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投稿者:Nighthawks - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジブリが好きなら読むといいと思います。裏話的な話がいっぱいあって、読むたびに新しい発見がありますね。
紙の本
宣伝という切り口から見たスタジオ・ジブリ
2018/05/30 22:45
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある意味でいつの間にかジブリの顔になってしまったような印象のある、プロデューサー鈴木敏夫の語りおろしの1冊。鈴木氏の本はすでに何冊も出版されているけれど、これはジブリ映画を宣伝という切り口で見直したもの。随所にプロデューサーでないと知らない話が織り込まれている。
例えば、『ナウシカ』の宣伝コピーに、「人間はもういらないのか?」なんてのが候補にあったとか、当時の宣伝等の担当だった博報堂に宮崎駿の弟が勤めていたとか。「『トトロ』の最初のコピーは、「このへんないきものは、もう日本にいないのです。たぶん」だったんです。でも、宮さんが「いる」と言うので、いまの形になりました」(p.27)といったような話も出てくる。
ただし、これまでの本でも語られていることも出てくるので、ジブリ本を何冊も読んでいるとすでに知っている話もあって、新鮮味は薄い。
それでも宣伝という切り口でみているので、企業とのタイアップでは映像やキャラクターの使用料をもらわない代わりに使用方法については意見を言っていく姿勢をとり続けたことや、「宣伝費=配給収入」の法則(p.81)とか、「人間というのは3回、広告を見れば消費行動に走る」(p.139)という宣伝哲学とでも言える話が出てきて面白かったのと同時に、何だか鈴木氏の掌の上で遊ばれてしまって映画を観に行っていたのだなあといった気持ちにもなってしまった。
そんな気持ちになる一方で、やはりジブリ映画に惹かれてしまうのは、鈴木氏が「たえず考えていたのは、高畑さんや宮さんがいい映画を作れる環境を整えることです」「作るのが第一義で、ヒットするかどうかは二義的な問題」と言っているところに、偉大な作家の傍で良い作品を産み出させようとして頑張ってきた姿が見えるからだと思う。そんな姿は、プロデューサーと言うより、鈴木氏の元々の姿である編集者の姿のように思える。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
芸術品であり文化的作品であるもの作りをその信念と、金に換える現実路線の間でのやりくりは非常に難しい。資金稼ぎはこれでよいのか考えさせられる。
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いやー。鈴木さんやり手だわ…さすがです。
数字を読む力。時代の気分を読む力。
映画作りって博打だな。
この人がいたから、宮崎駿ものびのび作品を作ることに専念できたんじゃないだろうか。
この本出したタイミングとかも、いろんな宣伝効果をしっかり図ってのことなんだろうなぁ。展示とかレッドタートルとか。
ジブリ好きにはたまらない、熱いジブリの軌跡。
もののけ姫の件は、実感を伴ったなるほど!だった。
宣伝って奥が深い。
まだ観ていなかったジブリ作品を観たり、漫画版のナウシカを読み返したりしたくなった。(これも宣伝効果だなとはたと思い至り、鈴木さんのニヤリと笑う顔が頭に浮かんだのでした。)
レッドタートルも観たい。
こうしてみると改めて、糸井さんのコピーはすごい。
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六本木ヒルズで催された「スタジオジブリの大博覧会」を意識していることは間違いなく、
同展示会の解説書のようなものに事実上、なっていると思われる。
映画の宣伝論として、たいへん面白い内容であるし、
合間に挟まっている東宝の歴代宣伝担当のコメントも興味深い。
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ジブリプロデューサーの鈴木さんが、ジブリの宣伝方法や戦略について語った一冊。狙って収益を上げる、なんてことができるんだなあと驚きです。
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ジブリ映画が何故ヒットしたのか、という手法を事細かに記した本。宣伝費を大量に使って、様々なメディアに映画情報を大量に露出すれば宣伝費に応じてヒットしますよ、と簡単に書いてある。ただ、よくよく読むと作品毎、時代毎に宣伝手法を切り替えたり、泥臭い事もたくさんやっており、この人のまねをするのは相当大変だし、同じようにやっても簡単にヒットする映画を作り出せるわけもないな、と思ったのも事実。時代の流れをうまく見極めて、その波にうまく乗っているな、と感じた。流れを掴むのも、流れを乗りこなすのも大きな才能だよな、とも思う。もちろん、映画本体が良くないとどれだけ宣伝してもダメという側面もあるので、宮崎・高畑という両天才がいてこその大ヒットだとも思うけどね。
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ジブリの広告戦略。プロデューサー鈴木敏夫として、どのような広告戦略を打ってきたのか、興味深く読めた。
次の文章が印象的だった。
『プロデューサーの仕事というのは探偵業と同じなんだ。その作家が何をしようとしているのかを探る。一方で、現代というのはどういう時代なのかを探る。それをもとにどう宣伝するかを考えなきゃいけない。映画というのはストーリーを売るんじゃない。哲学を売るんだ』
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2016/10/11:読了
鈴木さんは、徳間のアニメージュの編集長をやりながら、ジブリ映画の企画・広告を取り仕切っていた。
高畑さん、宮崎さんの映画に対する信念と、映画の興業をどう折り合いをつけるか、そのうえで、どう観客を動員したかが、よーく分かる本。
読みやすく、理解しやすい。
映画広告という面でも、画期的だったことがよく分かる。
最初から最後まで新鮮さが途切れない、すごい本だった。
