患者の視点からの脳梗塞
2020/01/20 17:16
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投稿者:プリンママ - この投稿者のレビュー一覧を見る
41歳の時、突然の脳梗塞に襲われ半側空間無視や、感情のコントロールができなくなるなどの高次機能障害になった著者が、患者としての視点から、なぜ脳梗塞になったか、リハビリの過程はどのようなものだったのかを書き綴ったものです。脳機能障害は外見からは分かりにくく、症状も客観的に分析するものは多くありますが、患者本人が自らの視点で描いたものは少ないので、一読の価値はある本だと思います。後半で書かれていますが、かなり人間関係に恵まれていて、リハビリにも多くの人の協力があっての回復なので、この症例を一般的な回復のケースとして理解するのは危険だと思いました。
結論ありきの書籍
2017/01/17 21:20
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆる貧困問題を主題として取扱うルポライターの脳梗塞からのリハビリ記。 読んでみて、やはり自分はフリージャーナリストルポ系新書は向いていないなぁと実感。 この手の本は結論ありきが多いと思う。この場合は自身の脳の後遺症の高次機能障害と、貧困者に多い発達障害の状態が似ているというもの。 その決め込みによって、リハビリ技術者はもう何も産み出さない高齢者ではなく少年少女を世話するべきだとの意見。もちろん「医者様」への批判、それに比べて献身的なのに低賃金のリハビリ技術者といった図式もあり。
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脳梗塞を起こした人が本を書く、ということ自体が確かに難しいはず。ルポライターの鈴木大介さんが脳梗塞になってからの経緯を自ら書くという新書。これ、面白いと言っていいのかわかりませんが、役に立つ本です(いえ、役に立たずに済む方がいいですけど)。
感情の揺れが大きくなる、左側が見えなくなる、人を直視できないかと思えば、何かが心に触れるとどうしても凝視してしまう。確かにそんな症状の人は見たことがあります。そんな人の心の内側が感じ取れて、なかなか深い納得でした。
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「最貧困女子」でブレイクしたルポライター鈴木大介氏が、若干41歳にして脳梗塞を起こした。その闘病記。
養老孟司先生もおっしゃる通り、私も一気に読んだ。脳梗塞を起こした本人が、具体的にどこがどう辛いのか、どう不自由なのかを克明に自分の言葉で記録したという点で非常に貴重だと思う。
妻や仕事仲間の大切さに感謝している点は非常に好感が持てる。
リハビリの内容も詳細が語られいるが、指導する理学療法士の待遇が低いことに著者は憤りを感じ、彼らの待遇改善を訴えている。私も同感だ。
また、第4章『リハビリ医療のポテンシャル』の中で、イジメの対象となる児童に対して、リハビリスタッフにより支援の必要性を訴えている。これは非常に注目すべき、重要な主張である。世に広まってほしい。
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社会問題を扱うルポライターの鈴木さんが、脳梗塞になったお話。
その状態になって初めて、これまで取材で出会った人の気持ちに近づけたと感じ、
自分の心がコントロールできなくなって、自分というものを内省して向き合っていく。
本の中で鈴木さんが大事にしていた言葉が、
「様々な距離感のところに自分の応援団を持とう」だった。
私は小さい頃から色々抱えていて、
正直社会とか人間関係とか自分というものとでさえ、
うまくやっていくのが得意じゃない。
それでも頼りたいと思える人は何人かいて、
その人はすごく近くにいるわけではないけど、
ダメな自分を少しさらけ出せる人。
ダメな自分でも仕方ないなぁって言いながら、
受け入れてくれる人は、とてもありがたいなぁと思う。
自分も誰かの応援団になれればいいなぁ。
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41歳働き盛りのフリーランスライターが脳梗塞を発症し、その後のリハビリの日々を軽妙に記述。最悪自殺を考えてしまうほどの過酷な日々のはずなのに、ユーモアな文体で記載されていてついつい笑いを誘われた。脳梗塞を患うことでわかった既視感を実体験に基づいて記載していて感銘を受ける点が多々あったかな。
P9
あれ?この不自由になってしまった僕と同じような人を、僕は前に何度も見たことがあるぞ?
