、孫崎さんは、五百旗頭防大校長との立場とも違う。同校長はリアリズムに徹した見方をされており、どちらかといえば中道的といえよう。文字通り、三者三様だ。安全保障分野の専門家を分析するのはことのほか面白い。
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情報分析のプロを自認する元外交官・孫崎大使が、日米同盟関係を分析し、そして警鐘を鳴らす書。主な分析の材料は、米国の安全保障関連実務家が書いたものと、彼らの発想の源となっているであろう古典。つまりは、とくに目新しい材料を使っているわけではないが、その議論は実に説得的かつ独創的。主張されるのは、日本における戦略的思考の欠如。具体例として、米国のグランド・ストラテジーから案出されたシーレーン防衛を日本政府がまったく理解できていなかったという話がとくに興味深い。
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アメリカは一体どのような戦略に基づき、自国の世論並びに世界を支配しようとしているか。アメリカが日本に対して脅威を感じていたのは、どのような分野・構造においてか。その日本を操るため、どういう手段で圧力をかけ、服従させてきたか。近年のアメリカの軍事的戦略の変化に伴い、日米同盟において日本はどのような役割を期待されているか。
主に上記のような内容が、膨大な資料と歴史的事実を基に、綿密に分析されている。非常に興味深く、考えさせられる事の多い一冊。
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筆者は民主党鳩山政権時の、安全保障面のブレーン。
日本には外交における戦略的思考がないこと、米国は極めて緻密は謀略のもとに戦略を打ち立てていることなどを説き、今後日本がどういった戦略をとるべきか解説。
結局は経済力でなんとかしろというのが結論らしいが、うーん、納得いかん。
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日米安保~日米同盟へ
私は本当になにも知らなかったのだと、改めて気づかされました。
歴史が好きで、鎌倉時代から明治前までのものは多種多様な文献を読んだり、神社・仏閣を訪ね廻ったりしてきましたが、こと近代史のこととなると「プツン」と本を読もうという気力がなくなっていたり、史跡を訪ねようともあまり思いませんでした。どこか戦争から逃げていた自分がいたのだと思います。
この本は第二次世界大戦後、アメリカの占領~現在に至るまでの安保や同盟のことを色んな文献を紹介するかたちで紹介してくれています。
もちろん筆者である孫崎享さんの考えも述べられております。
まだ何が正しく、何が間違っているのかを正確に判断できるほどの知識を持たないため、この本を読んだだけで断じることはできませんが、少なくとも「このままの状態で良い」とは思いません。
この本をきっかけに色々な文献を読み込んでみたい、とう思わせる本であると思います。
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・日本には戦略的思考がない
・陰謀をはなからないものと決めつけるな
・米国は軍事力で世界を変えることを志向している
・安保は以前米国に有利
・極東規模では日米は協調できるが世界規模ではそうでもない
・イラク戦争継続は軍を維持するため(石油ではない.むしろ石油では脱中東を目指している)
・オバマの戦略は既存勢力との協調
・核保有は日本の安保に利さない
-核の撃ち合いになれば日本は初撃で壊滅させられる可能性がある
・経済力による抑止効果を考えるべきでは?
-NATOとの協調も選択肢の一つ.
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孫崎さんのいってること、ある部分非常に納得できる。アメリカ追従なだけではいかんと。そもそも、日本人は戦略という発想が根本的に欠けていること。だけど、そこからが外務省の限界。それでではどうしようという点が根本的に欠けている。てかまったくない。アメリカの視点からみた日本外交という部分は非常に新鮮だけど。
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[ 内容 ]
アメリカ一辺倒では国益を損なう大きな理由。
インテリジェンスのプロだからこそ書けた、日本の外交と安全保障の「危機」。
[ 目次 ]
第1章 戦略思考に弱い日本
第2章 二一世紀の真珠湾攻撃
第3章 米国の新戦略と変わる日米関係
第4章 日本外交の変質
第5章 イラク戦争はなぜ継続されたか
第6章 米国の新たな戦い
第7章 二一世紀の核戦略
第8章 日本の進むべき道
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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敗戦後サンフランシスコ講和条約と抱き合わせで結ばされてしまった日米安全保障条約、つねに米国の主導の下、日本は、一貫して米国のいいなりである。それでも、吉田元首相をはじめ、心ある外務官僚の抵抗も、今は昔となってしまった。冷戦後、変質した戦争仕掛国家となってしまった米国と心中するつもりなのか日本。国連中心の集団安全保障の道筋を欧州諸国、そして中国をはじめとする東アジア諸国との地道な協議を模索すべき時に来ている。米国のあからさまな嫌がらせはあるだろうが、米国の覇権主義に対する世界の抵抗は一段と強くなっていくことを期待しながら・・・
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2009/5/14
現状認識には良い資料
森田実の言わねばならぬ【289】
平和・自立・調和の日本をつくるために[289]
【著書紹介】孫崎享著『日米同盟の正体―迷走する安全保障』(講談社現代新書、2009年3月20日刊、798円)〈その2〉日本国民が待ちに待った第一級の「日本論・日米関係論」である
< http://www.pluto.dti.ne.jp/mor97512/C05208.HTML >
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元外交官であり、その後防衛大学校教授をされていた孫崎さんの著書。
日本の安全保障に対する考え方、米国の戦略思考、イラク戦争開始の理由、核戦略についてが面白かった。何より、米国の陰謀・謀略行動に衝撃を受けすぎて半信半疑。でも偽旗工作って国際法で容認されてるんだって...!割りきれないことがたくさんまかりとおっている世界なんだと、合理主義な私は教えられました。
何はともあれ、巻末にある「安全保障関係の文献紹介」を読むだけでも面白いと思う。徹底して文献を読むことの大切さ。印象論にのみ頼っていた今までの姿勢を反省した。核兵器、戦略論あたり、もう少し勉強したい!