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ジブリの今までの経緯と裏側を知ることができた。
ジブリ作品が映画館で特別上映されている今だからこそ、読めてよかった。
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今年ベストな一冊決定の本。ジブリの鈴木プロデューサーが、初めて映画の宣伝を手がけたナウシカから、現在に至るまでの名だたる傑作を、いかにしてヒット作に導いてきたか。その苦心と努力と奇跡と友情と泥臭さが圧倒的な熱量で伝わってくる名著だと思う。
ナウシカから30年もの間、日本の映画史どころか社会史に刻まれる傑作を放ち続けてきたスタジオジブリ。高畑さんの高尚で深い芸術性、宮崎さんのエンターテイメント性、そしてそれら2人を抱えるスタジオジブリが『映画を作り続けるためには、映画をヒットさせねばならない』という目的をもとにひたすら奔走し続けた、鈴木プロデューサーの商売魂。
この3人と、それぞれを支えた制作スタッフ、宣伝スタッフの総力の結集あってこそ、この30年もの間、日本人が世界に誇る『スタジオジブリ作品』を享受し続けてこれたわけで。とりわけ84年生まれの自分にとって、トトロから劇場で観てきたし、もののけ姫あたりからはほぼリアルタイムで劇場公開時のプロモーションに触れてきたわけで、その裏側にはこんな事があったのかと知る事が出来て面白く、またその全てがスタッフの努力の結晶によって実現されたものだと知る事ができ、感涙ものであった。
広告、宣伝、映画、好きならもちろん、チームでの仕事に携わる人はとても楽しめるはずの一冊。
※また本書は本編は、鈴木さんの語りを共に別のライターが書かれてあり、あとがきのみが鈴木さんの文章。
実はもともとの鈴木さんの印象が個人的にはあまり好きではなかったが(なんというか、冷徹な商人の塊、的な勝手な印象。。)、本編を読むととても熱くてパワフル、仲間想いな人だなぁと好印象を持った。
が、あとがきは急に文体がドライになってて、そういうことかぁと思った。笑
やはりそうでないと、高畑さん、宮崎さんに囲まれたなかで、30年もヒットを飛ばし続けるなんてやってこれないよね。
勝手な印象だけど。。
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ジブリの宣伝にまつわる話。
かぐや姫と、風立ちぬに至るまで。
宣伝ってやっぱり恥ずかしがってやるもんじゃねーな。って思う本。ドンドンやってけ。
やっぱり仕事ができる人やから、監督の作り出す映画に魅力があることがわかってて。ほんでもって作品に惚れとったんかなあと、勝手に思う。
けど、商売は商売。馴れ合わん。みたいな感じで芯が通ってるのが良い。
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二人の天才に囲まれたプロデューサーの記録。溢れる才能と、天才ゆえの欲望に翻弄されながら、一方で巧みにコントロールしていく手腕と情熱、智謀。
タレントマネジメント、という言葉があるが、才能をマネジメントするという意味では、これこそがタレントマネジメントだと。
合間に挟まれる関係者へのインタビューからは、才能と智謀に翻弄される「普通」の人の戸惑いと喜びが伝わって来て、なかなか興味深い。
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「映像研には手を出すな!」の金森氏を待つまでもなく、たとえば「げんしけん」のハラグーロとか、ガイナックスの岡田斗司夫とか、とかく悪い意味で「金を集めるのがうまい」「口先だけの人」は、業界モノを見るだに見え隠れしていた。
翻って、宮崎・高畑両氏の背中にベッタリくっついている口だけオッサン、宣伝の際には腹にボコッと出てくる喋りたがりオッサン、そして押井守を追っているときに必ず出てくるオッサン、他の文化人を検索すると結構な頻度で自身のラジオ番組に呼びつけているオッサン、ということで認知していた。
が、作り手に寄生するオッサンが最も嫌いな人種だし、時代と格闘するだとか作務衣着て毛筆するだとか、そういう人物ってオヤビン気取って金をガッポガッポ動かしてるわりにはカラッポなんだよねと侮っていた。というか、侮っている。読後も。
が、その評価を、どうしても変えざるを得ないのは、この人、ただ金集めするだけではなく、作品にも口を出すのだ。
どころか、企画も言い出している。
言い出しっぺ……持ち掛け……ヤクザというかチンピラ……話題提供者……フカシ……金集め……叱咤激励者……宣伝者……と八面六臂の活躍をしている……、
というか、宮崎駿や水木しげるがスタッフを社員化して自身を永久創作機関に仕立て上げたのを、またも模倣して、取り巻きを活用して自身を永久宣伝機関と仕立て上げようとしている……その日々を、まとめたのが本書である。まあワーカホリックの歴史と言えなくもない。
決して自ら筆を動かした……PCを打鍵した……ものではない。ただ放談したものを、秘書だか側近だかにまとめさせたものだ。
という事情であるから、汗みずくの執筆の賜物では、ない。かるーい、俺こんなこと考えてたんすよー、俺はすげーし、俺の失敗も俺の思惑のうちなんすよー、という本。いわば成功者・爺の回顧録に過ぎない。
が、通史の雰囲気をつかむには悪くない。
おそらくこの爺、多分に嘘をついている。それぞれを細分化する資料もあるはずなので、もっと詳細に見ていこう。
結論。鈴木敏夫的プロデューサーは、いまや老害。とはいえこんな老害や、宮崎駿のような老害ワーカホリックがいたからこそ残っている名作が、山のようにある。
これを享受しないのは勿体ない。
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ジブリが好き、もしくは広告の世界が好きなら楽しめるであろう作品でした。そして、熱い!!男くさい!!
無駄な情報や作品自体のメッセージはほぼ届けず、「どうやって私はジブリ映画を売ってきたか」をある意味淡々と、でもとても感情的に伝えてきてくれた本でした。
私はジブリの作品と育ってきた世代だけど、作品そのものだけじゃなくて広告や広報手段もあらゆる変化があったことを知った。キャッチコピーがどうやって決まっていったかが、個人的にはすごく面白かったなぁ。
ジブリ作品と共に成長できたことを、とても幸運に感じます。