それはうつ病や発達障害をはじめとして、パニック障害や適応障害などの精神疾患・情緒障害方面、薬物依存や認知症等々を抱えた人たち。僕がこれまでの取材で会ってきた多くの「困窮者たち」の顔が、脳裏に浮かびました。
なるほど、原因が脳梗塞だろうと何だろうと、結果として「脳が壊れた」(機能が阻害された)状態になっているならば、出てくる障害や当事者感覚には多くの共通点や類似性があるようなのです。
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P210
様々な距離感のところに自分の応援団を持とう
一番身近な人が頼りたい人かと言うと、そうでは無いことも多い
共感。なるほど。これは著者の書いた文章ではなく、引用だけれど、心に残る。
著者は、ライターだけあり、言葉にしづらいことを、上手に文章にして訴えている。
私も外からわかりにくい障害を持つ身として、痛いほどわかる。
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脳梗塞になった著者が改めて人生と向き合い真摯につづった著作と感じた。
ルポライターとしての貧困取材の中で出会った人々の挙動から脳障害を想定しているが、確かに考えられるものと思った。
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こう言ってよいのかどうか分からないが、面白くて一気に読んだ。
著者はルポライターで「最貧困女子」を書いた人。あの本も入念な取材で面白かった。ただ、著者の取材対象への思い入れが強すぎて、もう少し距離感をもって書けばいいのにと思ったものだ。しかし、今回は、自らの脳梗塞発症を機に、観察者も観察対象も自分ということで、その対象に迫りすぎなところがプラスに働いている。そのくせ、自分のことだと、かえって客観的に分析できていたりして、時々ハッとさせられる。
高次脳機能障害と発達障害等が症状・現象として似ているという指摘は新鮮だった。さらに、理学療法士のリハビリ技術が発達障害やネグレクト被害者などの治療・更生に役立つ可能性を指摘したことも、なるほどと思える。
著者やその家族には申し訳ないが、なってみて初めてわかることを言語化して、未だなってない人に教えてくれるという意味で、本当に貴重で役に立つ一冊だ。
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これまで目に見えない後遺症で苦しんでいる方への配慮が欠けていたことを反省。
妻の家事を奪ってしまっていたことを反省。
良い気づきを与えていただきました。
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面白かった。
41歳で脳梗塞になったフリーのルポライターが書いた
闘病・リハビリ記。
46歳で脳梗塞になった発達障害の息子を持ち
多分ADHD系の奥さんを持つ自分としては
非常に興味や共感、発見が多い内容でした。
何らかの原因で脳の機能が壊れた人たちの弱さや悲しさを
サポートしてあげるというか、そういうことに
理解が広がる社会になってもらいたいと思います。
脳梗塞になってからかれこれ5年半。だいぶ気が緩んでいる
のが自分でも認識している最近です。気を引き締めなおして
もう一度、発症したときのことを強く意識すべきだと
思っています。
”頑張らなあかんなあ!!”
