イタリアからの手紙(新潮文庫)
著者 塩野七生
芳醇なるブドウ酒の地中海。死んでいく都、ヴェネツィア。生き馬の眼を抜くローマ。だましの天才はナポリ人。田園風景に、マフィア……。ここ、イタリアの風光は飽くまで美しく、その...
イタリアからの手紙(新潮文庫)
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商品説明
芳醇なるブドウ酒の地中海。死んでいく都、ヴェネツィア。生き馬の眼を抜くローマ。だましの天才はナポリ人。田園風景に、マフィア……。ここ、イタリアの風光は飽くまで美しく、その歴史はとりわけ奥が深く、人間は甚だ複雑微妙で、ぞくぞくするほど面白い。──壮大なライフ・ワーク『ローマ人の物語』へと至る遥かな足跡の一端を明かして、人生の豊かな味わいに誘う24のエセー。
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エセーというものの見本
2010/10/24 09:27
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エセーというものはこのような題材を取り上げ、このように文章を展開しまとめあげていくものだ、という見本である。表題の付け方がまたしゃれている。「カイロから来た男」、「骸骨寺」、「法王庁の抜け穴」、「永遠の都」、「ナポリと女と泥棒」、などとあっては、どんなことが書かれているのかと気を引かれるではないか。話の展開も絶妙である。技巧を凝らしているのではないが、ちょっとした文に凝った感じがする。途中、随筆とも小説とも日記とも分類できないものがあり、違和感や戸惑いを感じるためにか、すべての作品が最高とはいえなくとも、どれもすばらしい出来具合いである。文章自体も乾いたような醒めたような、よけいなところがなく簡潔明瞭である。起承転結の構成がしっかりしている。書評を書くときもこのように書きたいものである。
隠れ家的なカフェバーで出会った女性のバーテンダーの思い出
2006/10/29 11:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
塩野七生の 洒落たエッセー集。
塩野といえば 大作「ローマ人の物語」で名高いわけだが その合間にちょこちょこ書いてくれるエッセーの味わいも格別である。小品といったら語弊があるかもしれないが 小品には小品の味わいがある。彼女の長編が「日本酒一升瓶」若しくは「ワイン1ケース」を思わせるとしたら 小品はすっと出されたカクテル一杯という趣である。
カクテルは実に微妙な味わいで 塩野バーテンダーに作り方を聞くのだがあでやかに笑って 教えてくれない。24編のエッセーは24種類の謎めいたカクテルのように香しい。
だれもが知っている通り カクテルというのは結構きついお酒だ。読み終わると それなりに酩酊感が出てくるから不思議である。
大人の国からの大人のエセー
2003/09/15 22:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:流花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「カンターレ! マンジャーレ!」人生を楽しむことにかけては、イタリア人の右に出る者はいない。…イタリアの国民性を述べようとするとき、こんなふうに述べられることが多いだろう。確かにラテン系の国を旅行すると、何だか人生観が変わってしまうような気持ちになる。一言で言うと、「元気になる」とでも言うのだろうか。「いいんだ、これで。」と自分が肯定されたような気持ちになる。
だが、そんな陽気で自由な国民性が、しばしば、工事の遅滞や、鉄道や郵便の遅滞などの“いい加減さ”に変わる。旅行に行くときも、必ずスリや窃盗に気をつけるようにと言われる。実際被害に遭う人も珍しくないようだ。今のイタリア人って、古代ローマのあの文明を築いた人たち、ルネッサンスの芸術や学問を創りあげた人たちとは、無縁なんですか?と言いたくなる。
本書を読んだのは、イタリア旅行の前だった。塩野七生さんといえば、古代ローマやルネッサンスを始め、イタリアの歴史を題材にした小説の第一人者である。そんな塩野さんから、イタリアという国のエッセンスを嗅ぎ取りたくて、読んでみたのである。
