- 販売開始日: 2016/07/08
- 出版社: 技術評論社
- ISBN:978-4-7741-8250-6
そもそも島に進化あり
著者 川上和人
『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』で好評を博した川上和人先生の著作・第二弾。今回扱うトピックは「島における生物の進化」。海に囲まれている小さな陸地,それが「島」。海という大...
そもそも島に進化あり
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商品説明
『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』で好評を博した川上和人先生の著作・第二弾。
今回扱うトピックは「島における生物の進化」。
海に囲まれている小さな陸地,それが「島」。
海という大きな障壁があるにもかかわらず,島には生物がいる。
彼らはどこから,どのような冒険をして島にやってきたのだろう?
運良く島までたどりつけた生物たちは,やがで“独自”の進化を模索する。
それはいったいなぜなのか?
試行錯誤を繰り返し,微妙なバランスを保ちながら生きる島の生物たち。
その事実の果てに,島では何が起こるのか?
離島の鳥類を研究する専門家が,実際の経験で感じた「島」という存在。
その「島」で繰り広げられる生物たちの動向を,ユーモアあふれる語り口で,軽快に解説。
鳥類学者が見つけた「島」という箱庭,そこにはどんな不思議な世界が広がっているのでしょう。
著者紹介
川上和人
- 略歴
- 森林総合研究所・主任研究員。著書に「そもそも島に進化あり」「トリノトリビア」など。
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島という楽園
2024/01/08 14:12
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
鳥類学者の川上博士が「島」について語る。
これまでも小笠原諸島でのフィールドワークの話や、南硫黄島での調査の話、西島での外来種駆除の話を『鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ』や『鳥類学はあなたのお役に立てますか?』といった著作の中で読んできた。
今回も小笠原の話かと思っていたが、もっと大きく島について語った本だった。
世界には六大陸があり、それ以外は日本列島も含めてすべてが「島」である。
島の中には都市がいくつもある巨大なものから、海面に岩が顔を出しているような小さなものまで多種多様だ。
この多様性が島の研究の面白さなのだろう。
島はかつて大陸の一部だったものが切り離されて島になった「大陸島」と、生まれてから一度も大陸とつながったことのない「海洋島」に分けられる。
大陸から切り離された島では大陸に住んでいた生物がそのまま島になっても生き残っているが、海洋島では何らかの手段で海を渡ってきた生物が繁栄と絶滅を繰り返した結果、その島独特の生物環境が形成されていく。
生物が海を渡る手段は「Wing Wind Wave」という三つのWがあるそうですが、鳥やコウモリは自分の翼で海を渡って島へたどり着くことができる。
渡り鳥の休憩場所となる場合もあり、営巣地になる場合もあるが、この渡り鳥にくっついて植物の種や微小生物が一緒にくっついてくるケースは多い。
鳥が果実を食べても種はすぐに排出されてしまうため、何百キロも先の孤島へはなかなかたどり着けないように思われる。
だが鳥の羽毛にくっついて海を渡ってしまうことはよくあるようで、海鳥を捕まえて羽毛をワシャワシャすると植物の種や小さい昆虫類などがいろいろと出てくるそうです。
他にも偏西風に乗ってやってきたり、台風に飛ばされ、または波や津波に乗って島へたどり着いた動植物の中でも運よく子孫を残せたものが定着していく。
大型哺乳類は本土と近ければ泳ぐことができるが、本土と離れていれば海の捕食者に襲われてしまうので島へたどり着くのは難しいようです。
そのため海洋島では鳥類や昆虫、小動物の楽園ができあがる。
だがこの楽園は脆い。
大陸から離れた場所で独自に進化を遂げた固有種は、外来生物からの身の守り方も知らず外来生物が持ち込む病気への抵抗も持っていない。
大陸からネズミやネコ、ヤギといった人間が持ち込んだ生物が入り込んだり、外来植物がやってくると固有種はあっという間に絶滅の危機に立たされる。
ネコを駆除してみたらネズミが繁殖してネコがいた時より固有種への圧が高まってしまったりと対策も難しいようだ。
そんな問題にも触れつつ、島の進化とそれぞれの楽園をコミカルな語り口で紹介してくれた本だった。