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『最貧困女子』など、社会の下層で苦しむ人々についてのルポを何冊か出してきた著者が、41歳の若さで脳梗塞に倒れて「高次脳障害」に苦しみながらも回復してきた経験を本につづったもの。
脳の機能障害を負った本人の手記としては、脳卒中に襲われた脳科学者が自身の回復過程を描いたジル・ボルトテイラーの『奇跡の脳』、New York Postの記者が抗NMDA受容体自己免疫性脳炎にかかり自身を失っていく様子を自ら描いたスザンナ・キャラハンの『脳に棲む魔物』などがある。前者は脳科学者、後者は物書きという彼らの体験をどこかで客観視して論理的に表現して本にすることができる能力と機会を持った人によるものであった。いずれも脳の高次機能が非常に高度なバランスが必要で、また同時にフレキシビリティを持っていることについてリアリティを感じさせる本である。そして、本書もフリーのライターとしてプロの表現者であり、彼らと同じようにその体験を言語化できている。最初は左手のマヒや発話障害があったが、それらが回復していく中で、身体的障害を伴わない感情や認知などに関わる高次脳機能障害の苦しみを暗くなることなくうまく表現している。左側視野にどうしても注意がいかない状況を、義母が全裸でそこにいるのと同じような感じだと表現したのは、なるほどそういう感じと思えばいいのかと、さすがと感心した。
著者の先に紹介した2冊と異なる特徴は、この高次脳機能障害をこれまで貧困にあえぐ人々が発達遅滞ではないかと感じてきた人々の様子と重ね合わせているところだろう。それは、著者が『最貧困女子』などでそのような人々に関わってきたことによる実感である。先天的な脳機能障害に加えて、DVや貧困などのストレスにより脳機能障害が発生もしくは固定化し、表には注意欠陥や集中力の欠如という形で表れ、それがゆえに貧困から抜け出せないという悪い循環に陥っているのではないかと著者は考える。そこから抜け出すためには、就業ケアなどではなく、著者が回復の過程で体験した脳機能障害からのリハビリが有効なのではと指摘する。著者のこういった考えは次のオンライン記事などでも読むことができる。
「貧困の多くは「脳のトラブル」に起因している」
http://toyokeizai.net/articles/-/127404
一部の貧困者であっても、彼らを脳機能障害=病者とするのは、一面で危うい気もするのだが、著者の取材で向き合ってきた関係と自らの病の内観によって得られた実感を伴う実感だとすると、真剣に捉えるべき示唆であるのではないかと思う。
脳梗塞を発症するに至った自らの性格への反省、妻への感謝などがつづられている。そして、脳梗塞になってよかったとまで言う。少なくとも身近な人との関係において、プラスになることも多いと。金銭的なこともそうだが、人間関係的な備えが重要だと感じさせてくれる。
自分も脳梗塞になる可能性も十分にある。そのときにはきっと参考になるのかもしれない。そういうことがないようにとは思うのだが、それはそれで。
少し不謹慎かもしれないが、こういった本が書ける人が、この若さで脳梗塞に罹り、その後遺症がその人の意志と力なりで回復可能なものであったことは読者からすればこの��を産んんだ幸運であったのかもしれない。
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『奇跡の脳』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4105059319
『脳に棲む魔物』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4047313971
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著者は丹念な取材をするルポライター。特に最下層にいる少年少女の著作が多く、読んだことがあった。脳梗塞になりながら、自分で自分を取材して、本に仕立てるというのは大変だろうと思う。また、悲惨がるのではなく、ある意味、面白おかしく書いていて、かつ、今まで取材していた人や奥様への理解を深めていて、この人は仕事が好きなのだと思った。自分が脳梗塞になったら、ここまでの思いにはならないだろう。また、最近、闘病記をよく読むのは、年をとってきて病気への予習なのかなあと(何でも書籍から入るタイプなので)。
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一番感動したのは、著者が病気を通じてその原因がすべて自分にあると気づいたくだり。
運動も、食事も節制してきた自分がなぜ病気になってしまったのか。
それはすべて他人に頼らず自分だけで解決しようと生きてきたイライラが原因だったと。
奥さんに頼ればいいのに家事も掃除もすべて奪って、自分の思い通りにならないとすぐにイライラして。
そんな著者の考えの変化、奥さんや周囲の人への感謝にとても感銘を受けた作品です。
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脳梗塞で倒れた著者が自分自身に起きた身体や心の変化を言語化して分析していきます。
この本を読むと自分は人生をどのように生きているのか、そして生きなければならないのかというメッセージが強烈につきつけられます。
「生活習慣病ではなく性格習慣病」という言葉は名文句です。
闘病記というくくりにとらわれずにぜひ色々な人達に読んでもらいたい一冊です。
とてもおすすめ。