だが、読んでみて、イタリアの陽気で騒がしいイメージとは裏腹に、静かな時が流れていくような感じがしたのは、なぜだろうか。最初に収められている「カイロから来た男」の雰囲気が、支配しているのだろうか。淡々とした語り口が、そうさせるのだろうか。
イタリアに行ってみると、まさに“歴史の中”に住んでいるような町並みに感動する。それはなにも、歴史的に有名な建物や、観光名所がたくさんあるという意味ではない。市民が、何百年も前のアパートに住み、メディチ家の丸薬の紋章のついた建物に店を構えている。彼らにとって、歴史は特別な物ではない。そんな中で生活している彼らにとって、歴史は幾重にも重なって、すぐそこに存在しているのだ。
長い間文明を栄えさせ、世界をリードしてきた国では、人々も“大人”である。人と人とのつきあい方、生きるための知恵、そのようなものに長けている。「M伯爵」や「仕立屋プッチ」の生き方。「イタリア式運転術」も生きるための知恵かもしれない。血族のつながりを大事にする「マフィア」だって、その一つであろう。本書は、もう30年も前のエセー(塩野さんはあえてエセーと言っている)である。イタリアも、現在とはかなり状況が違うだろう。だが、彼らの本質——人生を楽しむ姿勢は変わっていないだろう。
「修道士X、そこの頭蓋骨をひとつ、こっちになげてくださらんかね」「いいですとも、修道士Y、わたしの方では骨盤が三つばかり足りないんだが、そこら辺にまだ使わないのが残っていませんか」…これは塩野さんが想像した、骸骨寺の修道士の会話であるが、「そうでも思わなければ、修道士の遺骨をバラバラにして、墓所を飾り立てた彼らの神経が理解できない」と言っている(怖い物見たさに、私もこの骸骨寺を訪れてみたが、骨とは思えないほど、立派なものだった)。…これもある意味人生を楽しんでいるのだろうか。だが、塩野さんは、「狂信から生まれた無邪気さほど、恐ろしいものはない」とも言っている。イタリアには、歴史の教訓も、すぐそこに存在しているのだ。
いつものイタリア紀行にプラスアルファ
2020/01/29 11:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:magoichi - この投稿者のレビュー一覧を見る
長ったらしく似通った古代ローマ人の名前が覚えられないので、塩野作品はエッセー専門である。
彼女のエッセーは、何時も南イタリアの陽光と地中海の煌めきが眼前に拡がりつつ、イタリアの人々への皮肉や愛情、ヨーロッパ文化を通した日本人への批評等、地中海世界への脳内小旅行にはピッタリである。
本書にはそういった従来の作品とは違う、若き医学生(後に新米の医者)の一人称による小文がある。山田詠美の「僕は勉強が出来ない」のような、あの年頃特有の自堕落でそれでいて将来の明るさを疑わない、陽気なエネルギーに満ちた作品だ。
従来の彼女のイメージとは違っており、こんな小説を書いてくれたら、あの長ったらしい名前の登場人物に悩まされずに済むのだが。
美しく愉快なイタリア
2002/05/21 13:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者のイタリアが好きだ!という気持ちが強く感じられる。
だからと言って何も観光のパンフレットのように良い事ばかりではなく、手厳しく批判したり冗談めいたものの書き方で紹介してあるからすごく爽やかな印象を受ける。
筆者の何でも前向きにとらえようとする姿勢があまりにも自然で、少々失礼かもしれないがまるで外国の人の日記を覗き見ているような錯覚さえ覚える。
イタリアの医者の卵である青年を書いた短編もおもしろい。
イタリアの大雑把な気質と日本人の几帳面な気質の違いについ笑ってしまいそうになる。
初めてエッセーを読むにせよ、もう何冊も読んでいるにせよ、手にとって地中海の風を感じてもらいたい。
塩野七生先生
2019/11/25 20:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
いかにも大人の女性の知的エッセイという感じで、読むと自分も良い女になれたような気がします。するだけですが。
醒めているようで
2017/06/06 13:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
塩野作品の文章には努めて冷静でいようと抑制している印象を持っていたが この作品には粋さを感じた。冷静で粋である、バランスのとれたエッセイ集。